2017/02/10 のログ
ご案内:「バレンタインデー・放課後の教室棟ロビー」に美澄 蘭さんが現れました。
ご案内:「バレンタインデー・放課後の教室棟ロビー」に八百万 頼さんが現れました。
■美澄 蘭 > 「………。」
約束の時間にはまだ早いけれど。
蘭は、ロビーの片隅のテーブルの上に小さな紙バッグを置いて、心なしかその身体を強張らせていた。
教室棟は空調が利いているのでそこまで寒くはないが、その分「贈り物」には優しくない。
(前に勉強した冷却術式が、役に立ったわね)
ちょうど紙バッグの中に収まるように、冷気が充満している。
魔力に対する感受性が高ければ、それが術式によるものだと分かるのだろう。
「………。」
周辺を時折きょろきょろと伺いながら、人を待つ。
■八百万 頼 >
みーすみちゃん。
(彼女の後ろから声を掛ける。
わざわざ気配を消して、彼女にばれないよう足音まで消して。
楽しそうな猫っぽい顔で笑いながら。)
お待たせ。
どしたん、なんかお悩み事?
(そう言いながら彼女の正面の椅子へ腰を下ろす。
ニコニコ笑ったまま、早速今日呼び出された用件を尋ねよう。)
■美澄 蘭 > 「きゃっ!?」
びっくり再び。何か前にも同じことがあったような。
「…や、八百万さん…
もう、私の方から呼んだんだからわざわざ脅かさなくても良いのに」
胸元に手を当てながら振り向き、困ったように眉を寄せながら息を吐く。
…でも、すぐにその表情は…どこか、嬉しさと気恥ずかしさの入り交じった笑みに緩んだ。
「………でも、本当に…わざわざ来てくれてありがとう」
そう言って、テーブルの上に置いておいた紙バッグを、正面へ座った彼の方へ差し出す。
「去年、お世話になったお礼。
…ほら、今日、バレンタインでしょう?受け取ってくれたら嬉しいな、って」
紙バッグに書かれているのは、「プラリネの元祖」といわれる有名チョコレートブランドのロゴ。
中身も、そのブランドのプラリネを6個ほど詰め合わせて可愛らしくラッピングされた、小さな箱だ。
日本でもあまりお店の展開はなく、買おうと思えば結構良い値段のするヤツである。
魔術で保冷してあるので、受け取ると、ちょっとひんやりするかもしれない。
■八百万 頼 >
やー、美澄ちゃんかわええから、つい悪戯しよ思ってしまうんよ。
(目論見通りの反応に満足そうな表情。
ニコニコと楽しそうに笑っている。)
そんな水臭いわ。
美澄ちゃんに呼ばれたらもういつでもどこでも駆けつけるに決まっとるやん。
お礼言われるようなこととちゃうわ。
(へらんと笑ってそんな言葉。
しかし、なにやら紙バッグを差し出されてきょとんとした表情になる。)
――へ。
バレンタイン……あー、ボクに?
あー……。
(予想外と言った表情で戸惑いながらも受け取る。
ひょいと中を覗いてみたが、高そうなチョコレートが鎮座している。)
――おおきに。
(お礼は言うものの、どこか解せぬと言った表情のままである。)
■美澄 蘭 > 「もう…」
楽しそうにされてしまうと、困ったように眉を寄せて戸惑うことくらいしか出来ず。
相手次第では、きっぱり拒絶することも、きっと出来るのだろうけれど…。
「…そう言ってもらえると頼もしいけど…無理はしないでね?」
へらんと笑って言う頼に対して、そう返してくすりと苦笑いを零す。
きっと、他の女の子にも同じように向き合って、同じように言って、苦労しているのだろうから。
そう。少なくとも、蘭はそう思っていた。つい、今までは。
「ううん、私の方こそ…ありがとう。」
受け取ってもらえた安堵に口元は綻んでいるが…一方で、色の違う二つの瞳の中には戸惑いもあった。
「………こういうの、もらい慣れてると思ってたわ。
ちょっと、気合入れ過ぎちゃったかしら?」
「一応、「義理」のつもりだったんだけど」と、首を傾げながら。
■八百万 頼 >
いやあ、無理はしてへんよ。
(紙袋から視線を上げて、へらりと笑う。
実際無理をせずとも出来てしまうのだから。
その事実は内緒のままであるが。)
慣れてる言うわけやないけど、美澄ちゃんがくれるとは思うてへんかった。
(貰うにしてもいかにも義理チョコと言った感じのものばかりだった。
「そう言うもの」は出来るだけ貰わないようにしていたし。)
――参ったなぁ。
(頭を搔きながら呟く。
別に貰うことが困る、と言った風ではなく。
どちらかと言えば一本取られたとか、してやられたとか、そう言った風な表情である。
苦笑に近い、少し嬉しそうな顔のまま、もう一度紙袋の中を覗きこんで。)
■美澄 蘭 > 「そう?ならいいんだけど………」
「八百万さん抱え込みそうだから心配で」ということを付け足そうとして………やめた。
きっと、野暮だ。彼くらい社交に慣れた人なら、きっと、「よりかかる」場所には困らない。
自分なんかが口に出しても、大きなお世話だ。
「そうね…去年もお世話になった人くらいには渡そうかとか考えたんだけど、結局踏ん切りつかなくて。
だから、ここで人にあげるのは、今年が初めてなの」
そう言う蘭の唇は、気恥ずかしさと高揚に、時折もごもごともどかしげに動く。
いっそ上手く笑えれば良いのだけれど、どうにも上手くいかなかった。
「………どうか、した?」
表情からすると、そこまで迷惑にはなっていないのだろうけれど…不安そうに、頼の表情を上目遣いで伺う。
なお、紙袋の中には、可愛らしい包装のチョコレートの箱の他に、不可思議な文様のようなものが書かれた紙が1枚入っている。
知識があれば、周囲の空気を冷やす冷却術式の発生源であることが伺えるだろうが…。
■八百万 頼 >
せやから気にせんと、いつでも呼んでな。
(笑顔を向けて。
遠慮されて頼られないなど、情けないにもほどがあるのだから。)
そらあ光栄やな。
大事に食べるわ、おおきに。
(彼女が学友の中で最初に自身にくれたものだ。
雑に食べてしまってはバチが当たると言うものだろう。)
ん――や、なんでも。
――?
(ふと、そこでなにやらお札のようなものに気が付いた。
拾い上げてみればひんやり冷たい。
そう言う役割のものだと言うことは分かったのだが、いかんせん魔術系の知識は皆無に近い。
とりだしてまじまじと眺めてみる。)
■美澄 蘭 > 「………そう………、ありが、とう」
笑顔を向けられて、少し頬を赤らめるとぎくしゃくと頷く。
きっと、他の人にも彼はそう言っているに違いないのに。
そういった、距離をとる反応が、上手く出来なかった。
「…あんまり、深く考えなくていいのよ。…「義理」、だから」
そう言って、少しだけ俯く。
「義理」という言葉は、自分にも言い聞かせている風であった。
「………。
………あ、それね」
それでも、冷却術式を籠めた紙に興味がいったらしい頼の様子に、顔を上げる。
「ほら、教室棟にずっと置いてたらチョコ台無しになっちゃうし…一旦取りに帰るの、ちょっとめんどくさいでしょ?
だから…周りの空気を冷やす術式の範囲と強さをアレンジして、一緒に入れておいたの」
「夏に、自分で使ってた術式の応用」と、すらすらと語る。
自分の気持ちを離れたところでは、いつも通りに喋ることが出来た。
■八百万 頼 >
義理言うても、美澄ちゃんがボクのために選んで買ってくれたもんには違いないやろ。
ほんまありがとな、お礼も期待しとってええよ。
(義理でも本命でもそれはそれだしこれはこれ。
改めて御礼を言って、お返しの事も忘れずに。)
ほーん。
便利なもんやな。
(説明を聞きながら、改めて少ない魔術知識とその紙の模様を照らし合わせる。
どれが何を決めているのかはぼんやりと分かったのだが、応用が出来るほどには理解できない。
とにかく何らかの形で使えるかもしれないと、自身の異能で「コピーして保存」。)
■美澄 蘭 > 「………そう、ね…八百万さんのこととか…あんまり重いものは贈れないかな、とか考えて………
あ、お礼とか、あんまり気にしなくていいのよ。そのつもりで渡してるわけじゃないし…」
「お礼も期待していて」と言われて、慌てて手をひらひらさせる。
…そして、魔術の方に話が移って、ほっとしたかのように表情を緩めて。
「ええ…魔術文字の組み合わせで結構色々出来るのよ。
数式とか組み立てるみたいな感じで、ひらめくと面白いし」
そう言って、口元を緩めてみせた。
頼が自分の術式を異能を使って「保存」していることには気付いていないようだが、きっと、気付いたところで気に留めはしないだろう。