2017/04/21 のログ
八百万 頼 >  
(彼女の言葉は、普通に信じるに値する言葉なのだろう。
 その生い立ちを知っているのであれば尚更。)

なかなかの説得力や。
せやけど、ボクのオシゴトは人を疑う事やからなぁ。
クローデットちゃんの言うとることに説得力あればあるほど疑いとうなってくる。

(自分は「嘘を吐く」と言う事がかなり得意な方である、と考えている。
 そのウソツキとしての勘が「彼女は嘘を吐いている」言っているのだ。)

ま、ええわ。
ここで言い合いしとってもお互い譲らんだけやろうしな。

(あっさりと引く。
 そもそも彼女の嘘をここで暴こうなどとは思ってもいないし、出来るとも思わない。)

――先月ぐらいか。
獅南センセイが落第街の方で誰かとやりおうた言う情報があってな。
なんやそこでクローデットちゃんみたいな姿見た言う噂もあるんや。

(嘘だ。
 その場で彼女の姿など目撃されていない。
 実際にあるのは彼女の姿ではなく、名前を聞いたと言う情報。
 まさかこんな幼稚なブラフは効果は無いかもしれないが、一応。)

クローデット > 「…説得力があるほど疑われてしまうとなれば…あたくしに、打つ手はございませんわね」

少し視線を落としながらも、微笑を零す。

クローデットの「嘘」は、頼のそれとは少し毛色が違う。
クローデットは、偽りの姿を限りなく「事実」で埋めるのだ。隠すのは、偽るのは、核心にあたる部分だけ。
実際、「疑われやすい生い立ちだから隙ない振る舞いを心がけるようしつけられた」のも、「事実」のうちだった。

相手が引く様を見せても、露骨に安堵したようなそぶりはない。
これは、寧ろ「始まり」でしかないという認識だったからだ。
…が、そこから出てきた話には…驚いた、というように目を瞬かせて。

「…獅南先生が?
落第街にも教え子がいるらしいというお話は、耳にしたことがありましたけれど…」

「どうして…」と呟いて、それから、首を傾げて。

「…しかし、先月でしたら、あたくしはまだ体調不良で、落第街の巡回にはあたっておりませんでしたけれど………どういうことなのでしょうか」

考え込むように寄せられた眉。
当然演技ではあるが、「姿」など見かけようがないのは、自分でよく分かっている。
下手に分かるそぶりなどする方が、よほど危険だ。

「…そちらの方の調査は、どちらかの委員会で進んでおりますの?
もしあたくしの姿を「借りられた」ようなことがあったのならば…少々、問題がありそうですが。

………ああ、あたくしに権限がないということであれば、仰って頂かずとも構いません」

ただ、その情報を委員会がどう扱っているのかを、確認する。

八百万 頼 >  
(各々タイプは違うが、共に嘘を得意とするもの。
 こちらは完全にそう決め付けて――限りなく真実に近い決め付けだと考えている――いるが。
 ともあれそう言うものの嘘を暴くには持久戦しかない。
 どちらかが島を去るまで耐え切るか、それまでに出したボロを見付けるかの勝負。
 首を傾げる彼女は明らかに嘘を吐いている。
 吐いているのだが、やはりそれも事実を口にしているだけだ。
 この手の嘘は非常に厄介だ。)

いや、特になんも。
そもそも上に報告もしてへんしな。
噂程度の話やし、その手の事はあこらには掃いて捨てるほど転がっとる。

(だからノータイムでアドリブを入れる。
 ブラフであったとも最初からそう言う噂のもと動いていたとも取れるように。
 これで何か動きがあるなら良し、そうでなくても問題はなし。)

――一度獅南センセイにも話聞いときたいけど、あのセンセどうにも苦手やねんな。
考えとることがようわからん。

クローデット > ゼロから作り上げる嘘は、ボロが出やすい。膨らみに膨らんで、収拾がつかなくなる。
「事実」自体が、視点によっていくらでも形を変えるのだから…それをベースに構築する方が、楽なのだ。
そういったことまで、クローデットは「学ばされて」いた。

「…そうですか…大したことがなければ良いのですが」

アドリブに対しても、伏し目がちにしながら、あくまで真摯に対応する。
表向き、ここでなされた会話としては、クローデットの認識は「獅南先生が落第街で戦闘行為を行い、そこにクローデットの姿をした何ものかが関与している疑いがある」なのだから、これが最良の対応だろうと、繕って。

「………獅南先生は、努力する生徒には寛容でいらっしゃいますわ。
あまり、深く考えずともよろしいかと思います」

クローデットが未だにこうして普通に学生をしていられるということは、きっと陰で何かを企んではいるのだろうけれど。
ただ、普通の生徒にとっては「厳しいけれど真面目な教師」には、違いないから。

そう言って、少しだけ柔らかさを取り戻した微笑を浮かべた。

八百万 頼 >  
(探られると不味い事のある彼女と違い、こちらは大した隠し事もない。
 だからホイホイどうでも良い嘘を次々と生み出し、相手を霍乱しボロを出させる事に特化した嘘を吐き続ける。
 それが自身と彼女の「嘘」の違いであり、それがお互いにとってのカギだろうとも考えていた。)

なんや知らんけど大怪我負ったらしいわ。
見舞いにでも行ったら喜ぶんとちゃうか。

(なるほど彼女の反応はやはり完璧だった。
 旧知の教師を慮る心優しい生徒のそれ。
 自身にとっては更に疑いを深めるものだったが。)

最近異能持ちにも授業解放したらしいしな。
ホンマよう分からん人や。

(先ほどまでの腹の探りあいのような雰囲気は消え、世間話をする様に。
 しかしドアの前からは退かない。)

クローデット > 「お見舞い………ですか。
そうですわね………カウンセリングが、落ち着いた頃にでも伺いましょう。
今は、あたくし自身、半分病人のようなものですし…ご迷惑に、なってしまうかもしれませんから」

躊躇いがちに視線を落とす、若干の歯切れの悪さ。
それでも、声は女性らしい優しさを失わなかった。

「教師たるもの、本来はそうあるべきなのですけれど。
…先生の中で何があったのかは、存じませんけれど」

同じ物腰を保って、続ける。

八百万 頼 >  
カウンセリング。
「異性との接し方がわからん」やったか。
――もうちょい早けりゃボクが色々手伝うたったんやけどなぁ。

(彼女の事だ。
 尋問官に語ったその言葉はまるっきり嘘と言う事ではないのだろう。
 その裏の本音はともかく、そう言う類であるなら得意分野ではあるのだが、今は彼女に限らずそう言うことをする気にはなれない。)

ま、ボクら異能持ちにも教えてくれる言うんなら、こっちも選択肢多く取れるからええ事や。
今度センセの授業に顔でも出してみるかな。

(パチン、と扇子を閉じる。
 それをくるりと手の中で回せば、跡形もなく消えてしまう。)

クローデット > 「………専門家でない方の「お手伝い」は、あまりあてにしておりませんの」

そう答える声は、どこか冷たく、そして沈んでいる。
伴うのは、いくらかの拒絶感。
裏の本音はともかく、「接し方が分からない」話自体は割と「事実」のようだった。

目の前の青年の、この夏以降の出来事や、それに伴う心境の変化など、把握しているはずもない。「手伝い」も望んでいないのだから、追求する余地などない。

「ええ…伝統的な魔術の素養のない方にこそ優しい講義だと思いますし、よろしいのではないでしょうか。
…勉強することも、多いとは思いますけれど」

ただ、獅南の魔術学講義は、無難に薦めた。

八百万 頼 >  
……こら重症やなぁ。
ま、ボクには関係ないけど。

(わしわしと頭を掻く。
 接し方が分からないと言うか、これはもう男性恐怖症に足を突っ込んでいるのではないかとも思えるほどの拒絶。
 とは言え自分には関係ない。
 こちらの目的は彼女の手伝いなどではないのだから。)

勉強する事は嫌いやないで。
役に立つかどうかは分からんけどな。
ボク魔術の素養は無いけど、魔術使えん訳や無いし。

(そう言って扉の鍵を開け、扉も開けて。)

――今日はゴアイサツちゅーとこや。
また何度か会うこともあるやろうけど、よろしゅう。
欲しい情報あったらクローデットちゃんからも声掛けてな。

(そう言ってピシャリと扉を閉める。
 ――ご丁寧に扉の上に「扉を開けると紙吹雪が舞うトラップ」を異能で設置して。)

クローデット > 「………カウンセリング、規定の期間より長引いてしまうかもしれませんわね」

ふ、と軽めの溜息を吐く。
恐怖症の域に達していることは「認められない」が、流石に自覚はあった。

「…ええ、その折には、よろしくお願い致します」

淑やかに、軽く頭を下げて頼を見送る。

「………。」

興が削がれた、と言わんばかりに大きく溜息を吐いて、コンピュータ周りを片付けて、自分も出ようとしたところで…

「………。」

探査魔術が、無害極まりない嫌がらせトラップを捉えた。

クローデット > 「………。」

溜息を吐いて、それから。

クローデットの姿は、音もなく情報処理室から消えた。

ご案内:「魔術学部棟情報処理室」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「魔術学部棟情報処理室」から八百万 頼さんが去りました。