2016/05/24 のログ
ご案内:「旅館」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「旅館」に綾瀬音音さんが現れました。
五代 基一郎 > 学園地区学生街にある宿泊施設。
学内での催し物や、何がしかの学位あるいは論文発表会の会場になる時に
島外からの来訪者に向けて利用される施設。

ただそういった催し物のシーズンから外れると、とんと利用者は減少するために
こうして昼間は昼食を出していたりで経営しているらしい。
もちろん別に食堂はあるのだが、今回は個室の予約を取っていたもので個室で
顔を突き合わせての食事であった。

先日以降、予定の取れる日を聞いて都合が良い日に……となったわけであるが
こうして会う日となればその前日に綾瀬へは数日分の宿泊用意をしてくるようにと言ったりなんだり
慌ただしくさせるような事があった。

最も目の前の男は、完全に手ぶらで来てこの季節に出される豆腐料理を食っているわけだ。

「冬ぐらいになると、鍋で湯葉を作りながら食べるコースがあるらしいんだけどね。
 それはさておきここの胡麻豆腐が美味くて……」

と。

綾瀬音音 > (流石に同じ旅館ではないが、自分もこう言う宿泊施設は使ったことがある。
中学3年の時に学校の下見や入学の手続きの時に、数日泊まったのだ。
その時は自分がこんなことになるなんてこれっぽっちも思ってなかったし、言うことが出来たとしてもきっと信じないに違いない。

連絡の後、宿泊用意、と聞けば流石に何があるんだろう一体、と顔を覆ったが、ちょっとした旅行の用意、程度には支度をして来た訳である。
なんであれ全くの対価のない異能はない、と言うのが少女の考えでもある。
いや、本当に何があるのかさっぱりわからないのだけれど。
――信頼出来る先輩なのは変わりないので、変に身に害が及ぶようなことはないだろう、と言う楽観視もある。

――とは言え、顔を合わせた当初は緊張した面持ちであったのも豆腐料理を食べる頃になればある程度はほぐれていた。
基本的に美味しい料理と飲物があれば幸せになれる人種である)


(ローテーブルを挟んで向かいにきちんと正座しながら、箸を運ぶ。
美味しいですね、といつもどおり笑っているのである)

それはそれで気になるお鍋ですね。
ですけど豆腐だけで結構レパートリーあるんですね。
ああ、じゃあ早速

(なんて胡麻豆腐が美味しいと言われれば、早速胡麻豆腐を口に運ぶのである。
濃厚な胡麻の味わいに至福のひと時である。
美味しいものはそれだけで人を幸せにする。
本題を忘れかけそうだ)

五代 基一郎 > 「豆腐と一口に言えども、色々種類はあるし……さらにそれを使った料理もあるらしいね。」

精進料理についてはまだそれらを楽しむ年齢ではないためもあって疎いが
こうした豆腐や湯葉を使った創作料理というのは以外にも楽しい。
単純なイメージを抱きがちな食材だが、その実はとても使う幅を広げてくれるものではないかと
食べてて楽しめるものである。
主食の素である米や小麦の代わりに使われているのか、はたまた水気を抜いたものを
チーズの代わりにしたものなど……

基本的に一人で食事をするのに抵抗はない。
が、場所によっては一人で入るのもなと思うのが人の性というものか。
無論このような旅館では食堂の方でもとることはできる。
しかし旅館に来るならば、やはりこういった個室に来る方が雰囲気はる。
尚当初はこれからのことも考えて個室であればどこでも……
と思っていたため同じ宿泊施設でもホテルの一室を借りようかと思っていたが
流石にそれはどうかと思う程度の配慮も、その人の性を裏付けてくれるだろうか。

ローテーブルを挟んで食事をしていると、特に誰かだからというわけでもなく
まだ何もなかった頃に家族と食事をしていた普通の時を思い出すのも……そうであろうか。

「異能と呼ばれる力って、何故人が持っているかは考えたことはあるかな。
 人が何故そういったものを持てるようになったか。もちろん大変容を理由にすることもできるけどさ。
 大なり小なりだけど……君は自分がなぜ異能を持っているか、説明はできる?」


そしてこれから、目の前の少女が持っていた普通を奪うことになることも
奪うことに後ろめたい後悔の思いがあることも……

モツァレラチーズの代わりに塩で水抜きされた豆腐が使われたカプレーゼを箸で切りながら
問いかけた。

綾瀬音音 > がんもどきや厚揚げも豆腐製品ですしね。
ちょっと変わりますけど、おからとかも美味しいですし。
そう思うと結構バリエーション広いですよね、豆腐。

(勿論、こちらもそういう物に詳しいわけではないが、思うことは同じである。
豆腐といえば普段食べるのは麻婆豆腐や冷奴、後は揚げ出し豆腐辺りだろうか。
主菜向きの食材と言うにはいささか弱い気がするが、こう豆腐料理がずらりと並べられると認識を改めたほうがいい気がする。
元々ローカロリー高タンパク質、身体と美容に良い食材だ。

自分も一人暮らしの所為もあって特に孤食には抵抗があるわけではないが、誰かと食事をするのは楽しいし、こう言う風情のあるものも中々に良いものである。
勿論、これがホテルのルームサービスで、とかになれば全然緊張度合いが変わってきたことは間違いないし、
男性と二人きりの個室で寝具がない、と言うのは一種の安心感はある。
その点については感謝したほうが良いのだろうが、その配慮については思い至ってない事実である。

のんびりと食事をしながら、ふと飛んできた質問に――今回の本題に近い位置にあるそれに、ふと箸を置いて少し考える。
異能――自分が当たり前のように持っている力である)

ううん……難しい質問ですね。
先輩の言うようにきっかけは大変容、って考えもありますけど私の家――って言うか家系ですね、元々異能筋なんです。
それこそ、大変容の前からの。
だから、私個人に限った話であるのなら“血統”、って言うことになります。
でも人が何故異能を持っているのか、と言われれば――ギフト、才能――もしくは可能性、とか、かなぁって。

(唸りながらも考えて説明する。
綾瀬家、と言うのは元々異能者の多い家系である。
今では衰退してしまって家系というよりは一家、と言う規模ではあるが。
だから、自身に関して言うのであれば遺伝や血筋というものが理由になる。
それだけで説明できないものもあるのは理解しているが。

男の後ろめたさも後悔も、知らぬまま答える声は、重いものではないが、真剣に考えているようではある。
唇に指を当てながら)

五代 基一郎 > 「異能の血統、ね」

目の前の少女はなるべくして異能を持つ人間になったわけであるが。
それがなぜ普通に固執するようになのかはまだ知る所ではないが
今の質問に対しての回答は、在る種の正解に近かったと感じ
話を続けた。

「本来、というよりも遥か昔……人々はそういう力を持っていたのが普通だった
 というより持つ人はそれなりにいたのだと思う。
 歴史上の人物とかかは解からないが……それこそ歴史書の最初の方に出てくる人物とかね。
 水の上を歩いたり、神の声が聞こえたりとかそういうの」

しかし異能の家系とはどういうことだろうか。
その疑問が何故浮かぶかといえば……

「時代が下っていくと、そうした人々の割合より力を持たない人の方が増えてきたんだろう。
 そういったものがないものが普通であるから……大変容が起きた後
 力を持つ者が増えて来たから普通ではなく……異能と呼ばれるじゃないかと。」

大変容前まではそうだったはずだ。
人々と異能は遠く、持たない者のほうが大多数だった時代だろう。
では綾瀬家というのは一体何なのだろうか……そのような時代があり、しかし血統を受け継いできたとは……

「そういわけで、人という存在が世界の様々で生まれた時に持っていたもの……
 君の言葉を借りるなら可能性がそれなんだろうかな。本来出来るはずのというか……
 することもできるもの、というか。」

人が神に似せられた存在であるならば、神が持つ力であったのだろうか。
人が神の子孫であるならば……そういった人非ざる者達の力を受け継いでいるのだろうか
その力を受け継いだものが才能……異能なのか……
明確な答えはないが、そうである事実はここに二人いる。

「俺は元々異能というものを持っていなかった。普通の人間だったよ。
 12の時に目覚めるまではね。そこから普通の生活とは縁遠くなって……
 まぁ、色々あってここにいるわけだよ。異能を失ってね。」

そして、ふらりと……どこからか黒猫が入ってきた。
大体においてこの男のすぐ近くにいる……黒猫が、この一室に入り込み
食事の置かれているローテーブルに、遠慮なく上がり込んだ。

「さて俺の身の上話はここまでに。綾瀬音音、本題に入ろう。
 俺の異能は本来そういった時代のものを受け継いだものだ。
 その時代に作られた”混沌”を意味する”塔”から受け継いだ力……
 敢えて名づけるならば≪超能力≫”マルチスキル”が俺の本来の力だ。
 その異能を受け継いだ時に、俺の体に流れる血には人の傷を癒す力と……
 その血を受けたこの世界の人間に……俺と同じような力を目覚めさせる因子が生まれた。」

そう……つまり、異能を新たにという方法はこの男の血を受けることだった。
ここに呼び出したのも、ここではこの事実を聞くものもいなくまた耳を封じることも可能だったからに他ならない。
おいそれと知られてはいけない内容を、綾瀬に語る。

「ここに来てもらったのも、そのためだ。
 自分の体に新たな力を入れるというのならば、入れたばかりの慣れないうちは
 何かあった時に対処出来る所のほうが都合がいいからね。」

黒猫は、不満げに低く鳴いた。