2016/06/08 のログ
迦具楽 >  
「うん、これくらいのスピードなら……!」

【風を切って、空中に赤い軌跡を描きながら飛び回る。
 まだ直線をとび、緩やかに大きなカーブを描いて居るだけだが、慣れてきたのだろう。
 そのスピードは本人も気づかないうちに、徐々に速くなっていた】

「えっと、下降するときは、ひっくり返らない程度に前傾して――よし。
 上昇は背中を逸らして……っ!」

【上空からぐんと、下降して重力を利用した加速を得る。
 そこからその加速を生かしたまま上昇へと切り替える。
 赤い軌跡が綺麗な谷を描き、迦具楽の体は再び上空へと飛び上がった】

「やった、できたっ!」

【下降と上昇のコツを掴めたのが嬉しいのか、無邪気に喜ぶ声が訓練室に響く。
 夜空が見えないのは残念だが、こうして空を飛ぶ楽しさは、考えていた以上に格別のものだった】

迦具楽 >  
「よし、なら次は……」

【上下の動きが出来たなら、次は左右だろう。
 そう思い次のステップへと移る、前に】

「ちょっと休憩、っと」

【勢い良く下降して行って、途中で両手を広げて体を起こし減速をかける。
 同時にS-Wingへの魔力供給も減らして行き、最終的には歩くくらいのスピードになって、危なげなく着地した】

「うん、減速も良し。
 ……はぁ、疲れた」

【全身を使った体重移動、手足を使ってのバランス調整に、姿勢を維持する体幹の筋肉。
 いくら怪異といえど、真剣に取り組めば全身に重たく疲労が溜まるのも当然の運動量だ。
 ごろんと、訓練室の床に仰向けに寝転がって、夜空を隠す天井を見上げた】

迦具楽 >  
「空に憧れる気持ち……。
 S-Wingを作った人の気持ち、少し分かったかも」

【迦具楽もまた、ずっと空を見上げてきた。
 路地裏でビルの隙間から、自我を持ってはじめて目にした青空。
 死んだと思ったら、わけも分からず生き返って、呆然と見上げた空。
 自分は何なのだろう、自分に何が出来るのだろう、と、問いを投げかけた空。
 そのどれも、いつも、迦具楽にとって空は遠く、深く、手の届かないものだった。
 けれど、今は。
 その空に近づいていける。
 自分の意思で、どこまでも遠く深く広がっていく空を飛ぶことが出来る。
 そう思えば、胸が破裂してしまいそうな高揚感が感じられた】

「翼が無くても、魔法が使えなくても。
 これがあれば、頑張れば誰だって、体一つで空が飛べる」

【それの、なんてすばらしい事だろうか。
 そして飛ぶだけじゃない。
 空に憧れて、頑張って、努力して。
 そうした先に競い合う相手がいる、同じように空を飛ぶ仲間がいる。
 エアースイム、そしてS-Wing。
 この競技と道具を生み出した先人達は、きっとそんな未来を思い描いていたんだろう】

「……よし、練習再開!」

【少しばかり感傷的な気分になりつつも、迦具楽は起き上がる。
 見えない空を見上げて、ふわりと宙に舞い上がった。
 今度は左右への蛇行飛行だ。
 それが出来たら今度は細かな旋回。
 次から次へと試したいことを頭に思い浮かべて。
 夜中の一人練習は、夜明け前まで続いたのだった】

ご案内:「訓練室」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「伊都波家近くにある畑」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > ふぅっと、息を一つ。
まだ夕方――お風呂上りに涼みに、ちょっと離れに。
畑には夏野菜が実ってる。
あと、ここには川の水が引いてあるから、風呂上りにはもってこいだ。

ごくごくと飲みながら――涼み――……

空を、どこか遠くを見るように見つめた

ご案内:「伊都波家近くにある畑」にルギウスさんが現れました。
ルギウス > 「いやぁ、流石にここら辺りは涼しいですねぇ」

突如耳元で囁くイタズラ。
驚いて振り返れば、そこには司祭服を着て馬マスクを被った不審者の姿が見えるだろう。

伊都波 悠薇 >  
「うひゃい、おんばさらうん!! ちかん霊はおことわりでございます!!?」

びっくりした、妄想が現実になったのかと思うくらいにはびっくりした。
とてんっと、転んで。スウェットが汚れてしまう。そしてそのままがさがさがさと、後ずさり

ルギウス > 「ごく自然な動きで真言を唱えないでください。
 あと、痴漢じゃありません」

馬マスクを取り外してそこらにぽいっと放り投げる。
お値段2000円の末路は以外に早かった。

「始めまして、伊都波 悠薇さん。
 ちょっとしたジョークはお気に召しませんでしたか?
 望むなら普段から考えていらっしゃる事を実現してもいいのですけれど」

伊都波 悠薇 >  
馬は好きだけど、馬人はちょっと――と告げつつ。
へたりこんだまま、見上げる。
人間だった、よかった。痴漢じゃなかった……よかった……
何十の意味でも安どのため息。
そしてあいさつをされている。初対面の人に。ここはチャンス!

「は、始めまして」

ほほえんだつもり、でも。やっぱりいかつい顔。

「――お気に召さなかったというか、急すぎて何も感じなかったというか」

ルギウス > 「ああ、それは残念ですねぇ。
 胸の一つも揉んでおくべきでしたか」

わざとらしく手を動かすが、話し始めてから一歩も動いていない。
触る気はまったくないらしい。

「ええ、散歩していましたら姿を見かけてしまいましたもので。つい声を。
 昼間でしたらうっかりゲームセンターで落とした特大馬人形なんかを所持していたのですが……」

伊都波 悠薇 >  
「……やっぱり痴漢さんなんじゃ?」

見上げつつ。やっと力が入るようになったのでフルフルしながら立ち上がる。
まるで出産直後の仔馬のよう。
ぽんぽんっと土を払いつつ――

「馬人形だったら、すごく喜んでました」

うんっとうなずいて。

「ところで、どうして、私の名前を?」

ルギウス > 「違いますよ、ただの変態です」

主張する場所が間違っている反論をしながらも質問には答えていく。

「色々と有名ですからねぇ、貴女のご家庭は。
 有望そうな方の顔と名前は覚えるようにしているんです」

キランとサングラスが反射した。

「まぁ、現状では燻っているかもしれませんが。
 学業の成績だけが世の中じゃありませんしねぇ。芸術方面にこそ才能があるかもしれませんし?」

伊都波 悠薇 >  
「……なるほど、変態」

多分、これはいわゆるあれだ。きっと大部分的なものがあってても、分類すると違うとかいうこだわりの部分。
スパゲティが好きなんじゃなくて、ペンネが好きとかそういうのかと、こだわりを受け入れて――

「――姉は、すごいですから」

うんっとうなずいて。

「才能……うーん、どうでしょう? 自分に才があるとは思えないですけど……」

残念ながら美術の評価も悪い。勉強系は結果がすべて。
過程がどうだろうと、結果が悪ければ最終的なものも悪いのだ

ルギウス > 「評価なんて所詮は他人が定めたものにすぎません。
 新しい公式を覚えれば、新しい体験を重ねれば……前の貴女より総合評価は伸びる。
 比較対象を間違えてはいけません。
 どうせ人生は一度きり、やりたい事をやった人が勝つんです。
 それに必要なのは―――ご自分で結論を出してみてください」

説教臭くていけませんね。
と大袈裟に肩を竦めた。

伊都波 悠薇 >  
なるほど、そういう考え方もあるのかと頷いた。
つまり、今でも前に進んでいるということだ。
それは、犬のような女の子にも言われたこと。
とても、とてもうれしい言葉だった。

「ありがとうございます、変態さん」

特に皮肉も何もなく――
素直に感謝をこめて言う、なぜなら呼び方をそれしか知らないから

ルギウス > 「……痴漢さんよりはマシですかねぇ」

苦笑した。

「さて、説教の後で不躾ではありますが2~3質問させていただいてよろしいですか?
 お時間はそれほどとらせませんよ、多分」

メモ帳とペンを取り出した。
メモ帳にはファンシーな馬の絵が。ペンにはノック部分にデフォルメされた馬がくっついている。

「これは、アンケートに答えていただいたお礼の景品になります。
 やりますか?」

伊都波 悠薇 >  
なんでこんなところに人が来たのかと思いきや。
どうやら、それが目的だったらしい。
わざわざ自分を、ということは伊都波凛霞の妹――ではいけないアンケートなのだろうか。
という疑問は――すぐに吹っ飛んだ。

馬のメモ、そしてペン。
しかもあれは、うまうま牧場オープン記念、9999人目に渡されるレアもの……

「はい!」

ということは、馬関連のアンケート。
馬大好きクラブの人に間違いない!

ルギウス > 「実にいい返事です。
 というか、飼育員とか案外向いてるんじゃないですかね貴女」

理想と現実の差はあれど、好きこそものの上手なれともいうし。

「まず、一つ目。
 馬のどこに惹かれましたか?」

伊都波 悠薇 >  
飼育員……飼育員か……
それもまたいいかもしれない。まぁでも、姉の幸せを見届けてからだけれど――

「かわいいからです、つぶらな瞳とか、しっぽとか。脚線とかきれいですよね。解放感ある走り方、勇ましさ、逞しさ――いろんなものが詰まってる姿も、きゃーーーーってなります、実に、えくせれんつってやつです!!」

一息だった

ルギウス > 歳相応にはしゃいで語る様子にまぁ当然かという理解をする。
友人も少ないので、語り合う相手もいないのだろうし。

「なるほど、本当に馬がお好きなのですねぇ。
 ええ、私も同感です。乗馬している時に感じる風は気持ちいいものですよ。
 よろしければ、今度どうですか?」

このような馬ですが と 携帯を取り出して写真を見せた。
逞しい黒い馬と凛々しい白い馬。
横になんか鱗の映えた羽とかも写ってるけれど。

「さて、質問の二つ目です。
 貴女のご家族のご友人が危機にあっています……貴女はどうしますか?」

伊都波 悠薇 >  
「――わあああああっ」

携帯をがっしりつかんだ。見たことのない馬だ。
かわいい――すごくかわいい……

「え、……え――すごい。きれいですね。見たことないです
 毛並みも、すごく良くて――かわいがられてます……はぁ――……」

一緒にどうですかと言われれば――……

「じょじょじょ、乗馬はまだ、経験なくて」

あははと、苦笑しつつ。

「……家族と友人ですか?」

そんなこと言われてもと考えて。
前提を、もう少し深く聞くことにする。

「家族って、誰ですか?」

ルギウス > 「ええ、血統もきちんとした由緒のある―――ああ、後で画像データはお渡しします」

きっと視線は携帯から動いてないだろうし。

「誰でも最初は未経験です。
 どうですか、広い草原で太陽と風を体に浴びて。ご飯もあげられますよ?」

もう牧場の人扱いになるかもしれないなぁと内心思う。

「そうですね、近しい立場として……兄弟姉妹としましょう。
 そのご友人とも貴女は面識があるとします」