2016/09/10 のログ
ご案内:「落第街 セレモニーホール」にレイチェルさんが現れました。
ご案内:「落第街 セレモニーホール」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「落第街 セレモニーホール」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「落第街 セレモニーホール」に五代 基一郎さんが現れました。
五代 基一郎 > 一人ではない。
同じ奪われたものが、失われた者達が皆叫ぶ。
被害者面等と言われようが構わない。害を被っているのは正しく。
それが命であるならば、お前達のと等しいはずもない。

命皆等しくなど子どもでも思わないと。
お前達こそ被害者面をして、この世にのさばる悪魔であると。

レイチェルの怒りから、怒りを真っ向から否定しながら突き進む。
その、絶対に相容れない何かを……認めるわけにはいかないものを破壊するために。

やれるものならやってみろ、と刃を突き立てんとするが
また、レイチェルの新たに場に出された切り札がこのセレモニーホールに
新たな力の風を噴き流せばその刃は、身体はたたらを踏むように押し流されてその身体を寸時止める。
中空に貼り付けられたように。

■黒衣の男>「それがどうした!切り捨てろ……そうだ、村雨ェ!!」

魔力の奔流が暴れ吹き荒ぶセレモニーホールに散乱していた水が、氷が
その流れに沿って流されながらも……その半身しかない刀身に集っていく……

ご案内:「落第街 セレモニーホール」に五代 基一郎さんが現れました。
レイチェル > 一人ではない。
男の手によって無残に殺されていった者達の断末魔が彼女の耳にこびりつく。
被っているのは彼らもまた同じ。害も害、死という絶望である。
それが命であるならば、お前一人に簡単に斬り捨てられていいはずもない。

憎悪のままに刃を振るい続けて、止まる気配は無い。
この世界の異邦人を根絶やしにするまで、彼の殺意は、憎悪は止まることがない。
この世界に存在する異邦人達への、尽きることのない恨み。
その恨みを前にして、レイチェルは立ち続ける。
真正面から彼の負の感情を全て受け止めながら、全身から血を流して、
それでも立ち続ける。彼女の心の刃が折れることはない。
このようなことで折れるほど、鈍ではない。

命は等価ではない。世界で起きていることを目にしていれば、
そんなものは誰でも理解することだ。理解してしまうことだ。それこそ、子供ですら。
レイチェルとて同じ。何十回も何百回も痛みと共に心に刻み込んできたことでもある。

それでも、だとしても。許せないものが目の前に在る。
命は等価ではない。確かにそうかもしれない。
けれど、果たして目の前の男に彼らの命を奪う権利があったのだろうか。
そんなもの、ある訳がない。
目の前の男は刃を振る理由を他者に求めている。
この刃こそはこの世界を奪われた者の憎悪である、と。
その刃からは、命を奪う剣の重みが感じられない。
当然だ。彼はその刃が、彼個人ではなく『この世界に住まう者達の憎悪』の権化であると
信じているのだから。

ならばレイチェルが信じるのは何か。
彼女は何を信じて刃を振るうのか。
何を信じて自らの血を流すのか。
それは、憎悪ではない。憎悪などではない。
この世界の者達との、確かな絆だ。
世界の一側面に過ぎない、と笑われても、構わない。
一方的に絆を信じているだけだ、と笑われても、構わない。
彼が憎悪を信じるのであれば、レイチェルは絆を信じて。
レイチェルの知るこの世界の者達を、信じて。

セレモニーホールに残されたひび割れたガラスが、レイチェルに近い物から
次々に割れ、砕けていく。
ただの鉄塊でしかなかった漆黒が、今魔力を帯びて正真正銘の『魔剣』へと変貌
を遂げる。

右腕を繰り出す。同時に、痛みと共に大量の血が迸る。
先ほど男によって斬り刻まれた数多の傷が悲鳴を挙げる。

(何と言われようが、オレはこの世界と異邦人の絆を信じてやる……)

心に現れたその言葉は、目の前の男にも向けられていた。
甘っちょろい、と一蹴されても構わない。それでも前を見続けるのだ、と言わんばかりに。
傲慢だと、そう思われても構わない。それでも皆と歩んでいくのだ、と言わんばかりに。
彼女が一番嫌うのは、諦めだ。
もう駄目だ、とか。もう意味が無い、だとか。こうするしかない、だとか。
そういった諦めを、彼女は一番嫌う。
だから彼女は諦めず信じ続けるのだ。
血は流れてしまうだろう。痛みを伴うだろう。
それでも、お互いがきっと歩み寄れるものと、レイチェルは信じている。
その信頼は、この学園で出会った人々が、与えてくれたものだ。

レイチェルの全身に、途方も無い魔力が収束していく。

漆黒が合わさり、闇を創り出し、レイチェルの全身を覆っていく。
村雨が水を氷を纏った頃に、彼女を覆っていた闇が晴れる。





――そこに立っていたのは、レイチェル・ラムレイ、であろうか。
少なくとも、先に立っていた少女とは随分と異なった風貌の、女性であった。
背丈は170cm半ば、髪は解けており、腰ほどまで真っ直ぐに伸びている。
右腕を覆っているのは漆黒の篭手だ。
その魔力は禍々しい。とても、禍々しい。
その筈であるのに。彼女の身体の内からは、泉のように湧き起こる清廉な
雰囲気が確かに在る。そんな、不思議な光景がそこにはあった。

「来いよ」

落ち着いた雰囲気の声が、女性から発せられる。
そうして、握られる両の拳。
身体の傷はそのままに、床へと血を流しながら。
彼女は不敵に、しかし柔らかく笑った。

「お前を止めてやる」

ご案内:「落第街 セレモニーホール」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「落第街 セレモニーホール」に五代 基一郎さんが現れました。
五代 基一郎 > 村雨がその刀身をより肉厚な姿に変えれば、相対するは
魔性の剣と少女ではなく、拳と女か。


黒衣の男は思う。
やはり、魑魅魍魎。
その異質な混合の気、邪気と魔性にまた相反するものを供えた気配。
人あらざるが故に出来る所業。
神秘など言えるか、不気味でしかない。

その姿、物言い。
決定的に人ではない。いや人どうこうではなく……
そう。常套句であれば本性を表したな化け物めと。

故に、そう。
黒衣の男は煮えたぎる憎悪を芯に、言葉なく村雨を構え直し
その変化した魔性の存在に、斬りかかる。
素早く、致命的な一撃を狙うのではなく……その魔性の真の気配探るように。
人と魔性との戦い、その仕切り直しを合図するかのように。
後はおそらく、時間はそうかからないかもしれないと
一瞬、その冷たいものを背中に流しながら刃を流し始めた………

レイチェル > 魔性を断つ刃を名乗る男を前に、お前が求める化け物は此処に居るぞ、と。
言わんばかりにレイチェルはそこに立っている。
相手の反応など分かりきっていた。今頃腹の中で、本性を表したな、とでも
呟いている頃だろう。

身体中をズタズタにされて、血は止めどなく流れている。だけれど。
無理を重ねたせいで、全身が悲鳴を挙げている。それでも。
彼女はそこに立っている。
その姿は、まさに魔性の化け物であった。
彼女自身が何度も認めた通り、彼女は正真正銘の化け物なのだ。
魔剣覚醒、彼女が持つ本当の奥の手である。
身体への負担は大きい上に使える回数も限られている為に、使いたくない能力であった。
それでも使わなければならなかったのは、彼女がそこまで追いつめられていたから
だった。憎悪のままにまっすぐに刃を振るう男。その刃を受け続けるには、彼女の
身体は脆すぎたのだ。

魔性の化物が、憎悪に駆られた狂人と対峙する。

迫る水の刃を、左手の甲で受け止める。
左腕に闇が纏われ、今度は右腕に纏われていた篭手が、左腕にも纏われる。
その篭手は、漆黒の鉄のように見えるが、時折赤い光のラインが不規則に走っていた。

左腕はそのままに、右腕を思い切り後方へ振りかぶり、男の腹部へ放つ。

ご案内:「落第街 セレモニーホール」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「落第街 セレモニーホール」に五代 基一郎さんが現れました。
五代 基一郎 > ゆえに恐ろしい。自身は人間であるからこそ、ここから如何に戦うかであるが。
人と人との戦いであるならば決着はもうついていただろう。
だが、しかしである。だがやはり人との魔性の戦いはこうなる。

今までレイチェルが刃を受けていたためか、男に傷はほぼないといっていい。
だがここから先は違う、と男は確信していた。
一度でも受ければ、そこからずるずると死が近くなると。
それが人と、魔性のものとの戦いなのであるからと。

そういったものであればレイチェルと男との間に差はなかったかもしれない。
行き過ぎた力の先を予兆させるような、破滅がすぐ隣にある世界。

流す。
刃を流す。退くことなどできはしない。
二度、村雨が振るわれ冷気とともに……その水の気と共に
以前より肉厚な、斬るためのその刃を流すがレイチェルは逸らすわけでもなく
斬ることに特化したその刃を、受けた。
そして何度か斬り流すかと、その左腕ごと切断せんと振るうも刃は通らず
されど、レイチェルの右腕が振るわれればこの距離で避けられるほどのものではなく。
村雨の魔性の気を感じるその力を持っても、人の身よりさらに鋭ければ
肉と骨を砕くには十分であった。
無論一寸ずらしてとのところで、左の脇を砕く程度ではあったが。

声にならない声が上がるが、それでも斬ることはやめず。
切断せしめんと切りかかれば切れるかもしれないが、その隙は腕が切れぬのであれば、と
その体の節、腕ではなく胸部、脚部、レイチェルの四肢のどこが斬りやすいかを探るように
刃を流す。

だがそれも怪しい。
本来であれば心臓部への一撃でしとめるものだが、より確実にとなるなら
攻撃に防御にと使う手足をまず切断してからが最良であるが今回はそれが
難しい。最悪どちらか一本をまず切断しにかからなければ先は見えないなと
その憎悪とは裏腹に水の刃のごとく思考が冷えつつある。
見えなかった場合の先が間近に近いもの故か。