2018/09/13 のログ
■花ヶ江 紗枝 >
「一つ目は住み込みの喫茶ね。
制服支給で時給は良いけれど客層が偏っているのが難点ね。
あと同僚は獣人の方が多いかもしれないわ。」
別名メイド喫茶ともいう。
仕事さえ気にしなければそこそこ稼げる。
因みに絶対にやらない仕事の一つでもあるが。
「二つ目は飲食店ね。
あまり給料は良いとは言えないし、その割には死ぬほど忙しい上に
多分当分とんこつの匂いが離れなくなるけれど店長は良い人よ?
風紀と出会う可能性は他より高い位だけれど店内乱闘厳禁だから喧嘩を買わなければ平気よ。
あ、でも賄はやめておくことをお勧めするわ。太りたくなければ」
学生通りの人気ラーメン店に短期住み込みバイトの募集もあったはずだ。
マシマシとかいう呪文が飛び交う店で戦場もかくやと言う忙しさだが
店長はスキンヘッドの偉丈夫だからあそこでけんかをする学生は少ない。
因みに店長の趣味は編みぐるみと恋愛ドラマの一挙見だという事はあまり知られていない。
「もう一つは……」
言いかけて言葉をきり、瞳を見つめる。
目が合えばニコリと微笑むだろう。
先の二つで良ければ紹介するわよと。
■冬桐真理 > 「飲食、ねぇ・・・どちらもあたしに似合わんだろうよ」
一つ目ははっきりとは言わなかったが恐らくは“コンセプトタイプ”なアレなのだろう。条件だけ聞けば恐ろしく効率はいい。
少なくとも、今聞いた範囲だけならば。
二つ目は聞いたことがある、噂のラーメン屋のことだろう。行ったことは無いがかなり脂っ気の多い店だと聞く。
豚骨より塩派である彼女には越えられない垣根であるだろう。
瞳を見つめ返し、先を促す。
「で、どちらも本気で行っているわけじゃないんだろう?
もうひとつは何だ」
少しだけ緊張を感じながら、ポーカーフェイスで続きを待つ。
■花ヶ江 紗枝 >
「私の別荘」
さらっと言いつつ口に残る甘さを紅茶で流し目を細めた。
鼻に抜ける香りが酷く心地が良く、ふわふわしたような心地すらする。
「私は寮住まいだから空いているの。週末くらいしか利用しないし。
勿論住み込む以上働いてもらうけれど……
近々改装予定だからそれまでは住んでいても構わないわ。
ただ、学校からはそう近くないの。
あまり近いと煩いでしょう?」
少々力の抜けた動きでこてんと首を傾げる。
このブラウニーは大変美味しい……今まで注文しないで損をしたかもしれない。
「先の二つも勿論本気で紹介はするわ。
どちらも貸しがあってね?貴方みたいな見た目の子なら
どちらでも働けると思うし、割と真面目に働くタイプでしょう?
気に入ったらの話だけ、ど」
右手で頬杖をつきながらブラウニーを口に運び微笑む。
行儀は悪いが今はなぜかあまり気にならない。
浮いたような笑みを浮かべてこちらを見返す瞳をじっと見つめ返して。
■冬桐真理 > 「は?」
思わず間の抜けた返事が出た。
彼女の提案は、「留守にしがちな別荘に住み込み、働く」というもの。
とても昨日今日知り合ったばかりの他人に勧めるものなのか。
「・・・ハウスキーパーでもしろと言うのか?」
疑うような口調だが、正直なところ彼女に選択肢は残されていなかった。
扇情的な格好で給仕をする姿も、壊滅的な腕の調理もどちらも想像だけで腹いっぱいだと、女は頭を振る。
残り半分ほどの珈琲を勢いよく飲み下し。
「・・・いいだろう。そこで頼む。
それで、あたしは何をすればいい?料理以外ならそれなりに出来る自信はあるが」
覚悟を決めた目で目を合わせ。
■花ヶ江 紗枝 >
「どーしようかしらぁ……
ふふ、ふふふふふ」
何故か楽しそうに笑っていた。
それも相当怪しい感じで。
「どーしよーかなぁ。
そぅねぇ……体で支払ってもらうっていうのーは、如何?」
カタンと軽い音をたて、椅子から立ち上がるとふらふらとした様子で近づいて
片手で髪を透こうと手を伸ばす。
逃げられなければそのまま至近の位置まで顔を近づけて
逃げられたなら面白そうな笑い声を上げてそれ以上は追わないまま。
何れにせよ僅かに紅潮し、潤んだような瞳でじっと瞳を見つめて微笑む。
「私、貴方みたいな子、結構タイプ、よ?」
もしもショーウィンドウを見ればブラウニーの横にこんな文字が書かれている事に気が付くだろう。
『洋酒に漬け込んだ大人向けの一品☆お酒に弱い方はご遠慮ください♡』
尚店員は完全に見て見ぬふりを決め込んでいた。
ちらちら此方を見ている辺り気がついてはいる上に顛末が気になるのだろう。
■冬桐真理 > 「・・・はぁ?」
素っ頓狂な声を上げて思わず固まる。
反応が遅れ、横髪が梳かれる感覚を憶える。
視線を戻せば正面、間近に女性の濡れた瞳。
正直、扇情的である。
「あんた、正気か・・・?」
思わず逃がした視線の先には、ショウウインドに飾られたブラウニーのサンプルと、申し訳程度に描かれた注意書き。
思わずため息をつきながら彼女の顎に指をかけようと手を伸ばす。
避けなければ顎をクイ、と持ち上げ、耳元で囁くだろう。
「あんまりおちょくっていると食っちまうぞ」と。
■花ヶ江 紗枝 >
「どうかしらねーぇ、元々正気ではー、なかったのかも」
少し間延びしたような口調でこてんと首を傾げながら目を細める。
そのままくいと顎を持ち上げられても潤んだ瞳は逸らさないままで……
「……構わないわよ?」
囁き返した言葉はとても小さく、けれどぬるりと滑り込む様な響きを伴っていた。
もしも顔を見たなら本気か嘘か判断しずらいような笑みを浮かべているだろう。
そうして長いようで短い時間の間、静寂が満ちる。
それを破ったのは笑い声だった。
「あは、あはは」
心底楽しそうに、くすくすと肩を揺らしながら笑う。
僅かに、自身も気が付かない程ほんのわずかにさみしさを含ませて。
「はぁ、おかしぃ。
無理しなくても良いわ。
昨日の今日っていう相手に身を委ねるというのも刺激的かもしれないけれど
生真面目にそう安く自分を売るものではないわよ?
本当真面目なんだから」
ゆっくりと腕を伸ばし、鎖骨辺りを指でついっと押し身を放す。
そのまま人差し指を自身の唇に当てて微笑みながら続ける。
「ネタをばらすと改装業者さんが度々訪ねてくると思うから
その荷物の受け取りと庭の手入れをお願いしたい……と言うところ。
それに元々その為に使っている別荘みたいなものだもの。
行き場の無い子を保護するのは初めてではないの、よ?
強いて言うなら場合によってはシェアっていう形になるかもしれないわ」
貴方みたいな子を保護した場合はね?と言いながら
笑い過ぎたというように目尻に浮かんだ涙をぬぐう。
「ごめんなさいね?つい揶揄う悪い癖が出てしまって。
貴方揶揄うととても面白いのだもの」
そのまま小さく手を振って。
■冬桐真理 > 「は、そんなところだろうと思ったよ」
ため息をつきながら背もたれに大きく身体を預ける。
少しの気恥ずかしさからポケットから小箱を取り出そうとして――ここが禁煙であることを思い出し、ポケットへ戻す。
「まぁ、安売りも何もあたし自身そう値のつく身体ではないさ。
真面目と言われるような者でもないさ。
で?受け取りと庭の手入れか。・・・まぁ出来なくもないな。
シェアでもあたしは構わんが、あまりそういうことをしているといつか罰が当たるぞ」
疲れたようにため息と共に返事を送り、
やれやれと――無意識か少し残念そうに――肩を竦める。
「それで?家具は使ってもいいのか?キッチンは――そう使うこともないだろうが」
呆れたように頬杖をつきなおし、打ち合わせを続ける。
■花ヶ江 紗枝 >
「ほんとう、ごめんなさいね」
凭れるように横向きに椅子に腰かけながら再度謝罪する。
つい揶揄って遊ぶのは悪い癖だと思う。
そう思いつつもやめられないのだけれど。
「罰……ね」
ある意味現状こそが罰とも言える。
それに心の何処かで
罰を与えられることを望んですらいるかもしれないと他人事のように思う。
そうなればきっと楽だから。
そんな事を考えて若干とろんとした瞳に僅かに光が戻るもすぐに霧散していく。
「家具は……壊さなければ使っても良い。
物を買うときは出来るだけ領収書を貰って欲しい位かしらね。
それを基に後々……助成費が出るはずだから。
寝室は二階にいくつかあるから……それを使っても平気。
手入れはしているけれど、埃っぽく、はなるから
一度干し、て使う事をお勧めは……するわね。
あとは……」
続けようとしてうつらと一瞬意識が飛ぶ。
頑張って理性を引きずり戻しても、その後の睡魔まではどうしようもない。
カード入れから一枚、住所が印刷されたメッセージカードを取り出しを取り出し、
机の上に置くと虚ろな笑みを浮かべ
「住所、は、これ、だから……
あとは今度、お話……しま……」
かくんと首が傾ぐと同時に言葉が途切れる。
椅子に両手を揃えて横向きに座ったまま、
僅かに傾いて背もたれに凭れかかり、すぅすぅと小さく寝息を立てはじめた。
……殆ど知られていないが実はお酒にはほぼ耐性が無い。
文字通り落ちるように、睡魔の手に絡めとられて。
■冬桐真理 > 「まぁ、いいさ。わかった――ておいっ?・・・遅かったか」
話の途中、女性の異変に気付き声をかける。が、既に手遅れのようだ。
椅子を支えに寝息を立てた女性に女は思わず天を仰ぐ。
直前に差し出されたメッセージカードを受け取ればそこには目的地の住所が書かれているようで、住所をたどれば一度近くまで行ったことのある場所だった。
「ああ、それじゃあお言葉に甘えるとしよう。――マスター、すまないが会計はここでさせてくれ。代金は、ああ。纏めてくれて構わない。
――っ、結構張るな・・・まぁ、払えない金額ではないな。
ああ、また来るよ。多分な。ここの珈琲は気に入っているんだ。
それじゃあ、ご馳走様。」
店主に頼み、会計を済ます。
思ったより金額が嵩むことに頭痛を覚えながら女性に立ち寄り、その身体を抱き起こしてみる。
俗に言う、お姫様抱っこの体勢だ。
起きていたならばどういう反応を示すのだろうか、気になるところだが。
少なくとも放ったらかしにするには心苦しいものがある。
抱き寄せた女性が目を覚まさないのであれば、そのまま攫うように店を後にする。
外は幸い雨ではなさそうだ。
■花ヶ江 紗枝 >
本人としては眠る予定はなかったのだろう。
何度か来ていたからだろうか。
店長にもその旨は伝わっているようで……
『お代は後ほどで結構ですよ。
良い物を見せていただきましたし……
お得意様が一人増えたと思えば。
次回のお越しをお待ちしております。冬桐様』
そんな言葉とウィンクと共にかなり安い値段(それでも高い)が提示される。
そうしてそっと扉を開けて
『花ヶ江様を宜しくお願いします。
こう見えてわりと無茶をされる方と聞き及んでおりますので……』
そう小声で囁いた後、姿が見えなくなるまで見送ってくれるだろう。
他人は知る由もないが、彼女はここ数日、まともに眠れていなかった。
酒気を口にしてやっと眠れたような状況。
思っていたよりも疲労が溜まっていたようで
軽やかなドアベルの音にも目を覚ます気配はなかった。
普段は入りすぎなほど力が入っている四肢は
今はくたりと力が抜けたままあっさりと抱えあげられる。
見た目以上に軽く感じる事に驚くかもしれない。
微睡みのなか、目を覚ますことなく眠り続ける姿は
何処か迷子のような雰囲気を漂わせていて……
■冬桐真理 > 「ああ。任された。あたしが責任を持って送るとしよう。」
女性を抱き上げたまま短く返事をし、店を出る。
「軽いな・・・あたしに並ぶ背丈の割に。ちゃんと飯食っているのか?」
誰にともというわけでもなく、女性を抱きかかえたまま呟きを漏らす。
幸い、目を覚ます感じはない。道に迷ったり道草を食うようなマネでもしない限り、目覚めまでには布団まで運べるだろう。
ドアを開けてくれた店主に首から上だけで会釈を済ませ、帰路につく。
途中女性の顔を覗いてみれば普段の人を食ったような雰囲気とはかけ離れた、まるで少女のような雰囲気はその身の軽さも相まってまるで幼子のようでもあった。
「ふん、普段でもそうしていてくれればいいんだけどな・・・」
大通りを歩き、交差点を曲がり、路地を抜ける。
何度か繰り返した先に、目的の建物が見える。
「うん、まあ。予想はしていたがやはりでかいな」
昔見たテレビや雑誌に出てきた、いかにもな別荘を見上げる。
そういえば鍵を受け取っていなかったな、と思い出したように呟けば。
揺らさないように細心の注意を以って――大きく飛び上がり、その門を飛び越す。
庭先を歩いて玄関前までたどり着き。
「さて、ちょっと傾けるぞ――起きるなよ」
足を下ろし、自身の右腕で抱き寄せるように抱えれば左手をポケットに通し―何かでドアノブに触れる。
直後、手にしていた小石が淡く光を放つとかちゃり、と鍵の外れる音が聞こえた。器用に扉を開けると、女性を抱えなおし邸内へ上がる。
「少し埃っぽいが、まあ文句は言えんな」
適当なソファを見つければそこに身体を横たえらせ、何かかぶせるものを探して邸内を散策する。
■花ヶ江 紗枝 >
歩いていく揺れに夢でも見ているのだろうか。
僅かな身じろぎをするも目を覚ます気配はなく
普段装っている陽気さがすっかりと抜けて
身長にも拘らず幾分か小さくすら見える。
そのまま住宅街の郊外に抜けると少し歩いたところにその家は見えてきた。
作り自体は洋風なその家は門に向かって小道が伸びており、
車位ならそのまま走って入れそうな道は丁寧に手入れされていた跡があるが今は少し荒れているようだ。
扉を開けると吹き抜けの階段やかなり広いリビングなどが目に入る。
本人のアンティーク好きという趣味もあり
基本的にはいかにも高級品と言った調度品が多く、
良くこれを人に貸す気になったなと若干金銭感覚を疑うかもしれないが
本人的にはあまり問題ないものを主に配置しているつもり。
とは言えある程度住み込むことを想定しているという言葉通り
複数人が寝泊まりできるよう布団なども複数用意してあるのが安易に見つかるだろう。
それに暫く使われていなかったようだが実際に人が寝泊まりしていたのであろう痕跡なども見られるかもしれない。
そんな中、二階の一室、見晴らしのいい大きな窓のある部屋を開けると
その少し広めの部屋に若干子供向けの物が置かれているのがいくつか目に付く。
その何れも未だ梱包跡や梱包材がまかれておりごく最近の伝票が付いたままの物もある。
本棚やそこに収められた本は時間を忘れたかのようで……
本島にあった思い出の物は大体此方に届けさせている。
祖父や両親の物は勿論、妹の使っていた家具も。
■冬桐真理 > 「どれもこれも、高そうなものばかり。
こんなところを安々と貸すなど、正気の沙汰とは思えんな」
呟きながら散策を続ける。
客間、客間、台所、洗面所、リネン室、風呂場
二階に上がり適当にドアを開ければ、そこは持ち主に似つかわしくない、妙に子供のような雰囲気の部屋にたどり着く。
「しかし、これは・・・」
部屋にちりばめられたように広がる梱包材や箱。
本棚にはところどころ埃が積もっていて、まるで時間に置き去りにされたような印象すら与えられる。
「まあ、探求は後回しだ。風邪でも引かれては敵わん」
部屋を後にし、先ほど立ち寄ったリネン室からブランケットを一枚拝借する。
慣れた足取りで扉を開き、客応接間で未だ眠り姫のように寝息を立てる
“少女”へ、ふんわりとブランケットを被せる。
傍らの椅子に座り、一服でもしようかと小箱を取り出し。
「・・・と、いかんな。悪い癖だ」
自嘲するように鼻を鳴らし、小箱をポケットへ戻す。
そのままぼう、と寝息を立てる“少女”の寝顔を見つめ。
――いつの間にか、背もたれと肘置きに身体を預けた格好のまま、舟を漕ぎ。
女は、今夜も床につくことはなかったようだ。
ご案内:「喫茶「Affettuoso」」から花ヶ江 紗枝さんが去りました。
ご案内:「喫茶「Affettuoso」」から冬桐真理さんが去りました。
ご案内:「郊外の別荘」に冬桐真理さんが現れました。
■冬桐真理 > 「ん・・・朝か」
少しばかりの蒸し暑さを感じ、目を覚ます。
視線の先には無人となったベッドが見える。
どうやら、椅子に座ったまま寝落ちしてしまったようだ。
「チッ、また布団で寝損ねたか。まあいい。依頼を受けたんだ、こなして見せるさ」
腕時計を確認する。今日は休校日、仕事日和というものか。
「それに、こうも埃塗れでは寝る気も湧かんな――なら、早速仕事に取り掛かることにしよう」
そういっては部屋を後にし――数分後、いつもの格好ではなくエプロン姿、まるでどこかの家政婦のようである。
「掃除をするのに、コートなど着ていられるか暑苦しい」
そう言ってはたきを持つと、二階に消えていく――
■冬桐真理 > 「多少は手入れをしていたのだろうが、やはり手が足りんのだろうな」
埃埃&埃、棚の上から机の下まで埃だらけだ。
はたきで粗方落とせば今度は掃除機、モップ掛けと、手早く進めていく。
元々掃除慣れしていただけあって、その仕事は的確だ。
二階の掃除を大方終わらせ、一階へ。
まずはメインのロビーから始末していく。
時間は、そろそろ昼を示しそうだ。
■冬桐真理 > 「ロビーの掃除を確認、そのまま台所を攻める」
特に通信しているわけでもないが、なんとなくそれっぽく言ってみる。
水道もしっかり通っているようで、拭き掃除が捗るようだ。
台所の掃除がひと段落ついたころ、そろそろいいだろと言わんばかりになる腹の音。
時計を見れば、時刻は14時を半分は過ぎている。
「そういえば、朝から何も食べていなかったな・・・」
意識してしまえば気だるく。食品庫を漁れば珈琲のインスタントと非常食かカップ麺が見つかり。
手際よく湯を沸かせばカップに注がれた珈琲と時間待ちのカップ麺を目の前へ、椅子の上でじっと眺めていた。
■冬桐真理 > 麺を啜り、珈琲をあおる。
まるで生活力のない粗末な昼食だが、それでも満足か。
てきぱきと後片付けを済ませば再び掃除に精を出す。
浴室、客間、客間――
――満足の行くまで掃除した結果、日は既に眠っており。
空には月や星が光っていた。
■冬桐真理 > 「よし、こんなところか。全く、手間を取らせてくれる」
掃除を終え、まずは一服と言わんばかりにバルコニーに出ては。
ポケットから小さなケースを取り出すと手馴れた仕草で中の筒を咥え火を点す。
焼き菓子のような甘い香りを漂わせながら、星空を眺める。
「さて、そろそろ寝るか」
火を消し、燃え殻をケースに仕舞い込むと建物へ消えて行き。
そのままシャワーを浴びて久しぶりのベッドへ沈んでいくのであった――
ご案内:「郊外の別荘」から冬桐真理さんが去りました。