2015/09/01 のログ
ご案内:「落第街・路地裏の一角」に蘆 迅鯨さんが現れました。
■蘆 迅鯨 > ――落第街・路地裏の一角。下着を含む着衣を力任せに剥ぎとられ、壁に背を預けた状態で地に座す二級学生の黒髪女がいた。
その肉体にはそこかしこに打撲痕があり、股座からは白濁が漏れ出している。
すでに抵抗する気力を失っているその黒髪女へナイフを向け、冷たい笑みを浮かべているのは、黒いフードの少女――蘆迅鯨であった。
■蘆 迅鯨 > 「(……さて、と。どっちがお望みかな。こいつを心臓にブッ刺すか、首をかっ切るか。別に俺ちゃんはどっちでもいいんだぜ?ヤるこた済んだからな)」
自らの異能により発せられるテレパシーを用い、脅し文句を相手の脳へ直接送り込む。
周囲の人物に嗅ぎつけられるリスクは大きいが、精神系の異能に耐性を持たない相手を恐怖させるには有効な手段でもあった。
迅鯨の読み通り、黒髪女は言葉にならぬ声を上げ、失禁する。
「はァん。もうオシマイってか?どうしたよ、さっきまでの威勢は。答えねェってなら……こうだ」
今度はその口から発した言葉の後、迅鯨は即座に黒髪女の心臓へ向けてナイフを突き刺し、しばしの間、その手で弄ぶ。
噴き出す鮮血。返り血は迅鯨の白い肌を赤く染めてゆく。
元々この黒髪女は、先日迅鯨を襲った金髪男と同様、迅鯨から『銀腕<アガートラーム>』の情報を聞き出そうとし、
知らないと答えるや否や、力づくで吐かせようと襲いかかってきたのだ。
その点を鑑みれば、彼女にも非があるといえよう。だが――ここまでされる謂れは、無い。
やがて黒髪女の動きが完全に止まり絶命したことを確認すれば、その体から抜き取ったナイフに付着する血液を拭き取り、収納した後。
「物足りねェな。まったく興醒めだ。オカズにもなりゃしねェ」
唾を吐き捨て、ひときわ低い声で呟く。
■蘆 迅鯨 > 落第街へ頻繁に足を運ぶ迅鯨は、住人たちによる襲撃を受けることも少なくない。
彼らの目的は概ね、金か体か情報――あるいは命。
そうして襲ってくる者があれば、男はできる限り即座に殺し、女は抵抗する力を奪った上で犯した後、殺す。
先日、金髪男の襲撃を受けた際は、風紀委員の介入があったために命までは奪わなかったものの、
平常時においてはそれが落第街における迅鯨なりの自己防衛であり、そこには一切の躊躇も罪の意識もなかった。
「どいつもこいつも口を開けば銀腕<アガートラーム>。たかが義手ひとつ、血眼になって探してやがる。いい加減うんざりだ。何が銀腕<アガートラーム>だ、馬鹿馬鹿しい……」
怒りと不快感を露わにするかのような荒い声で、誰に言うでもなく吐き捨てながら。
黒髪女の死体に背を向け、暗い路地裏を歩く。
■蘆 迅鯨 > 元々、迅鯨が落第街へ足を運ぶことにこれといった目的は無い。
自らの異能の特性や境遇もあり、比較的真っ当な人間の多いであろう学生街や異邦人街へは足を運びづらく、
結果的に歓楽街や落第街方面へ向かう事が多くなるといった程度で、落第街でなければできないことがあるわけではなかった。
しいて言えば戦闘行為に巻き込まれた際に使用した武器や、未成年でありながら日常的に吸っている煙草の補充をする程度であるが、
武器であれば物によっては異邦人街などでも可能だろう。
いざとなれば先程のように殺しをも躊躇しないものの、根本的には自ら荒事へ首を突っ込むことを望んでいるわけでもない。
故に、不要な荒事の種を蒔く『銀腕』<アガートラーム>とやらに良い印象を抱けるはずもないのであった。
得られている情報は襲撃者たちが話した特徴に留まり、実際にその姿を見たこともない相手に対して湧き上がる、強い憎悪の感情。
「(……だいたい、この街の連中も連中だ。あそこまで解ってんならそいつをとっとと攫ってくるなり、ブッ殺……ナントカするなりして腕でもなんでも持ってくりゃすむ話じゃねェか。残った体のほうは俺ちゃんによこして欲しいがね。楽しみがいがありそうだ)」
そんな言葉を心中で呟きながら、なおも歩を進める。
ご案内:「落第街・路地裏の一角」にメアさんが現れました。
■メア > いつもの散歩道、のんびりと歩いていれば視界の隅に何かが転がっている
「.......」
衣服をまとわず倒れ込む少女の口元に手をかざす
呼吸は無し、おそらく脈もないだろう
死体自体は珍しくもないがこれは状態が酷い、とこの辺りの危険度
の認識を改め、また歩き出す
■蘆 迅鯨 > コートから煙草の箱を取り出し、安物のライターで火を点けて咥える。
蘆迅鯨は未成年である。しかし殺人を躊躇しないこの少女が、喫煙程度躊躇うはずがあろうか。
煙草を咥え込みつつ、帰路につかんと歩み続けていた迅鯨は、背後に何者かの気配を感じ、ふと足を止め振り向く。
黒髪女の死体からは幾分か離れている。まだ気配の正体を判別できる距離ではない――だが。
「(――何処のどいつだ。つけてやがるのか)」
遠からぬ距離に潜んでいるであろう追跡者の脳内へテレパシーの送信を試み、牽制せんとする。
追跡者が精神系異能への耐性を持たなければ、迅鯨のテレパシーは直接聞こえるはずだが、結果のほどは――?
■メア > 「...?」
突然聞こえる声、頭に響くようなその声に辺りを見回し
薄く広く足元の影を広げる
ソナーの様に全ての動く影を捉えその位置を把握する
近くに大きな動物は少し遠く前方に一人
「私は、メア...貴方は..?」
声が届くかは不明だが、自己紹介を呟きながら歩き出す
もし前方の人物が先ほどの少女を手にかけていれば...
そう想像すれば警戒心が湧き上がる
■蘆 迅鯨 > 歩いてきたのは、人間のように見える。落第街の夜闇に溶け込むかのような、黒ずくめの少女。
名乗りを上げてこちらへ歩み寄ってきたその少女、メアの姿が、やがてはっきりと目に映れば、
こちらからは歩み寄ることなく、口から煙草の煙を吐き出したのち、その声に応える。
「……俺ちゃんは蘆迅鯨<ルー・シュンジン>。あんたは何でこんな時間にこんな所をうろついてんだ?まさかとは思うが……また『銀腕』<アガートラーム>じゃあねェだろうな」
迅鯨が未だ警戒を解かぬ理由。この黒ずくめの少女もまた、『銀腕』<アガートラーム>を探しているのだとしたら?
その可能性を考慮し、必要あらばいつでも戦闘行為に移れるよう、構える。
■メア > 「私は、散歩...」
遠すぎず近すぎず、そんな距離で立ち止まる
「銀腕...?」
そう言えばそんな噂が最近流行っているが、単語を耳にしただけで
詳細を聞いたことはない
よく分からないので知らないと首を横に振る
「それより...さっきのあれは、貴方が...?」
無感情な瞳で見据える
知らない噂よりも目の前の人物の危険度を測る
そちらの方がメアにとっては重要で
■蘆 迅鯨 > 「そう、『銀腕』<アガートラーム>だ。最近はどいつもこいつも血眼になって探しててな。俺ちゃんさっきもそいつを探してるっつー奴に襲われそうになったのよ」
つい先程までの自身の事情について、メアへ説明を試みた後。
「……さっきのアレ?ああ……アレか。だったら、どうするってンだ?」
迅鯨は身体能力こそ強化を施されており、武器も複数携帯しているとはいえ、
異能や魔術の類はテレパシー能力――『夢見るままに待ちいたり』<ウェイツ・ドリーミング>以外には発動条件の限定された護身魔術しかなく、
相手が戦闘に向く異能や魔術を持っていた場合、いざ戦闘になれば勝算は薄いだろう。
ゆえに、黒髪女の命を奪ったのは自分であるとこの場では明言せず、誤魔化しておく。
■メア > 「貴方が、危険なら...壊す...
そうじゃない、なら...いい...」
殺すではなく壊す、そう告げる
自分にとって危険であれば処理すれば良いし
そうでないなら放置でいい
だが、体温の加減から手を下したのは目の前の女性で間違いない
あとはどう答えるか
「それで...どっち...?」
■蘆 迅鯨 > 「(ちっ……嘘はつけねェか)」
またしても心中の呟きがテレパシーとして漏れた後。
「まァ待てよ。元々仕掛けてきたのは向こうだ。あの女が俺ちゃんに銀腕<アガートラーム>のことを聞いてきたから、俺ちゃんは知らねェって答えた。そうしたらあの女、力ずくで吐かせようとしてきやがったんだ。わかるだろ?正当防衛ってヤツだ。俺ちゃんも自分の身を守らなきゃいけねェ。別に殺……どーにかすンのを楽しんでるワケじゃねェんだよ」
戦闘行為へ発展することだけはどうにか回避したい。
その一心から、なんとか眼前の少女にも納得のいく言い訳を試みる。
実際、迅鯨の行為は正当防衛とはとても呼べず、明らかに過剰防衛だ。
しかし、落第街という場所を考えれば、これもまた日常の一部ともいえよう。
言葉を紡ぎつつ、誤魔化しきれなかった時のための逃走経路を見つけ出すため、周囲を見渡す。
ご案内:「落第街・路地裏の一角」に嶋野陽子さんが現れました。
■メア > 「そう...」
正当防衛なら仕方ないと頷く
殺す殺さないよりもこちらから仕掛けなければ
危険ではないとわかればそれでいい
「大変、だったね...」
襲われたと聞けば同情の念すら湧いた様で
特に襲いかかるような気配はない
■嶋野陽子 > 迅鯨さんの帰りが遅いので、また
戦闘モードで落第街に捜索に出る陽子。流布堂さんには
公務と言い切ったが、まだ正式にルームメイトにもなっ
てはいない。
先日と同じように携帯端末の電波を頼りに捜索すると、
路地裏の一角で黒い少女と対峙する迅鯨さんを発見。
その近くに降下して重力波ウェッジを解く陽子。
「迅鯨さん、大丈夫で…」ここで血塗れのナイフと、
少し離れた場所の遺体に気付く。遅かったか!?
「…返り討ちに…したの?」と尋ねる陽子。
迅鯨さんが対峙する相手がメアさんだと気付くと、
何故か表情を曇らせる陽子。
「メア…さん?」
■蘆 迅鯨 > 「そうそう、大変だったのよ?何せ俺ちゃん荒事に使えるような異能なんて持ってねーもん。あるのはこのクソの役にも立たねェ、送るだけのテレパシー能力よ」
メアが同情するような態度を取るや否や、一気に被害者面を全開にし、やや早口気味に語り出す迅鯨。
やがてその視界の内に、馴染みのある筋肉質の巨躯――嶋野陽子が降下してくる様が映ると。
「あァ。大丈夫だぜ、俺ちゃんはな。その女は死んでるケド」
へらへらと笑いながら、そう告げた後。
既に命のない黒髪女について、返り討ちにしたか、と問われれば。
「しない訳ねェだろ?俺ちゃんだって襲われそうになったンだからな。こんな事になったのも全部銀腕<アガートラーム>のせいさ。とっととそいつをブッ殺……ナントカするなりして、義手でも何でもさっさと分捕って欲しいところだがね。そうでもならなきゃ、俺ちゃんは安心してこのへんを歩けやしねェ」
迅鯨自身は出会った事さえない『銀腕』<アガートラーム>への怒りが、再び湧き上がる。
■メア > 「陽子...?」
新たに現れた女性を見て首を傾げる
前に寮でドリンクをくれた少しおっちょこちょいな人だ
「殺したのは、貴方...」
全て銀腕のせいだと聞けばそう答える
「怖いなら、表を...歩けば...?」
■嶋野陽子 > 「無事で何より…と言いたいけど、
随分と痛め付けたわね。誰が何故銀腕を求めている
のか聞き出せたの?」と迅鯨さんに尋ねる陽子。
前回メアさんに会った際にも、ドジッ子属性を炸裂
させた事を思い出すと、少し顔を赤らめながら、そ
れでもメアさんの方に向き直り、
「メアさんに、悪い知らせをお知らせしないといけま
せん。以前この落第街でメアさんがお助けした白崎
先輩が、2週間前にミウさんの天界から飛び降りて
行方不明となりました」と、凶事を報告する陽子。
■蘆 迅鯨 > 「いんや。結局最期まで吐かなかったぜ、あの女。まったく口の堅ェ女だこと」
再び煙草の煙を吐き出すと、火のついたままの煙草を足下へ投げ捨て、踏み躙った後。陽子のほうを向き、答える。
迅鯨は自らを襲ってきた黒髪女に対し、形勢が逆転した時点でありとあらゆる暴力を尽くして尋問してはいたものの、
結局、黒髪女から誰がどのような理由で『銀腕』<アガートラーム>と彼女の右腕を捜索しているのかを聞き出すには至らなかった。
続いて、メアの言葉に対しては。
「ああ、殺したのは俺ちゃんだぜ。そりゃ間違いねェわな。でも考えてみろよ。『銀腕』<アガートラーム>の噂がなきゃあ、あの女が俺ちゃんを襲うこともなかっただろうし、俺ちゃんがあの女をブッ殺……ナントカする事にもならなかったわけだ。そうなると一番悪いのは誰だと思う?まさか俺ちゃんってんじゃあねえだろうな?」
相も変わらずの早口でつらつらと言い訳を並べていた迅鯨だったが、
「表を歩け」という、その一言を聞いた途端、表情が一変する。
襲撃が怖ければこのような場所ではなく表を歩いたほうがよいというのは、
事実、至極真っ当な指摘ではあったのだが。
「俺だってなァ……こんな異能さえ無きゃあ、今頃真っ当に、陽の当たる場所を歩けてただろうよ。こんな異能さえ無きゃあな……!」
迅鯨のその顔には、自らが置かれた境遇に対するどうしようもない憤りと憎悪、無念がはっきりと表れていた。
■メア > 「え...?」
全く予期していない知らせに思考が停まる
白崎が行方不明
だがふと気になる
「死んだ、じゃ...なくて...?」
天界、と言うのがよく分からないが飛び降りたというならかなりの高さだろう
なのに行方不明、それが気になる
「殺したのは、貴方...
なら、悪いのも..貴方...」
悪いのは誰か、そんなのは目の前にいる彼女だと決まっている
いくら理由を並べても悪いものは悪い
「異能...どんなの....?」
表を歩けないような異能が気になり、尋ねる
■嶋野陽子 > (迅鯨さんに言うべきか、言わざるべきか)
薬師寺瀬織さんがアガートラームだという事を迅鯨さん
に告げれば、間違いなく落第街にその事実が知れ渡るだ
ろう。下手をすれば迅鯨さんが自ら義腕を奪いに行くかも知れない。どちらにせよ今週一杯は薬師寺さんの護衛
体制は整わない以上、迅鯨さんに今明かすのは、一つの
賭けになる。
『こんな異能さえ無いきゃあ、今頃真っ当に、陽の当
たる場所を歩けてただろうよ』と嘆く迅鯨さんに。
「ならば、昼間も私と一緒に歩く?サイコバリアは、
24時間立ち上げっぱなしで平気よ」と提案する陽子。
必要なら今週一杯そうやって表通りを案内して回って
も良い。これで時間を稼げれば、その終わりに打ち明
けようと考える陽子。
『死んだ、じゃ…なくて…?』
メアさんの質問には、
「高度一万m近くから飛び降りたから、本人は死ぬつ
もりで飛び降りたと思います。でも、地面に落ちる
まで2分以上かかるから、途中で思い直した場合、
白崎先輩の能力と防御の符があれば、秒速50mの衝突
なんて簡単に守りきれるから、死んだと断言出来ない
の。遺体もまだ見つかっていないし」と説明する陽子。
■蘆 迅鯨 > 「あー、はいはい。この話はそのへんにしとこうぜ」
いくら言い訳を並べても迅鯨の行為に対するメアの認識が変わらないとわかれば、
早々に話を切り上げ、話題を変えてしまわんとする。
「さっきも言ったろ、テレパシーだよ。俺ちゃんの異能は。俺ちゃんが頭ン中で考えてることが全部、周りの奴らにも漏れちまう。送るだけで受信はできねェし、寝てる時はまともに制御すらできねェ。そんなだから、真っ当な奴らは俺ちゃんと関わりたがらねェしな。んだから学園でも一人だ」
メアから自らの異能の特性について問われ、これに関しては隠さずに説明する。
迅鯨の異能『夢見るままに待ちいたり』<ウェイツ・ドリーミング>。それは無差別かつ一方的にテレパシーを送信する能力。
送信しないということはできず、睡眠時にはまったくの制御不能に陥るその異能のために、迅鯨は『たちばな学級』に通っている。
故に校舎内での交流は無いに等しく、人との関わりを求めるにはどうしても街へ向かう必要があった。
だが学生街のように『真っ当な人間』の集う場所は、迅鯨にはいまひとつ合わない。必然的に、彼女が赴く場所は歓楽街や落第街が主になるのだった。
「冗談。いくら陽子ちゃん相手でも、四六時中他人とベタベタして歩くなんざ御免だよ」
陽子のサイコバリアは実際便利なもので、この中にいれば睡眠中でもテレパシーを漏らさずにすむ。
しかし、迅鯨は人との関わりを心の底で希求してはいるものの、常に誰かとくっついていたいわけではない。
なので、陽子のその言葉に対しては、はっきりと拒絶の意思表示をする。
■メア > 「そう...身体が...」
遺体がないのなら確かに分からない
恐らく生きているだろうと予想する
生きていた方が...少し嬉しい
「そう...」
話題が変わるのは別に構わない
尋問をしているわけでもないのだから
この話題に固執する必要もない
「気にしなくて、良いと...思う...」
一方的なテレパシー
もし逆であればまともに暮らすのは不可能に近いが送るだけなら
大したことがないのではと考える
人より正直な分メアにとっては好ましくも思える
■嶋野陽子 > 報告を終えて、少し気が楽になる
陽子。しかし陽子は畝傍さんにも同じ報告をしなければ
ならない。
迅鯨さんに拒絶されて、
「確かに、毎晩私を抱き枕にしなきゃいけない時点で、
十分大変よね」と茶化す陽子。最近帰りが遅いのも、
一緒にいる時間を減らすためなのかしら?
さて、薬師寺さんの件はどうしよう?聞かれない限り
触れないでおこう。
■蘆 迅鯨 > 「お前なァ……まァいいや」
気にしなくて良い。それは恐らくメアの善意から出た言葉であっただろうが、
それで済めば迅鯨がたちばな学級に通う必要性もなく、迅鯨にとっては素直に肯定しがたいものだった。
しばし間を置いた後、迅鯨は陽子の顔を、再び真剣な面持ちで見つめ。
「……それでよ、陽子ちゃん。陽子ちゃんのほうは『銀腕』<アガートラーム>について、あの後なんか知った事とかねェか」
問う。もし陽子が『銀腕』<アガートラーム>の正体や居場所に関わる情報を吐けば、
直接手を下しはしないにせよ、何かしら手を打たんとすることだろう。
■メア > 「抱き枕...」
話を聞く限り必要な事なのだろう
だがいくら必要といえど嫌いな相手を抱きしめて
眠れる人なんていないだろう
「ん...?」
善意ではなく素直な気持ちなのだが、なぜか諦められたと首を傾げる
■嶋野陽子 > 訊かれてしまった。
迅鯨さんの真剣な表情を見て、ここは正面突破する
しか無いわ、と覚悟を固める陽子。
「迅鯨さん。今日もまた襲われて気が立ってるのは判
るけど、落ち着いて聞いてね」と前置きすると。
「この間お話しした保健委員の同期、本人に会えたわ。
彼女自身の口から聞いたわ、彼女がアガートラーム
だと」と迅鯨さんの目を見て、正直に答える陽子。
「早まったことはしないでね。私もこれを知って、動
いているところだから」と、既に手を打ち始めている
事も明かす。
メアさんの方を見て、
「白崎先輩の件ですが、メアさんのお知り合いにも
お伝え願えますか?私が知らない関係者も沢山いる
でしょうから」と頼む陽子。
■蘆 迅鯨 > 「なァるほど。陽子ちゃんの同期ね。なら俺ちゃんにゃ手出しできんわな、タハハー」
陽子の口から語られた、『銀腕』<アガートラーム>の正体について聞くと、真剣な表情を崩して笑う。
彼女が陽子の同期であると知れば、迅鯨は手出しをするわけにはいかない。
陽子自身も何らかの手を打っている事が示唆されれば、
「……そうかい。じゃ、上手くやってくれよ」
再び真剣な面持ちに戻った上でそれだけ口にし、これ以上の言及は避ける。
■メア > 「分かった...」
白崎の知り合いにこの事を伝える
会う事があればきちんと伝えるだろう
「平和...」
手出しできない
そう聞けば荒事にはならないと安心する
そしてまたゆっくりと歩き出す
「それじゃ、二人共...ばいばぃ...」
■嶋野陽子 > あっさりと引き下がってくれた
迅鯨さんに感謝。
「判ってくれてありがとう。お陰で板挟みに成らずに
済むわ」と迅鯨さんに頭を下げる陽子。
「迅鯨さんにまだ話してなかったけれど、私の恋人は
ヨーロッパに長期留学中で、2年間音信不通なの。お
互いにその間の事は言いっこ無しという約束で」と、
簡潔に自分の恋愛事情を説明する陽子。
『分かった…』というメアさんに、
「ありがとうございます」と頭を下げる陽子。
ご案内:「落第街・路地裏の一角」からメアさんが去りました。
■蘆 迅鯨 > 「おう、またなー」
メアの別れの言葉に対して、自身も別れを告げた後、
陽子からは、彼女自身の恋人に関する事情を聞き。
「……ほー、そっか。んじゃその恋人さんが戻ってきても黙っとくぜ。うっかり漏らさなきゃ、だけどな」
自身のテレパシーによって漏れてしまう可能性はあるものの、
少なくともその口から、恋人に対して陽子との出来事を直接話すことはしないと誓う。
■嶋野陽子 > 『黙っとくぜ』という義理堅い発言には、
「大丈夫よ。恐らく向こうは山ほどやらかしてると思う
から」と、余り気にしないように伝える陽子。
「さて、そろそろ帰りましょうか、迅鯨さん?」と
呼び掛ける陽子。
陽子が名前に「さん」を付けて呼ぶのは、本当に親密な
相手だけだ。今のところ敬一さん以外では、迅鯨さん
しかそう呼んでいない。名字がある人は、普通は名字
で呼ぶのが陽子の普通だ。
■蘆 迅鯨 > 「そだな。これ以上ここに用事もねーし」
寮へ帰ることを陽子から持ちかけられれば、素直に肯定し。
彼女の背後へ回り、以前のようにその背中へしっかり跨らんとする。
やがて、黒フードの少女の姿は落第街の空へと消えてゆくだろう――
ご案内:「落第街・路地裏の一角」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「落第街・路地裏の一角」から蘆 迅鯨さんが去りました。