2016/09/13 のログ
■雪城氷架 > 冷や汗とか、悪寒とか
とにかく人間が危機察知する全ての感覚が反応
後ろにいる
多分、この人をこんな目に合わせた"何か"が
自分の耳に届くほど高鳴る鼓動を抑えこむように胸に手を押し当てて、息を呑み
見ないわけには、いかない
おそるおそる振り向いた
■雪城氷架 > そこに在ったのは、塊
在った───、と感じたのは…それが生物なのか、それを模した人形なのかわからなかったから
『氷架』
《ひょーか》
〘氷架?〙
〚ひょーちゃん〛
"氷架"
何かの塊が、同時に色んな声が、自分を呼ぶ
「う…」
その異形を視認するとすぐに、全身に怖気が走る
そしてその"声"を聞いて───
「わ、あああああああ!!」
言いようのない恐怖に駆られて
照明のためにゆらゆらと浮かべていた白炎を、塊へと叩きつけた
■雪城氷架 > 塊に命中した白炎は巻き上がるような炎の渦へと変わる
照明に使えるほどの光量を放つ火炎の球体
人間であれ、魔物であれ、生身ならばまず間違いなく…
「………」
渦巻く炎の中で奇妙な動きを続けながら焼かれる塊を呆然を見ながら、ぺたんとその場に座り込む
あれは何なんだ
一体あれは何なんだ
少しずつ冷静を取り戻してゆく頭のなかに浮かぶ疑問
咄嗟の自己防衛…のつもりだった
…頭が冷えてくると、少しずつ嫌な感情が湧き始めた
だって、あの塊が発したいくつもの声は、全部それぞれに覚えがあった声だったから
『……すごいなあんた』
突然後ろから声をかけられ、びくっと身体を震わせる
そうだ、さっきの人はまだ生きて
そう思って振り向くと、男は満身創痍ながらも立ち上がっていた
■雪城氷架 > 「いや…なんかもう、わけわかんなくて……」
未だ勢いの衰えない炎へと視線を戻しながら、ためいきをつく
死ぬかもしれないと思った男も生きていて、
よくわからないけど謎の塊も…塊は、まだ炎の中でもがき苦しんでいた
やがて、悲鳴をあげはじめる
…やっぱり、よく知った、聞いたことのあるそれぞれの声で
「なんだよ…なんなんだよあれ…。
なんの夢なんだよ、これ……」
自分を抱きしめるようにして蹲る
気持ち悪い、あんなモノの悲鳴、一秒だって聞いていたくない
そう思っていると、やがてその声も聞こえなくなる
『いや…でも助かったよ…。
あんたがあれを殺してくれなかったら、俺も死んでいただろう』
男からそう声をかけられると、ただそれだけで身体の重さが和らいだような気がした
自分のしたことが間違ってなかったんだという、自己意識
これで良かった、正しい選択だったと
「(……本当に?)」
■雪城氷架 > 答えはわからない気がした
もうなんでもいい、こんなわけのわからない夢からは早く覚めて欲しかった
ゆっくり立ち上がろうとすると、腰が抜けていることに気づいた
情けない、とは思わない
こんな体験、現実でもしたことがまるでなかった
すっと、男の手が差し出された
「……あ、ありがとう…。
怪我、大丈夫なの─────」
凍りついた
手をとって、顔を上げるとそこにあった男の顔は
『おかげで邪魔なヤツを一掃できたよ。
すげえ力を持ったバカってのは本当に使いようだな』
───自分がその時どんな表情をしていたのかわからない
それを確認する前に、もう視界は暗転して
ご案内:「氷架の夢」から雪城氷架さんが去りました。