2017/03/14 のログ
ご案内:「歓楽街」に八百万 頼さんが現れました。
ご案内:「歓楽街」に美澄 蘭さんが現れました。
■八百万 頼 >
(夕方の歓楽街。
落第街に近いこの場所は、歓楽街の中でも人通りが少ない。
大通りの方よりも治安が悪く、生徒が遊ぶような店が殆ど無いからだ。
薄暗くなってきたその通り、自動販売機のある街灯の下で人を待つ。
来るか来ないかは分からないが、伝えた時間の三十分前にはこの場所についていた。)
――。
(スマホを弄る右手の反対側、左手には紙袋をぶら下げて。
時折大通りのほうへ視線をやって。)
■美澄 蘭 > 蘭は、歓楽街にはそこまで頻繁には来ない。治安の悪いこの辺りは、来たことすらない。
一応、綺麗めを外さない範囲に動きやすい格好で…伝えた時間丁度1分前くらいに、調整してやってきた。
(「覚悟あるんなら」って…何のつもりなのかしら)
携帯端末を頻繁に出さなくていいように、送られてきた地図はわざわざ紙にプリントアウトしたらしい。
地図と見比べながら周囲を覚束なさげに確認して…呼び出し人の姿を認めた。
「………ごめんなさい、こんな危ないところで待たせちゃって」
頼の方に歩み寄りながら。
その表情は、硬かった。
■八百万 頼 >
――ああ、かまへん。
こないなとこ呼び出したの、ボクやしな。
(彼女の姿が見えれば、いつもと変わらぬ調子で返事をする。
治安の悪いこの場所で「いつもと変わらない調子」。
つまり、こういうところに慣れていると言うことを示している。)
そうそう、これ、ホワイトデーのお返しや。
美澄ちゃんの程立派なもんとちゃうけど。
(そう言って差し出すのは左手に持った紙袋。
小さめのそれに入っているのは綺麗にラッピングされた箱が二つと、お札のような紙。
彼女にとって見覚えがありすぎるであろうそれは、紙袋の中をひんやりと冷やしている。
「一ヶ月前に受け取った時と変わらず」その効果を発揮し続けていて。)
ほな、いこか。
出来るだけ離れんといてな。
(紙袋を渡せばすたすたと歩き出す。
向かう先は、落第街の方だ。)
■美澄 蘭 > 「…ほんと…こんなところだからびっくりしたわ」
相手のいつもと変わらない調子に、少しだけ安堵を覚えたように表情を緩めてしまう。
相手の方が上手なのは、もう織り込み済みなのだろう。
「うぅん…私も、そんな凄いの渡したわけじゃないし…
………ありがとう」
差し出された紙袋を、おずおずと受け取る。
中にはラッピングされた箱が二つに…蘭が作って活用していた冷却術式の効力を持つ紙。
「………あれ、八百万さん魔術苦手なはずなのに………あっ」
術式が、魔力を籠めて発動させるものであること、効果時間があることを誰よりも理解している蘭は、それが効果を発揮していることを不思議に思うが…疑問をぶつける前に、頼は歩き出していた。よりによって、落第街の方に。
「………ま、待って!」
紙袋を大事そうに抱えて、頼の方に走り寄る。
■八百万 頼 >
そや、ボクは魔術使えへん。
せやから、魔術やない。
(歩きながらひらひらと右手を振る。
その右手には彼女から貰った方の紙を指に挟んでいる。
自身の異能であれば、魔力ごと物体を保存する事は可能だ。
それは「表向きの」異能でもかわらない。)
――先言うとくわ。
美澄ちゃん、ここ来た言う事は覚悟できてる言う事やろけど。
何があっても最後まで付き合えるて約束出来る?
逃げんと、最後まで。
(振り返り、そう告げる。
いつものような猫のような笑顔。
遊びに行く先を決めるような軽さで。)
■美澄 蘭 > 「………魔術じゃ、ない………?」
「でも魔力は確かに循環してるし…」と呟きながら、首をひねる蘭。
魔力ごと保存するということには、考えが至らない様子だ。
「………。」
「何があっても」「最後まで」。
落第街近くをわざわざ指定しただけあって、大仰な言い回し。
実際、これから先行く場所であることは、きっと今までの蘭にとっての「絵空事」の世界なのだろう。自分が、自分から逃げないこと以上の「覚悟」を、求められていると感じた。
それでいて、頼の軽さはいつもと変わらない。
蘭は、しばし沈黙して…軽く、目を伏せてから。
「…究極の場面では、自分の身を守ることを、優先すると思うけど…
したい話があるから…逃げない、つもり」
少し震える声でそう言って、それでも頼の方を見た。
■八百万 頼 >
――ええ子や。
(にい、と笑う。
この間去り際に見せた狐のような笑みではなく、いつもどおりの猫のような笑顔。
この場所には不釣合いな笑顔だが、それは人を安心させる類の笑顔。
その顔のまま右手をひょいと上げ、)
(頭が弾ける。
内側から弾け飛んだ様に血が吹き出て、一瞬送れて体がそちら側へ仰け反った。
ほぼ同時に破裂音。
くぐもったその音はの正体は銃声。
映画でよく聞くようなものではない、彼女にとっては聞きなれないであろう音。
どさり、と体が地面へ倒れこんだ。)
■美澄 蘭 > 「………?」
蘭は、「何があっても」「最後まで」の条件を、飲んだと確信出来るような返事はしなかったはずなのだ。
それでも…頼が見せたのは、いつも通りの笑顔だった。
それが不可解で、訝しげに首を傾げる蘭の目の前で…
頼の頭が、弾けた。
「………え」
熟れ過ぎた果実か何かのように簡単に弾けたその様子を、蘭はしばらく現実として受け止めることが出来なかった。
それでも、どさりと倒れ込む音が教える質量が、これが現実であることをゆっくりと蘭に教え…
「………!」
蘭は、ポケットに忍ばせていた紙に魔力を籠め、球状の物理防御術式を発動させて自分と…頼の亡骸までを覆って、その場で立ち尽くしてしまった。
くぐもった銃声を「銃声」として認識することは出来ていない。
ただ、自分に出来ることは、他に思いつかなかった。
混乱で、ただでさえ血の気の薄い蘭の顔は、ますます白くなっている。
■八百万 頼 >
(先ほどまで猫のような笑顔を浮かべていた男は、地面に横たわっている。
その頭からは血が流れて――などと言う生易しい表現では到底追いつかない。
血どころか頭部の中に納まっていたものが地面へ零れ落ちていて、)
心配せんでもええ。
ボクが撃たせたんやから。
(魔術のドームの外側から、コンコンと叩く。
そうして近くの建物を見上げて右手を上げる。
彼女がそちらを見れば、アサルトライフルを持った男が窓から引っ込むのが分かるだろう。
死体は地面に零れた色々含めて、目を離した隙に消えている)
――ほら美澄ちゃん、こっちや。
暗いから足元気い付けて。
(何事も無かったかのように――実際何事もない――、その建物の扉を開ける。
クラブハウスやライブハウスのように二重扉になっている外側を開け、お先にどうぞと促すように。)
■美澄 蘭 > 凄惨な状況。とても近づいてどうにかするような状況ではない。
(どうしたら…)
ますます顔を白くしていたところ…魔術のドームの外側から、コンコンと叩く音。
「…!?」
驚いてそちらの方を見ると…そこには、「ああなる」前と全く変わらない頼の姿。
「…え、嘘…」
改めて死体があったはずの方を見ると、そこには血の跡すらない。
「…わざと、撃たせて…え、何で…?」
理解が追いつかない。口元に手を当て、視線が落ち着かなく周囲を彷徨う。
何故わざわざ死体を見せるような真似をしたのか。
銃器を持った男が何で彼の指示に従って動いているのか。
…そもそも、どういう仕掛けで、彼は今こうして自分に話しかけているのか。
「………。」
そして、銃器を持った男がいた建物に、先に入るよう促す頼に戸惑う。
さっきから疑問を増やされて振り回されるばかりで…何も出来ていない自分を、蘭は自覚しつつあった。
「………「最後まで」付き合ったら、私の話も少しは聞いてくれる?」
もらったお返しを大事そうに左腕で抱えながら、問う。
一応、右手でポケットの中の紙に触れて、魔術のドームを扉をくぐれる程度の大きさに調整してはいるので、進むつもりがないわけではないようだが…。
■八百万 頼 >
ま、先に入れ言うてもそう言うわけにいかんわな。
ほな、お先に。
(混乱している彼女を見て、やれやれと首を振る。
そうして言葉通り先に扉をくぐり、二重扉の二つ目を開けた。
そこで立ち止まり彼女を待つ。)
最後言わんでも、今聞くよ。
なーんでも聞いてくれてええで。
(そう口にして振り向いた顔は、狐のような笑顔。
一目見ただけで信用してはいけないと思わせる類の顔だ。
聞いて良いと言いつつも、本当の事を言うとは限らない。
そう顔に書いてあるような、そんな顔。
扉の先は階段になっている。
彼女が扉をくぐれば、自身はその階段をすたすたと降りていくだろう。
まるで自宅であるかのような足取りで。)
■美澄 蘭 > バレンタインデーに最後に見せた、剣呑なところのある笑顔。
それを見て、ぐっと唇を横に引き結ぶ。何か、痛みをこらえるかのように。
「………何のつもりで、自分のことを「ウソツキ」なんて言ったの?
八百万さんに、メリットのあることじゃないでしょ」
それでも…蘭が言葉を紡いだのは、寧ろこの顔の時にこそ聞くべきだと、思ってしまったからなのかもしれない。
そして…頼が先に入っていく様子を見せれば、防御術式を維持したまま、その後についていくだろう。慎重に、階段を降りていく…。
■八百万 頼 >
ウソを付くんやからウソツキや。
ただそれだけのことやで。
(さも当然であるかのように。
事実、彼女に見せていた顔の裏で、こう言った裏の仕事に関わっていたのだから。)
人間不思議なもんでなぁ。
メリットのあるなしで動かへんやつもおる、言う事や。
――おう、お客さんの様子はどや?
(階段を居りきった先の扉を開ける。
古いライブハウスと言った部屋に、数人男達がいる。
彼らはこちらの姿を見るなり体育会系な挨拶と共に頭を下げてくる。
こちらの問いかけには、しかし後ろの彼女の姿を見て言いよどむ。)
ああこの子は気にせんでええ。
ボクの客や。
――つーか聞くまでもないわな。
君らが居る言う事はまだ言う事やろ。
(そう言って奥の扉へ歩いていく。
扉の前で立ち止まり、手招き。)