2017/10/15 のログ
ご案内:「路地裏」に陽太さんが現れました。
■陽太 > 嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
少年は悲鳴を上げる。
悲鳴を、悲鳴を、否、絶叫を。
それから逃れるために、それから必死に抵抗する。
胸を掻き毟り、はぁはぁと息を荒らげる。
冷や汗が滝のように流れて、止まらない。
顔色は白く、闇色の目は激しい絶望の感情を宿していた。
■陽太 > 薄暗い路地。
焼き付くように喉が痛いのは、悲鳴を上げすぎたから。
スラムの闇の象徴である路地裏に響くのは、陽太の荒い息と。
『な、何だこのガキ!?異能...?』
『...っ、あ、ぐがぁぁぁぁっっっ!?』
うねうねと動く闇に【呑み込まれていく】、
路地裏を溜まり場としていた住民達の断末魔だ。
闇はどうやら影らしいが、
陽太の足元の影も、物陰もうねうねと生き物のように動いている。
ぐにゃぐにゃと触手のようにからだを拗らせながら、
人間や物を手当たり次第に呑みこんでいく。
■陽太 > ただ呑み込むのではない。
骨を砕き、肉を潰しながら闇の中に押し込んでいくのだ。
闇の中で圧死せんばかりな彼らだったが、
血を流す事も、死ぬ事も無い。
闇の中に入れば、もう2度とそこから抜け出せない。
死による解放さえ許されない。
無限の苦痛を味あわされる。永遠に。
「____っっっ!!!」
枯れた声で、陽太は叫ぶ。
この異能への、精一杯の拒絶を。
この異能への、燃え上がらんばかりの憎悪を。
■陽太 > 忌まわしき異能、暗黒陰利。
闇を自在に操り、呑み込み喰らう。
物や人構わず呑み込むが、動きは基本的に速くはない。
しかし制御が効かず、暴走状態にある今。
闇はまるで意思をもった生き物のごとく。
陽太の意思とは関係無しに、手当たり次第に呑みこんでいく。
____嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い!!
____なんで、なんでおまえが、おれが!
闇に塗り潰された、しかしただの幼い心。
嫌いだと、許せないと叫び続けることしかできず。
■陽太 > 今も尚、陽太は崩れ落ちそうになる体を支え
必死に地面を踏みしめて耐えている。
手を壁につき、俯いた顔からはぽたぽたと雫が落ちる。
「ねぇちゃん、」
か細い声で、姉を呼ぶ。
許されないと思っている助けを呼ぶ声。
たったひとり。彼女だけを。
視界が霞む。
意識が朦朧とする。
それでもぎりぎり、ちゃんと視認できるほどの視界が
ずっと保たれているのは、果たして偶然か。
このまま意識を手放せれば、楽なのに。
全てを放り出してしまえたら。
だけど、闇は陽太を手放してはくれない。
赦しはしないのだ。
ご案内:「路地裏」に裏々築々さんが現れました。
■裏々築々 > 「そこの子供、何をしている?」
黒い男が近づいてくる。
まるで夜の暗闇を人の形に切り抜いたみたいに真っ黒。
身に付けた衣服だけで無くてその顔もでもが黒色を塗りたくったみたいに真っ黒。
腕に巻かれた腕章と学ランのボタンだけがキラリと輝いている。
足元に広がる闇を意に介さずまるで普通の地面を歩くように。
平然と少年の方に近づいて
「これはお前がお前がやったのか?」
■陽太 > 「.........っ?
だ、れ.....」
倒れまい、倒れまいと
もはや意地のようなもので足を踏ん張っていた陽太。
そんな彼にかけられた声。
陽太は純粋に驚いて、汗か涙か、透明な液体で汚れた顔を上げる。
「...........」
そして尋ねられた惨状の犯人。
陽太はいつもより深い深い闇色の瞳で彼を見上げ、
少し視線をさ迷わせたが...小さく頷いた。
■裏々築々 > 誰と尋ねられても無視して辺りを見渡すと。
「そうか。」
そう言って男が足を前に出せばその足の下には黒い塊。
少しずつ子供と距離を近づけていく。
「二人、三人それぐらいは死んだな。
もしや、泣いてるのか?
…はあ、これだから子供というやつは。」
表情は変わらず影の中。全くうかがう事は出来ない。
■陽太 > 「え.....?」
淡々とした様子で近づいてくる男に、陽太は目を見張る。
これが人を呑み込んだのを見ただろう、なのに何故?
.....これが効かないぐらい、強いやつなのかと。
「あんた、だれだ.....?」
どうすればいいか分からない。
逃げればいいのだろうか。
死ぬ訳にはいかないが、体は思うように動かない。
現に子供だと呆れられている陽太は、
幼い意地のようなものに駆り立てられ、
憎悪に満ちた眼差しで近づいてくる男をただただ睨みつけた。
■裏々築々 > 「私は裏の生徒会の長…そうだな会長とでも呼べ。
存在しない組織の長をしている。」
会長だと、そう名乗る。
存在しない組織の長であると。
「良い眼だな。そういう眼は嫌いじゃない。
…そういう眼で見られるとゾクゾクする。」
…更に距離を詰める。
目と鼻の先。子供の腕でも届く距離。
「お前はどうしてここで力を使った?
気に入らない事があったからか?嫌いな奴がいたからか?
ここまでするぐらいだ相当嫌いな奴だったんだろうなあ。」
■陽太 > 「.....?うら、せいとかい...?会長...?
なんだ、それ...」
それも、存在しない組織?それの長?
意味が分からない。
陽太は混乱し、思わず胡散臭げに男を見やる。
しかし...。
「.......っ、なに、いってるんだ.....」
全く理解できない言葉に、狂気を感じ思わず肩を揺らす。
しかしながら、睨む力は止めない。
決して死ぬ訳にはいかないのだから、抵抗を辞めてはいけない。
そうしている間にも男は近付き、大胆に距離を詰めてくる。
問われた問いに、陽太は.....。
「っ、あんたには関係ないだろ.....」
強がるように、そう吐き捨てた。