2016/06/10 のログ
ご案内:「落第街の路地裏の一角」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 今日も、公安委員として落第街の調査に勤しむクローデット。

クローデットの姿も、名も、闇の世界の住人達には一部を除いて知られている。
それでもなお姿を偽らないのは…弱者へ威圧感を与え、悪意を煽るため。
そして…より深い闇に佇む強者の鼻先に触れるためだ。

クローデット > そんな折り、横の物陰からの銃声。
無論、ただの銃でクローデットが倒れるはずもないが…反応したのは、異能防御術式。
ついで、銃声がした方の路地から、何人かが駆けて遠ざかる足音。

(…何のつもりかしら?)

何らかの罠であろうが、その「罠」自体が手がかりになる可能性はある。
足音を追跡しない手はなかった。

クローデット > 足音を追跡して、細い路地を行く。
…と、その先の出口の『異変』を、探査魔術が検知した。
…魔力による魔術の発動を防ぐ、魔法陣式の結界魔術。

(対策を講じる努力は認めて差し上げますけれど…
探査魔術に簡単に引っかかり過ぎですし、何より…

あたくしが、その程度の対策もしていないと思っているのかしら?
甘く見られたものですわね)

怪しまれないように、歩みは続けながら…
提げたポシェットの中に、手を入れた。

ご案内:「落第街の路地裏の一角」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
偏光迷彩と、展開された魔術を『視る』魔術。
その二つを展開したまま、するりするりと抜けてくる。
すり足は靴を履いたままとはいえ、足音を小さくするのに役立っている。

銀髪の女性の真後ろ、少し離れた位置から。

(……アレは?)

見回りの最中。
どうもこの場所に似つかわしくない女性。

いや、むしろ。

思いを馳せながら、近付いていく。
警戒は怠らぬよう、静かに。けれど素早く。

クローデット > そのまま、自然を装いながら歩く。
そのまま、結界の手前数mでポシェットから取り出した「何か」を、歩きながら適当なゴミでも捨てるように(もっとも、いくら落第街とはいえクローデットは何かを「捨てっぱなし」になどしないが)魔法陣の中に投げ入れた。

「それ」が魔法陣の描かれた路地に着地した途端炸裂する、光と熱と音。

『な、何があった!?』
『相手は魔術師だぞ、どういうことだ!』
『狼狽えるな…!』

俄に周囲が騒がしくなる。おまけに、先ほどと同じ銃声まで連発する始末。
くすりと、口元に笑みが浮かぶ。

なお、先ほど放り投げたのは、錬金術によって作り上げた爆弾のようなものだ。
その爆発は物質の性質によるものなので、魔法陣による結界に発動を妨げられることがない。

「浮遊(フロッテゾン)」

そう唱えて、ふわりと浮き上がると…そのまま、炸裂した光がもたらす煙を越えて、向こう側へ飛んでいく。

その過程で、ちらりと、背後の青年に気付いたかのように、振り返りかける仕草を見せた。

寄月 秋輝 >  
やり手だ。
逆か、相手のレベルが低すぎる。
彼女は魔術の使い手として、非常に優秀らしい。
何より、あの冷静さが恐ろしい。

同じく飛翔する。
空中戦のために使われる、高速飛行を可能とする術。
煙を越え、クローデットの隣へ。
そこで異能による偏光迷彩を解除する。

「……見つかったなら、隠れる必要もありませんね」

小声で囁く。
刀を脇に携えたまま、周囲を見渡す。

「あなたは?
 ここにふさわしい人物には見えませんが」

クローデット > 魔術を発動させておいて、クローデットの探査魔術の網にかからないのは非常に難しい。
それでも、わざわざ高速飛行で隣に並び、姿を現すようであれば害意はないのだと踏んで。

「職務中に、彼らの「お誘い」を受けたところですの」

こちらも囁く声でそう返しながら二の腕の腕章を示す。

「…何か御用がおありでしたら、彼らを「抑えた」後でお願い致しますわ」

そう言って、場違い過ぎるほど柔らかな微笑を浮かべ…襲撃者達の背後に降り立つ。

襲撃者は、ガラこそ悪いものの身なりは悪くない青少年4人。
まだ、煙の方に気を取られているようだ。

(…あの魔法陣は、彼らの上役の入れ知恵でしょうね。
あの異能者(バケモノ)共に、魔術の素養は感じられませんから)

秋輝には分かるだろう。
クローデットが属性魔術…恐らく風…を発動させるべく、魔力を練り上げている様子が。

寄月 秋輝 >  
「なるほど、公安の」

十分な理由に納得した。
ここで自分も嘱託風紀委員の腕章を見せてもいいが、さて。

(……やめておこう……)

お互いの正義が違えば、喧嘩になるかもしれない。

さて、後ろの男たちに目を向ける。
対処をするなら、任せていいだろう。

術式は……見えない。いや、風か。

「……下がりますね」

すい、と一歩下がり、周囲の警戒をする。
何かが起きたときに、この人を守れるようにと。

クローデット > 「魔術によって単独で「殺刃鬼」を退却せしめた公安委員」を想起しないらしいこと。
何より、公安の腕章に敵意を見せないことから、基本的には表の住人であろうと踏んで。
ただ、淑やかな笑みだけを見せながら、襲撃者達の方へ、すっと手を差し伸べた。

「風よ、我が敵を切り裂け…『ラム・ドゥ・ヴァン(風の刃)』」

しかし、そこから漏れたのは紛れもない害意の詠唱。
放たれた複数の風の刃が、襲撃者達の手足と…周囲の壁、路地を斬りつける。
一応、急所は避けているが…かなりの出血だった。

ただ1人、再生能力を持つらしい男がすぐさま傷を塞ぐと、血走った目でクローデットに飛びかかろうとする。

寄月 秋輝 >  
一人が飛び出してきた。
さて、刀を首を落とすのは容易だが……自分が人を斬る存在であるとは『まだ』知られたくない。
故にもう一つの選択肢。

脳内で並列思考で魔術を組み立てる。
再生能力があるなら、こっちがいい。

「スターバインド」

無詠唱、術だけを囁き、解き放つ。
両足と両腕、胴体をその空間に固着させる、光の枷。
クローデットに迫る男を、それで繋ぎ止める。

クローデット > 『が、ぐっ…!』

秋輝の放った拘束魔術に捕らえられ、うめき声を上げながらもがく男。

「…ご協力、感謝致しますわ。
調査業務の関係上、極力命は奪いたくないものですから」

そう言って、秋輝に品の良い笑みを向けるクローデット。
まだ命は失われていないにしろ少なくない出血がある中で、場違い感は否めない。

寄月 秋輝 >  
「いえ。そちらも結構なお手並みで。
 ……しかし放っておいたら死にそうですね、アレ」

相手の出血と、死に至る可能性を考えてなお顔色一つ変えない。
無表情のまま、クローデットに顔を向けた。

「あれも補導対象ですか?
 それとも、何かの事件の関係者?」

クローデット > 「あの程度、初歩の属性魔術です。
…ええ、もちろん放っておきませんからご安心下さい」

そう言ってつかつかと、拘束されたままもがき続ける男を一旦無視して傷に呻く者達の方に歩み寄る。
そして、一番出血が激しい者の傍でしゃがむとそのものの手の甲に指を当て、

「魂よ、しばし止まれ…『失神(デファイヤンス)』」

と唱える。すると、その者の意識が飛んだようだ。
作用としては、精神干渉の原理のようである。
それから、改めて

「傍らの弱き者に癒しを与えん…『治癒(ゲリゾン)』」

と唱えると…深く見えた切り傷が、綺麗に塞がっていった。

残りの2人にも、傷の深い順に、同じ手順で、滞りなく処置を施していく。
結構、馬鹿にならない魔力を消費している。
魔術の素養に優れない者なら、既に魔力が枯渇し始めている頃合だろう。しかし、クローデットには疲弊の色はまるでない。
全ての処置を終えると…相変わらず拘束した男は黙殺したまま、にこやかに秋輝に話しかける。
…まるで、先ほどの流血沙汰などなかったかのように。

「それがはっきり分かれば苦労はないのですけれど…
何しろ、「予期せぬところから急に「招待」を受けました」もので。

…ですから、彼らを「お連れして」お話を聞く必要がありますわね。
…あの魔法陣、彼らが元々持っていた知識とは思えませんので」

そう言って、優美な笑みを浮かべた。
煙はすっかり晴れている。その地面には、爆発と風の刃でずたずたにされ、効力を失った魔法陣が描かれていた。
秋輝ならば、それが魔力による魔術の発動を妨害するものだと分かるだろう。

寄月 秋輝 >  
「あのまま死なれたら少々寝覚めが悪いですからね」

全くそんなことを思っていない風に呟く。
そしてその処置を見ていくと。

口をまっすぐ横に引き結んだ。
あんな魔術の多様性は一切真似できない。
こと治癒術に至っては、秋輝は素養の片鱗すらないのだ。

本職の『魔術師』とはすさまじいものだ、と思う。
同時に、彼女の魔力の底が知れない。
極大魔術を三発+αの自分と同程度か、それとも。

なるべく考えたくなかった。

「予期せぬところ、というのは冗談でしょう。
 アンチマジックフィールドの類の術式でしょうが、僕も驚くほどにあなたは気付くのが早かった。
 ……連れて行って話を聞くのは賛成します」

拘束された男の後頭部を、刀の柄頭でド突く。
軽く見える動きかもしれないが、割ととんでもない威力。
簡単に人間の意識など落ちていくだろう。

クローデット > 「…そうですわね」
(こんな末端を殺して満足に浸っていても、仕方がありませんもの)

無論、後半の思惑は表にはおくびにも出さない。
しかも、声の調子や目線等、表向きは秋輝よりもそう思っているような雰囲気を作ってみせた。

クローデットの魔力はこの世界の人類としてはそれなりに飛び抜けているが、一方でこの世界の人類の枠を超えない、とも言える。
実際、秋輝がクローデットの周りを分析しようと思えば、数多くの防御術式、魔術強化術式、探査術式等が入り組んでいて、かなり面倒なことになるだろう。
クローデットの強さは、結構な部分をその「外付け」によっている。
…その「外付け」もクローデットの自作なので、その実力が侮れないものであるのは変わらないだろうが。

「無論罠は想定しておりましたけれど…彼らの襲撃そのものは「あたくしからすれば」偶発的なものですわ」

…と、刀の束頭でどついただけで、男の意識が飛ぶ様子を見て。

「………あら、怖い。
でも、ご協力ありがとうございます」

と、花のほころぶような笑みを見せた。

寄月 秋輝 >  
ふ、と息を吐き出し、周囲を見る。
他の術式での罠や、対魔術に特化した誰かが来ないものかと。
魔術分析視は、実際の視力の制限を受ける。
遥か彼方まで光で見ることは出来ない。

にしても、そのクローデットの複雑に絡んだ魔力術式が目に痛い。
敵に回らなくてよかったと思うばかりである。
同時に、半分くらいは真似出来るかな、と並列思考で処理してみる。
時間も無いので、全ては不可能だが。

「どうにも喧しかったので。
 一日は目が覚めないでしょうから、連れていくのは楽ですよ。
 今日の見回りはこれくらいで終わりでしょう?」

笑顔は素直に素敵だなとは思いつつも。
最悪、連行くらいなら付き合おうかとも考える。

クローデット > もしかしたら彼らの「仲間」が見ているかもしれないが…クローデット単独ならともかく、他の魔術師…しかも近接戦闘に長けていそうな…が傍にいては、その気配をほのめかすこともしないだろう。
この場は、ひとまず追撃の気配はない。

ちなみに、クローデットの「外付け」の術式は魔力由来だったり、あるいは物質(錬金術)由来だったりと色々混在している。その上で相互が干渉して効率が落ちているということがほとんどない。
全部まともに「視て」いたら、相当術式を読む能力に長けていないと目が痛くなるか頭が痛くなるか、気分が悪くなること請け合いである。

「ええ…何か「おしゃべり」してくれるのであれば、有難かったのですけれど」

まるで、世間話でもするかのようなたおやかさで秋輝の言葉に応じる。そして…

「そうですわね…あたくしは彼らを連行することにして、見回りは他の委員に引き継ぎましょう。

…『浮遊(フロッテゾン)』」

そう唱えると、意識を失った襲撃者達が宙に浮かび上がる。
原理としては、重力操作のようだ。

寄月 秋輝 >  
大丈夫そうだと判断した。
周囲からそんな音もしない。
この状況でさらに襲われたら、さすがに刀を抜かねばならないかもしれないが。

「本当にそうですね。
 こういうところで無駄なことを話さないのは、ある意味でこいつも賢いと言えますか」

罵倒以上の言葉が浮かばないともいえるか。

「はい、ではお気をつけて。
 ……僕はまだ少しやることがあるので、これで」

ぺこりと礼をして、背を向ける。
無警戒か、信頼によるものか。
先ほどと同じように、異能による偏光迷彩と魔術視を展開しながら、どこかへと歩み去るだろう。

クローデット > 「そうですわね…まあ、詳しくは分署で聞くと致しましょう」

そう言ってすっ…と手を動かすと、宙に浮いた襲撃者達の身体がすーっと動き始める。
なかなかに異様な光景だ。

「…どうか、あなたもあまり危険な真似はなさらないように…ご注意下さいね?」

そう言って、軽く首を傾げながら品の良い笑みを秋輝に向けて見送る。

その淑やかな振る舞いを崩さないまま、連絡器具を使って本部と連絡を取り、引き継ぎをしながら。
身体を宙に浮かばせた男達を引き連れ、分署へと向かうのだった。

ご案内:「落第街の路地裏の一角」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「落第街の路地裏の一角」からクローデットさんが去りました。