2016/07/16 のログ
楊 烈龍 > 「鬼灯君、何を恐れているのか、君らしくない」

どうみてもただの貧乏人ではないか、と負ければ切腹しそうな連中を眺める。
なお、現在の楊のランクは70台をうろうろしている。

「逆に考えればいい、彼のランクを奪えば、自分がランク24になれるとな」

ワハハハと高笑いする。ランクに対する認識がかなり違うようだ。
むしろこれはいいチャンスだと、画面に映るデッドリーテンパランスを見る。
鬼神の如く戦場をかけ、瞬く間に相手を破壊せしめていく。
その様子を見て楊はニッと笑った。

「……ふん、そうだな。それに現状では我が部最高ランカーのインフラブラックもいる。
 彼ならば、いつもの通り幻惑の魔術にて敵を氷雪の如く散らしてくれるに違いない」

そういってちらとインフラブラックを見た。

「いずれは僕がランク1だがな、ハハハハ!」

そして戦いは続き、ローニンたちは次々と敵機の首を飛ばし、勝利した。
ロンドン聖騎士団のランク47のキラー上野介は破られた――

「クク、さて、僕たちはシード――あの貧乏人と戦うことになるようだ」

すっくと立ち上がり、

「さっさと終わらせて、君たちの水着姿を拝見しなければならない。そのために今日読んだんだからね」

爽やかな笑みを部長と鬼灯に向けた。

インフラブラック > 部長に近寄られると息を呑んでバッと離れた。
「クッ……私の心の領域に侵略するとは…」
童貞。

「ランク24……だと……」
怜奈の言葉に首を左右に振る。
「単独で撃破できる相手ではない。操作技術が凡そ人間技とは思えない」
「それよりもナガレ・バークレーと言ったか……クリーンとは言いがたい戦闘、美しくない…」

楊君の言葉は、ちょっと嬉しかった。
けど、正直あれを単騎で狩れる技術はない。
あれは鬼だ。人の姿をした鬼だ。
「フッ……ランク1の至尊へ踏み入るのはこの私…インフラブラックだ」
「だが、ランク24……あまりにも高き壁…人はこれを超えるか、魔素に飲まれるか…」

ナガレが叫ぶ。

『なんだよぉぉぉぉぉぉ!! まだ終わりじゃないのかよぉぉぉぉぉぉ!!!』
『シードって……シードってなんだよぉぉぉぉ!! 汚ぇだろぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

うわ。
引いた。

鎖ヶ原アストラ > 「声が汚すぎる君よ!」
バッとスポットライトが当たる。部長の声はどこから?

そう。ステージ上。
きわどい露出の水着!
ガリガリに浮いた肋!
流れる黒髪は美しく、光条にぱらぱらとほのかに焦がされ。

「そして迎えた決勝戦~~~~~~~~~ッ」クロスオーバーする司会!

「学生選抜チーム、主将鎖ヶ原アストラが!」
ライトアップされる中、筐体に滑りこむ姿が1カメ、2カメ、3カメからじっくりとお届け。
大変際どいアングル。

「そして仲間たちが相手だ!」
スクリーンに映し出される、どう考えても過剰な予算で編集されたPV!!

「ゴング三秒前、プリズナー360突撃ーっ」もちろん盛り上がるなら司会は止めない。
台本になくても止めない。

鬼灯 怜奈 > 「アイツ何勝手してンだァーッ!?」

開いた口がふさがる前に、一度上にあがった観衆の視線は下へ降りてドレス姿の怜奈に注がれる。
もうそれは熱狂的に。金持ちの精を御注ぎ申されんばかりに。

「は、はず……っ。」

そそくさと筐体の中へと入ってく。

楊 烈龍 > 「素晴らしい演出だ。わざわざ本社の技術スタッフを連れてきた甲斐があった」

部長の勇姿を眺める。もう少し肉がついていればなあと思った。
一部の男たちに受けたのか、熱狂的な声援を部長は受けている。
そう、こういう趣向が好きな資産家は少なくないのだ。
映しだされるPVはわざわざこの時のために作ったもの。
楊はいいように金を使われているのだが、本人は意に介さない。
いずれ部活を乗っ取るための投資と思っているのだ。

「いかにも、我がTG部の部長の下という立場に甘んじてはいるが、今はこの僕がこのチームに入っている!」

しゅたっとステージ上に立ってポーズを決める。

「八仙衆が一人、楊烈龍! 今こそ諸君たちに我が呂洞賓の剣の煌めきを差し上げよう!
 ハハハハ、ハハハハハーッ!! 火龍真人から得た宝剣の輝きに沈むがいい、貧乏人め!」

扇で顔を仰ぎながら、筐体の中に滑りこむ。
なお八仙衆とは、八人いると言われる常世学園のTG強豪たちのことだ。
実際には楊しかいない。

「行くぞ呂洞賓! 賊の退治にいざ参らん!」

インフラブラック > えっあのPVいつ作ったの。
「えっあのPVいつ作ったの」
思わず考えが声に出る。
口を手で塞いで仮面の少年は筐体の中へと入る。

「ククク……闇が吼え、光が散る…このカレイドスコープ・シャドウの元でな」
「インフラブラック、出るぞ」

ようやくいつもの調子を取り戻してステージに出る。
ステージは海に浮かぶ氷。
あちこちに氷山もある。
だが豪華客船で氷山ステージはいいのだろうか…
これも金持ちのブラックジョークの一環なのだろうか…
また胃が痛む。

『上等だよ………全部終わらせてやっから!!』
『金持ちゆえの驕りを討ってやる!!!』

別に僕は金持ちじゃないのだけれど。
遠間から敵たちの機体に向けてエネルギーランチャーを撃つ。
牽制だが、何とかしてエースであるナガレに貼りついてプラズマスピアで攻撃しなければならない。
人間関係の距離感はわからなくても、軽量機は距離感を間違えたら終わりだ。
氷のフィールドを足場を削りながら華麗に滑る漆黒の機体。
画面上で氷の粒子が散った。

鎖ヶ原アストラ > 「キキキ…良いぞナガレ君…そうして……そうしてっ……もがき苦しむ……労働ッ……娯楽ッ……キキキ……その負債、払い終えるまで……ッ」
チュパカブラファイナンス総帥がボックス席で顔を歪める。
戦況は―

「権堂白鷺爆散ーーーーーーーッおっと、筐体から引きずり出されて連れて行かれていますね流石はチュパカブラファイナンス執行が速い」
順調に撃破を増やすプリズナー360、戦況はTG部有利。

「黒、三体目だ!次はあいつを仕留め―」
デッドリーテンパランスの眼前にガトリングスピアを突き付けた時にはプリズナー360は機体を真っ二つに両断される。
「えっ あれっ うそっラグ…?」速過ぎる踏み込みに、部長の近接攻撃は一切間に合わない。

『キャンギャルがよ”ぉおおおお”~~~~~~~~~~』
吠えるナガレ!謂れ無き中傷にちょっと泣く部長!

「ぶ、部長だっ」その様もめっちゃカメラに撮られている部長!

鬼灯 怜奈 > ざわ……ざわ……。
数的有利は未だTG部。しかし今部長はナガレに敗れ、残るは平の部員のみ。
対するローニンウォーリアーズはただの二人。ただの二人だがこいつが怖い。

「くっ……! なんだってンだこいつら! 尋常じゃねーぞ!!」

氷山に沈み込んだ機体を引き起こし、胴部に突き立ったままの実体剣を抜き捨てる。
足元に転がる残骸は、飛天の天狗ウォーリアー。
楊と二人がかりでなければ、結果は違っていたことだろう。
そこに……。

「駄目じゃないかあああ! お前は死んでなきゃああああああ!!!!」

「……ッ!?」

漆黒の機影が飛び込み、クリムゾンタイドを再び氷山に縫い付ける。
深々と突き刺さった槍が、真紅の機体に火花を添える。

「クソッ……もう一機いやがったッ!」

楊 烈龍 > 「部長!」

部長のプリズナーがナガレに両断される。
声は汚いが高ランクプレイヤーの実力は本物だ!
ローニンウォーリアーズは後二人、だがこの二人が強い。
呂洞賓も敵の攻撃の為に大きく負傷してしまっていた。
戦いを他の三人に任せ、「八荒六合唯我独尊陰陽砲」のチャージを行っていたのだが、そこを突かれてしまったのだ。
そして巨大な龍砲を捨て、今は巨大な剣で戦っていた。
先ほど、クリムゾンタイドと協力して、なんとか敵の一人を倒したところである。
天狗ウォーリアーの天狗飛びは圧巻であった。

部長はやられた。
そこに更に、自分を負かした鬼灯のピンチである。
マントのようなものをはためかせて槍を投げる黒き影。
隣りにいたクリムゾンタイドが槍にて氷山に釘付けにされた!

「おのれ――ならば資本の力を見せてやろう。
 知るがいい、如何な存在をも凌駕する我が呂洞賓の力を!」

呂洞賓――京劇の衣装をロボットに落とし込んだような姿を持つ――の周囲に二つの弾丸が出現し、周囲を回り始める。

「見よ! これこそが九天玄女より賜りし雌雄の弾丸剣!」

という設定である。
要するにビットである。弾の形に丸められた弾丸剣が音を立てて奇怪な軌道を描き、現れた漆黒の機体に襲いかかる!

「まだだ、我が呂洞賓の新しい技を見よ!」

そういって呂洞賓は剣を地面に突き立てる。そうすると、地面に太極図が出現する。
金で作らせた特殊演出だが、演出以上の意味は無い。

「呂洞賓が得し天の力を見るがいい!!」

呂洞賓の腕が変形する。手の甲に、何やら丸い鏡のようなものが現れる。

「喰らえ、我が八卦鏡の輝きを!」

それが不意に強烈な輝きを見せ、強烈なレーザーとなって黒い機影を追い、弾丸の剣と共に追い詰める。

「インフラブラック! 今だ!」

インフラブラック > 「時は溢れん……」

自分が考えるインフラブラックなら、危機に混乱したりしない。
強敵を相手に自分のキャラを崩したりしない!!

「四辻、別れ路、死に路……黄泉路を渡るがいい」

部長が稼いだ貴重な時間、クリムゾンタイドを襲う漆黒の機体に追いすがる。
軽量機だからこそできる取捨選択、確実に数の利を得てナガレを討つ。
こいつはその前段階として排除する。

交錯する二体の黒。格闘技術は五分、だが楊の援護を得てプラズマスピアが相手を削り取る。

「終端へ舞うがいい」

相手の機体が爆散。そして。

「いいか、よく聞け壮烈たる龍(楊 烈龍)……」
「私の機体はもうトドメを狙っていけるコンディションじゃない」
後方から高速で接近するナガレの機体に後退しながらエネルギーランチャーを連射する。
「ランク24になれよっ!」
珍しく声を張ると、エネルギーが枯渇するまでエネルギーランチャーを撃ちこむ。
腕部から伸びた砲が役割を終えると、プラズマスピアを構えて移動をやめる。

軽量機が地上で構える。仕留めてくれと言っているようなものだ。
だが自分を狙いに来たナガレは、僅かでも隙を見せるはず。

『なんだよぉぉぉぉぉ!! なんで逃げるのやめるんだよぉぉぉぉぉ!!!』
ナガレの機体がカレイドスコープ・シャドウに襲い掛かる。
ランク50の矜持が、その場から退かせることをしない。
『お前は終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
プラズマスピアを、落とした。
確か怜奈は。
「時々こうするよな」
機体が持つ最速にして最弱の攻撃、機拳を振りぬいた。
ナガレを殴ると同時に、インフラブラックの機体が両断された。

鎖ヶ原アストラ > 「くそう…なにかないか…何か…」カメラにねぶられるようにとらえられ中の部長は腕組みして考える。
目の前のモニタ類には、次々倒れる仲間。そして敵。
あのナガレを倒さないかぎり我々の負けだ。

ふと、目に映る。ボックス席のおかねもち。
ナガレのスポンサーであろう。
「…そうか!」
「レイナ!ヤンくん!奴の弱点は…!」
ランダム指名 > 楊 烈龍
楊 烈龍 > インフラブラックのプラズマスピアが黒い機体を穿ち、爆散させる。
しかし、ナガレを相手にするほどの余裕は既になかった。
インフラブラックはそれでもなお、相手に向かい、立ち止まる。
まるで標的になってやろうと言わんばかりの行動だ!

「インフラブラック……!! お前……!!」

インフラブラック――金田洋平が声を張り上げるのを入部して初めて聞いたかもしれない。
カレイドスコープ・シャドウはプラズマスピアを落とした。
そして握るは拳。素早い一撃がナガレを殴りつける。
その後――カレイドスコープ・シャドウは爆散した。
その名の通り、万華鏡のような輝きを残して。

「……いや、当然だ。最後を決めるのはこの、僕だ」

感傷に浸りそうになるが、すぐに切り替える。
彼らの行為を無駄にはできない。

『次はどいつだああああああ!!』

爆発に呑まれて、僅かに隙を見せるナガレ。
ナガレの絶叫が響く。彼をここまで駆り立てるものは一体何なのか――
恐らく、誰かに言われなければそれを楊が理解することはない。
その時、部長の声が耳に届く。奴の弱点。

「そうか!!」

チュパカブラファイナンス総帥の台詞を思い出す。
そして、こういうことは楊もよく見る光景だ。つまり、わかったのだ。
ナガレの目的は借金の返済、そのための賞金目当てで大会に参加したのだ!

「――おい、貧乏人。少し僕の話を聞き給え。
 ……君はどうやら、借金をしているようだな」

『な、なんでそれを……』

「わかる。お前のような人間には“金”の匂いがしない。
 ここはどうだ――僕が、払ってやろう。どうせ、「はした金」だろう?
 そうなれば、お前はもう戦う理由など無いはずだが?」

『な、なんだってえええ!!』

楊の言葉にナガレは大いに動揺する。それはチュパカブラファイナンス総帥も同じだ。

「な、何!?」

ひげを蓄えたチュパカブラファイナンス総帥の声を聞いた。

『き、聞いたか爺さん! あの楊コーポレーションの若旦那が俺の借金を返済してくれるんだとよ!!』

「ば、馬鹿を言うな!! そんなもの認めるか! ワシがお前の苦しむ姿が、見たくて、見たくて……!!」

今ここに至って、論争が始まった。既にナガレの集中力は途切れ、ゲームから離れていた。

――そのとき、呂洞賓の姿は、彼の前にはなかった。

『な、なんだ!? どこへ行った!!』

「フン! 馬鹿め! 既にチャージの時間は稼がせて貰った!」

呂洞賓は遥か上空に、スラスターで舞い上がっていた。
遥か下方にナガレを望む。

「貴様に払ってやるくらいの金は湯水の如く有る! だがな、そんなもの払ってやると思ったか!! 茶番は終わりだ!」

呂洞賓の両手にはあの八卦鏡が二つ握られている。
それを勢い良く胸の前で打ち付ける!
強烈な輝きが八卦鏡からほとばしり、衝撃波となって周囲を揺らす。
呂洞賓の前方に、太極図や八卦図、さらに「烈」という文字が浮かび上がる!
勿論金で作らせた演出だ。

「喰らえ! 八荒六合唯我独尊太極光!」

仲間たちの犠牲により、普通は使えない大技を行使する時がきた!
強烈な爆風と光がナガレ目掛けて放たれる!
氷山を溶かしながら、彼の機体も共に爆散!!

『そ、そんなん、ありかあああああああ!!!』

「フハハ、ハハハ、ハハハハハハハ!!!!」

――ここに、今大会の勝敗は決した!!

インフラブラック > 「勝った………」

勝った。
勝ったけど。

「……地平の果てに得る勝利とは…」

なんかひどくね。
ランダム指名 > 楊 烈龍
鎖ヶ原アストラ > 「まさかまさかの資本の力~~~~~~~~~~~~~ッッッここでゴングっ」
面白ければ司会は止めない。それがおかねもちであればなおさらである。

「我々の勝利だッ!!」臆面もなく部長が筐体を飛び出して宣言。そう、我々の勝利だ。
なんの問題もなく。

歓声が遠く。楊を称える声が、勝った負けたの賭け話が盛り上がる中―

それは、唐突に現れた。

『手入れだーッッ!!!!!!』
そう。公権力の介入である。
巨大な空中要塞から次々降下してくる脱税Gメンたち。
次々捻り上げられていくおかねもちたち!

「あれ…これ、すごいまずくない?ねえヤンくんすごいまずくない?」

楊 烈龍 > 空から舞い降りてくる男たち。
その男たちによっておかねもちたちが拘束されていく!
楊はパッと筐体から飛び出すと、

「……まあ、賭博船だからね。問題ない、この船はダミー会社の名義で主催している。
 YCに手は及ぶまいが――僕が見られるとまずいな。皆、逃げるとしよう。何、こういうことはよくある。
 貧乏人の僻みというやつだ!
 すまないが金は諦めてくれたまえ。何、僕のものになるというのなら、君たちにいくらでもあげよう!
 ハハハハハ!! 爺、例の船を出せ!」

『御意に』

側にいた執事にいうと、彼は勢い良く飛び出して行き、楊もそれに続く。
豪華客船の横には、一つのモーターボートが停泊していた!

「さて、捕まる前に逃げるとしよう。僕の父親も若いころはこうしていろいろと逃れていたと聞く」

そう言って船にかけられた縄梯子を降りて一足先にボートに乗り込んだ。
ここは常世学園の直ぐ側だ。

インフラブラック > 「えっ……えっ…まずくない? まずくない?」

すっごくキョドりながら仮面の男もモーターボートに乗り込んだ。
そして自身満々の楊烈龍を見て逃げ切れるかも、と僅かに思った瞬間。

「ククク……泡沫の夢に全ては消え去るのみ…」

今更キャラを作って取り繕うのだった。

……後に彼は述懐する。
TGは楽しいけれど人生を賭けていいものではない、と。

ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)2」からインフラブラックさんが去りました。
鎖ヶ原アストラ > 「また囚われの身だけはいやだあああああああ!!!!」
嫌な思い出を想起したのかすごい勢いで脱出艇に乗り込んだ部長。

「まったくとんだ合宿になったもんだよ…!」
そんなこんなでヘリの音と怒号が支配する客船から逃れたのだった。

ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)2」から鎖ヶ原アストラさんが去りました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)2」から楊 烈龍さんが去りました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)2」から鬼灯 怜奈さんが去りました。