2017/10/15 のログ
ご案内:「打ち棄てられたクラブハウス」に楊柳一見さんが現れました。
楊柳一見 > 「スカウトしたい、とか言うから来たけどさあ」

足を運んでおいて、微塵も乗り気のなさそうな声でぼやきながら天井を仰ぐ。
前世紀の遺物じみたミラーボールが、外界の光と非常灯とをいびつに反射し、奇怪な光の綾を投げ掛ける。
栄華空しき元盛り場には、却ってその陰鬱さが似合っちゃいたが。

「こんな場所で、何すんの? オーディションやりまーす、とか下手な嘘やめてね」

そもそも、そんな夢溢れるオハナシじゃあないのは百も承知だ。
声を掛けて来た奴からして、まともそうな手合いじゃないし。
…一瞥してその辺が分かってしまう辺り、自分もまともじゃないなと再認識して、ちとへこんだ。

そんなこちらの悩みやら何やらはそっちのけで――別に人生相談を希望してもないが――、
そこそこ値の張りそうなスーツを着崩した男が言う事にゃ、

『スカウトの話は本当さ。ただし、荒事方面だがね』

…と来たもんだ。