2015/07/07 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮、自室」に鈴成静佳さんが現れました。
鈴成静佳 > (静佳が瀬織さんと一緒に、浜辺で謎の自販機と遭遇した日。その夜)
(晩御飯、お風呂、歯磨きをひと通り終えてあとは寝るだけとなった静佳は、パジャマ姿になって自室へと篭った)
(おやすみ、を言おうとしたが、どうもルームメイトはいない様子。恋人と浮かれているのか、それとも試験期間のラストスパートを何処かで頑張っているのか)
(なお静佳は受けているすべての講義でテストをつつがなく終えたようである)

♪~~
(自らの匂いが染み込んだフカフカのベッドに横たわると、寝る前に毎日かかさず行っている日課の始まりである。自慰行為……)
(……しかし、すぐには始めない。今日はその前に、試したいものがあるのだ)

鈴成静佳 > (ベッドのそばに置いたメッセンジャーバッグから、ペットボトルを1つ取り出す)
(透明なボトルを巻く印刷物には『変身しよう!』というロゴマーク、もやしっ子からマッチョマンに向けて引かれた矢印のイラスト。原材料名などの記載はない)
(浜辺で、謎の自販機から、1万円で購入した謎ドリンクである)

……んふふー、飲んだら何が起こるのかなー? 変身するのかなー? 何に変身するのかなー?
(栓をひねりながらほくそ笑む静佳。半信半疑ではあるが、500円で出てきたスライム生物、同じ500円で出てきた超強力媚薬は確かな効果があった)
(これは1万円である。信じて大丈夫であろう。なお、媚薬は明日のお楽しみだ)

……ふむ、匂いは普通の……スポーツドリンクって感じかな。色はなんかひどい緑色だけど。
(色はヘドロめいていて、あからさまに飲む気が失せる。とはいえ、ここまで来て気軽に捨てる気にもなれない)

鈴成静佳 > ええい、ままよ!!
(意を決して、ぐいっと飲み込んでみる。とはいえ全部ではない、少し舌に乗る程度の量を……)

………。
(ボトルを離して、目をぱちくり)

…………ん、んまーい!!!
(見た目に反して、非常に美味しい。南国の高級なフルーツ類を絶妙な配合で混ぜ合わせたかのような、程よい甘みと酸味の中に複雑かつ繊細に絡み合う味のハーモニー)

やばっ! これ美味しい! ダメッ、止めらんない!!
(目をぎらつかせて、残りのジュースをあっという間に飲み干してしまう静佳。そのボトルの背には、「用法:食後一日一回 副作用:しにかける」の文字……)

鈴成静佳 > ……っと、そうだ。「なりたい自分になれる」んだっけ。どうなりたいか考えないと……。
(飲み干したあとで若干遅いだろうが、ボトルを置き、目を閉じて妄想を開始する)

……。
(いまさら巨乳になっても困ることが多そうだ。いまの体格には実際満足している。性別が変わるのも混乱を呼びそうだし……)
(……しばし逡巡したのち、静佳は「もっと気持ちよくなれる身体」を望むことにした。漠然とした願いではある)

……さて、何が来るかな?
(一気飲みした液体が食道を通り、胃に落ちていくのを感じる)

(……全身が、熱くなる)

鈴成静佳 > (ズンッ!)
(……女子寮全体が、大きく揺れたように感じた。それを境に、静佳の平衡感覚が消失し、無重力空間に放り込まれたように感じる)

……!? ……ぐっ…!
(胃が時計回りにぐるりと捩れる。同時に、脳が反時計回りに回転する。錯覚だが、容赦無い感覚として静佳の神経を襲う)
(思わず静佳はベッドに倒れ込み、その上でのたうち回る)

げえええっ……おごっ……! ごほ……ぉ……!!
(胃に穴が空いたように激痛が走り、それが全身へと広がっていく)
(眼球までもがぐるぐると目まぐるしく動きまわり、世界がぐにゃぐにゃに歪む)

(片目で一瞬だけ捉えた、空っぽになったペットボトル。そこには無慈悲な文字、「副作用:しにかける」)

鈴成静佳 > (瞳孔が散大し、すぐにその視野は真っ白に染まる)
(飲んだジュース、晩飯ごと戻しそうになって口を大きく開けるが、何も出ない。まるで、喉の上端に強靭な膜でも張られたかのように……)
(呼吸すらままならない)

………! っか………がぁ! ごぉ……
(思わず喉を引っ掻き、血が滲む。それでも息は肺に届かず、胃液も逆流しない)
(「よくないもの」が、急速に全身に広がっていく感覚を覚える)

(……しにかける? 違う、これは「死ぬ」)

………く……くくるせんせい……くくるせんせい……っ!!
(吸えぬ息だが吐くことはできたようだ。断末魔が響く。ルームメイトに迷惑は掛けられないので、保健の先生の名を呼ぶ)
(……静佳は知らない。括流先生はしばらくこの部屋には戻らないと決めていたことを)

鈴成静佳 > ………っ!! ………!!
(やがて肺も収縮しきり、すべての内臓が死を拒絶するように乱雑に蠢き、かえって苦痛を増す)
(静佳の意識が遠のく……)

(そして……)

(静佳は、常世島から消失した。パジャマを残して)

鈴成静佳 >  


(………そこは、《白の街》)
(………絶縁体で覆われた、無機質な死の街)


 

鈴成静佳 > ………ああ……つまんない死に方をしちゃったな……。

………気持ちいいことをいっぱいして……楽しく生きるはずだったのに……。

………ヘンなジュースに手を出しちゃったばっかりに……本当に静佳さんは、バカ……。




『………い…………おい………静佳……』

鈴成静佳 > ………ごめんね、おとうさん、おかあさん……。ばかな娘って、いっぱい罵りながらお葬式してね。

………そして、氷架ちゃん、芙蓉ちゃん、空子ちゃん。アタシがいなくても、幸せな人生を送ってね……。




『……こっちを向け、静佳……』

『静佳っ!!』

鈴成静佳 > ………!!
(目を開ける静佳。未だに瞳孔が混乱しているのか、視界は真っ白……)

(否。そこは、《白の街》であった。無機質なつや消しプラスチックで覆われたビル街。空も、並木道も、すべて白……)

………ひっ!?

(落雷によって感電死しかけた静佳が、命を救われるのと引き換えに半年間閉じ込められつづけた、牢獄の世界)
(毒物による苦痛は、不思議と消失している。しかし、すぐに別の不快感が込み上げてくる)

……っぐうううっ……! げええっ……!
(またも吐き気を訴える静佳。しかしやはり何も出ない)

鈴成静佳 > 『静佳。こっちを向けってば、静佳』
(頭上から、男のものとも女のものともつかぬ声がかかる。しかし静佳は声の主のほうを向けない。過去の記憶に、脳がパニックを起こす)

……いや! 出して! ここから出してっ!! もうこんなところにいるのは嫌っ!!

『仕方ねぇな、静佳は……。7年前からずっとそうだ、オメェはよぉ。雷が来るたびによぉ』

おかあさん!! おとうさん!! 助けて……!!
(狂ったように頭をかかえ、白い地面にうずくまる静佳。全裸であるが、その体表からはおびただしい量の脂汗が流れ、すぐに水たまりを作る)

鈴成静佳 > 『わかったよ。見たくねぇなら周りは見るな。ただ、俺の話を聞け』

(狂犬に囲まれて怯える子猫のように、丸くなってガタガタと震える静佳。その『人影』は手を差し伸べない。腕組をして静佳を見下ろしながら、淡々と語る)

『はじめまして、かな。俺は《永…………》……。お前の《異能》だ』

(キィン、と耳鳴りが断続的に響き、その『人影』の声の一部は判然とは聞き取れない)
(しかし、それ以外の言葉はパニックを起こす脳にもすっと染みこんで理解をもたらす)

鈴成静佳 > 『お前、俺を使って色々と好き放題やってるようだな? 料理だの洗濯だの、オナニーだの……ま、悪くねぇ』

(静佳はその声の主にようやく興味を示す。震える頭をゆっくりと上げながら、きつく閉じた瞼をうっすらと開けていく)
(背景がぼやけた白のままであるように、うっすらと)

(そこに浮かぶのは、緑の『人影』)
(顔も髪も、目も口もない。それはまるで、人間の「血管」だけを抜き出したかのような、細い線があつまっただけの人型……)

『だが、それは《異能》の本質じゃねぇ。でもまぁ……お前には今のままでいいだろうよ』

鈴成静佳 > (静佳の歯がガチガチと鳴る。怖いのはこの空間そのものだ。もう閉じ込められるのは嫌だ)
(緑の『人影』も怖いといえば怖いが、トラウマに比べればなんのことはない。敵意はないようだ)

『……そうさ。俺はお前の味方だ。7年前の、あの時からな』

(ガガァン!!)

ひいいいいいっ!!!

(すぐ近くで、強烈な音が破裂した。雷音だ。その音と衝撃波は静佳の心臓を肉体越しに鷲掴みし、地面に叩き伏せる)

いやああっ!! もう感電はいやなのっ!! たすけ、たすけてっ……!! 誰か!!

『ああ、助けるとも。静佳。俺だってまだ死にたくねぇ』

鈴成静佳 > 『俺は、静佳の中にいたよ。それこそ、お前が生まれた瞬間からな。何の因果かは知らねぇが』

(声の発生源は、さきほど雷鳴が轟いた場所へと移動しているようだ。静佳は顔を上げることができない)

『7年前のあの日、お前は死にかけた。「よくないもの」がお前を貫き、半身を吹っ飛ばして、問答無用に殺そうとしたからだ』
『そいつは、俺がここへ「放逐」した。それが、これだ』

(ふん、という気合の声が聴こえる。何かを蹴飛ばしたかのような軽い振動が、プラスチックの地面を揺らして静佳に届く)

『ほれ、「あのときの雷」は遠くに行っちまった。顔を上げろよ、静佳』

(静佳は応えない。フゥ、と『人影』は鼻息をならす)

鈴成静佳 > (『人影』の声は、元の位置へと歩いて戻っていく)
『ここに「放逐」されたものは生物であればすぐにエネルギーが尽きて死ぬ。だが、アイツはどういうわけか、この《街》で何年も生き残ってるようだな』
『お前もアイツにはずいぶんと泣かされたようだな。しゃーねぇ。いつか倒せる日がくるといいな、としか言えねぇよ』

(その声はぶっきらぼう。だけど、なぜか、静佳にその声は親しみやすく聞こえた。まるで、お父さんかお母さんの声のように、萎縮した心に染み渡る……)

『で、だ。またお前、自分の身体に「よくないもの」を入れたようだな。しかも今度は自分の意思で。軽率にすぎるんじゃねぇの……?』

(その声が一瞬だけ、自分を「糾弾」する。泣きたくなった)

鈴成静佳 > 『まぁいいさ。理由はどうあれ、俺はお前を守る。よくないものから、な。それが俺の、お前の《異能》だ』

『それに、「これ」はお前が望んで入れた「よくないもの」だろう? じゃあ、少しだけ返してやるよ』

(『人影』が、その腕を自身の胸に当てる所作が見える)

『せいぜい、面白おかしい人生とやらを目指してくれ、快楽主義者さん。オメェの生き方は嫌いじゃない。さよならは、もうしばらくあとがいいな』

……あな……た……は…。

『………………が………し遂げられ………は……』


(雑音が、世界を包む……)

鈴成静佳 >  


『………俺と、《白の街》はいつだってここにいる』
『……上手く使えよ……上手く、な……』


 

鈴成静佳 > (常世寮、女子寮。静佳の自室。21時)

(全裸の静佳が、ベッドの上でへたりこんでいた。下に脱ぎ散らかしたパジャマを敷いて)

……っは! はあっ、はあっ……。

(へたりこんだまま、荒い呼吸を続ける静佳。その傍らには、空っぽになった『変身したい!』のボトル)

……アタシ………戻って……これた……?

鈴成静佳 > ………っていうか、生きて、いる……?
(身体を動かさぬまま、自分の現状を反芻する)

(怪しいジュースを飲み干し、凄絶な苦痛を受け……死に……《白の街》へ……緑色の『人影』……)

(なおも胃がムカつく。これはまるで、「あの時」の繰り返し……)

(……守られた? アタシが? あのときも? 今も? 何者かに? 誰に?)

……異能、に?

鈴成静佳 > (汗まみれの裸体を持ち上げようとする。力が入らない四肢を奮い立たせ、何十秒も掛けて身体を転がし、仰向けになる)
……はあっ、はあ………。

(明るく輝く蛍光灯を見上げる。よくわからないが、アタシはまだ生きている。それだけは確かなようだ)
(しつこくつきまとう吐き気は勘弁願いたいが)

……上手く使うって……なによ……。

(火傷痕の残る左手を見つめ、弱々しくつぶやく)

鈴成静佳 > (以前、演習場で同じように《白の街》を認識したときと比べれば、体力の回復は早いように感じる)
(それは、その《街》で自分に親しげな「住人」に会えたせいだろうか)
(あそこにはやっぱり行きたくない。でも、あの「住人」とはまた会いたいかも。《異能》を名乗っていた、何者か……)

(腕に力を込める。胸が持ち上がる。やはり体力の回復は早い)
(腹筋も使って上体を起こし、腰を引く。……と、自らの下腹部に妙なつっぱり感を覚える)

……?

鈴成静佳 > (ベッドの上に座り、未だぼやけの残る視界で、自らの下腹部を確認する)
(海開きには少し間があるので、睦美ちゃんに剃ってもらったあとは手入れを怠っていたムダ毛ゾーン。ちりちりとした下毛が顔を見せつつある。剃らなくちゃ……)

(……その下、本来なら大陰唇の上端が見えているべき箇所。そこに、肌色のナマコがへばりついていた)
(直径3cm弱、長さは6cmくらいだろうか。自らの指よりも少しだけ太いそれは、先端にシュシュのように皮のたるみを飾っていた)

………???

(見覚えのない、しかし見覚えのある器官)

………な、なんじゃこりゃあああああ!!!!

鈴成静佳 > 【鈴成静佳、ふたなり化】
ご案内:「常世寮/女子寮、自室」から鈴成静佳さんが去りました。
ご案内:「常世グランドホテル34階」に正親町三条楓さんが現れました。
ご案内:「常世グランドホテル34階」に加賀背 雄さんが現れました。
正親町三条楓 > 入ってきた少女を見て核心する。
――やはり。

「こんにちは。『ホシノカミ』さん」

くすくすと笑う。

今日も使用人は居ない。
ホテルの一室は快適な温度に保たれており、調度品も高価だ。

加賀背 雄 > (ぎゅっとスカートの裾をつかみ、彼女の笑みに視線を床に落とす。
 恥ずかしさと後悔、そして…微かな何か。
 彼女から呼び出しがあったのはつい先日のことだ。
 目的は不明だけれど、 ”女装してくるように”と記された指示に
 抗うことなく、できるだけ可愛く見えるように準備。
 メイクも、服装もバッチリ。 自分には若干場違いなホテルの一室で、
 彼女の言葉にこくんと頷いた。)

正親町三条楓 > ソファーに座り、にこやかな顔で彼を見つめる。
肉食獣の眼光を隠そうともせず、その全身を舐めまわすように見つめ。

「――加賀背雄君。1年。
その正体は、『ドリームランド』管理人『ホシノカミ』。
ふふ、まさか、ですねぇ」

にっこりと笑う。

加賀背 雄 > はいっ…
(名前を呼ばれると、ビクリと体が震える。 自分の秘密を握っている彼女は、
 自分に何をさせようというのだろうか。 「なぜバレたか」なんていうセリフは
 いう必要はない。 自分がぬかったからに他ならないからだ。)

その、楓さん…どうしてボクを、呼び出したんですか?
(彼女の真意を問う。 イニシアチブを握っているのは彼女だけれど、
 自分にだって確認するくらいのことはできるはずだ。)

正親町三条楓 > 「ふふ、どうしてだと思います?」

にこりと笑うと。
ぴっとテレビを点ける。

そこに映っているのは、目の前の少女――『ホシノカミ』。
まるで視聴者を挑発するような際どい仕草をするのが、きちんと記録されている。
ネット配信されているだけあって、記録を探すのは容易かった。

「くす、こんな風紀の乱れた生放送をしているようですからぁ――ちょっと、お話を聞かないと、ねぇ?」

加賀背 雄 > これ、っ…保存、してたんですか…?
(彼女の笑いとともに、テレビに映る女装した自分…”ホシノカミ”。
 SNSの管理人として視聴者に出るときの姿だ。
 女装しているのは正体を隠すため…そしてきわどい仕草は、人を呼ぶため。
 ミルクアイスに舌を這わせる自分の姿は、いざこうして動画になってみると、
 とても現実感のわかないものだった。)

お話って言っても…なにもない、ですけど。 ちょっとこういう、趣味なだけですし。
(彼女の言う”風紀の乱れ”はそういった意味ではないのは重々承知である。
 理屈付けでしかないその言葉に抗うように、精一杯胸を張って答える。)

正親町三条楓 > 「私ではないですよ。
――あなたの大ファンだそうです。
ふふ」

にやぁと笑うと。
ゆっくりスマホを手に取る。

「『ドリームランド』。凄い人気ですよねぇ。
常世島のあらゆる情報の集積所。それだけでなく、『参加型』の情報サイト。
……委員会の人々の中にも、興味を持ってる方、一杯いますよぉ」

そう。
彼はこの島ではちょっとした有名人。
――彼の情報を欲しがる人間は、存外多いのだ。

「それに、このSNSの人たち――
自分たちの憧れの『管理人さん』が男だと知ったら、どう思うでしょうねぇ?」

加賀背 雄 > 大ファンって……そんなこと、言われても…!
(嬉しくない、と言おうとした途端に、彼女につきつけられる端末。
 そこに写っているのは”ドリームランド”…紛れも無い、自分が開発したSNSだ。)

…一人じゃ対応しきれないことがある。 島に来た人や、脅威に対応出来ない人とか…
そういった人たちのためにつくったんだ。 だから、いっぱい参加者が増えるのは、嬉しい。
(人が多ければ多いほど、網は広がっていく。 救える人間が増えるはずなのだ。
 まさに文字通り、苦しむ人がいない夢の場所を作れるはずだったのに。)

楓、さん…いったい、何をしようっていうんですか。ボクの正体を…なにに、使うんですか?
(もちろん、自分の趣味を理解してくれる人だっているだろう。 そうでない人だっている。
 いずれにせよ、順調にユーザー数を伸ばしているドリームランドに、管理人一人の趣味で
 波を立てたくないというのが本音だった。 彼女の煽るような言葉に抗うことができず、
 その場にへたりこみ、ぼんやりとした表情を彼女に向けて。)

正親町三条楓 > 「そうですねぇ、道は二つあります」

へたりこんだ彼を見つめる。
さて、ここからが正念場だ。

「ひとつは、あなたの正体を公表し、『ドリームランド』に各委員会の査察、指導が公式に入る事を認める事。
――風紀委員や公安委員は喜びますよぉ、電脳犯罪への対処が、しやすくなりますからぁ」

くすくすと笑う。
つまり――『ドリームランド』を委員会街に差し出せ、という事だ。
まぁ、飲まないだろう。飲まれても面白くない。

「もうひとつは――私個人に忠誠を誓う代わりに、私が内緒にしてあげる事、です♪」

加賀背 雄 > 道は、二つ……
(縋るような目で彼女を見やる。とはいえ、握っているのは彼女だ。
 人を除草させて呼び出すくらいなのだから、まっとうな条件ではないだろう。)

…”ドリームランド”は各委員会のメンバーも使用しています。 犯罪を示唆するような情報は、
きちんと此方から各委員会への提出と、使用者へのアカウント凍結をもって対応しています。
(1つ目への答えはNoだ。 確かに、委員会の連中からしたら喉から手が出るほど欲しいだろう。
 だけれど頷くわけにはいかないし、そのつもりはない。)

忠誠を、ですか…? ”忠誠を誓ったから、ドリームランドの情報を好きに閲覧させろ”とか言いませんよね。
(警戒せざるを得ない。 もちろん自分が彼女の好きにされるのは恥ずかしいけれど、
 自分のミスが招いた結果だ。 代償にしては安すぎるのではないか。 裏があるのかと不安げな表情。)

正親町三条楓 > 「私は式典委員ですのでぇ、『ドリームランド』にはまったく興味がありませんねぇ。
あ、式典委員会主催のイベントの告知くらいはしてくれると嬉しいですねぇ」

ちゃっかり提案。
こういう所は、彼女もきちんと式典委員なのだ。

そして立ち上がると、ゆっくり雄に近づき。
その頬に手を伸ばす。

「『ドリームランド』には手出ししませんよぉ。
――私が求めるのは、『あなた』が私に従う事、です」