2015/07/15 のログ
L > 街灯を反射しキラキラと煌くワックスがけされたボディが、エンジンの咆哮を歌声にアスファルトの上を踊り狂う。

だが、不意に歌は途絶え、速度計の針がゆっくりと下降を始める。
タイヤが路面をこする音が不満げに一度だけ響く。

助手席の少女は「ふぁ…」と退屈そうにあくびをする。
速度限界を超えるには敵が必要だ。
鳥が飛び上がるには、強く蹴るための地面が必要なように、それは必要なのだ。
「狂狂狂狂狂狂狂……」
すっかりスピードの落ちた外の景色をぼーっと眺めながらぶつぶつと何事かをつぶやいている。

秋尾 鬨堂 > だが、ここまでだ。
《彼女》の気まぐれは、やはり一人で御しきれるものではないらしい。
いつから居たのか、助手席に腰掛けたエル。

その脚はもうおしまい、とばかりに運転席にまで投げ出され。
物憂げに、もはや道の先は見ていない。

「―――今日は『乗れてない』ってコト、か」

悪魔を。伝説を活かし続けるのは、車体だけでも、ドライバーだけでもない。
コインの裏表のように。
同じ領域で走る、しかし悪魔とはまた異なるマシーンが、ドライバーがいてこそ――

一般車に溶け込み、ゆるゆると流す。
ミッドナイトは、朝へと変わろうとしていた。

ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)3」からLさんが去りました。
ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)3」から秋尾 鬨堂さんが去りました。