2018/07/21 のログ
ご案内:「◆嘆きの教会」にΛ1icθさんが現れました。
■Λ1icθ > 違反部活群の一画、昼間でも薄暗く見通しが悪い事に加えて
区画自体の環境が不安定で危険なため普段は人っ子一人いないその場所に
今は小さな駆ける足音と吐息、そしてそれとは異なる足音がいくつか響いていた。
その少女は今にも倒れそうな様子で走りながら
何かに追われているかのように少し焦ったような表情で何度も後ろを振り返り、
「っ!」
そんな薄闇を裂くように鳴り響く銃声。
同時に駆け抜けた閃光が身を掠め、ばっと赤い飛沫と建物の破片を散らした。
少女は肩を抑え、僅かに服を赤く染めながら身を掠めた弾丸を避けるように
建物の一つへと扉を体で開け、倒れこむ様にして入り込む。
……その場所は廃棄区域にしては静謐な雰囲気に満ちている。
古い教会のような様相だが説教台などは撤去され、床はいくつか穴が開き
連日の雨の影響か天井の至る所から室内に水が降り注いでいる。
少しだけ崩れた天井と、白い鳥を模った巨大なステンドグラスから降り注ぐ光が
柔らかく室内を照らし出していた。
「は……は……」
辺りを見渡した少女はそこで足を止めると
その身を濡らす雨を気にかけることなく、そのまま崩れるように床へと座り込む。
無音の空間の中に響く自らの呼吸と脈拍の音、降り注ぐ水音と
そしてそれに混ざる時計のような規則的な駆動音。
いつもとは違い少しだけ乱れたそれはやけに大きく聞こえた。
「……ぁは」
乱れた呼吸のままステンドグラスを見上げ、
少女は何処か楽しんでいるような表情を浮かべた。
「間に合った、かなぁ」
後ろから僅かに聞こえる足音に耳を傾けながら小さな声でつぶやく。
小さく不完全な体ではここまでたどり着けるかは不安だったが、
何とか追いつかれる前に彼女の舞台へとやってくる事が出来た。
■Λ1icθ > 彼女を追うようにその場所へやってきたのは男二人と女一人の3人。
女は白い弓、一人の男は長槍を、もう一人の男は大型拳銃を手にしており
それぞれの思い思いの制服に赤い腕章をつけていた。
この島に住まうものであればその腕章を見れば
彼らがどのような団体に所属しているかは明らかだ。
「あは、お嬢ちゃん、追いかけっこはおしまいかな」
けれど彼らの表情はみな一様に熱に浮かされた様な常軌を逸したようなもの。
彼らは座り込む少女を見るとその手に携えた武器の切っ先を彼女へと向け
更にその笑みを深くした。
「もう少し明るい場所に逃げればよかったのにね。
それとも雰囲気を重視したのかな?
まぁなんにせよ僕らにとっても都合がいいわけだけれど」
見た目以上に饒舌な雰囲気の一人が喋りながらゆっくりと近づく。
勝利と制圧を確信しているのだろう。
既にその表情は歪んだ欲を隠しきれておらず、投げ出された四肢に視線は流れていた。
その視線にさらされた少女は床に座り込んだまま、ゆっくりとぎこちない動きで振り返り、片目で眺める。
「……あぁ。つまんない」
そしてふと零すように呟いた。
未だ鼓動は落ち着かず、立ち上がるにも幾分の労力を要する状況だが
その声には先ほどまでの焦りは見られず、凪いだ湖の様に静まり返り無感情なもの。
■Λ1icθ > 彼らは皆「汚染」されてしまっている。
はじめは絡んできた近くの区画の住人だった。
トラブルのおこぼれにあずかろうと集まった他の住人達、
それに抗っているうちに騒ぎを聞きつけた風紀委員。
その何れもが抗う事なく「汚染」されてしまった。
「……無駄、だよね。ヒトってそういうもの、だものね」
本当であればそれらもすべて等しく愛する事が彼女の造られた目的だった。
主人、そして奴隷のどちらでもある彼女は
彼女が望もうと望まざろうと万人と自身の精神を歪め
愛し、愛されるお人形……のはずだった。
「追いかけてこなければ、少しは楽に終われたのに」
けれど彼女はその全てを拒絶した。
近寄るものすべてに与えたのは「近づくな」という命令。
それでも追いかけてくるものに対しては武器すら振るった。
「……無意味なのは私もだったね」
いくら汚染されていても普段は此処まで逃げ込めば、この辺りまで入ってくる者はいない。
この辺りは近隣でも特に安定していない場所として知られている。
特にこの建物周辺は”おねえちゃん”によって意図的に不安定に調整されている。
けれど、汚染された者たちの中にはここまでやってくることができる存在が居る事も十分考えられた。
そんな相手に姉ならともかく、戦い慣れていない者が勝てるはずもなく
此処に至るまではただ逃げ回る事しかできなかった。
「馬鹿ね、”此処で私に勝てるわけないじゃない”」
独り言のように呟きながら哀しい笑みを浮かべる。
そう、この場所はお姉ちゃんが用意してくれた私達の場所。
■Λ1icθ > 「……何を言ってるんだ?
大丈夫。ずっと可愛がってあげ……?」
大型の拳銃を構え、少女に最も近い位置に居た一人が足元を流れる水に目を落とす。
そこにはいつの間にか赤色が交じり……
その視線の先ではいつの間にか銀の柱が地面から”生えて”いた。
白銀のそれは後ろに立っていたはずの二人をいとも容易く貫いており、
貫かれた彼らのその表情からは声を上げる暇すらなかったことがうかがえる。
「……!?」
「さよなら」
同じ境遇を辿ると気が付くのがもう少し早ければ彼は助かったのだろうか。
残念ながら彼がそれに気が付いた時には既に地面から同様の槍が生えていた。
他の二人と同じように音速の槍に貫かれた彼は声を上げる事すらできず小さく息を震えて絶命し……
「……痛い」
それらの槍が砕けるように光に変わり、三つの物体が崩れ落ちると同時に少女もまた倒れ伏す。
水に打たれ張り付いていた長い銀色の髪が流れる水面に広がり、
”モノ”から流れ出る赤と混ざっていく。
■Λ1icθ > 「痛い……痛い痛い痛い……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
体を抱えうわ言のように繰り返しながら体を抱え声を殺す。
気が抜けたからだろうか。
全身が拒絶の影響の凄まじい激痛に囚われ始めていた。
「……ねぇ、何処に居るの?
”皆”なんかいらないよ
ほしいのは一つだけだよ。
ねぇ、何処に居るのかなぁ」
激痛の最中、ぎゅっと瞳を閉じると小さく零す。
こんな姿を見たら”彼”は嗤うだろうか。
……それはそれで、構わないのだけれど。
■Λ1icθ > 「……駄目。
弱音なんて、はいちゃ駄目」
数分後、少女は全身から水を滴らせながら半身を起した。
朱の混ざった髪の毛をゆっくりと手で漉き、よろめきながら立ち上がり、
暫く瞳を閉じて立ち尽くす。
「えっと……こう」
両手を広げるようについっと空に線を引き、宙に描かれた黒い線から
古い革のトランクケースを引っ張り出す。
それを抱えたままくるりと回転し、つま先でまた円を描く。
そのまま再度瞳を閉じると倒れ伏していた遺体がゆらりと立ち上がった。
それらはその円からいくつかの机と椅子を引っ張り出すとそれらを並べ
自身らもまるで眠っているかのようにそれらに腰掛け、俯いた。
「……えっと」
それを見届けると少女もまた椅子の一つに座り、トランクの中身を机の上へと並べ始める。
白い磁器の茶器や皿、白銀のケーキスタンドに少々甘みの強いケーキとクッキー。
まるで誰かを待つようにその場を整えると自身も人形の様に椅子に腰掛けたまま俯く。
少し癖のある濡れた髪の一部と肌に張り付いた服がいつも以上に陶器人形のような印象を強めており
僅かに上下する胸元と呼吸音、僅かに響く駆動音が無ければさながら人形館の展示室の一室のよう。
ご案内:「◆嘆きの教会」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 甲高いモーター音と共に、廃教会の前に滑り込む一台の乗用車。
ドアの部分に威圧する様に描かれた風紀委員会の紋章が、砂埃を浴びて僅かに霞む。
そのドアが音も無く開けば、中から現れたのは一人の少年。
眉間に皺を寄せ、僅かに思案する様な表情で廃教会の前に降り立った。
「…たかがスラム街での騒ぎの鎮圧に、何人人手をかければ気が済むのだ?通信にも応答しないどころか、現場を離れているなんて訳が分からん」
スラム街での騒ぎに対応していた風紀委員が行方不明。
その知らせを受け、偶々歓楽街への巡回に向かう途中だった己が自動運転の車に揺られながら此処まで足音を追いかけた。
念の為腰から異形を召喚し、腰から拳銃を引き抜いて古びた扉を蹴り開けて――
「動くな。抵抗は無意味………」
眼前に広がる光景に言葉を失う。
それは、ある意味では見覚えのある光景。静謐な廃教会の中で一際目立つ異質な空間。展示された蝋人形の様な『お茶会』へ、警戒心も露わにゆっくりと足を進め近づいていった。
■Λ1icθ > 降り注ぐ光と水の中、静止画のようなお茶会はまるで時間が止まったかのように
ピクリとも動くことなく静止していたが
「ん……」
蹴り開けられた扉の音にゆっくりと顔を上げ
少しぼやけた様な表情で首をかしげる。
その蹴撃の主が見知った相手であることに気が付くと
何処か完成された所作で笑みを浮かべる。
「……みつけた」
その声は何処か安堵と同時に獲物を見つけたかのようで。
■神代理央 > 「…成る程。道理で、あの3人が帰って来ないわけだ。貴様に魅入られた末に愚かな結末を遂げたのだろう。全く、馬鹿馬鹿しい」
笑みを浮かべる彼女と、俯いた状態で腰掛ける同僚だったモノに理解の色を讃えた視線を向ける。
そのまま、ゆっくりと用意されたお茶会へと足を進めていく。
かつての自分であれば、正気を失わまいと虚勢を張ったのだろう。或いは、彼女から情報を引き出そうと、様々な謀略を巡らせたのだろう。
だが、今はそんな事等どうでも良い。少女の『姉』との邂逅の末、己が出した結論は単純明快なものだった。
「まあ、こうして貴様を見つける事が出来たのは僥倖と言うべきだろう。丁度、甘い物が欲しいと思っていた所でな」
それは、捕食者として。簒奪者として。狂気に歪んだ獣として彼女に接する事。
理性の奥底では、この狂気から逃れようと藻掻く己も未だに存在する。なればこそ、どちらにせよ彼女を捕らえる事が必要だろう。
そんな僅かな葛藤と圧倒的な狂気に身を任せながら、用意された椅子へと静かに腰掛けた。
■Λ1icθ >
「あは、一応正当防衛、だとおもうの。
此処まで追いかけてこなければありすも手を出さなかったんだから」
自ら手を下したことをあっさりと肯定するような言葉を口にしながら立ち上がる。
未だ全身を裂くような痛みは続いていたが
それを微塵も感じさせないような軽やかな動きで一礼してみせた。
”愛すべき”対象を目の前にしたことにより多少和らいだこともあるが
彼女にとって今の痛みは二人には必要がないもの。
そうして小さなシュガーポットを手に取ると両手で差し出しながら微笑んで。
「甘いもの?沢山あるよ。
ぜんぶ、好きに口にしても大丈夫」
そうして濡れた髪を肩から後ろに流しながら近くの椅子に腰かける。
「……ん、少し変わった?」
暖かいティーカップを片手に取りながら何処か不思議そうな表情で目の前の”彼”だけを見つめて。
■神代理央 > 「正当防衛、か。いや、確かにそうなのだろうな。お前を見ただけで此処まで追いかけて来るような連中だ。そんな軟弱な連中等、暴徒とさして変わりあるまいよ」
かくいう自分も『堕ちた』側なので、彼等に対して僅かな憐憫の情はある。だが、抗えぬまま死んでいく様な弱者にはソレ以上の感情は無い。これも、かつての自分とは違う思考なのかもしれないが。
一礼し、近くに腰掛ける彼女を一瞥した後、何時もの様に悪趣味なまでに大量の砂糖をカップに注ぎ込んでかき混ぜる。
そのカップにゆっくりと口づけようとした時、彼女の言葉にふと動きを止めて―
「…変わった、か。そうだな。そうかも知れない。俺は、そこで出来損ないのマネキンになっている連中と同じ獣に成り果てた……いや、なりかけているといったところだ。だからこうして、お前を喰らいにきた。それだけだ」
不思議そうな表情の少女に少し新鮮な驚きを感じつつも、自嘲する様に肩を竦めて緩く笑みを浮かべる。
それは、結局のところ欲望のままに彼女を求めた3人と自分が大差ない存在だと言うこと。今この瞬間も、心の中で渦巻く貪欲な狂気を辛うじて抑え込みながら会話を続けているのだから。
その狂気を飲み込もうと、甘ったるい紅茶を静かに喉奥に流し込んだ。
■Λ1icθ >
「ファンが多いのは良い事かもしれないけどありす困っちゃう」
ファンというには若干被虐趣味に偏る傾向があるが
それに関しては”失敗作のなかの成功例”であるが故と言ったところ。
設計思想では崇拝に近い感情を持つように設計されていたはずだが、
どうしても強烈な独占欲を植え付ける結果となった。
…最も彼女にとっては大事な点は其処ではないのだけれど。
「マネキン?……ううん、違うよ」
一つの言葉に一瞬瞬くと
自嘲するかのような言葉を吐き出す口元にそっとひとさし指をあて、かぶりを振る。
「貴方は”特別”だもの」
そのまま身を寄せ、囁きが聞こえる距離で瞳を覗き込み、
見つめあった後ゆっくりと笑みを浮かべて
「世界でたったヒトリ、私がソレを赦す相手だもの。
だからね、君は特別なんだよ?」
彼女は何をとは口にしない。
けれど覗き込む瞳は言葉よりも雄弁に
その奥に潜む激情を提示するようで
「キミは我慢しなくていいんだよ?」
ひび割れた部分に染み込む様なそんな言葉を躊躇う事なく口にし、
視線を外すことなく見つめ続けながら小さく首を傾げて。
■神代理央 > 「……ファン、か。くくっ…お前を追いかけるのは、文字通り命がけの偶像崇拝ということか」
この異常で異様な空間で、思いがけない世俗的な言葉が彼女から告げられた事に思わず笑みを零す。
無論、死者まで出ている有様では笑い事に出来る様な話でも無いのだが、非日常の中に紛れ込んだ日常的な会話こそ、尤も異常なものでは無いかと思考が走りかけるが―
「…違わないさ。同じだ。お前に魅入られ、お前を奪い、お前を喰らう。そう望んでいるのだから、所詮俺も同じ。歪んでしまった只の弱い人間だ」
己を彼等と同じだと認める事が、最後の鎖だった。
狂気に歪んでしまったことは事実。だからこそ、それを認め、飲み込み、その上で辛うじて残った理性で彼女を求めれば良い。己がそういう下種な存在であると唾棄していた方が、その嫌悪感で理性を保つことは出来たのだから。
だが、唇に触れた彼女の指の感覚が。身を寄せる彼女から漂う甘い香りが。聴覚から思考を侵食する甘い声が。そして、視界を支配する彼女の笑みが。
――僅かに残った己を壊すのだ。
「……そうか。ならば、そうさせて貰おう。俺は甘いモノが好きだからな」
一体、己は何故彼女にとって特別なのか。
警鐘を鳴らし続けた理性が最後に走らせた思考もかき消えた。
ゆっくりと腕を伸ばせば、彼女を抱き寄せてその唇を強引に奪おうとするが―
■Λ1icθ >
「ありす気にしないよ?
あのヒト達が同じことしたら、ありす赦さないもん
でも君は違う。だから君は一緒じゃないよ」
歪んでしまおうと自嘲しようと、それを悪だと彼女は捉えていない。
というより彼女にとって特別であるという事は何においても許される免罪符に等しい。
「だから…ね?」
その嫌悪感も、罪悪感もその全てをも飲み込んで妖艶にそれは微笑んだ。
どのような歪んだ欲も、昏い感情も、倫理的理論も、彼女にとって特別であるという
そんな一言で全てが許されてしまう。それはある意味劇薬のようなもの。
「…ん、ふ」
抗う事なく身を寄せ、両手を頬に添え迷う事無く唇を重ねる。
幼げな見た目で積極的に貪欲に舌を絡め、唇を、互いの呼吸を貪る様は
背徳的でだからこそ何処か淫靡さを引き立てていた。
■神代理央 > 「…そうか。お前がそう言うなら、もう遠慮はいらんな。泣こうが喚こうが、俺が満足するまでその身を捧げろ」
だから、と妖艶な笑みを浮かべた彼女に、理性の鎖――最早鎖と呼べる程のものでも無かったが――は溶解した。
「…ん…は、ん…っ…」
彼女の舌を、吸い取る様に、味わう様に己の舌を絡める。
時折、彼女の口内に舌を侵入させれば、まるで砂糖菓子を舐め回すかの様に、貪る様に彼女の口内を舌で犯すだろう。
その一方で、抱き寄せる腕はより強く。その欲望のままに強く抱きしめる。
無遠慮とも言える様な荒々しさで、抱きしめた腕は彼女の背中を這い回った後、その美しい髪の感触を楽しもうと指を絡めるだろう。
■Λ1icθ >
「うん……いいよ?」
ほぼ即答と言っても良かっただろう。
ある意味悪魔の契約のような命令じみた一言に躊躇もなく自らを差し出す。
どちらが「アクマ」であったのかは意見が分かれるかもしれないが、
それでも確かにお互いを貪る様な契約はなされ……。
「…は、ぁぁ」
返事のために一瞬離れた口元を繋ぐ銀糸もつかの間再び貪るように唇を重ねつつ
背中を這う腕の感覚に悦ぶかのように甘い声と吐息を吐き出し身を震わせる。
その背中を覆う長髪は水分を含んでもなお絹糸のように滑らかなままで
濡れた肌に幾分か張り付くそれはいつも以上に何処か大人めいた雰囲気を醸し出していた。
■神代理央 > 彼女から差し出される全てを、貪る事に決めた。
それは、ある意味で永遠に満たされる事の無い欲望に絡め取られたのと同義なのだろう。
彼女は此方が望めば全てを差し出すだろう。そして、己はそれを全て貪るのだろう。一度貪った後に訪れる、強烈な飢えに苦しむ事になったとしても。
「…感度は十分な様だな。その方が、此方も喰らいがいがあるというものだ。人を狂わせてくれたのだ。お前も、多少は快楽に狂って俺を愉しませろ」
ゆっくりと唇を話し、己の這い回る腕に声を上げる彼女に目を細める。
彼女の長髪は、永遠と戯れていたくなる様な滑らかさを持ち、その髪を絡める己の指は、その感触を楽しむ様に複雑に動き回る。
やがて、その指は彼女の長髪から耳元へと伸びてゆき、その柔らかさを確かめようと擽る様に耳に触れようとする。
そうしている間に、昂ぶって下衣の中で張り詰める己自身を、無意識に彼女の身体に押し付けようと僅かに身じろぎする。
もはや、全身で彼女を求めようとしている様は、本当に彼女を食べてしまいそうな獣の如き有様なのだろう。
■Λ1icθ >
未来のことなど考えなければこれはとてもとても”甘い”契約なのだろう。
未来の飢えを対価に、何処までも啜り、貪りつくすようなそれは
きっと、それを知らなかったころとは決定的に何かを変えてしまう。
……けれどそれがなんだというのだろう。
「ひぅ、ぁ」
抑えるような声が耳に触れた時に漏れた。
既に腕の中でその体は温まっており、表情も、
濡れた布地越しにうっすらと見える体もすっかり紅潮しているようで……
普段は陶磁器のように白く血の気の無い冷たい体が
暖かく熱を帯びたような様を見せるというのは
とても分かりやすい変化だろう。
「狂わせて、ぁ、くれ、るのでしょ?」
焚きつけるままに甘い声を響かせながら
その合間に抗議のような言葉を吐き出しつつ身を寄せる。
片手は彼の首元へ。もう片方は首元から肩、脇腹を撫で、
焦らすようにそして彼自身へと至った。
布越しでも張りつめている事が分かるそれを
先端を転がすように手の中でゆっくりと撫で、
腕の中で不規則に悶えながらそれはとても無邪気な笑みを浮かべる。
■神代理央 > 彼女の耳を弄んだ指が、するりと動いて頬を撫でる。
紅く染まった彼女の頬を、まるで割れ物を扱う様に、そして愛おしげに掌で撫でるだろう。
それは、僅かにでも彼女の挺身に報いようとしたのかもしれない。或いは、愛し方も愛され方も知らぬ己が、純粋に彼女の愛を求めた故の行動だったのかも知れない。
尤も、そんな資格が己には無いだろうと僅かに唇を歪めれば、頬を撫でていた手をゆっくりと手を離して―
「勿論だとも。お前が壊れるまで、何度でも何度でも狂わせてやろう。お前は、俺のモノなのだろう?」
頬から離れた手は、そのまま彼女の胸元へと伸びる。左手を彼女の腰にまわしてその身体を支えつつ、右腕は幼い身体を蹂躙する様に胸元を弄るだろう。
「…っ、く…。多少は、男を悦ばせる術も知っている様だな。ならば、都合が良い。その小さな手で何処まで出来るかは知らんが、俺を満足させてみせろ」
首元から下りていく感覚に小さく身を捩った後、下衣越しに自身へと触れる彼女の手の感覚に無意識に声が漏れる。
その掌に押し付ける様に腰を動かしながら、僅かに熱の籠った吐息を吐き出して笑みを浮かべる彼女に獰猛な笑みを返す。
■Λ1icθ > -----------続きはWeb……ではなく後日-----------
ご案内:「◆嘆きの教会」からΛ1icθさんが去りました。
ご案内:「◆嘆きの教会」から神代理央さんが去りました。