2019/03/03 のログ
ご案内:「屋上」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 休みが潰れた──

昨日今日と休日を謳歌する予定だった俺の目論みは、朝の電話一本で見事に崩れた。
どうやら当直の先生がインフルエンザでダウンしたらしく、代理として俺に白羽の矢が立ったという経緯。

『暁先生、昨日も休みでしたよねー』
「いや、でも、実は予定は両日入ってまして」
『昨日学生通りで大変暇そうにしていたという話を聞いてますー』
「あっはい、行きますよ行きゃ良いんでしょ。」

そんなやりとりがあり、俺は休日出勤を余儀なくされ、こうして一通りの業務を片付けて屋上でサボタージュ……
……もとい、次の見回り点検の時間まで暇を持て余している、というところ。

「今日働くために平日に頑張って仕事片付けたわけじゃねーんですよ俺ぁ。」

暁 名無 > ぶつぶつ愚痴を零しながら自研究室から持って来た缶ビールをあおる。
休日出勤のいい所は、多少の悪事を働いても人目に着かない所だろう。
だからこうして仕事中に飲酒しても誰にも咎められない。そう考えれば、休日出勤も中々悪くない。

「とでも思ったか、ばーかぁ。」

愚痴が一線越えて罵倒となり酒気帯びた吐息と共に吐き出される。
だってしょうがないじゃない。働きたくないよこんな春先の休日に。

「うぅ……今週どっかで有休取ろう……」

その為には今日中に授業の準備を済ませなきゃいけないわけで。
プラマイゼロな状況にビールが進む進む。

暁 名無 > 「にしても……もうちょっと静かだと思ってたんだけどな。」

遠くから生徒たちの歓声が聞こえる。
グラウンドや教室の一部で絶賛部活動中の生徒たちだろう。
教室を使っている部活動の中には、暖かくなったからか窓を開けているところもあった。
その生徒たちの声が、風に乗って屋上まで届いてくる。

「……良いねえ、青春だねえ。」

そんな事をぼやきつつ、俺は空になった缶を地面に置く。
流石に昼間から職場で500の缶ビール一本空にしてるのは拙いんじゃないか、と今更ながら思い始めて。

暁 名無 > 「ふぅー……一服しとこ。」

いい感じにアルコールも回ったところでタバコを取り出し、咥える。
学校の屋上で酒飲んでタバコ吸うとか学生だったら一発で退学処分だけど、俺は教師だから大丈夫なのだ。
いや大丈夫じゃねえな。普通に懲戒免職だな。

「学校クビにされたらどーこ行くかねえ。」

なんて寝言をのたまいつつ、春の空へと煙を吐き出す。
もう3月なんだよなあ、と昨日も口にした気もするけど、何度だって呟いたり。

暁 名無 > 「さて、そろそろ時間かねーっと……あ、やべ。」

スマホを取り出し現在時刻を確認してみれば、思っていたよりもだいぶ休憩し過ぎていた。
酒気が抜けるまで日向ぼっこしようか、なんて考えている場合でも無く、俺は慌てて空き缶を潰してポケットにねじ込む。
これは後で研究室のゴミ箱に捨てよう。じゃないと無辜の学生に被害が及びかねない。

「はぁー……働きたくねえなあ。」

しみじみと胸中を吐露してから、俺は校舎へと戻るのだった。

ご案内:「屋上」から暁 名無さんが去りました。