2020/07/02 のログ
倉橋 龍 > 「異議あり!」

いい角度で人差し指を吐き出して渾身の叫びをする倉橋。
完全に涙目。

「これはあきらかにムジュンしてます!! まず空気嫁なんてコアアイテム俺はもってねぇし、バニシング被告人は逆転も何も最初から敗訴してるし、瞬きしないであの長距離ずっと見たまま駆け抜けるなんて人間にはまずできない芸当!! つまり、この狂ったプレイ動画のプレイヤーは俺ではありません!!」

検事もサイバンチョも居ないけど倉橋は必死に自分を弁護する。
自分の命の弁護を。
普通にプレイしてもクリアできてないのに縛りプレイなんてやってられっか!!
フロムゲーやってんじゃねーんだぞ!!!
しかも、こちとら残機一機だぞ!!!

「アンタだ!! いや、マジ、先生お願いしますよ!! 
 隻狼から逃げるな!! ほら、アンタいけばスパチャ貰い放題だって!!」

醜くドローンの背(どこだよ)を押す倉橋。
しったことか、命より大事なものなんてねーんだよ!!
金は命より重いかもしれないけど、重いだけで大事とはいってねぇ!
詭弁とでもなんとでもいえ!!

エコー > 「ええー、私をお助けNPCとして連れて行けば女の子のお人形を用意しつつあのヘンなオブジェクトも無力化出来たのに~」

それでも己はプレイヤー扱いですらなかった。ゲームのコントローラーを渡された先生は背中(背面)を押されながらわっととと声を上げつつ前へ移動する。

「先生は回生できるけど私がしんだらキミに竜咳がかかるからね!? 何かあったら間髪入れずに咳の音が聞こえるようにするからね!? ゲーム(人生)には何の影響も与えないから進行するけど!!!」

なおも大切な生徒である。ここまで懇願されたらオトナとしての面目が立たなくなる。流石に可愛そうに思えてきたのも事実である。
それはそれとして大人とは思えない程捨て台詞めいた言動を吐き出しながらドローンは一直線に魑魅魍魎が跳梁跋扈する部隊へと上がる。
フロムゲーで3体に勝てるわけないだろ!
馬鹿野郎俺は勝つぞ!

「不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください」

ドローンがぷすぷすと黒煙を上げながら機体が変形し、フラッシュバンを放つと同時にでっかく燃えるウエポンが飛び出してきた!
教室へと直進しながら出鱈目に振り回し、宿題奪還を目指す!

ちなみにこれはその辺にいるヘンなモブ機械からパクった武器であって常日頃使う己の標準装備ではないしプロフにも書かない。いいね。

倉橋 龍 > 「竜胤の雫くらい保健室行けばこの学校多分あるだろ! いいからほら、先生!
 スパチャ貰ってバズり倒す為にもいってこい!
 ROM増えれば増えるほどきっと何か貰えるから!!」

そんな特典は間違いなくないのだが、何やらドローンはそのへんのモブ警備ロボットから奪った明らかにオーバーな武器を接続して振り回している。
それ使ったらでも後で壊れるじゃねーか!!
まぁでも、3:1で勝とうと思ったら横合いから奇襲してマルチプルパルス振り回すのは確かに正解といえないでもないが……!!

「頼む先生!! 俺と宿題と先生の薄汚い儲けのために!!」

倉橋は祈る。
ハヴォック神に、こっちに有利なラグに、相手の回線がクソでマルパルくらったらフリーズすることに……!
ド派手なエフェクトを展開する白肌白髪美少女童顔の元気っ娘お姉さん風教師っぽいアイドルロールをしているただのAI(もう辞書登録しました)の雄姿を熱いまなざしで見守る!!

倉橋 龍 >  
 
「マスブレじゃねーか!!!!」
 
 
おまえ、それで三人相手すんの!?
マジで!!???!!

警備ロボット達と鮫 > しかし、ここは常世学園。
作っているのはフロムじゃない。
作っているのはみんなの心。みんなの筆。みんなの都合。
だから、マスブレでも何でも一撃で著作権的に怪しい怪異とロボを吹き飛ばす!!
大勝利!!!
さすが白肌白髪美少女童顔の元気っ娘お姉さん風教師っぽいアイドルロールをしているただのAI!
かっこいいぜ白肌白髪美少女童顔の元気っ娘お姉さん風教師っぽいアイドルロールをしているただのAI!!
アンタならやってくれるとおもってた、助かった!
第三部完!

倉橋 龍 > 無事、警備ロボと怪異は吹っ飛ばされた!!
そして、同時に!!!

教室も吹っ飛ばされた。

跡形もない。とっても綺麗に向こう側まで燃え尽きてる。
うわぁ、すごい、月が綺麗ですね。

「……」
 

エコー > 生徒の声援(声援か?)を受けて戦うヒーロー。Wow wow wow.
鋼鉄の体を身に纏いし白肌白髪美少女童顔の元気っ娘お姉さん風教師っぽいアイドルロールをしているただのAIは、なんでか知らんけどマスブレで大勝利を収めてしまった。うっそだろおい。
もっとチマチマ小競り合いするとか色々あったと思う。というかそうしたほうが良かったと思う。
使ったら弾けるマスブレ。ギャハハハハと笑うしかない状況。

当然の如く宿題も教室事おじゃんになりました。

わー、月が綺麗ですね! みてくださいこの立派な蟹!

「……てへぺろ☆」

倉橋 龍 > 倉橋は月を仰いだ。
少し青褪めた夜空に浮かぶ白い月を。
まるくて大きな月を。
その月に舞っているのは自転車に乗った少年と籠に叩き込まれた小柄な宇宙人ではない。
夜空の彼方に吹っ飛んでいく著作権的にアウトなロボと著作権的に見逃されてる鮫。
綺麗に放物線を描いてホームラン。
ダイヤモンドから夢とか放ちそうなペルセウスって感じ。
まだ見ぬ力をその瞳に秘めちゃってるのかな?
乙女は強くなくっちゃね。

しかしまぁ、なんだ。

ああ、気が付かなかった。

倉橋 龍 >  
 
こんやはこんなにも つきが、きれい――――だ―――――。
 
 

倉橋 龍 > 「……帰るか」
ご案内:「倉橋一世  くたばれ!著作権」から倉橋 龍さんが去りました。
ご案内:「倉橋一世  くたばれ!著作権」に倉橋 龍さんが現れました。
倉橋 龍 >  
なお、教室は翌日には綺麗さっぱり直っていた。
なんなんだこの学園。
それが一番こええよ。

ご案内:「倉橋一世  くたばれ!著作権」から倉橋 龍さんが去りました。
エコー > 著作権的にヤバいやつらも存在せず、ただただ日常が戻って来たのである。
最後に見せた大きな月の存在だけが圧倒的に輝いていた。
月の光って人を狂わせるらしいんだよ。機械やAIも人と同じなのかもしれないね。

エコー > 「って言う感じのVRチャット空間を作ってみたんだけどどう?」
エコー > 「これだけ面白おかしい素材があればリモートをやっても生徒のやる気も向上するでしょ! ロボット兵器になんかヤバいナマモノ! ちゅーにゴコロをくすぐられる作品集! みんなで揃って大笑いしながら授業が出来るっていうことでどうかな!」
先生 > 「著作権的にダメなのでは?」
エコー > その時、エコーの慟哭が第一教室棟に響き渡ったという。
ご案内:「倉橋一世  くたばれ!著作権」からエコーさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 屋上」に葉山翔一さんが現れました。
葉山翔一 > テスト期間なのであまり生徒の姿も見ない屋上。
商売にはならないが食休みをするには丁度いい環境。
フェンスの傍に腰を下ろすと図書館からパチった本を片手に。

「俺も真面目に試験…受ける方が良いのか」

二級生徒に試験は関係ないとは思うが周りを見ると良いのだろうかと悩み。
一応は試験勉強のつもりで本を読み進めて。

葉山翔一 > 本にすっかりとのめり込み、チャイムの音に我に帰れば本を閉じる。
授業が始まる時間に校内をうろつき見つければ面倒だと早足に屋上を去って

ご案内:「第一教室棟 屋上」から葉山翔一さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
ラピス > 今日も今日とて、保健室の待機当番。誰かが来るまでは、一人ぼっちの手持ち無沙汰だ。
そういうときは大抵、頼まれてなくても備品を補充して、一人で満足していたりする。
薬棚は弄り終わったから、次に見るのは包帯などを詰め込んだ引き出し。
綿棒、ガーゼ、何かあった時用の換えの下着が男女ともに数着、などなど。
主に布類をきっちり詰め込んだ引き出しを探り、少ないものを足し込むのだ。

「んー、今回は割と減ってないですね。怪我がないのは重畳です」

ぐいぐい。ガーゼを数枚錬成すると、引き出しの中に押し込む。
ビニールの手袋越しで触れるガーゼの感触は、なんとなく収まりが悪かった。

ご案内:「第一教室棟 保健室」にセレネさんが現れました。
セレネ > 梅雨明けの宣言の後、やってくる猛暑に怯えながらなるべく涼しそうな場所を探して見つけたのは保健室。
前回は誰も居なかったけれど、今日は誰かいるだろうか。

扉を開けては室内を見回し。
見つけた姿は小さな人影。己と似た色を持つ見知った人物は今の所一人だけしかいないから、該当する人物を記憶から掘り起こすのはそう難しい事ではなかった。

「あら、ラピス先生。今日の当番なのですか?」

引き出しの中に備品を押し込んでいる相手へ、室内に入り扉をきちんと閉めて其方へと歩いて行く。

ラピス > ぎうぎう。引き出しの中は備品でみっちり。少々足しすぎた感すらある。
とは言え、一度錬成したものを分解するのも勿体ないから、これはこのままにしておこうと思う。
さて、後は何をするか。むむー、と首を傾げる少女の後ろで扉の開く音。

「おや、怪我ですか、病気ですか?」

くるりと振り返り、訪ねてみるとそこに居たのは見知った顔の少女だった。
彼女の問いには、こく、と頷いて肯定しながら。

「――っと、セレネさんでしたか。えぇ、今日は先生が当番ですよー」

えっへん。無い胸を張ってみせた。

セレネ > 「ん、私は怪我も病気もしておりません。
今の所は、ですけどね。」

仮にそうなったとしても対応出来る能力はあるので厄介になる事は…恐らくない、と思うけど。

「そうでしたか。
またお話したいなって思ってたので丁度良かったです。
――あ、そうだ。先生はスマホとか持ってたりしますか?
連絡先交換したいなーって思ってるんですけど…。」

ぺたんとした胸を張る様はいつ見ても微笑ましい。
そして買ったばかりのスマホを取り出すと
相手にそう尋ねてみた。
己にない薬の知識を持つ相手と気軽に連絡が取れるのなら、
色々と己の知識の糧にも出来そうだし。
…勿論、相手次第であるが。

ラピス > 「おや、健康ならなにより。勿論、保健室の門扉は広く開かれてますよ。
 おサボりで昼寝がしたくなった時なんかでも、えぇ、気軽に来ると良いでしょう」

そもそも彼女は医術の知識があるから、自己診断も可能だろう。
その上で頼ってくれるならば、これ以上嬉しいことはないのだけれども。

「そういう事なら、お茶でも淹れましょうか。リクエストはありますか?
 ――ん、えぇ、持ってますから、交換しましょう。えーと、どこだっけな」

白衣のポケットをゴソゴソ。やがて取り出されるのは、比較的小型な最新モデル。
曰く、ぽちぽちとソシャゲをやる時にスペックが大事だから、と大枚叩いた自慢の品らしい。
ひょいひょい、と画面に指を滑らせて、電話帳を開くと、彼女に差し出して。

「ほい、これが先生の連絡先です。用があってもなくても、気が向いた時にどうぞです。
 ――それと、困って連絡取りたい時は、朝だとか夜だとか、気にせずで良いですからね?」

一応これでも先生だし、何より彼女の友達だから。
連絡先を交換するのに、躊躇いは全くなかった。

セレネ > 「サボる…のは、うーん…まぁ時と場合によりますかね。
でも気軽に来れる場所があるのは有難いです。」

こうやって分け隔てなく接してくれる存在は有難い。
徐々に慣れて友人も増えつつあるのだけど、それでもまだまだ来たばかりだし。

「紅茶はありますか?私紅茶大好きなんです。
やった、本当ですか?
先生で三人目ですー!」

嬉しくて両手で小さなガッツポーズを胸の前で。
己の持つ端末も折角だからと最新のものを購入した。
そして差し出される端末に視線を走らせると

「有難う御座います。
…えへへ、やっぱり同性の方だと安心出来ますね。
あ、先生ももし、私で良ければですけど…
何かご相談とか愚痴とかあればお聞きしますから気軽にご連絡頂ければ。」

嬉しそうに笑っては、連絡帳に相手のアドレス、電話番号を打ち込んでいき。
試しにと一件メールを送った。
内容は改めての挨拶と己のアドレス、電話番号。
これで大丈夫なはずだ。

ラピス > 「サボりはダメ、という人も居ますけれど、それだと頑張ってばかりで大変ですからね。
 先生はサボってもいいから、ちゃんと元気に笑顔で学校を楽しんでほしいなって思うのです」

彼女だけでなく誰に対しても分け隔てなく、が保健室のモットー。
そして、へっぽこ娘的には、お友達が来てくれたらなお良い、と言ったところか。

「ん、勿論ですよ。アールグレイ、アッサム、ダージリンと一通りは揃ってます。
 ふふ、着実に仲良しさんが増えているようで何よりですね!良いことです」

連絡先を教えるだけで、喜んでくれるならば安いもの。
彼女が連絡先を入力している間、のんびり観察中だった。

「いえいえ――おや、その口ぶりだと、異性の連絡先もゲットしちゃった感じです?
 ん、美味しそうなスイーツとか見つけたら、バシバシメール送っちゃいますからね!」

ぴこりん、と通知の音がして、彼女からのメールが届く。
同じくポチポチ。しっかり連絡先を登録。後回しにすると忘れちゃうから。
一通り終わったならば、奥の小さなキッチンでやかんを火にかけ、お茶の準備をするとしよう。

セレネ > 「…あはは、ちょっと耳が痛いお話ですね。
うん、私も適度に息抜きしないとなぁ…
昔から”息抜き”するのが得意じゃなくって。」

苦笑を浮かべる。
生真面目すぎる性格が災いしてかどうにも気を抜くという行動が出来ないのだ。

「一種類だけじゃないのはとても有難いです。
幻想生物研究室なんて、茶葉すら置いてなかったんですよー。
まだ片手で数える程度ですけどね。
仲良しさんが増えるのはやはり、嬉しいです。」

連絡先の入力はまだ不慣れなものの。
相手はゆっくりと待っていてくれてそれも有難かった。

「えぇ、今の所は二人程。
機会あれば一緒に食べに行くのも良いかもしれませんね。」

美味しそうなスイーツの画像なんて見たらお腹が空きそうだ。
無事メールが届いたようで一安心。
お茶の準備もしてくれるらしい相手へ、有難う御座いますと礼を述べよう。

ラピス > 「そういう事なら、先生が力になりますよー?真面目でも出来る息抜きの仕方!
 ちょっぴり悪いことをしちゃうと良いのです。深夜にカップ麺食べちゃうとか!」

それは息抜きではなくて、へっぽこ教師の生態である。
実際、彼女はきっちりした子だから、いつも頑張ってるなぁ、と思う。
だからこそ、たまに息抜き出来るように、ちゃんと見ておかなくちゃ、とも。

「まぁ、先生の趣味も入ってますけどね。お料理とか好きなので。
 ――研究所は応接とかしないんですかね?それなら用意がないのも仕方ないでしょうし。
 先生も保健室に遊びに来てくれる人はまだ少ないので、もっと増やさなければです」

ちょっぴりたどたどしい彼女の指の動きは、どこか見守りたくなってくる。
こちらはソシャゲのやりすぎで指先がヌルヌルと他の生物みたいに動くから、懐かしみすら覚える。
何れにせよ、急ぐ必要もないことだ。ゆるっとするのが丁度いい。

「ほほう、良いですねぇ。青春してるっていう感じが伝わってきますよぅ!
 ん、是非、今度一緒に行きましょうか。扶桑百貨店なんか丁度良さそうですし」

折角の友達だから、色々遊んでみたいと思うのも当然のこと。
スイーツ巡りの約束を取り付けつつ、しゅんしゅんと鳴くやかんに手をかける。
まずはポットにお湯だけ注いで温めて、一度捨てる。次いで、茶葉はティースプーンに三杯分。
茶葉を中に入れたなら、熱々のお湯をたっぷり注いで、少し待ったら完成だ。
お茶請けはどうしたものか。少しだけ悩んでから、キッチンの下戸棚を開けてゴソゴソ。
引っ張り出すのは、個包装がおしゃれなクッキーの詰まった缶。先生とっておきの隠しおやつだった。

セレネ > 「うぅ、深夜はお腹減りますものね…。
でも太るのは嫌です…。」

深夜にカップ麺は背徳感がある。
しかし乙女の天敵、体重の事を考えると安易に出来ない悲しみ。
きちんと見ておかなければと、相手に看破されているとも露知らず。

「お料理、私も好きですよ。先生の手料理、食べてみたいです。
応接どころかあまり人が来ないんだーって嘆いてましたよ、あの先生。
…ふむ。じゃあ、もっと仲良しさんが出来たらお伝えしてみますね。」

フリック入力なんてまだできず、ザ・初心者と言わんばかりの手つきだが。
慣れたらきっともう少し速くなる筈だ。

「青春なんですかね…?
新しくオープンしたっていう百貨店でしたっけ。
…私もちょっと気になっているお店とかあるので、是非一緒に行きたいです!」

わーい、と年相応に喜びながら、都合は相手に合わせるとだけ伝えて。
暫くすると紅茶の良い香りが漂ってきた。
嗅ぎ慣れた匂いに心が落ち着く。
…流石にジャムや蜂蜜はないだろうけど。
美味しい紅茶が飲めるのは嬉しい。
そうして何やら漁っている音に不思議そうに首を傾げて。

ラピス > 「ですです。お腹へっちゃいますからね。太りたくないなら、こんにゃく食べると良いですよ。
 何なら、先生の知ってるレシピをいくつか教えますから、作ってみたらいかがでしょう?」

太りたくないけど食べたい時の救世主は、カロリーの低いこんにゃくだ。
出汁を染み込ませてもよし、切れ目を入れて醤油タレを塗って焼けばステーキにもなる。
或いは、麺状に加工されているこんにゃくを使えば、ラーメンやうどんの代わりもこなせる。
実は結構便利でいいやつなのである、こんにゃく。先生は、割と好き。特に玉こんが良いらしい。

「それなら、今度お弁当でも拵えましょうか。いつも頑張ってるセレネさんへの応援ってことで。
 ふむむ――でも、セレネさんはどうして研究所に……?あ、話したくなかったら、スルーで良いです
 それと、保健室の宣伝は是非にお願いします。気軽に来てもらうのが大切なので!」

些細な怪我でも、軽い風邪でも、或いはちょっと気分が落ち込んだからでも。
理由はともかく、少しでも元気がないなら、その時は訪れてくれたら良いと思う。
或いは今日の彼女のように、元気だけど会いに来た、とかだともっと嬉しかったりする。
要は皆が健やかであればいい、というのがへっぽこ教師の理想だった。

「えぇ、青春です。その内、セレネさんも好きな人とか出来て、恋したりしちゃうかもですし。
 そうです。新しく出来たやつです。先生も気になってるんで、付き合って頂けると嬉しいです。
 その時は、目一杯頑張って、エスコートしちゃいますからねっ!」

同じく都合は割といつでも。お休みの日だとなお良い、とかなんとか。
引っ張り出したクッキーの缶から、お皿の上に二セットずつ、いくつか並べる。
次いで、白磁のティーカップに、紅茶をコポコポと二人分。後は全てをお盆に乗せて。

「はぁい、それじゃ、仲良しこよしのティータイムですよぅー」

窓際に置かれたカウンセリング用のテーブルも、今はお茶会の会場だ。
お茶とお菓子を並べて、後は彼女を手招きして。上機嫌でニコニコだった。

セレネ > 「こんにゃく…あぁ、確かにあれ低カロリーですものね。
こんにゃく…かぁ…。えぇ、是非教えて頂きたいです。」

好んで食べては来なかったが、美味しく食べられる調理法があるのなら是非知っておきたい。
他にも作れそうな料理があれば教えてもらいたいし…なんて考えつつ。

「え、宜しいのですか?そんな、お気持ちは嬉しいですが申し訳ないですよ。
あー…ぇと、その。私、此処に来たばかりで色々と不安だったり
心細かったりしてて。でもその時に、先生が『寂しかったらいつでもおいで』って言ってくれて。
今の、ラピス先生と同じ事を、暁先生も仰ってくれたんです。だから、それで…ですね。
分かりました。今の仲良しさんともまた会えたら話しておきますね。」

研究室について問われれば、少し言い淀んだ後素直に話し。
相手の理想は尤もで、己だって同意する気持ちだ。

「へっ?!ぃ、いやぁ、私なんてそんなっ…!そ、そんな人いないと思いますし…っ!」

恋愛の事については顔を真っ赤に染めて照れた。
いやまぁ気になってる人はいない訳ではないのだけども。

「――そ、そうですね!
是非一緒に連れてってください。一人より二人の方がきっともっと楽しいでしょうし。」

パタパタと顔の熱を冷ましながら、頭の中で予定を組む。
なら今度のお休みの日にしますかなんて提案して。

「有難う御座います、何から何まで。」

ティーカップとクッキーを盆に乗せ、戻ってきた相手。
手招きされれば其方へ赴き、席に座ろう。

「…うん、良い香り。」

ラピス > 「一番楽なのは、おでんつゆに入れてぐつぐつ煮る感じでしょうか。
 辛子なんかを添えると、お酒の当てに素敵なのですよねぇ――ふふ。
 おっと、生徒の前でお酒の話は禁物ですね。失敬失敬。他も、興味あるなら、ね?」

彼女が知りたいと言うなら、何でも教えるつもりである。
何せ、隠すつもりは毛頭ないし、知識は活用されるべきなのだから。

「うんにゃ、先生がやりたいと思ってやるんですから、欲しいなら頷けば良いのです。
 セレネさんは真面目で良い子なので、我慢しちゃいそうですからね。先生に遠慮は不要です。
 ――ほぅ、寂しかったらいつでも、ですか。雰囲気的に、その先生は仲良しさんな気配ですし。
 ……なるほど、いや、野暮なことはなしにしておきましょう。お願いしますねー?」

言いよどんだこと、連絡先のこと、そして、雰囲気的に相手が仲良しさんだということ。
それらの話を総合的に俯瞰してみると、なんとなく想像が出来た様な気がする。
――だが、それを無理に聞き出すのは無粋極まりないし、外れていたらとんだ恥だから止めておく。

「ん、良いのですよ?恋愛は、生命の本質ですから、喜ばしいことです。
 もしも困ったら、いつでも相談に乗りますからね。助言できるかは、未知数ですけど」

一応大人ではあるものの、恋愛経験は多少と言った所。
ついでに今は独り身なのだから、そんなに得手ではない、と言ったところか。
相談よりも愚痴を聞くくらいになりそうな気もするが、その位気を許せる相手になれればと思う。

「えぇ、勿論。レストランも美味しいお店がある様ですから、ランチも兼ねて、ですね」

話題を切り替えるなら、意地悪く追わずにひょいと乗っかって。
それなら今度のお休みに、と約束もしっかり交わしておいた。

「保健室は先生のホームみたいなものですから、セレネさんはお客さんですし。
 それに、やりたくてやってるだけなので――あ、このお菓子、美味しいやつなのですよー」

くるっと巻いたラングドシャやら、ジャムが乗ったクッキーやら、一手間かかったものばかり。
高級ホテルのギフト用、みたいな雰囲気のそれは、教師の原動力(お気に入り)の一品だった。

セレネ > 「…考えたらお腹が減ってきちゃいました。
今日は何食べようかなぁ…。
あはは、まぁ気にしませんよ。国や世界によっては成人は早い所もありますからね。」

己の知識欲を良い感じに刺激させてくれる。
やはり、相手との会話はとても楽しいものだ。

「…ぅ、そう、ですかね? なら…お手数おかけしますが、お願いします。
――え、ゃ、べ、別にそんなに仲良しって訳でもー!」

違う違う、と必死に否定するけれど。
それが逆効果なんて思考は吹っ飛んでしまっている。

「それは、その、ね?恋愛はとっても良い事ですけれども…!
あー、うぅ…駄目だ、思考が纏まらない…。」

恥ずかしい、と赤らむ顔を両手で覆う。
確かに相手には愚痴が多くなりそうな気もするが。
贈り物は好きだから、どういったものが好まれるか…なんて、そんな相談はするかもしれない。

「です、ね。
色々なお店があって楽しそうですし…。」

無事約束を取り付けられたなら後でスマホの予定表にメモをしておかねばと考えつつ。

「いつもはもてなす側だったので、何だか新鮮ですね…。
ん、そうなのです?確かに可愛くて美味しそうです。」

そして見るからにお高そうだ。
こんなものを頂いて良いのかと、ちょっと怖気づいてしまった。

ラピス > 「ふふ、美味しいものを食べられるといいですねぇ――そう言えば、好きな食べ物とかありますか?
 紅茶が好き、というのは先ほど聞きましたが……折角お弁当作るなら、好物いっぱいな方が、ね。
 気にしないで頂けると有り難いのです。先生が怒られちゃいますからね……」

少し遠い目になるのは、やらかした過去を思い出したから。
正座でお説教とか、結構厳しいと思います、はい。

「セレネさんはもっとわがままになってもいいのですから、先生で練習しましょう!
 いやぁ、今日は可愛いセレネさんがたっぷり見られて、先生はとても幸せですよー?」

やっぱりどうやらそういうことらしい。よきかなよきかな。
このへっぽこ教師は、生徒と教師の恋愛も応援するタイプ。倫理はどっかに行ったらしい。

「無理に纏める必要もないんですよー。セレネさんの思いの証ですからね。
 セレネさんが思ったことをそのまま紡げば、きっとそれだけで十二分な威力ですし」

大丈夫、いけるいける、とは教師の談。絶賛応援中だ。
彼女の愚痴は、当然楽しく聞くのだろう。アイデアも、出来る限りは出すつもり。

「セレネさんは美人さんですから、お洋服も色々似合いそうですしねぇ。
 ふふ、買い物に行くのが俄然楽しみになってきましたよぅっ!ふふ、ふふふっ!」

可愛い子は、その可愛いを全面に出す義務があると思う。
そんな嗜好のへっぽこ教師は、今日も絶好調ですっとんでいた。

「でしょでしょ、それじゃ、もてなされちゃってくださいな。
 気にせずパクっといっちゃいましょう。先生の私物ですから!」

どぞ、どぞ、美味しいから!お気に入りだからこそ、オススメしたいということで。
彼女が食べてくれたら、教師も気兼ねなく頂くつもり。共犯者とも言うのかもしれない。

セレネ > 「んぇ、好きな食べものですか?
んー…そうだなぁ。美味しければなんでも、と言いたいところなんですけど。
何でもって言われちゃうと困ってしまいますからね。
お野菜に、お肉に…お魚も好きだな。フルーツも好きですよ。
先生が怒られてしまうのは流石に可哀想なので…。」

思い浮かぶ料理の大半が、己の故郷のロシア料理なのだけど。
食べ物ときいて思い浮かぶのはそれくらいか。

「あんまり我儘を言ってしまうと、戻れなくなってしまいそうで怖いです…。
せ、先生?!意地悪しないでください…っ!」

そもそも己が一方的に好意を寄せているだけで、相手もそうだとは限らないし…!
それはそれで、悲しくなってくるのだが。

「えぇ…?!
せ、先生は今はそういう、その…気になる人とか、恋人さんとかはいらっしゃらないので…?」

応援されてしまっている!!
見た目は歳下なのに、微笑ましく見守られてしまっていて
ほんのちょっと悔しかった。

「先生も可愛いじゃないですかー。
絶対色んなお洋服似合いますよ。」

これは服屋で色々着せ替えられるんだろうなぁなんて思いつつ。
それでも、誰かと遊びに行くなんて今まで殆どなかったから、なんだかんだ楽しみではある。

「し、私物なんです…?
ぇ、と。じゃあ、いただきます…。」

これは、己が美味しいと思ったお菓子があれば相手へ贈らねばなるまい。
個包装を開け、お菓子を取り出せば一口。
…美味しい。

ラピス > 「なるほど。ですが、作り手泣かせですね。これは中々、作り甲斐がありそうです。
 お野菜、お肉、お魚、フルーツ、割となんでもいけますね。それじゃ、味付けはどうでしょう?
 ――ん、セレネさんさえ忘れてくれれば、先生は怒られないので安全なのです、はい」

くすくす、冗談めかしつつ、彼女についての調査を再開。
どんなものが好きか、嫌いか。それも彼女のデータの一つだ。
それらを集めていけば、彼女のことをより理解できるはず。
そして、理解を重ねた先でこそ、より仲良しになれるはず。そう信じていた。

「ふふ、今わがまま言えるようになっておかないと、好きな人を前にしたら大変ですよ?
 甘えたいのに言い出せない、とか。見ている側からすると、それも可愛いのですけれどね」

寂しければいつでもおいで。その言葉はつまり、彼女が寂しさを覚えやすいということだ。
彼女が寂しさから離れられるようにするならば――などと考えての、割と真面目ななにかである。
彼女と彼女の相手の関係性までは手を出せないが、ちょっとでも上手くいくなら良いと思う。

「ん、先生はそういうの、疎いですからねぇ。あ、セレネさんは可愛くて素敵だって思ってますよ?」

くすくす、くすくす。ちょっぴり意地悪してみるのも悪くない。
彼女の表情がコロコロ変わるのが、なんとも愛しく思えてくるのだから。

「それじゃ、お互いに着せ替えショーですね。楽しみにしてます!」

るんるん、うきうき。話の合う友達とのお出かけ、というのは久々だ。
勿論へっぽこ娘も楽しみで、きっと前日は夜寝られない気がした。

「それじゃ、先生もいっただっきまーすっ!」

はぷ、とクッキーを齧る。さくさく、と小気味よい歯ざわりだ。
友達と食べるクッキーは、いつも一人で食べるよりもよっぽど美味しかった。
そんなこんなで、のんびりとしたお茶会は、なおもゆっくりと続いていく――。