2020/07/08 のログ
■セレネ > 「先生泳げるんだ。
…私泳げない…というより今まで泳いだ事が無いのですよね。」
環境もあったり、体質もあったりで思えば海やプールに入って
泳ぐという行為をした事がない事を思い出した。
「ん、有難う御座います。
何を…って。煙草以外でもそういう、魔力の出力を上げる事が可能な
効能を持つ薬草があれば貴方にそれを試してもらう事も出来るじゃないですか。
煎じて飲むなり、粉や錠剤にして飲むなり。
言ったでしょう?私は貴方の力になりたいのだと。」
差し出してくれた煙草を受け取ると、
”手慣れた”手つきで指に挟んで。
数秒固まった後首を傾げながら普通に指で摘まんだ。
「ふむ。やはりそれはそれで辛そうですね。
『まず』という事は、他の症状もあるので?」
煙草を手持ち無沙汰に弄りながら、問いかけた。
■暁 名無 > 「泳げるともさ。
……そりゃあ陸上に居るだけが生物じゃないからな。
まあ日光が苦手なんじゃ、まず海やプールなんて行かないわな。」
なんか去年あたりに別の生徒と同じ様な話をした気がする。
まあ、それは一旦置いといて。
ふむ、そうか。セレネは泳げないのか……。
「タバコよりそっちの方が危ない感じしないかしらん!?
気持ちは大変嬉しいしありがたいのだけどな?既に間に合ってる事をわざわざオーダーメイドめいた事しなくて良いと思うぞ?」
本当に気持ちは有り難いのだけども。
煙草を受け取って何やら硬直したりしてるセレネの頭を撫でようとしつつ、
「いや、最初に熱が出る事を真っ先に思い出したから『mず』って言っただけだ。
風邪と同じって結論には変わりないな。あとは何と言うか……言いづらい様なことくらいだ。」
多分あんまり関係無いし、と肩を竦める俺である。
■セレネ > 「水生生物も研究室に居たりするのです?
行ったとしてもパラソルの下で陽に焼けないようにするのに必死でしたから。」
だからこの間ラピス先生と一緒に水着を買ったのは良いけれど、
上手く活用できる場所は限られてしまっているのだ。
「ラピス先生は薬師ですよ?致死量や人に害が出るレベルの処方はしない筈です。
今後貴方のような体質の人が来ない訳じゃないでしょうし
成人済みなら兎も角未成年に喫煙を勧める訳にはいかないでしょう。
”貴方の為”だけではないのですよ。
確かに貴方の力にはなりたいとは申し上げましたが、
一つの理由だけで物事を進めるような思考は持ち合わせておりません。」
これはもしかしたら今後に繋がるかもしれないから言っているのだ。
頭を撫でられれば嬉しそうに目を細めて大人しく撫でられて。
「――言いづらい事?」
そんな事言われると余計に聞きたくなる。
ソワリ。
■暁 名無 > 「そりゃあ居るとも。
正確には研究室からつながる飼育場にだけど。
だったら夜間に訓練施設のプールを使わせて貰えば良いんじゃないか?
……遊ぶだけならともかく、理由があって水泳をするっていうなら許可も出るだろ。」
夜間外出に関しても正当な理由さえあれば寮は認めてくれるはずだ。
アルバイトでも、プールでも、学校側が許可さえ出せばいち学生寮はそれを覆せるわけがない。
「いや、絵面的にな?あくまで絵面的に。
まあ大抵の場合、魔術が使えないってのはそもそも回路を持たない場合が大半だろうしな?
俺みたいなケースが稀すぎるんだよ。」
魔力を有してはいるが、魔術はろくに扱えない。
そんな生徒は殆ど聞いた事が無い。
まあでも、そういう心掛けは大事よな、とセレネの頭を撫でながら思う。
「まあ、やるだけやってみたら良いんじゃないか。
……………………、……………。
……さてと、それじゃあそろそろ一度研究室に戻るとすっかなあ!」
あんまり掘り起こさないで欲しいところに食い付かれた。
察しろ、察しろ!
■セレネ > 「そういえば私、まともに飼育場見た事ありませんでした。
今度お時間がある時で良いので見せて下さいよ。
……泳ぎ方、先生が教えてくれたりするんです…?」
泳げなくても己は飛べるし、苦労はしないとは思うけど。
ちょっとだけ、相手に水着を見せる機会が出来たらなーなんて思ってしまって、
「絵面…?
稀でも、です。
出力のブーストだけであれば他の人も欲しいという方が居るかもしれませんし…。」
変わらず相手に頭を撫でられながら、尚も言う。
何がそんなに嫌なのだろうかと不思議そうな目を。
「――誤魔化したって駄目ですよ?
何ですかー?気になるじゃないですかー。」
察せないです!無理です!
ずいっと相手に近づいては下からじーっと見上げようとしてみたり。
そのまま相手がはぐらかし、研究室へと戻るなら。
不服そうに唇を尖らせながらその背を追いかけるだろう。
そのうち拗ねてぷんすかするのは、研究所に戻ってからの話。
■暁 名無 > 「お、おう。今度な。
……流石に泳ぎ方は同性の先生に教えて貰った方が良いのでは?」
あるいは体育の先生。少なくとも俺はどちらも違うのでは。
まあ教えられないってわけじゃないけども。う、うーむ。
「んー、この手の物はクスリにすると大抵ろくな事にならないんだよな……」
まずはどういう仕組みで俺の魔力回路が開くという効果が現れるのか、という解析からじゃないだろうか。
そんな事言い出したら絶対俺が拘束されるから言わないけど。
「あー、また後で笹竹および諸々の回収もしなきゃなー!」
セレネの追及を背中に受けつつ、俺は校舎内へと向かうのだった。
そして屋上には笹竹と長机、短冊が残されており──
──数時間後、俺が片付けに来るまでの間、誰か来て願いを吊るしたかどうかは今のところ未定。
ご案内:「第一教室棟 屋上」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 屋上」からセレネさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 食堂」にラピスさんが現れました。
■ラピス > 今日も今日とてお仕事上がり。へっぽこ少女は空腹を満たすべく食堂に来ていた。
今回のメニューは既に決まっている。夏といえばこれ、冷やし中華だ。
皿の上に広がる色とりどりの食材達。きゅうりにハムに錦糸卵。それから締まった縮れ麺。
タレは最近だといろいろあるらしくて、醤油仕立てにごまだれ、変わったものだとバジルトマトなんていうのもある。
――それだと冷製パスタのほうが近くね―ですかね?と思うようなおしゃれなものまできっちり完備。
「っとと、それじゃ、ごまだれのやつで、追加でゆで卵をのっけてくださいな」
注文して少し待てば、綺麗に盛られた冷やし中華とゆで卵がお盆に乗って出てくる。
すると、少女はお盆を両手でしっかり持つと、ドレッシングのコーナーへ。
目的のものは、卵と油でできた美味しいあれ。マヨネーズだ。
小皿に少しばかり絞り出すと、それも一緒にお盆に乗せて、少女は近くの席へ。
お盆を置いたらぴょいと椅子に座って、少女は気ままな食事と洒落込んでいた。
■ラピス > 艶のある黄色い麺を箸で持ち上げ、ちゅるりと啜る。こっくりとしたごまだれが絡む。
口の中に広がる深い味わいと、むっちりとした麺の歯ごたえが快い。
ちゅるり、ちゅるちゅる。もきゅもきゅ。へっぽこ少女は小動物の様に冷やし中華に夢中で。
「んふー、ここで、味変のマヨネーズですよぅ。酸味とまろやかさを足すのです」
半分ほど食べ進めた所で、マヨネーズを追加投入。よく混ぜたら第二ラウンドだ。
ちゅるい、ちゅるちゅる。先程よりもこってりした雰囲気だが、しつこさはない。
先程よりもサラダ麺に近くなった雰囲気を味わいながら、ゆで卵にも手を出して。
半分に切られた片割れをむぐ、むぐ、と頬張れば、ぷりぷり白身に黄身がホロリと崩れる。
食べたかったものを食べる。ただそれだけの幸せを楽しみながら、すっかり上機嫌だった。
■ラピス > 黙々と楽しみながら食べ進んでいくと、皿の上は綺麗さっぱりなくなって。
出来上がるのは満腹で満足げなへっぽこ小娘が一匹。けぷ、と小さくゲップが漏れた。
「いやぁ、満足満足、お腹いっぱいなのですよぅー」
はふぅ、と一息つきながら、暖かなお茶をちびちび。
冷房が効いているものだから、この温もりがなんとも言えない。
ふぅ、ふぅ。湯気立つお茶を冷ましながら、時折ちびちび。
舌に感じる渋みと甘み。なんとなく、目が覚めたような気がした。
ご案内:「第一教室棟 食堂」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 「…あら、先生もご飯ですか?
既に食べ終わってしまった後みたいですけど。」
己は今からご飯です。
トレーに軽食とサラダ、ホットティーを載せてゆっくりとお茶をしている見慣れた相手へ声をかける。
「もし良ければ相席しても?」
傍で一旦立ち止まり、緩く首を傾げて問うた。
■ラピス > この後どうしようかなー、と漠然と考えながら、食後のお茶を楽しむ。
さっさと飲み干して席を空けるは吝かでもないのだが、少女は生憎の猫舌だ。
無理をすれば舌を火傷する。そんなリスクを負うこともあるまい、とのんびりだった。
そうして、お茶が半分ほど無くなった時のこと。近づいてくる誰かの気配に気づく。
ちらりと視線を向けると、そこに居たのは仲良しの彼女で。
「うや、セレネさん。こんばんはですねー。
今年初めての冷やし中華、美味しかったですよー!」
自分は既に食べ終わっているが、彼女はこれから食事らしい。
そういう事なら、もう少しゆっくりお茶を飲むことにして。
「勿論。断る理由はありませんし、どうぞー」
おいでおいで、と手招きしながら、にっこり笑みを浮かべてみせた。
■セレネ > 「冷やし中華を食べてらしたのですか。
そっか、もう7月ですものね…。」
此方を振り向いた彼女は愛らしい笑顔を浮かべて挨拶をしてきた。
己も挨拶を返せば、相席の許可を頂けたようで。
「ふふ、有難う御座います。では少しの間失礼しますね。」
相手の向かいの席へトレーを置き、椅子に座る。
「この間は有難う御座いました。
とっても楽しかったです。」
まずは先日の礼を述べ
「あの時買ったお揃いのシュシュ、今日初めてつけたんですけど。
そしたらまさか先生と会えるなんて。」
言いながらお友達の印として買った揃いの青色のシュシュを
相手に見えるように身体を少し動かしてみせた。
■ラピス > 「夏ですからねー、冷たい麺類が恋しい季節になるのです。
んー、セレネさんは健康的ですねぇ。お野菜もりもりですし」
自分のお盆と彼女のお盆を見比べる。わお、女子力の差が歴然。
へっぽこ教師と青春真っ只中の女子生徒だ。太刀打ちできるわけもなかった。
「ん、先生は別に、少しじゃなく失礼されてもいいですけどね。
長居するのがだめなら、場所変えれば良いわけですし――なんて」
対面の彼女を眺めながら、お茶をもう一口。
さっきより美味しく感じるのは、きっと仲良しだから。
「こちらこそ、です。楽しい時間をありがとうございました。
やっぱり仲良しさんとお出かけは良いものですね。わくわくしましたから」
こく、同じく少女もまた、彼女にお礼を。
親しき中にも礼儀はあったほうが良いのだから。
「おぉ、似合ってますねぇ。素敵だと思いますよ?
先生は、使うの勿体ないなぁとか思って、悩んじゃってますけども。
こう、使い始める最初の日は、ちょっとこだわりたくあるような、なんて」
そんなの気にせず使ったほうが、とも思うけれど、こうして悩むのも楽しいのだ。
だからついつい。とは言え、折角彼女が使ってくれているなら、今度自分も付けてみよう。
■セレネ > 「お野菜は美味しいドレッシングと一緒に食べるともっと美味しいんですよ。
…ただ、葉物を食べてるとウサギみたいだって言われるんですけどね。
目は赤くないのになぁ…。」
白いのは同じだろうけど。
手を合わせて頂きますをし、軽食の方に手を付けて。
「ん、という事はお仕事は終わったのでしょうか。」
仲良くしてくれているとはいえ、折角の時間を割いてくれるのは申し訳ないと思ってしまうのは。
ひとえに己が遠慮しいだからだろうか。
「またお時間がある時に遊びに行ってくれると嬉しいです。
そうですね…仲良しさんと遊びに行くのは、此処だと初めての事でしたし。」
元の世界でもあまり機会はなかったけれど。
「えへ、有難う御座います。
あぁ…そのお気持ち分かる気がします。
何だかちょっと勿体ないような気がしますよねー。」
うんうんと、軽食とサラダを口に運びながら相手の言葉に頷く。
最中、一旦手を止めると
「そうだ。先生に少しご相談があるのですが、宜しいでしょうか。」
■ラピス > 「ですねぇ。美味しいドレッシングと一緒だと、もしゃもしゃいけます。
先生は青じそドレッシングとチョレギサラダのタレが好きだったりしますよ。
んー、随分可愛らしいウサギさんですねぇ。先生が飼ってあげましょう」
くすくす。冗談めかしつつ、緑茶をちびちび。
そろそろ中のお茶も程よい温度。やっぱり温めが好きだ。
「えぇ、今日はもうお仕事する気はないですよー。
ですから、セレネさんがどんなにゆっくり食べても、付き合いましょう」
だから急いで食べる必要など無いのです、と言外に意味を含ませて。
「それじゃ、今度は温泉ですね。水着を買ったなら使わなければ、です。
先生で良ければいつでも付き合いますから、沢山お出かけしましょう!」
元の世界の記憶がすっぽり抜けてる少女にとっても、あれだけ楽しい時間は久々だった気がする。
そんな充実した日々を与えてくれる存在は、やはり貴重だ。大切にしよう。
「使い始めてしまえば、お気に入りだから何度も使うのですけどね。
最初の一回、踏み出すまでっていうのが、こう、折角だしなぁって」
記念にしたいよなぁ、とか、特別にしたいよなぁ、とか。
それは案外、大安吉日を理由に挙式するのと同じ様ななにかなのかもしれない。
などなど由無し事を考えていた矢先、畏まったような彼女の物言い。それには――。
「どぞどぞ。先生で良ければ、微力を貸しますよぅ」
こくりと即座に頷いた。だって先生ですから、ね。
■セレネ > 「紫蘇ですか。…紫蘇は、ちょっと苦手なんですよね。あの香りが何とも。
飼われちゃうんです…!?いや、でも先生に飼われるなら悪くないかもしれない…。」
多分きっと大事に育ててくれそうだし、なんて。
少しずつお茶を飲む相手に目を細めて。
「…そうですか。有難う御座います。」
急がなくても良い、と言われている気がして。
素直に礼を。
「水着の写真、送ったんですけど似合ってました…?
えぇ、是非。沢山思い出を作らないとですね。」
相手以外にももう一人、送った存在が居るけれど。
それは伏せておいて。
「うんうん、ですよねー。」
分かる分かる。
踏み出す一歩は勇気が要る事なのは、案外どんなものでも同じなのかもしれない。
「ん。では。」
食事の手を止めた後ポケットから小箱を取り出して、中に入れていた一本の煙草を相手に差し出した。
「…実は、友人に魔力の出力が乏しい方がいるのですが。
その方の吸っている煙草を一本拝借したのですけれど、
この煙草にどうやら出力を上げる香草が配合されているとかで…。
詳しい貴方なら、似たような効能を持つ薬草をご存知なのではないかと…思いまして。」
表情は少し、真剣みを帯び。
■ラピス > 「あぁ、匂いの強いものとか苦手なのでしたっけ。覚えておかないとですね。
ふふ、先生が毎日抱っこしてあげますよぅ?なでなでも、たっぷり。ふふり」
勿論大事に育てますとも。先生、ウサギさん大好きですし。
それにセレネさんも大好きですから、二倍可愛がっちゃいますとも。
「ふふー、先生はこっちでのんびりしてますからねー?」
ちびちび。お茶の苦味と甘味を舌の上で転がす。
のんびりのんのん。こういう時間も良いものだ。
「水着、似合ってましたよ?スラッとしていて、美人さんでした!
――ふふ、季節ごとの思い出、たっぷり楽しんで、沢山作りましょう!」
ふふり。写真可愛かったなぁ、なんて頭の中で反芻。
ぽわぽわ。なんとなく幸せな気分になったのは秘密だ。
「ですです。踏み出す一歩、そこが大事なのですよねぇ……」
分かってくれる彼女に、ウンウンと頷きを返す。
次いで相談事を促せば、差し出されるのは一本の煙草。
もしや吸ってみたいとか非行に走りたいお年頃っ!?と身構えていたのだが――。
「――ほむ、なるほど。魔力の出力が乏しい、ですか。
えぇ、先生が吸ってる手巻きの奴も、同じ様なものですからね。
いくつか用立てることは可能ですが……合うかどうかはその人次第ですよ?」
彼女が真剣なら、少女もまた真面目に答えを返す。
頭の中にはいくつか候補が浮かぶ。調合の仕方なども。
しかし、実際に処方できるか、と考えると、それは相手次第になる。だから――。
「その辺りを確認するなら、先生が直接面談したりしたほうが良さそうですねぇ」
――現実的なやり方を示してみることにする。
■セレネ > 「ですー。ほんのり香る分には全然問題ないんですけどね…。
はわぁ…ちょっとウサギさんになるのも良いなって思ってしまいました。」
真っ白で蒼目のウサギが誕生する事になるだろうけど。
でも、それはそれで先生を可愛がる事が出来なくなってしまうな…。
「あうぅ…う、嬉しいですけど、やっぱり褒められると恥ずかしいですね…。
これから夏本番と秋に、冬もありますからねぇ。」
四季折々、色んな島の風景が見られる訳だ。
相手から褒められると何ともこそばゆく、頬を赤く染めて。
「えぇ、勿論個人で変わるのは承知の上です。
ですが少しでも可能性があるなら…と思いまして。」
煙草に興味がない訳ではないけれど、今はまだ良いかなと思う。
未成年ですし。
そして相手の提案には数度目を瞬かせ。
「……あー、時間…合うかな…なかなかお忙しい方ですし…。」
でも、確かに実際に診て話して処方した方が良いのは分かる。
後でメールしようかなと思ったりもして。
■ラピス > 「ふふ、可愛いでしょうねぇ、セレネうさちゃん。
ついつい甘やかしてしまいそうな気がしますよぅ」
ぽわぽわ、脳裏に浮かぶのは、まっしろもふもふの青目なうさぎ。
そしてふと気づく。これだと可愛がる一方になってしまうことに。がびぃん。
「えぇ、色んな季節を楽しみましょうね。末永く!」
春夏秋冬、その全てを一緒に楽しめるならこれ以上のことは無い。
ぽわわん。幸せが更に増したような気がする。良いことだ。
「んー、この煙草の用途は、魔術の行使ですか?それとも、魔術の強化ですか?
魔術が使えないほど乏しい魔力の出力を増幅して、どうにか魔術を使えるようにするのか。
或いは、魔術は使えるけど出力が弱いから、威力を向上させるために吸うのか、です。
そのどちらなのかによっても、使う薬草は変わりますから、なかなか難しい話です」
ふむ。頭の中で考えをコネコネする。魔術の知識は多少しかないが、一生懸命考え中だ。
提案に対して、彼女の答えは中々に芳しくない。ふむ、どうしたものか。
「或いは、セレネさんが知る限りの情報をお話いただければ、もう少し具体化出来るかも、です」
へっぽこ教師としては、お会いする形でも、会わずに話を聞く形でも良い。
その辺りは彼女に任せるつもりで、のんびりと見守っていた。
■セレネ > 「せ、先生が動物になったらきっと猫ちゃんだと思うのですよ。
白くて青目の子猫ちゃん、というか。
この間甘えてくれてたのを見て、猫ちゃんみたいだなぁって。」
このまま可愛がられてしまうのは、なんだかちょっと悔しい気もして。
だから先日思った事を告げてみた。
煙草の用途について問われると、昨夜聞いた話を思い起こす。
…詳しくは本人に聞いてみないと分からないかもしれない、が。
「…恐らく、前者かと。私も本人からは少ししか事情を聞けていないので確実とはいかないのですが…。
だから、何れにせよ実際に詳しく話を聞かないと難しいかもしれませんね。
……ただ本人的にはこの煙草で充分だと言っていたので、これはただの私の我儘なんです。
でも…でも、何かしてあげたくって…。」
俯く顔。手は紅茶を注がれたカップに伸び喉を潤す。
そう、これは本人から願われた事ではなく、己の我儘でしかない事。だからもしかしたら、迷惑となる可能性も十二分にある。
■ラピス > 「ほほぅ、にゃんこですか。いいですねぇ、可愛がってもらえそうです。
にゃんにゃんにゃーん、という感じで。あ、餌は上等なやつでお願いしますよ?」
先生はグルメなので、などと無い胸を張ってみる。
白くて青目の子猫。きっと大きくならないのだろう。
煙草の用途については、まず情報のヒアリングから。
何事もしっかりと情報を得ないと、うっかりしくじるのだ。
「なるほど。それだと、自由に放水出来ないダムみたいなものですねぇ。
何らかの手段で放出しないと、体調に影響が出たりするかもしれないやつです。
――ふむ、この煙草が体に適合しているなら、これを吸うのが今は一番かもですね。
その上で、より効果のあるものを探す、ということであれば、協力は惜しみませんよ?」
割と遠慮しがちな彼女がここまで真剣に入れ込むのだ。大切な相手なのだろう。
それならば、微力を貸すのは先生として、仲良しとして当たり前のことだ。
「何れにせよ、体質の詳細が知りたいですね。問診は、セレネさんでも出来るのではないですか?
お医者様としての前歴があって、ご友人に信頼されているのですから、これ以上無い適役かと。
それに、折角その人の為に我儘を通すなら、もっとじっくりぶつかり合ってみるのも良いかもですよ?」
などと言葉を紡ぎつつ、お茶を一口。乾いた喉には丁度良かった。
■セレネ > 相手が猫の鳴き真似をしたのがとても可愛らしく、思わず悶えてしまいながら
「なかなかグルメさんなようですね。
これは出費が痛そうですが…可愛い猫ちゃんの為なら
ひもじい思いをしても構わない…!」
猫は特に好きな動物だから余計に。
それに大切にしたいから、美味しいものを食べてもらいたいし。
「あぁ、それは本人も言ってました。
重度の熱のような症状になるのだとか。
……出来るなら煙草に頼らず他のより良い方法を試して欲しいのですけど…そう、ですね。
とりあえずは情報を得なければ…。」
ただ、問題は。
彼が素直に話してくれるかどうかだ。
煙草の事についても渋々といった様子で話してくれたのだし、
これ以上の仔細を話してくれるかは分からない。
上手く引き出すのも話術の一つではあるのだろうけど。
「…話してくれるか、正直自信はないです。
この事についてもあまり話したくはなさそうでしたので。」
嫌われるのが恐ろしい。
踏み込みたい気持ちはあれど、その気持ちが邪魔をする。
己は臆病で、意気地なしだ。
■ラピス > 「あら、無理はしない程度で良いのですよ?手作りキャットフードとかも今はありますし。
こう、ささみを煮込んでほぐしたりとかするらしいですね。手が掛かる分、愛が深まるやも」
料理の質は、材料の良さだけではない。技術や思いの付加価値もあるのだ。
彼女は尽くすタイプだろうから、自分をちゃんと顧みて欲しいと思う。
「ほほぅ。であれば、定期的な服用をオススメしますね。
体温の上昇は程々なら良いですが、うなされる程になると悪影響しか無いですし。
一つの案としては、この煙草と同じ香草で、煙草じゃなくお香を拵えてみる、とかでしょうか。
吸気に成分が混ざることで効果が出るなら、お香でも効果自体は期待できるかもしれません。
ただ、成分を直接吸入する煙草よりは劣るので、魔術を日常使いする人向けになりますけどね」
煙草は持ち運びが楽で、火を付ければすぐに使えて、成分を直接摂取できる。
それはすなわち、携行性と利便性と即効性を突き詰めた物品ということだ。
しかしそれを使わせない、ということは、普段からの継続的、かつ定量的な発散が必要になる想定。
ともすると、生活に添えて問題ないもので、効果は弱くても平時に持続可能なものとなる。
少女から、今の情報で出せるアイデアは、そのくらいだ。これなら、用立てるのも無理ではない。
「まぁ、深く紐解けばその人の弱みだったりしますからねぇ、そういう話は。
それなら、時間をかけたら良いじゃないですか。今すぐじゃなくても良いのでしょう?
セレネさんが、その人に全部話してもらえるだけ、身近で信頼できる人になればいい。
少なくとも、今日、一朝一夕で答えを出す必要はないんじゃない?と先生は思うのですが」
ちらり。目の前の彼女は俯き気味だ。こういう時は、悪い考えの循環になることがままある。
ならば、と少しばかり分かった気になって、言葉を作ってみる。少しでも光明になれば、と思いながら。