2020/07/12 のログ
ご案内:「第一教室棟 保健室」にセレネさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」に暁 名無さんが現れました。
セレネ > 生徒や教師達は試験で忙しい中、
ちょっと無理を言って教師一人を保健室へと引っ張る生徒。

「ほら先生、早く来てくださいよー。」

己はどうせ今はまだ試験は関係ないから少し時間がある。
だから、先日相談した薬学の教師に面談を頼もうとやって来たのだ。

保健室の扉を開けて

「ラピス先生、いらっしゃいますか?」

遠慮なく中に入った。
扉は後から入ってくるだろう人物の為開けたままにしておいて。

ラピス > 今日も今日とて、へっぽこ教師は保健室の当番。午前中は中々にてんてこ舞いだった。
今は試験期間中ということもあって、一夜漬けの代償を払いに来る生徒なんかがそれなりにいる。
彼らには頭痛薬の処方や、症状が重い場合は短時間の仮眠を許可することで対応。
昼休みに差し掛かれば、彼らの人並みもどうにか和らぎ、保健室の中でぽつねんと一人。
とはいえ、午後は外せぬ先約の予定があるものだから、丁度いいというもの。
さて、と扉に視線を向けた所、開く扉。噂をすればなんとやらか。

「はぁい、先生はちゃんとおりますよー、どうぞどうぞ」

約束していた彼女の来訪に、にこやかな笑顔で手招きを。
そしてもう一人、彼女が連れてくる誰かにも、同様に応じることになる。

暁 名無 > 試験期間中に教員を呼び出した生徒が居るらしい。というか居る。
担当教科の試験は無いにしても、試験監督とか採点とか、受講者が多過ぎて手が回り切らない教科の手伝いとか、
それなりに多忙な中呼び出された俺は、ひとまず本日の予定の空きを確認してセレネの後を追っていた。

「急いでるし急いだうえでそんなに時間かけらんないぞって何度も言ってるだろ。」

まったくもう、と半ば呆れながら保健室へ。
馴染の保健室ではないので、少しばかり新鮮な気分になる。

「どうも、ラピス先生。お邪魔しますよ。」

セレネ > 「お忙しい中すみません。
この間言った…その、面談について少し。」

笑顔で手招きしてくれる銀色に、申し訳なさそうな顔をした後傍まで近付いた。
そこでシュシュと同様、ペンダントもつけてくれている事に気づき。

「プレゼント、付けてくれてるのですね。」

良かった。そして己の見立て通り似合っている。可愛い。
思わず顔が綻ぶ。
己と同じく保健室に入ってきた赤褐色へは

「ラピス先生に、貴方の体質について話をさせて頂いたのですが。
実際に本人から聞いた方が良いと仰って居たので…。
少しでも良いので話してもらえたらなぁ、なんて。」

大分無理を言いました。はい。
代わりに出来る限りの手伝いをするつもりだから許して欲しい。

ラピス > 「いえいえー、先生はほら、懇親会にこっそり出られる程度には暇人ですからねー。
 えぇ、そういうことなので、ちゃんと準備してありますよー。お茶菓子とかとか」

今日は必要そうだから、と調合用の材料などが入った革製のトランクも持参済み。
ついでに、円形のテーブルの上には、冷やした緑茶と水羊羹も置かれている。
なお、おもてなしだということにしているが、へっぽこ小娘が食べたかっただけである。

「ん、それはもちろん。身につけるために貰ったのですからね。
 昨日はお酒飲みそうだったので、ペンダントは無くさない様に付けてませんでしたけど」

にこー、と笑みを返した後、もう一人の来客に視線を向ける。
ほほぅ、彼が彼女の――ふぅん、へぇ、なるほど、なるほど?

「どうもー、お忙しい所、良く来てくださいました。
 とりあえず、粗茶とお茶請け用意してありますので、どうぞー」

まずは一息ついてからにしましょう、とお茶の席に誘ってみる。
甘いもの苦手、とかだったらおせんべいもあるよ!と、用意は周到だった。

暁 名無 > 「まぁったく……」

別に現状で何一つ不都合は無いと言った筈なんだけどな。
まあ以前の言い分からして、汎用性のある手段にする事で俺と同様に魔力回路に不具合がある人間に活用したいって事だったし。
息抜き程度に、と来た俺も俺だし……。

「ああ、お気遣い有難う御座います。
 重ね重ねすいませんね。割とすぐ帰りますんで。」

出来るなら手早く済ませて業務に戻りたいところだけれど。
まあ、一杯だけなら良いか、と椅子を引き出してセレネを一瞥。座りな、ほら。

セレネ > 既に準備済みだったか。
応接用のテーブルには冷たい緑茶と瑞々しい水羊羹。
……緑茶も和菓子も、思えばあまり口にした事はなかったな。

「あぁ…そう、なのですか。」

懇親会については忍び込んだ側なので口には出さないし出せない。
うっかり誰かにバレた時が怖いから。

――何だか彼女の青い目が興味深く彼を見ているような。
気が、する。

さり気無くレディファーストな行動を取る彼に、数度目を瞬かせて。

「す、すみません。
有難う御座います…。」

若干駆け足で引かれた椅子に腰を下ろした。
普段は他の人が座るまで
己は待つ側だから、こういう事されるのはあまり慣れていない。
ちょっとびっくり。あと少し照れた。

ラピス > 様子を見ていれば、さらっと紳士的に振る舞う彼と、それに従う彼女の姿。
女の子的に、そういう所ってポイント高いですよねー、とか思っていたり。

「いえいえ、保健室にお話に来てくれたら、お菓子を振る舞うと決めていますので。
 ――ん、すぐ帰ってしまうんです?まぁ、採点とかあるから忙しいならお引き止めはしませんけども」

懇親会の話題は、彼女が出さないならこちらもお口はチャック。
そして、彼の言葉には『えー、すぐ帰っちゃうのー?』というオーラを隠しもしないへっぽこ小娘。
彼女が席につくならば、次いで彼も空いたもう一席に収まるはず。
皆の準備が終わるまでは、おやつはお預け。じゅるり。

「ぉー、暁先生、中々ジェントルなのですねぇ――ふふ、かっこいいじゃないですか」

くすくすと笑いながら、セレネちゃんのお顔をチラリ。
ふふー、後でからかう材料ゲットだー、とか思ったりしてる意地悪教師がここに一匹。

暁 名無 > 「この時期はどうしても仕事が詰まっちゃいますんでね。
 あんまり長居は出来ませんで、今度また時間があるときに遊びに来ますよ。」

セレネが椅子に座ってから自分も隣に腰を下ろす。
何だかどうにも視線を強く感じるが、俺の体質についての面談ということだからだろうか。

「ジェントルって……まあ、生徒を最後まで立たせとくわけにもいかないですし。
 そもそも言いだしっぺはセレネなんですし。」

だからちゃんと中心に居て貰おう。
最悪俺抜きでも良い気がするが、まあそれはこの後次第で。

セレネ > こういう事平気でしてくるから恐ろしい人なんですよねー。
あれおかしいな、冷房は効いてる筈なのにちょっと暑い。
軽くパタパタと手で顔を扇いで。

「ラピス先生の言う通りです。
貴方いつも忙しそうですし、少しくらいゆっくりしていっても
罰は当たらないのでは。」

とはいえ、連れてきたのは己の責任だから無理には引き留められないし。
彼女の言葉に乗っかる形で己も言葉を告げた。

「…普通、立場が下だからこそ最後まで立っているのでは?
メインは私ではなく貴方ですよ、暁先生。」

不味い、照れて顔が見れない。
顔の熱が引かない。
しかも隣に座る彼には多分見えないだろうが、対面で座る
彼女にはバッチリ見えている。
これは後で弄られるフラグ…!
ぐぬ、と少し悔しい気持ちを押し留めては、
緑茶を一口。
苦みや渋みは比較的少なく、飲みやすい。
少しはこれで熱も逃げる事だろう。

ラピス > 「ですねぇ。仕事が詰まってしまうので、ついつい残業して生活リズムも狂っちゃいますし。
 ――ほほう、生徒に心配されるなんて、随分と慕われてますねぇ。羨ましい限りですよ、暁先生」

いつも忙しそう、ということは割といつも様子を気にかけている系なのか、とかとか。
彼の体質に関する情報を得るための会合だが、彼と彼女の間柄の方が調査出来ている気がする。
なお、目の前には顔を真赤にしたとっても可愛らしい子がいるので、先生は間違いなく眼福だ。

「ふふ、仲睦まじそうで何よりです。冷房は少々暑いかもですが、冷え性なのでご勘弁を。
 ともあれ、今回は私の情報収集の一環として、お二人にお話を伺う会なので、ご協力くださいな」

今日の主眼は、彼の体質について色々伺うこと。それを忘れては本末転倒だ。
このまま眺めているというのも中々に捨てがたい選択肢だが、今日は我慢しておこう。
それにしても、どう切り出せばよいかしら、と頭の中で話題をこねこね。こねこね。

「あー、そういえば、以前暁先生が吸っている煙草は拝見させて頂きました。
 中々に手の混んだ一品のような気がしたのですが、あれは市販品なのですかね?」

うまいネタが思いつかなかったから、まずは事実から問いかけを生んでみる。
こちらも同じく喫煙者。流通経路なども興味があったから、ジャブには丁度いいはずだ。

暁 名無 > 「ラピス先生こそ、男女問わず生徒に人気でしょうに。
 心配されたところで仕事が軽くなる訳でもなし、その分学生生活に励んで貰いたいところなんですが……」

横目で隣のセレネを見る。
人の体質を慮る前に友達の一人や二人作って学生らしい生活を送って貰いたいのだが。
とはいえ、こうして仲介出来るほどには交流関係が広がってると見て安心しておこう。

「ええ、俺もそのつもりで来ましたので話せることはお話しするつもりですよ。」

俺をメインにしても問診しか出てこないぞ。
いやまあそのつもりで来てるから良いんだけども。傍で聞いてて面白いのだろうか……と、
そういやセレネも医療従事者だったっけか。

「ああ、あの煙草ですか。
 あれは異邦人街で買ったものです、非合法なお店じゃないので先生でも行けば買えると思いますが。
 それまでは普通の煙草を愛飲してたんですがね、何かと都合が良くて。」

元々自分の体質に併せて作られた物じゃあない。
たまたま興味本位で買ったものがそういう効能を現したというだけの話なのだけれども。

セレネ > 仲睦まじい、なんて言葉を聞けば飲んでいた緑茶が気管に入る。
思わず軽く噎せた。

二人から顔を背け、腕で口元を覆い、ケホケホと咳き込む。
暫く咳き込めば少し落ち着いた。

「し、失礼しました。」

咳払い一つ。
死ぬかと思った。死なないけど。

「両立してお友達も増やそうと頑張ってます。
心配しなくとも大丈夫ですよ。」

昨日だって一人連絡先交換できた人いるし!とは言わず。
だからそんなに心配しなくても平気なのだと伝えたくて。

彼の言葉を聞きながら、今度は水羊羹に手を出す。
一口サイズに切って口に運べば、餡子の風味が広がって。
……成程。悪くない。
己は暫く黙っている事にしよう。

ラピス > 「ん、先生はどっちかというと、お子様扱いの人気なので、こう、なんでしょうね。
 わしゃわしゃと髪をいじられたりとか、持ち上げチャレンジの道具になったりなので……。
 まぁ、仕事は減りませんけど……それだと、セレネちゃんが心配し損で可愛そうですよぅ?」

大人だねぇ、とは思いながらも、少しばかり彼女の肩を持ってみる。
気になる相手だものね、心配したくもなっちゃうよね、なんて。
噎せてる彼女は、そっとしておこう。今いじめたら、もっとあたふたしそうだから。

「あぁ、ちなみにセレネちゃん、お友達作り頑張ってますよ。結構積極的ですし。
 ――なんて、これじゃ、セレネちゃんの三者面談みたいになってますね。ふふり」

彼女の近況で、彼が知らない部分も少しばかり話題に上げておこう。
その方が、彼も安心するかなぁなんて。余計なおせっかいを積み重ねるへっぽこ教師の図。
例の煙草が市販のものだと聞くと、ほほー、と少女は目を丸くする。異邦人街、というのは盲点だった。

「なるほど、異邦人街ですか。先生は行ったことないですが……セレネちゃんはどうです?
 ……っと、それじゃ、暁先生の体質に合わせた、という訳じゃなく、偶然合致した感じなのですね。
 して、暁先生の体質ってのは、どんな感じなのです?セレネちゃんからは聞きましたが、ご本人からも伺いたいので」

彼女からの伝聞だけじゃなく、彼から直接聞くことで分かることもあるかもしれない。
だからしっかり理解するために、彼にも一度尋ねてみる。決して、水羊羹に手を付ける時間が欲しいからじゃない。多分。

暁 名無 > 横で噎せ始めたセレネの背を軽く叩いてやりつつ、

「髪なら俺も弄られそうになったりしますし、変わりませんよ。
 生徒が近寄り難いよりはよっぽど良いじゃあないですか。
 ……まあ、だから心配なんてしなくて良いって言ってるんですけどねえ。」

心配しいだからなあ、とセレネを横目で見やる。

「ああ、本人の見栄かと思いましたがちゃんとやってるみたいですね。
 ……ほら、真面目な様で時々抜けてる所があるからちゃんとやってけるのか心配なんですよねえ。」

完全に保護者視点な気がするが、異邦人なのだからこれくらい心配してもし過ぎにはならないだろう。
とはいえ三者面談になってしまっては話が進まないし、この辺で一度止めておこう。

「そうです、異邦人街で。

 ……俺の、体質についてですか?
 ええと……まず自動で周囲の魔力を微量ながら取り込んでしまう体質があります。体内で生成とかは出来ないんですけどね。
 あと出力が弱いというか、回路が開かないんですよね。
 なので煙草喫ってないと貯まってく一方で……」

とはいえ一度喫えばある程度の期間回路は開くのでそう日に何度も喫煙する必要はないのだが。

セレネ > 噎せている間そっと背を叩いてくれる手に落ち着いてから礼を言って。
この間も大怪我負ってたみたいだし、いつか居なくなってしまいそうで怖いのだ。
彼女から肩を持たれては、その通りと言わんばかりに小さく頷いて。

「こ、今回はメインは私じゃないので…!
うー…。」

元の世界とは真逆の立場である。慣れない。非常に慣れない。
彼の煙草は異邦人街に売っている物で
偶々効能が分かったのだと聞き内心で納得した。

「…私も其方には未だ行った事はありませんね。」

一人で行くにはちょっと勇気がいりそうな感じがして、行く事が叶わずにいる。

「スポンジみたいな体質ですね。…いや掃除機か。」

彼の体質を聞いて真っ先に浮かんだ。
そうか、あまり見ない体質なのか。
彼の水羊羹の皿を手に取ると、勝手に一口大に切り分けて目の前に置き直した。

「食べないと勿体無いですよー。
それとも食べさせてあげましょうか。」

やっと顔が見れるように熱も引いたので
冗談を交えつつ少し顔を覗き込む。

ラピス > 「ふふっ、良いじゃないですか。セレネちゃんは、したくて心配してるんですから。
 心配ってのは、無関心な相手には出来ないものです。そして、思い入れがある程に深くなる。
 まぁ、セレネちゃんは真面目で思慮深いので、その辺りの塩梅は、自分でどうにかするでしょう」

くすくす。なるほどなるほど。これは心配しがいのある人だ。
居心地悪そうな彼女の様子に、悪戯心を擽られつつ。

「ほほう、つまり、魔力が一切存在しない空間があるなら、吸収は起きない訳ですね。
 そして、回路が細くて出ていかないから、煙草で拡げない限りは貯まるだけ。なるほどなるほど。
 ちなみに、回路を拡張して魔法を行使する以外に、体内の魔力を放出する手段はありますか?」

一般的な話では、手段も色々あろうものだが、彼個人として存在するかは別問題。
他に代替可能な手段があるなら、それを併用するのも有りじゃないか、という視点からの質問だ。

「あとは、そうですねぇ……こちらの煙草は、魔力を用いるタイミング以外でも吸ってます?
 一般的な煙草は中毒性がありますし、こちらも薬草などが混ざっているとは言え、皆無じゃないかなと思いまして。
 まぁ、端的に言うと、煙草を吸う行為そのものが目的になっているかどうかの確認って感じですね」

魔力の解放を補助するためにタバコを吸っているのか、そうではないか。
後者の場合は、多少控えてもらうための方策を考える必要があるかも、なんて。
ふむー、と悩む眼の前では、彼女が積極的なアプローチ。珍しいなぁ、とか思ったり。
とは言えここは邪魔するのも野暮というもの。水羊羹を食べつつ、見守ることにする。

暁 名無 > 「そりゃそうかもしれませんけどね……?」

もっと他にすべきことがあるのでは、と思ってしまう。
俺の心配をしてる時間をもっと他に充てる方が有意義だろう、と。
まあ、俺がとやかく言っても詮無い事なので諦めるのだが。

「そういうことになりますね。
 魔力行使以外だと、それこそ魔力を吸収するような相手と…生徒の前ですからね、…過度の接触を行う、とかですかね。
 とはいえ、中々そういう相手が都合よく居るわけでもないですから。」

意図的に魔力を吸収出来る存在であればただ触れ合ってるだけでも魔力の譲渡も可能だろう。
ただ、その場合此方の吸収力を上回って貰う必要が出てくるが。
後はまあ……言葉は濁したが、そういうことでも発散が出来ると言えばできる。
これはかなり相手に因るので、まあほぼ除外しても良いだろうが。

「ん?……ああ、元々喫煙自体はしてましたし。
 その為に買ったんですから、仕事の合間とかには一服しますけど。」

こちらを覗きこんでくるセレネを手で制しつつ。
後で食うからじっとしてなさい。そもそもお茶しに来たんじゃ無いんだから俺は。

セレネ > 「私だって、自分の事は自分が一番よく分かってますし。」

彼の心配への視点が親のそれとよく似ている。
私ってそんなに心配される子なのかなぁなんてほんのりと眉をハの字に。

「……。」

魔力を吸収するような相手、一応此処におりますけれど。
言葉を濁したようだが何となく察せた。
だからこの間は言わなかったのか。

「あの、私も彼と同じく外部からの吸収で魔力を補充するのですけど…。」

小さく手を挙げて告げてみる。
隣の彼ならよく知ってるだろう事。

「やっぱり禁煙しなきゃ駄目ですよー。」

己のアピールにはそれはそうだよなと大人しく引いた。
ちょっと残念。小さく唇を尖らせながら緑茶を飲む。

ラピス > 「ふふ、まぁ、先生から見れば、暁先生とセレネちゃんはぴったりだと思いますけどね、相性。
 遠慮しがちなセレネちゃんは、細かい所を気づいてもらえる相手が必要そうですし。
 暁先生はお忙しそうですから、セレネちゃんに心配されてる方が無茶しなさそうですし」

いやはや、妬けちゃうくらいに仲良くないです?とか先生は思っていたり。
眉が八の字な彼女も彼女で、心配した分心配されとけばいいのに、とも思う。

「あぁ、そういうことですか――理解しました、えぇ、理解しましたとも。
 ……ところで、お隣でしっかりと挙手してる子が一人いますよ、暁先生」

彼が言葉を濁したのは察した。そして、聡明な彼女がその裏に気づいていることも、多分。
そういう事なら話は早い。このへっぽこ教師に出来るのは、客観的な事実を指摘することだけだ。

「最初は喫煙が目的で、上手いこと適合した煙草が見つかった、ということですか。
 まぁ、先生も喫煙者なので強くは言えませんが、恐らく年取った後で一気に来ますよ、息切れとか。
 ――それでですね。暁先生のそれは、煙草のように吸入摂取じゃないと駄目な感じでしょうか?
 例えばですが、同じ薬草を経口摂取できるようにしたり、静脈注射したり、だとどうなるのかな、と。
 上手いこと代替できて、煙草を吸う本数減らせたら、お隣の心配性なセレネちゃんも納得しそうかなって」

食べさせてあげる作戦の失敗を眺めつつ、とりあえずは真面目に意見を具申。
彼が乗ってくれるなら、試供品の用意くらいはするつもり。乗りかかった船なわけだし。

暁 名無 > 「まあ仮に相性が良くとも先生と生徒ですし。」

実のところセレネに対して特別仲良くしてるつもりも無い。
割と誰に対しても同じように接してるつもりなのだけども。生徒相手の時は特に。

「……彼女は月光浴で事足りるので。
 余計な魔力消費をしなければ、梅雨明けには不都合は出ないでしょうし。」

さらりと流す。挙手するな。そしてそれを言及するな。
お茶を一口啜って口を潤してから、咳払いを一つ。

「まあ、その時はその時です。年取ったら大人しく隠居する予定ですからね。
 ──そこは試した事が無いので分からないのですが。
 しかし物が物です、普通の煙草と同じと思って良いのでは?
 ニコチンを同様に扱いにくいのと同じ様な物では。」

そもそもどの成分がどう反応しているのかすら分からない。
たまたま都合よく機能したから使い続けている、のが実情だ。
なので代替が利くのかすらも分からないし、それを試している余裕は今のところは無い。
万一健康に影響が出たら今の時期死活問題だ。

セレネ > 相性ピッタリなんて聞けば蒼を何度か瞬かせた。
彼女は事情が分かっているからそういう事を言っているのだろうか?
いや、客観的に見た話だと思うのだろうけど…。

普段は心配する方だから、心配されるのは慣れてない。
嬉しくないわけではないのだけど、何だかちょっと居心地が悪いのだ。

「――それは、確かにそうですけど…。」

彼がきちんと割り切っているからこそ、ちょっと辛い。
己も割り切るべきなのだろうが、それが出来る程大人でもない。

「……。」

にべもなく一蹴されてしまった。
挙げた手は静かに下ろされ、口を噤む。

とりあえずは色々試してみるしかないのだろう。
二人の話を聞きつつ緑茶と水羊羹を口に運びながらクルクルと思考を回して。

ラピス > 「ほむ、まぁ、そうですねぇ。人によっては、卒業まで待って――とかもあるらしいですが」

先生としてしっかりしているなぁ、というのが彼への評価。
かっちりとした割り切りは、中々出来ないことだから尊敬の念を抱く。
逆に横の彼女は、ずーんと残念そうだから、たはは、と苦笑を浮かべつつ。

「んにゃ、セレネちゃんは月光浴で……というか、やっぱりセレネちゃんも使えたんですねぇ。
 余計な魔力消費をしなければ――したらセレネちゃんの場合、どうなるんですかね……?」

わぁい、今度の機会でしっかりたっぷり聞いちゃおう。
同じくお茶をちびちび。喉を潤しつつ。

「そうですねぇ。試したことがないと、わかりませんよねぇ。
 ちなみに、試供品として物を用立てたら、試すつもりはありますかね?
 今は煙草が売られてますけど、急に生産中止とかになったら困りますでしょう。
 そういう時の保険という意味でも、もしよろしければいかがかなぁ、とか思いまして」

無論、こちらも無理を言うつもりはない。彼が不要と言うならば、頷くまでだ。
とは言え、唯々諾々と諦めるのは、彼女ががっくりするかなぁ、ともう少しだけ食いついてみる。

暁 名無 > 「そうなんですよ。」

いや恋人同士の関係にはならないというだけで割とぐだぐだになってはいるのだけども。
ここは一応同じ教員の手前、ちゃんとした先生である事は示しておきたい。

「どうなるんですかねえ。
 まあ、少し体調が悪いくらいなんじゃないでしょうか。」

横目でセレネを見る。そこは本人に話して貰うのが一番だろう。
俺は別に今聞かなくとも良いし、そのうち目にするだろうから。
というわけで素知らぬ顔で水羊羹を平らげつつ。

「出来れば試験期間が終わってからだと助かりますね。
 確かに生産がストップされれば自力で作るしか無くなりますし……
 出来れば物に頼らず魔力回路が自然と開くようになってくれるのが一番なんですが。」

やれやれ、と肩を竦めたところでスマホのアラームが鳴る。
どうやら俺の休憩時間は此処までの様だ。

「っと、俺は仕事に戻ります。ラピス先生、お茶と羊羹ご馳走様でした。
 セレネもあんまり先生に迷惑かけるんじゃないぞ?
 それじゃあ、また来ますんで」

ぽんぽん、とセレネの頭を撫でてから俺は保健室を後にするのだった。

ご案内:「第一教室棟 保健室」から暁 名無さんが去りました。
セレネ > 「…まぁ、何れはラピス先生にもお話するつもりでしたけど。
私が過度に魔力を消費した場合、身体に影響が出ますね。
えーっと…確か軽度は軽い疲労感や筋肉痛が起こって…
中度で五官に影響が出ますね。
例えば一時的に目が見えなくなるとか、耳が聞こえなくなるとか。
重度では意識の混濁や内臓から出血して喀血…なんてこともありました。」

全て自分で試して分かった事だ。
少し体調が悪くなる程度で済めば良かったが。

そこまで話した所で彼のタイムリミット。
忙しい身だから仕方ないと、しょんぼりしたくなる気持ちを押し留めて。

「ん、分かってますよ。」

頭を軽く撫でられればちょっと気力が戻った。
立ち去る背を見送れば、深い溜息を。

「お話有難う御座いました、先生。
もし試供品があるのなら私が代わりに受け取って渡しておきますよ?」

なんて、首を傾げて問いかけ。

ラピス > 「あぁ、そういうことなら、勿論試験期間の後にしますよ。こちらも色々ありますし。
 体に影響が出ないことは、極力確認してからお出しする予定なので、多分大丈夫かと」

彼の言葉には素直に頷く。試験期間後で、折り見て色々渡してみよう。
こちらとしても、症状を緩和できる薬剤が開発できれば、研究としても御の字だ。
そしていい所で鳴るアラーム。それには残念そうに苦笑しながら。

「えぇ、貴重なお時間ありがとうございました。またの来訪はいつでもどうぞ。
 話し相手でも、傷の治療でも、喜んで対応いたしますよ、暁先生」

そう言葉をかけて見送って、扉が閉まると、こほんと咳払いを一つ。
によによ、という表現が正しい笑みを彼女に向けながら。

「ふふぅん。お疲れ様でした。イケメン紳士でしたねぇ、ふふ。可愛かったですよぅ?
 ――なるほど、セレネちゃんも其の辺り、人のこと言えない程度に無茶してないですかね。
 彼がセレネちゃんを心配する、というのも分かった気がします。いやぁ、お互い様ですねぇ」

たははー、と笑いながら、水羊羹をもぐもぐ。頭を使ったから甘味が嬉しい。

「ん、今はまだ、お香のプロトタイプくらいしか用意できてないですよ。
 それに、まだ先生の体で治験が済んでないので、配るのはもっと先の話ですー」

次いでお茶をクピクピ。甘い口の中がさっぱりするのは、やっぱり素敵な感覚だ。

セレネ > 「ああいう事しれっとやってくるので…不意打ちがちょっと恐ろしいんですよね。
私が耐性ないだけかもしれませんが。
今は大体程度が分かってるのでそこまで無茶はしてませんよ?」

あまり自身に頓着していない、というか。
昨夜の懇親会でもそうだったが己自身生死に関する倫理が薄いのもあるかもしれない。

「あぁそうか、治験は大事ですね。忘れてました…すみません。
――この緑茶と水羊羹、美味しいですね。
あの人は味わう事なく食べてましたけど。」

己も水羊羹もぐもぐしつつ。

ラピス > 「確かに、心の準備できてない時にやられたら、クラっと来そうです。
 ふむ、それじゃ、先生もセレネちゃん心配になっちゃいますねー、えぇ。
 無茶してない、の自己採点なんか、当てにしませんよ。誰でも同じこと言いますから」

案外、この子も自分に対しては無頓着よねぇ、と彼女にジト目を向けて。
そういう所は直さないと、もっと心配されちゃうぞ、というのを示しておくことにする。

「本当は先生以外にも試したいのですが、セレネちゃんに使わせるわけにもいきませんしねぇ。
 出力が極端に増大して、一気に魔力を喪失したら大変ですし、月光浴も今は厳しいでしょう?
 っとと、参考までにですが、セレネちゃんも、魔力を過剰に溜め込むときってあるんですかね。
 ――あ、嬉しいこと言ってくれますねぇ、これ、手作りなんですよー……!」

どうなんでしょう、と首を傾げつつ、彼女の答えを待ってみる。
水羊羹への感想には、料理を精製する異能を持つへっぽこ娘が、えっへんと胸を張っていた。
なお、お茶の方は新しく用立てた、お高めの品。良い所の玉露だとかなんとか。

セレネ > 「…クラっときた結果がこれなんですけども。
あれ、これ私が惚れっぽいだけなのかな…。
――えー、大丈夫ですよー。倒れる程の無茶は余程の事がないとしませんし。」

ジト目を向けられてしまえば何故そんな目をと言うように首を傾げ。
大丈夫、しないしない。

「んー、私は構いませんが。
回路が開いて駄々洩れする程自身の魔力の扱いが出来ない訳ではないのですし…
まぁ確かに、普段より消費は多いかもしれませんけどそれは、それで。」

口実になるし良いかなって。そこまでは口に出さずに。

「あぁ、私は一定量を超すと自然と排出されるので過剰に溜め込んでしまうという事はないです。
へぇ、手作りなんです?
…というと、やはり昨夜の異能を使って?」

実際に手作りするには材料も調理器具も必要そうだし。
となると、やはり異能を使用して作成したのだろうかと。

ラピス > 「ふふ、いやぁ、青春してますねぇ。良いじゃないですか、惚れっぽくても。
 好きになることに理由が必要かと言えば、そうじゃないですから。
 余程のことがあっても、喀血するレベルは迷ってほしいですねぇ、先生は。
 セレネちゃんは、昨日の話から察するに、必要なら迷わないでしょうから」

薄情とかそういう話ではなく、彼女は必要な時に、必要なことを躊躇いなく実行できる人なのだ。
ただそれだけ。そんな気がするから、やっぱりちゃんと見ておかないとなぁ、なんて思うのだ。

「セレネちゃんもお医者さんだったなら分かるでしょうけど、体質に合致しすぎちゃうかもですから。
 ――それとも、魔力を消費しすぎたい、と言うならば、先生は止めはしませんけれども、ねぇ」

無論、先程の挙手で彼女の希望は理解している。だから、そういう事なら止めはしない。
だが、自分の差し金だって気づかれたら面倒そうだなぁ、とかちょっと思っているのは秘密だ。

「ん、そうなのですねぇ。ちなみに先生は、溢れそうな時は宝石に貯蓄してますね。
 宝石は古来より魔術に使われていた呪具ですから、良い感じに溜め込んでくれるんですよね。
 それに琥珀なんかは薬の材料でもありますからね。先生の異能でも出せる訳ですよー」

彼女のやり方を聞いたから、自身のやり方も述べておく。
水羊羹の作り方には、ふふりと笑みを浮かべつつ、首を横に振って。

「いえ、ちゃんと料理しましたよ。先生の異能は、非常時の手段ですから。
 お料理はちゃんと食べて貰う人を思って、手間をかけた方が素敵でしょう?」

お手軽ばかりじゃね、とそれっぽくモットーなんかも挙げといた。

セレネ > 「好きになる事に理由は必要ない、か。
…私、何でも良いから理由付けしないと納得しない質なので
そう思えるのは羨ましいなって思います。
迷う時間のせいで救える人が救えなくなるのは嫌なのですよ。
そういう人、嫌になるほど見てきましたから。」

迷っている時間すら惜しい。そう思うから躊躇わない。
救える人は救うけど、救えないと思った人は手を差し伸べる事は無い。

「――いえ、私はただ。
相談した手前参加しない訳にはいかないので…
力になれる事があればと、そう思っただけですよ。」

これは己の思惑がバレていそうだ。
しかし挙げた理由も本当の理由の一つで。

「宝石。宝石も作成出来るのですか。凄いですね。
…私の異能も話しておきますか。とはいえ、特別な事は何もないのですが。
私は常に、所謂”霊”が視えます。それと、魔力の流れや帯びている属性も視えてます。
なので、人が多い場所に行くと情報量が多くて参ってしまうのです。」

貴女の異能と比べると、なんて事のないものだけど。

「なんと。
和菓子も作れるのは凄いです。売りに出しても可笑しくないレベルですよ。」

びっくりした。

ラピス > 「んじゃ、先生がセレネちゃんのために、良いことを教えてあげましょう。
 人を好きになる理由は、好きになっちゃったから、とかでいいんですよ?
 先生は、セレネちゃんを好きになっちゃったから、好きで仲良しなわけですし。
 ふふ、先生は、勿論セレネちゃんの考え方を尊重しますよ。信念は大切ですから。
 ですが、もしセレネちゃんが辛くなったら、その時は先生を頼って良いのですからね?」

彼女は迷わない。だけど、迷わないことが重荷になる時が来るかも知れない。
そんな時に、少しでも力になれたら、側にいられたら良いと思う。
彼女が誰かを救うように、自分が彼女を救えたら、とも。

「そういう事なら、仕方ないですね。試作のお香を一つ、あげます。
 条件は、体調がやばくなったら、先生を呼ぶことがお約束、ですよ?」

其の上で、彼女がこのお香を使って、うまいことやるならばそれはこちらの存ぜぬこと。
そうなったなら応援するのみだ。先生は色んな意味でフリーダムなのだから。

「宝石の中で、お薬になるものだけですけどね。だから、琥珀と真珠がメインです。
 ――おお、お化け見えるんですか。なるほど。情報量が多い、ふむ、ふむむー。
 それなら、見えるものを抑える眼鏡とか、あったら良さそうですねぇ……?」

見えるようにする魔法具があるなら、見えないようにする魔法具もあるはず。
――実際、探すとなるとレアアイテムかもだから、大変な気しかしないけれども。

「ん。そう言ってもらえると嬉しいですね。お料理は、大事な趣味ですから。
 それじゃ、セレネちゃんには、先生を愛でることで売ってあげましょう!」

値段=愛でること。圧倒的謎勘定である。ポンコツここに極まれりだ。
ともあれ、試験期間中の一幕は、緩やかに、穏やかに続く。
後は彼女が保健室を辞去するまで、のんびり世間話に終止したのだとか――。

セレネ > 「……。
分かりました。何かあったら…その時は。」

少し、言葉を探すように沈黙したが。
何れも言葉に出来ないまま頷いて。
他者を救う事を重点的に考えすぎて、そこに己は元より入っていない。
だから、相手のような言葉を投げかけられると正直戸惑ってしまうのだ。

「有難う御座います。
どんな香りなのかも気になってるのですよねー。」

交換条件には頷いて了承。
思惑に気付いていても強く止めないのはきっと彼女の気質だろう。

「ほほう…そうなのですか。
視えますよー。だから時々人が居ない方見てたらそういう事なんだなって思って下されば。
あー、確かに。そういった道具があれば楽になりますね。」

百貨店に売ってるかしら。
今度見てみようかと思うけど、この目があるからちょっと行きづらい。

「素敵な趣味だと思います。お料理上手な女性はモテますしね。
あら、そんな事で良いのです?なら、目一杯愛でちゃいますよー?」

言っては相手の隣に移動して、頭を撫でたり頬を軽くぷにぷにしたり。
一頻り満足するまで、小さな女子会は続く事となり。

ご案内:「第一教室棟 保健室」からセレネさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」からラピスさんが去りました。