2020/08/01 のログ
ご案内:「第一教室棟 屋上」に霊山 市仁さんが現れました。
霊山 市仁 > 夜中の学校の屋上、生ぬるい嫌な風が吹いている。

「…今夜の風は良くないな。」

風が男の白装束を揺らす。
まるで死人が着るような衣服を身に着けたその男。
死人というにはあまりに血色が良さすぎて性質の悪い冗談かちゃちな肝試しの驚かし役のよう。

ああ、こんな彼を見て誰が本物の幽霊だと思うのだろう。

霊山 市仁 > 「こう…やっぱり夏と言えども…もう少し涼しい風を望みたい。」

そう、幽霊であっても涼しい風を望んだっていい。
生ぬるい風が幽霊の登場の合図みたいになっているがあれは駄目だ…。

涼しくて快適な気候の方が幽霊も現れやすいはずだ。

「もしや…個人差か…。」

未だに一度も見たことがない自分以外の幽霊の存在に思いを馳せながら服の袖から取り出したペットボトルのジュースを屋上に備える。
…まるで、ここで人が死んでしまったかのように見えるがまあ…仕方ない。

霊山 市仁 > 自分で自分にお供えをするというあまり見ることのない光景。

「乾いた喉にスポーツドリンクのが効いて…生き返るという感じがする…。」

生き返らない。

ペットボトルの内容物は全く減っていない。
減っていないにも関わらずその何らかを摂取している。

日本の幽霊ならではの飲食の方法である。

霊山 市仁 > そして、お供えの役目を終えたそのスポーツドリンクを…飲む。
お供えの品に手を出すとはなんと…なんと罰当たりな!

「うーん、薄い…。」

お供え済みの飲食物はなんとなく薄くなる。
塩分とか味がとかではなく…その…霊エネルギー的なやつが…。

「薄い…すごい薄い…。」

薄い薄いと文句を言いながらぐびぐびとそれを飲み干して。
口元を服の袖でぬぐう。

霊山 市仁 > 「そろそろ頃合いか…。」

…時間だ。
その呟くが早いか屋上に続く扉が開く。

『霊山君!もう閉めちゃうからそろそろ!!』

現れたのは警備の人。既にベテラン彼とは馴染みの関係だ。

「ふ…さらばだ。夜よ…またいつか…。」

─生ぬるい風が吹くこの屋上を去った幽山の行方を知るのは─あの24時間経営のファミレスの店員のみである。

ご案内:「第一教室棟 屋上」から霊山 市仁さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
ラピス > 今日も今日とて、へっぽこ少女は保健室に入り浸る。
当番じゃなくても大体保健室にいる辺り、最早住処なんじゃないかしら、とかなんとか。
夏休みともなれば、平常時より利用者も少ない。お陰でお茶もおやつもある楽園だ。

「んしょ。今日は飴作りでもしましょうかー」

備え付けの机に乗せるのは、いつもの愛用トランク。
中から薬研と真珠を幾つか取り出すと、調合の準備は万端だ。
前にうっかり失敗したから、と風の精霊にお願いして、音を消すのも忘れない。
後は、薬研に真珠を転がし入れると、薬研車でゴリゴリと砕いて粉末に変えていく。

ラピス > 砕いて粉末にした真珠は、トランクから取り出した瑪瑙製の乳鉢に移す。
次いで、同じく瑪瑙製の乳棒でぐりぐりと、更に細かくすりつぶす。
ぐりぐりごりごり。細かい砂粒状になってきたら、乾燥させた薬草を投入。
主に魔力の回復や滋養強壮、精神を整える作用を含むものを投げ込んで。

「ふっふー、これを更に、乳棒と真珠の砂ですり潰しちゃうのです」

再び乳棒を握りしめて、ぐりぐりごりごり。
単純で単調な作業は、なんとも落ち着くものである。
ごり、ぐり、ごりごり。全体が均一に混ざるまで、せっせと調合は続く。

ラピス > 粉末がしっかり混ざったら、糖蜜で練り固める工程へ。
一回分の粉末を小さな乳鉢に移し替え、その中にとろりとした糖蜜を流し入れる。
それから、匙でぐにぐにこねこね。糖蜜が少しずつ乳白色に変わっていくのを確認。
砕いた真珠と同じ様な色味になったら、球体になるように整えてから、冷やし固めて。

「ほい、これで一個目が完成ですねー。後何個作れるでしょうかねー?」

こねこね、ぐにぐに。再び真珠の粉を乳鉢に移して、糖蜜で練り固める。
後はこの繰り返し。魔力を吸着させた真珠の粉は、回復剤の効果を含む。
魔力の欠乏を起因とする体調不良に効く、良い薬になってくれるだろう。

ラピス > こうして、飴を幾つも作り出すと、その内の数個を瓶に詰めて、ラベルをペタリ。
『魔力回復補助剤 1回に付き1つ処方。噛み砕かずに、舐めて溶かすこと
 不明な点などありましたら、ラピスまでどうぞ。美味しいよ、多分!』
後は瓶を薬棚の一角に安置して、今日のお仕事はおしまい。
残りの飴は、へっぽこ少女が直接処方したり、おやつにしたりするためのものだ。

「――ふふ、今日はいい感じに捗りましたねっ!」

はふー、こきこきと肩を回して、一つ伸びをして。
後はゆっくりのんびりと、お茶の時間とすることに。
買い込んでおいた秘蔵のお菓子を楽しんで、ぱたぱたどっかに消えてったとさ。

ご案内:「第一教室棟 保健室」からラピスさんが去りました。