2020/08/22 のログ
ご案内:「第一教室棟 教室」にトコロザワ カスカベさんが現れました。
トコロザワ カスカベ > 「どうしよ…また迷っちゃった…ええとここは…」
教室の一角、少年はキョロキョロと当たりを見渡した。ドアに下げられたネームプレートを見たり、窓から外を覗き込んでみたり。どうやら本当に迷ったようで、偶然この教室に入り込んだようだ。
「はぁああ…なんでここってこんなに広いの…?入学数ヶ月目で心折れそうなんだけど?」
彼はだんだんイライラしてきたようだ。

ご案内:「第一教室棟 教室」に耳守 聴乃さんが現れました。
トコロザワ カスカベ > 「にゃああ」
と、徐に猫かなんなのか、地に響く唸り声が聞こえる。彼はそれに怯えることなく振り返った。
「あっシマネ!よかった!もうどこ行ってたんだペットのくせに!」
そこには2メートルはあるであろう巨体の猫のようなものが存在していた。猫のようなもの、だ。眼光は鋭く赤く悪魔のようで、体毛なのかなんなのか、それらは尖っているようにも思えた。そして口からは百獣の王をも恐れるような牙と、テラテラとひかるこちらをペロリとひとのみにしてしまいそうな赤い舌が存在している。

耳守 聴乃 > 「……誰かいるのか。」

ガチャリ……ゆっくりと扉を開けると、そう言って教室の中を一瞥した。
するとそこには生徒と思しき男子と――猫?
見てくれは猫だが、私の知っている猫と決定的に違った。
何が違うって、その大きさだ。
小さく見積もっても2mはあるように思える”それ”を目の当たりにして、
若干表情がひきつる。

「これは驚いたな……こんなに大きな猫?は見たことがない。君のペットか?」

ゆったりとした足取りで教室に入れば、
興味と恐怖が入り混じった表情で黒いそれを見やった>

トコロザワ カスカベ > 「あっど、どうも!すいません、驚かせたよな、です。」
うまく敬語が話せない。若干語尾が怪しいがなんとかなるだろう。
「こいつは、ええとペットって言うか…まあペットなんすけど…シマネって言うんだ、です。怖くは無いです。」
しどろもどろしていると、シマネはもう一声上げて地を揺らした。ペットという扱いが気に入らないのだろうか

耳守 聴乃 > 「いや、まぁ驚いていないって言えば嘘になるかな。
 ここまで大きい生物を間近で見たことがなかったものだから」

異邦人なんかはよく遣いとしてこういう珍しい存在を使役したりしているが、
私自身魔術とか、異界とか、そういうのとは縁がなくてなじみがなかった。
声で血を揺らすそれ――シマネを見て、すこし笑みがこぼれる。

「ペットとも限らないか。
 パートナーだったり、使いだったり、家族だったりするかもしれないものな。

 ああ、すまないね。自己紹介が遅れた。
 私は耳守聴乃だ。一応この学園で教員と研究者をやっている。
 よければ君の名前を聞いてもいいかな?」>

トコロザワ カスカベ > 「家族…そうかもな」
家族という響きにシマネもどことなく嬉しそうだ。それに見惚れて数秒反応が遅くなったことに気がつく。
「えっあっはい!ここ先月新しく入学してきました一年トコロザワ カスカベと言いますです!」
使い慣れない敬語を必死に捻り出してようやっと形にする。この人を見ているとなぜか背筋が伸びて不格好な姿勢になってしまう。それをシマネは軽く鼻で笑ったように見えた。

耳守 聴乃 > 「ふふ、猫みたいな見た目だったからついついペットと口走ってしまったが、
 家族の方が正確だったか」

ペットも家族じゃないのか、といわれると難しいが、
言葉の選び方はそういうものである。

「別に無理して敬語を使う必要はないぞ。
 私相手の時に限っては楽なように話してくれ」

そのほうが自然な形で話せるし、
何を考えているかわかりやすいからな。
そう付け加える。

「カスカベだな。一年生か。
 ということはここにきてまだそんなに経っていないわけだ」

学校生活には慣れたか?
なんて、先生っぽい質問をしてみようか>

トコロザワ カスカベ > 「ごめんなさい…敬語使い慣れてないんだ…いつもシマネと一緒で誰とも話さないから。でもこっちの方が楽だよね。みんな堅苦しいと思うんだけど。ともかくありがとう!センセと二人の時は敬語なしでいくわ」
好意に甘えて軽い口調に戻す。迷子になってる時見つけてくれたのがこの人でよかった。やさしそうだし。そう思っていると、シマネが不満そうに擦り寄ってくる。まるで「アンタには俺がいるでしょ」とでも言っているような。

「シマネ暑苦しい!」
それを一括して先生の方へと向き直る。

「あの…実は俺たち迷子なんだよ。この学園広過ぎ!慣れないよ!」

耳守 聴乃 > 「そうか。私以外の人と話すこともあるだろうから、
 ゆくゆくは使えるようになるのが望ましいかもしれないな」

使えるけど使わないとの、
最初から使えないのではちょっと意味合いが変わってくるから。

「随分慕われているんだな」

嫉妬、というのが正しいのだろうか。
まるで私だけを見ていてくれといわんばかりのシマネの様子に、また笑みがこぼれる。
すり寄られている当人が鬱陶しそうにしているのもまた、
なんとも見ていてほほえましい光景だった。

「迷子?
 ……確かにこの学園は広いからな。地図がないと最初は迷うかもしれないな。
 どこに行きたいんだ?私はもう帰るだけだから案内できるが」

そう言って案内を申し出てみよう>

トコロザワ カスカベ > 「はーい使えるようになりマース」
なんて、微塵も思ってないけどね。

シマネは慕っていると言う言葉に気恥ずかしくなったのか照れるように尻尾をビタンビタンと地に這わせ、俺の背に頭をさらに擦り付けてくる。もう。仕方ないなぁ。

「わぁかったよシマネ、寮に戻ったら一緒におやつにしよう。あの…俺たちも帰りたいんだ。えーと寮に…恥ずかしいんだけど出口がわかんなくなっちゃってサ」

耳守 聴乃 > 「やり取りするうえで困らない程度には、な?」

まるで生徒を説得する先生のようだ。
いつもは研究ばかりで先生らしいことなんてほとんどしてこなかったから。
生徒が困っているとなれば助け舟を出すべきは今だろう。

「帰るなら向かう先は同じだな。
 出口にはエレベーターで……」

エレベーター。
この単語を発した瞬間にシマネを見る。

「なぁカスカベ。エレベーターにシマネは乗れるのか?」

尻尾をふるだけでビタンビタンするシマネが、エレベーターに入るとは思えない。
そうなると、階下へ行くには階段しか方法がないわけで>

トコロザワ カスカベ > 「あーーごめんなぁ、こいつ無駄にでかいからエレベーターに入らなくって…だから迷ってるんだぁ…まぁ押し込めば入ると思うけどこいつわがままだから…」
不服そうな顔でシマネはこちらを見る。まぁ誰だって狭いところにぎゅうぎゅう詰めはいやだろう。シマネに分かってるよ、と返して

「俺たちは階段で行くね。場所教えてくれれば大丈夫だよ…多分」

耳守 聴乃 > 「……いい方法があるにはある。安心しろ」

そう言って端末を開けば、”それ”の場所を確認する。
そうやすやすとあきらめないのが研究者である。

「荷物運搬用の大型のエレベーターがある。それを使えばいいだろう」

そう言って端末に表示される場所をカスカベに見せれば、
さっそく教室を移動しようとする>

トコロザワ カスカベ > 「荷物運搬用の!?そんなエレベーターに乗っちゃっていいの!?」
この言葉は決して遠慮とか不安とかそんな気持ちじゃない。荷物運搬用のエレベーターなんて特別仕様だ!そんなのに乗れるのか、そんな期待だ。それはシマネも同じようで、俺たちは顔を見合わせると先生の後を追った

耳守 聴乃 > 「人が乗る用のエレベーターに乗らないものを載せるためのエレベーターだ」

シマネはそれに該当するだろう?
そう言って、生徒とその家族を引き連れて、教員はエレベーターへと案内して、
無事帰路に就くことができた>

ご案内:「第一教室棟 教室」から耳守 聴乃さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 教室」からトコロザワ カスカベさんが去りました。