2020/09/12 のログ
阿須賀 冬織 > 「……っ。…そう、だな……。
……うん。ありがと。その言葉は肝に銘じておく。」

……その言葉に、戻ってきたとはいえ、一度居なくなった友人が頭に浮かぶ。
彼と同じように、もう後悔はしたくねーし、と呟く。

「ちぇ、まあそうだよなー。でもまあそんなに言われるその先輩って本当にすごい人なんだろうな。」

まあなんとなくわかっていた。そして彼の言葉からは心の底から尊敬しているということが伝わってくる。
……生活委員について詳しくは知らないが、もしかしてこの前会ったあの人なのだろうか?

干田恭支 >  
「うん?……どういたしまして。
 よく分かんないけど、思い当たる事でもあったのかな。
 だったら──早めに動きださないとね。」

やってしまったことへの後悔より、やらなかったことへの後悔の方がいつだって大きくて重いんだ。
その大きさと重さは、恭支も嫌という程知っている。

「すごいよ。……いや、普通の生徒だと何が凄いのかあまり分からないかもしれないけど。
 仕事は出来るけど、性格や人間性はちょっと難がありそうだし」

機会があれば紹介出来るだろうか、と考えて。
一番手っ取り早いのは、生活委員に彼が入る事だとは思うのだが。
既に件の先輩と冬織が知り合いだということは知らず、思案していると。

「……あ、降って来た。」

ぽつ、ぽつと昏い空から雨粒が落ちてきた。

阿須賀 冬織 > 「……まあな。…うん、そうするよ。」

やらなかった後悔は知ったから。その言葉はすんなりと受け止められた。

「あー、まあなんか仕事できる人ってそういうところあったりするって聞くし……。」

まあ寧ろ全部完璧な人間なんてちょっと怖い。フォローになるかわからないが。
もしかしたら知っている人かもしれないが、会ってみたいなと思いながら話をしていると。

「……んあ、ほんとだ。話付き合ってくれてありがと。」

降ってきたとの言葉に手の平を空に向けてみれば水滴の感触が。
本格的に降る前に屋内に行くかと立ち上がる。

干田恭支 >  
「ま、だからって中々出来るもんでも無いんだけどね~
 やろうと思って出来るなら、大抵とっくにやってるはずだもん。」

俺もそういうのばっかりだ、と苦笑いしつつベンチの下のゴミ袋を引っ張り出す。

「俺は優しくていい先輩だと思ってるんだけど、どうも勘違いされやすいみたい。」

袋の口を縛りながら、その先輩の姿を思い浮かべる。
愛想が悪いというか、態度がそっけないというか、万物に対して無関心というか。
まあ人間性と仕事の腕は別なので、恭支は素直に尊敬するし懐いているのだが。

「うん、こっちこそ起こしてくれてありがとう。
 気を付けて帰りなよ、俺はもうちょっと校舎内回って、傘忘れた生徒とか居ないか見てみるから。」

結局外し忘れていた生活委員の腕章をひと撫でして、ベンチから立ち上がる。

阿須賀 冬織 > 「まっ、今度会ったときでも詳しいこと聞かせてくれよ。」

もしかしたら知ってる人かもしれねーし。次ぎ合うことがあれば聞いてみよう。

「んじゃまあまた。お前も気を付けろよー。」

そういって彼は寮への帰路につくだろう。

ご案内:「第一教室棟 屋上」から阿須賀 冬織さんが去りました。
干田恭支 > 「ああ、またなー!」

屋上から去っていく冬織を見届けている間に雨脚はどんどんと強まっていく。
忘れ物落し物は無いだろうか、とだけ確認したらゴミ袋片手に恭支も校舎内へと向けて歩き出す。

「……雨の日の裏常世渋谷……行った事無かったなそういや。
 雨で足止め食ってる人が居なかったら、ちょっと行ってみようか。」

屋上のフェンス越しに常世渋谷方面を見る。
夕立のベールに遮られて、ぼんやりとしか見えなかった。

ご案内:「第一教室棟 屋上」から干田恭支さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
ラピス > いつもいるようで、案外久々な保健室での待機当番。
最近はなんとなく気分で島内を徘徊していたから、保健室で浴びる冷房の恩恵も久々だ。
ひんやりひやひや。秋口でもまだ夏めいた気候。熱中症は要注意。
そんなわけで、経口補水用のドリンクを補充したりして、まったり過ごすへっぽこである。

「ふぃーにゅ、それにしても、こう、あっちーですねー。
 夏って8月までじゃないんです?ま、文句言っても変わらないですけど」

ここに来る前に購買で買ってきたサイダーをちびちびしながらのぼやき。
甘いシュワシュワ美味しいよね、なんてまったり満喫中。有り体に言えば、暇だった。

ご案内:「第一教室棟 保健室」に耳守 聴乃さんが現れました。
耳守 聴乃 > コンコンコン、とノック。
特に返事を待つことなく保健室の扉を開けた。

「失礼します。ちょっと火傷をしてしまったので塗り薬をもらいに」

そう言って室内を一瞥すると、
そこにいたのは自分よりも年齢が二回りは下に追燃えるような女児がいた。

「……保険医の先生は不在ですか?」

まさかそこでサイダーを飲んでいる女児が保険医だとは思えず、
保険医はどこかなんて質問をしてしまった。
そんな質問をした本人は、左手の指先を火傷したようで、
濡らしたハンカチを当てていた>

ラピス > 開く扉の音に、少女は椅子からだらーんと上半身を後ろに倒して答える。
それこそ、背もたれを視点にずりっと落ちたような、だらしない姿勢である。
上下逆転した視界の先に、見えるのは女性の姿。生徒、っぽくはなさそうだ。

「あ、どもですー。おや、それは大変。こちらにどうぞー」

ひょい、と上体を起こして椅子に座り直すと、ちょいちょいと手招き。
保健室に駆け込めるなら、程度としては軽傷かしら、と予想を立てる。
保険医の不在を問われると、ふむ、と首をかしげる素振りを見せながら。

「あぁ、今は自分が保健室当番ですよー、ですよー?」

にっこり。これでも教師だぞ―、と胸を張ってみる。
そうは見えない?でしょうね!というのは初対面だといつものやり取り。
最早慣れたもの。それ故、彼女が目の前に来たなら、早速診察を始めるつもりだった。

耳守 聴乃 > 「……ああ、それは失礼。
 てっきり私の様に保健室のお世話になっている側だと思ってしまって」

こちらにどうぞ。
そういわれた瞬間、聞き返しそうになった。
どうやら目の前にいるだらんとした少女が保険医のようで、
それを理解するのに少し時間がかかってしまった。

「じゃあ、お願いしますね。
 ちょっと実験中に熱線に触ってしまって」

電源の入った電熱線に触ってしまった。
と説明すれば、彼女の前に座ってハンカチをあてがった指先を見せる>

ラピス > 「まぁ、よくあることなので、気にすることもないです。
 ――さて、それじゃ、さくさくと見ていきましょうかー!」

一応白衣着てるじゃないですかー、とぱたぱた。
白衣が教師の証だと、へっぽこ教師は真面目に思っているらしい。
実際は、実験教室を使う生徒とかも白衣を着ることはあるからお察しである。
ともあれ、原因を聞きながら、彼女の指先を診察開始。じぃ、と覗き込む。
電熱線に触れてすぐに離したなら、そこまで酷いこともないだろう。多分。

「なるほどー。左利きですか?だとするとちょっぴり不便かもですね。
 ともあれ、そういうことなら、火傷用の塗り薬を処方しておきましょう」

ぴょんこ、と立ち上がって、薬棚の前に移動。踏み台を用意して準備万端。
ひょこひょこと踏み台の上に乗っかって、薬棚の中をゴソゴソ漁る。
やがて引っ張り出されるのは、乳白色の軟膏が入った掌大の壺だった。
それを片手に戻ってくると、ぱこっと蓋を開ける。立ち上る薬の臭い。
そのまま、中身を指先で掬うと、親指と人差指で練ってから。

「それじゃ、やけどした指をこっちに向けてくださいねー?」

お薬塗りますよー、とちっこい手で、ぬりぬり。所作はしっかり手慣れていた。

耳守 聴乃 > 「まぁ……今ので覚えましたけど。
 やっぱりいろいろな人がいるとは言え、
 学生――というか児童に見えてしまったので」

そう、目の前にいる彼女は生徒や学生というより見た目は児童だった。
小学校や高校という区分のないこの島ではあまり意味はないが、
その世界ならそうみられているだろう。

「いや、利き手は右なんだ。
 触ってしまったのは本当にうっかり……」

うっかり。
実験で怪我をするのは何年ぶりだろうというレベルだった。
自分の手よりも一回り小さい手が、慣れた手つきで指に薬を塗りこんでいく。
自分よりも相当に小さな相手に薬を塗られるというのは非常に複雑な気分で、
指先の痛みといい勝負をしていた>

ラピス > 「ん、それじゃ、ついでにお名前も覚えていってもらいましょう。
 ラピスっていいます。一応、薬学の教師で生活委員会所属ですよー。
 担当の学生さんにも同じ様な扱いなので、もう慣れっこですからねー」

授業が終わると、大抵生徒が集まってきてほっぺをぷにられたり抱っこされたりする。
教師というより友達や妹や近所の可愛い子供扱いである。実際この見た目だから是非もなし。
これでも外見通りの年齢ではないから、もう少し歳上なのだけれどなぁ、というのは密かな悩み。

「ふむ、それは不幸中の幸いですね。それじゃ、極力薬塗った指先は使わないように。
 お薬塗ってますけど、取れちゃいますからね。取れたら塗り直せば良い訳ですけども」

ぬりぬり、ぬりぬり。極力痛みを与えないように優しくを心がけながら。
一頻り塗り終わると、ポケットからはまぐりの貝殻を取り出して、小壺の中身を掬い上げる。
ついで、全体に満遍なくならすと、もう一枚の貝殻で蓋をして。

「ほいっと。これはとりあえず数日分の塗り薬です。寝る前とかに塗るといいでしょう」

どぞどぞ、とにっこり笑顔でピタッと閉じた貝殻を差し出してみる。

耳守 聴乃 > 「ラピス先生、ですか。
 私は耳守です。非常勤で初等物理や異能応用工学を受け持ってます。
 学生からもその扱いですか……」

それでいいのだろうか?
いや、本人がそれでいいのならいいのだろうけど。
私も学問の話をしているときは生徒と教員は平等であるべきと考えているが、
彼女の場合はそれとは少し毛色が違うように思えた。

「ありがとうございます。
 まぁ、残りの実験は学生に任せることにします」

ちょっとした雑談をしているうちに、薬を塗り終える。
極力指先は使わないように、と言われれば、
今日の予定を少し変更しないとなぁと呟いた。

そして貝殻に塗り薬を封入されて渡されると、それを受け取った。
随分と古風な処方の仕方だ、今の時代にこんな方法でくすりをもらうとは。
なんて感心して見せる>

ラピス > 「耳守先生ですね、覚えておきますねー!物理に工学、理系さんでしたか。
 ――ふふ、まぁ、ちゃんと言う事聞いてくれれば、それでいいかなぁなんて」

幼子扱いだから、話をちゃんと聞かないと可愛そうでしょ、という生徒の自治が働くらしい。
その結果として、薬学の授業は真面目に受けてくれているから、授業に支障はない。
休み時間はその分うりうりとほっぺを突かれるわけだが、まぁ、それはそれだ。

「いえいえー。保健室の本来の役割ですからね。
 まぁ、ちゃんとしていれば1日から2日でなおりますよー」

教師の薬は、様々な薬草を調合したお手製だ。効能は一応折り紙つきである。
大きな怪我、というわけでないなら、大抵3日以内に治せるのだとかなんとか。
貝殻の薬は、軟膏を分けるのに便利で楽だから、というのがメイン。
それになんだかちょっぴりお洒落だし、と気に入っていたりする。

「んしょ。それじゃ、診察はこれでおしまいですよー。
 火傷以外の薬も扱ってるので、今後も気軽にどうぞです」

ぺこん、と一礼。保健室が満員なのはさけたいが、遠慮なく来てほしくもある。
それに、へっぽこ教師的には暇つぶしも――なんて、色んな思惑からの歓迎姿勢だ。

耳守 聴乃 > 「ええ、生粋の理系ですね。
 そうですか……まぁ確かにそういうものなのかもしれません」

ちゃんと講義を受けてくれればいい。
その発言には全面的に賛同できる気がした。

「火傷に限らず実験でやらかしたのは本当に久しぶりです。
 そんなにひどくならなかったのが救いですね」

1日2日で治る、そういわれると、少し安心したようだった。
どうやらこの塗り薬はラピス先生のお手製らしい。
興味深そうに貝殻を見れば薬を自分で作れると聞いて、
隣の芝を青く空見してしまいそうな気持ちになった。

「ええ、ありがとうございました。
 本来なら怪我や病気で保健室のお世話にはなりたくないんですけどね。
 今度は元気な時に遊びにでも来てみます」

気軽にどうぞ。
そう言って元気に頭を下げる保険医に、ふふっと笑った。
学生時代、よく保健室に入り浸っていた同期がいたが、
こういう雰囲気に甘えていたのかもしれない。
そんなことを思い出せば、確かに悪くないかな、なんて。

こちらも一礼してお礼を言えば、保健室を後にするのだった>

ご案内:「第一教室棟 保健室」から耳守 聴乃さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」からラピスさんが去りました。