2020/09/21 のログ
出雲寺 夷弦 > 「……」

ほんのわずかの時間だったが、腕の中に抱いた相手の体温を感じていた。
その細さ、しなやかさ。記憶の通りなら、これでも、腕っ節は立つことを知っている。
だけれど、そうやって抱きしめて解ったのは――一人の、女の子なんだということ。

それが判ってから、少し、腕に力を込め、抱き締めようとしたところで相手が冷静さを取り戻してくれた。
――『ドッッッッゥ』
無論、突っ張る腕が胸板をそれなりの力で押した。抱きしめようとしてたから結構な威力での掌打となる。

「ごぅッ」

思わず声を上げた。が、ふらつきこそすれ、そこは見た目通りのフィジカル。
手で押さえながら、ゆっくり片手をあげた。

「い、いや、お互い様……気にすんな……う"ッ」

ちょっと痛ェ。夷弦は震えた。

「……えぇ、と」

――だが、そんな一部始終さえ、見られているのだから。
夷弦は悩み、目の前の真っ赤な顔した凛霞の。
その手を咄嗟に、握ろうとする。
なんというか、凛霞の第三者的評価はきっと、こういう姿を見せることなんて絶対ないだろうなという予感がした。
知っている。もっとこう、凛々しいとか、しっかり者とか、そういうような。
だから、目の前のこういう姿を見られるっていうのは。いや、吐露すべきは、『こういうのを見るなら、自分だけに見せてほしい』という気持ちがあったのだ。

「凛霞」
名前を呼んだ。割とはっきり、さっきよりしっかりした声でだ。
いや、こんなことまでしなくてもいいとは思う。もっとこう、色々スマートにさっくりと居無くなればいいものを、ちょっとどうかしてるんだと思う。

「……先に靴取りに行くぞ。学年同じなら、場所も同じ、だよな?
――うん、ちょっと走るぞッ!!」

出雲寺 夷弦 > ――その言葉と共に、手を引いた。
駆け出すのだ。人の間を縫うように、それからしっかりと指を絡め、手が離れないように握りながら。


こういう時、そのくらいのことを、出来るようになりたかった。
ちょっとした彼なりの男っぽいところで、それから彼のその時の気の遣い方と、最適解は、逃げ出すこと。


……放課後の廊下を走る。先生に見つかったら怒られそうだけど、その時は自分が引っ張って走らせたということにしでもするとしよう。もしくはただただ、見つからないように祈って下駄箱へダッシュをするのだ。
走りで言うなら、凛霞の方が早いだろうから、けれどそれでも気を付けてはいきつつも。

兎も角、二人で走り出した。やってみたかったこんなこと、なんていう、頭の中に過った変な気持ちに、顔がちょっと緩んでいた。

伊都波 凛霞 >  
「え、わ…っ───」

手を握って、走りはじめる
うっかり思い切り押しちゃっても揺るがない体躯に、大きな手…
こうやって手を繋ぐとそれがよくわかって…男の子なんだなというのがよくわかる

風紀委員としては廊下は走っちゃダメ!と注意しなきゃいけないところかな
──腕章、つけてないし…今はいっか

手を繋いで、廊下を走る?
こんなの、いつぶりだろう
まだセーラー服なんかを着てた頃には、あったっけ?
もしかしたら、初めてかも──

彼の背を見て走る、その顔は見えないけど
多分きっと、自分と同じく、ちょっとだけ、頬が緩んじゃってるんだろうなあ

そんなことを考えながら、夕焼けの赤が差し込む校内を駆けるのだ
──そう、いつかこうしているはずだった時間を、取り戻してゆくように

ご案内:「第一教室棟 廊下」から出雲寺 夷弦さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 廊下」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 教室」に綿津見くらげさんが現れました。
綿津見くらげ > 人気のない、薄暗い教室。
真ん中の席にぽつんと座る少女、彼女の名は綿津見くらげ。

何故だ。
今日は学校に他の生徒の姿がまったく見えない。
大規模な怪異による攻撃か?

教室の中は、耳が痛くなるようなの静寂。
そして彼女は、重大な事実を見落としていた事にようやく気が付いた。

「なるほど。
 holidayじゃねぇの。」

ご案内:「第一教室棟 教室」に誉凧さんが現れました。
誉凧 > 薄暗い校舎の中 薄暗い教室が並ぶ通路、人気のなさそうな教室を
一つ一つ覗いては動く気配の静かな存在。そーっと覗いては何も異常がないとそーっと去っていき、
また少し進んでは一つまたそーっと覗き込むという不気味奇天烈な行動をやってた。

…異常なし…またここも異常なし…

怪異に間違えられそうな気配を沈めた所作をし乍ら、とある教室を覗いた所で
異常なし…と二度見したような仕草をして、じっと教室にいるとある人物を扉の柱の陰から覗くように見つめだす。

「居残り……さん?」

綿津見くらげ > 廊下から、誰かが近づいてくる気配。
これだけ静かなら、いかにくらげと言えど察知は容易。

それが入り口から顔を出す。
じっと視線を送るくらげ。
どうやら、人の類の様だ。
当然二人の視線が合い、一瞬気まずい沈黙。

「居残りでは無い。
 自主的な、登校だ。」
その者に、居残りか、と問われ答える。

……休日だというのに自主登校。
これじゃまるでくらげがバカみたいであるが、実際バカである。

誉凧 > 気配殺しといっても足音諸に出ていたようです。
視線が合うといっても見えているように振舞っている全盲メイド。
視線を気配の主でありますくらげさん方面に向けているのであって
正確無比にくらげさんの視線と合っているかは自信が 皆 無 。

「本日 祝日扱いの休日ですのに?
 自主的な登校ですのにこんな時間まで居られるとは?」

今日休みですよ?と首を傾げて不思議そうにくらげさんを見据える。
何かをしていたのかと、くらげさんから下部へと視線?を向ける。
主に机の上とか鞄の有無とかを。自主的登校なら課題か何かがあるはずと…?

綿津見くらげ > くらげの机には、ご丁寧に教科書が並べられ、
授業を受ける準備万全といった感じだ。


「……ほぅ。
 やはりそうか。
 祝日か、今日は。」
やはりな、と物静かな、重々しい口調で呟く。
重々しい雰囲気を出してみたところでバカはバカだ。


「何者だ。
 お前こそ。
 休日の学校で、何をしている?」
自分のことは棚にあげ、
太々しく誉凧に問い返す。

誉凧 > 改めて思うが 本日は祝日 一般的には休日扱い。
異能でくらげさんの机上を視たが、授業準備完了という具合で非常に残念な具合。

幾ら待った所で明日も祝日最終日なので明後日までこの調子で
いるつもりなのでしょうかと疑問視せざる得ない。

「加えまして、明日も祝日の為、授業が通常通り執り行われるのは
 明後日23日となりますが、名を告げぬお嬢様。」
極めて感情の籠らないひんやりとした口調で言葉を返す。
会釈程度に言葉の締めくくりに頭を下げてどこかの従者のような振る舞いを添えて。

「常世学園2学年 公安委員会所属 誉凧(イー・シェン)、もしくは アリソン。
 四連休中にリハビリを兼ねて運動を添えて見回り擬きを少々。」

名前は持っている内の二つを告げて自己紹介としておきたい。

綿津見くらげ > 「あ、明日も休みなの。」
知らなかった。
もしこの者から聞かなければ、
明日も今日と同じザマを晒すところだった。

「ほう、公安の者か。
 ご苦労。
 見回り。」
教科書類を鞄にしまいながら答える。

なるほど、メイドの様な恰好に違わず丁寧で恭しい態度だ。
リハビリと言ったが、病気でもしていたのだろうか。

「私はくらげ。
 綿津見くらげ、1年だ。」
名乗り返すくらげ。
先輩にあたる誉凧に対しても不遜な口調だが、
彼女は大体いつでも誰に対してもこんな調子なのである。

誉凧 > 「今年だけの特例となります。」
務めて感情が淡泊過ぎて淡々と言葉を紡ぐメイド。
メイドの格好をしているだけであって中身はとんでもなく別物。
先ほどまでやっていた気配殺しや音を殺す所作はメイドには不要。
それをやっているという事は、まぁ メイドはコスプレめいただけか。

「公安委員の狗に御座いましては。
 異常は見受けられませんが異常擬きは此処に発生」

帰り支度か何かをし始めているくらげさんを耳で聞きながら
時折視線を泳がせたり 異能か特殊技能かで辺りを見ている所作を。

「…綿津見様、ご尊名賜りました。
 以後記憶に刻み置きましょう。」

年齢性別全てにおいて誰においても口調と所作が変わらない。
所作がこうなのである時メイド服を勧められてそのまま着たら定着したオチがあったりする。

綿津見くらげ > 「ほう。
 異常か。
 どこに?」
お前の存在の事だ。

その異常な奴は、今度は何処からかマグカップを二つ取り出す。
ミネラルウォーターが入ったペットボトルと、
紅茶のティーバックも取り出し……

「まぁ良い。
 茶でも飲むか?
 イーシェン。
 あるいはアリソン。」
ペットボトルの蓋を開けると、
中から水がふわりと宙に浮いて水球を形作る。
その中へティーバックを浮かばせて
さらには水が勝手に加熱し出して茶が煮出されるのであった。

彼女の異能、『ウォーターシール』。
液体を意のままに操る力である。

誉凧 > 「多次元異常現象出現ポイントは此方でしたか。」
目の前に顕現し尚且つ現在進行形で存在が明確にいる事が感じられる、
綿津見くらげお嬢様、その人こそが異常現象の坩堝!

何処からともなく取り出されたマグカップに…
どう説明をしていいか不明になってきた怪奇現象が説明する間もなく連続多重現象となり形作って湯気まで出ている様子。
後から気づいたが それ、異能 ではないか??と自分突っ込みをしたのは数日後だった。
今は頭の中に !!!? が浮かんだ状態で僅かに驚いた状態で見ていたが、
茶を飲むかという言葉に溶けたようで、教室内へと足を踏み入れた。

「どちらも偽名ですので何方で呼ばれても反応はします。
 名は最初の呪でありますからに、…いただきます」
彼女の異能は異能とは今は気づいていない様子で、
摩訶不思議なこともあるものですと思いながら、マグカップに茶が注ぎ込まれるのを待つ図が出来る―

綿津見くらげ > 「名を偽るか。
 この私に。
 いやまぁ、なんでも良いけどね。」
公安の人だし、いろいろ事情があるんだろう、くらいに思うに留め。
琥珀色に染まった茶が中空で二つに分かたれ、
それぞれがマグカップへと収まった。

「飲め。
 遠慮なく。」
そのうちの片方を手渡す。
さらには取り出す、チョコレートやクッキーやらの茶菓子。

「うむ。
 うまし。」
熱い紅茶を一口すする。
異能で点てられた茶は、なんてことない安物の味だが、
休日の静かな教室の真ん中で飲むとまた違った味わいに感じられる。

誉凧 > 「元々名無しでしたし、
 この姿を得てから名乗ったに過ぎず、とまれ今は関係ありませんね」

公安に配属になってからは公安の狗と言われ、名は左程重要でなくなり、偽名で通じるようになってからは
通称名で名の代わりとしてしまったくらい。マグカップに注ぎ込まれた謎の茶。
差し出されればそれを受け取り…。

「いただきます…どこから出しているのか…手品ですか?」

手品ではなさそう。熱い紅茶を少し冷ましてから一口飲む。
紅茶は好みなほうであったので、一口二口とペースは速い。

「紅茶はやはり美味しい」

綿津見くらげ > 「ほぅ。
 名を持たぬと。
 不憫な。」
メイドの様な恰好の公安、
何か特別な事情を抱えているのだろうか。

いや、概して人間とは皆、
大なり小なり何かしら抱えているものだ。
特に、この常世の島に住むものは尚の更。

「だが。
 仮の名とは言え。
 良い名だ。
 イーシェンよ。」
実のところ名の意味は全く分からないが、
でも響きはなんとなくカッコいいではないか。

「そうだ。
 手品だ。」
※手品では無い。


「うまいか。
 茶菓子も食え。
 遠慮なく。」

誉凧 > 「この島の生まれではない身でありますからに、
 ここではない世界で名は不要で誕生しある時
 この島にとある門を潜って来てしまい
 以後戻る事もかなわず過ごしていましたが、名は必要であろうと気づき仮で付けました。

 なお この姿は趣味です」

ざっくりと己の経歴を口にし、偽名は生きる上で必要と感じつけた事
服装は趣味です、と言ってしまったこと。

あと人間ではないのだがそれは言わないでおく。
生粋の人間ではないために人間の感覚外から眺めているメイド。
この島も摩訶不思議な島であるような気がしている。あくまでも思うだけ。

「大陸の言葉よりつけました。
 響きで付けたようなものです、有難う御座います」
スカートのポケットから取り出したのは名刺が一枚。
シンプルなもので 誉 凧 と書かれたもの。

「誉がイー、凧がシェンと読みます」

ではこちらをどうぞ、と彼女に差し出そう。
手品らしい、手品と言われればそうですか、と頷くだけ。

「いえ、飲み物だけで結構です。
 あとはお気持ちだけ戴きます」

ずずっとまた飲んでいる。

綿津見くらげ > 「異邦人、という奴か。」
正直なところ、異邦人とまともに喋ったのはこれが初めてだ。
一体どんな世界からやってきたのだろう。

「……趣味か。
 良い趣味だ。」
誰かよからぬ者の趣味で着せられてるのか?
とも一瞬思ったが、まぁそれはそれで。

少々奇抜であるとは言え、
見目麗しい誉凧にはよく似合っている。

「誉……凧……。
 なるほどな。」
感じの意味は彼女には分からなかった!
だが、なんとなくわかったような雰囲気で「なるほど」などとつぶやく。

「奥ゆかしい奴め。
 ……時にイーシェン。
 見回りで過ごすのか、せっかくの休日を。
 しないのか、何処かに出かけたり。」
なんとなく、興味本位で尋ねてみる。
くらげは今日は完全に学校のつもりだったので、
当然予定も何もあったものではない。

誉凧 > 「あ、一つ訂正を。 人ではないです。
 異邦兵器、というやつでしょうか元は。」
異邦人に果たして兵器は含まれますか?含まれないとしたら
人ではないので兵器と訂正しておきたい。
元は宇宙艦であって対艦兵器であったので厳密にいえば人の外見を得たのは数年前。
此処より科学力がかなり発展した世界からやってきたのであった。

「趣味ですね。」
二度いうか。悪趣味なものは基本服に含まれていない。
臨時艤装として身にまとう時があっても普段は基本から外れない。
メイド服は割と艤装として選んでおり暫くはこの姿は固定していそうだ。

「はい。
 この後、リハビリを兼ねて実弾射撃をしに訓練に赴き、
 補給を受けに買い物には出かけます。最後に報告に本庁に拠りますが…?」
そのあとの予定が割とみっちりだった。この後訓練と買い物と報告しに行くという休日にも関わらず
予定はありますよ。とある意味充実した日々を過ごしている。
そのほか出かけたりと引きこもりではないメイドだったり。

綿津見くらげ > 「ほう。
 兵器。
 とすると、人形なのか。
 お前は。」
精密に動く自動人形。
その見た目も所作も、人間と何ら遜色がない。
異世界由来の驚異の技術力、くらげの言葉に感嘆の色が混じる。

「………。
 ……着てみたい。
 私も。」
いわゆる、コスプレという奴。
やってみると案外楽しそう。

「勤勉な奴め。」
怠惰なくらげには信じ難いハードスケジュールであった。
さて、それでは自分はどうしようか……
午前中はつぶれてしまったが、
まだ休日は半日以上も残っている。

誉凧 > 「元々は宇宙艦です。それでは活動に支障がありすぎて
 ある時から諸事情で高機動自動人形としておりますね。
 ただ、数年前からは島の技術もお借りしておりますが…。
 人形ではあります。」

時々誤作動しちゃうんですけどね、この人形の身体、と指をワキワキと動かす所作。
紅茶をやっと飲み干すと ごちそうさまでした、と告げて持っていたカップを机の上に静かに置く。

「サイズが分かりかねますので、
 次回までに御渡し出来る様に抱き着いていいですか?」

有無を言わさず、先ほどとは違う俊敏な無駄のない動きで
彼女を思いっきり抱きしめハグを実行してしまう。
すぐに開放をして ほうほう なかなか、と呟いて。

「予定を変更し実写射撃をやめて布地屋さんに行ってきますので
 これで失礼致します。ではまた服が出来ましたらお渡ししますねー!」

失礼します、というあたりで頭を下げ、ざっと身を引きお渡ししますねーの辺りで言い放ちながら教室を嵐のように走り去っていったという。

ご案内:「第一教室棟 教室」から誉凧さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 教室」に綿津見くらげさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 教室」に綿津見くらげさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 教室」に綿津見くらげさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 教室」に綿津見くらげさんが現れました。
綿津見くらげ > 「………!!」
急に抱き着かれて、目を白黒させるくらげ。
こういった深めのコミュニケーションには慣れていないのだ。

ちなみに、ちょっぴりひんやりとしていて、
それでいてそれなりに柔らかな抱き心地であったという。

「お、おお。
 してる。
 楽しみに。」
茫然としているうちに、
嵐の様に去って行ってしまった……。

何気ない一言だったが、
なんだか本当にメイド服を仕立ててくれることになってしまった様だ。
……まぁ、それはそれで楽しみだ。

まだ少し呆けたまま、しばらく空き教室で茶を啜るくらげだったという。

ご案内:「第一教室棟 教室」から綿津見くらげさんが去りました。