2020/10/10 のログ
■史乃上空真咬八 > 「――現実じゃあなく、それだって、ひとつの"夢"、スよ」
素直じゃなく、素っ気なく、それまで応答してきた彼の声調が、唯一揺らいだ。
……そこにない片腕のある場所に視線を遣り、それから貴女を見上げた眼は、
『――見たくない光景を、深く、遠く、映したものだ』
「――餓死をこの世から無くすことだって夢たりえるンじゃないスかね。
……いえ、今のは忘れて下さい。つまらン事言いやした。
試験もレポートも、期待せず、しかし期日まで確とお待ちを。
明確な結果を、必ず提出しやス」
身長差はかなりある。見上げてようやく顔を映す。
終始静まり返った静謐な男子生徒は、頭を深く下げる。
「窮戯先生。講義、お疲れさンでした。俺はこれにて、失礼しやス」
そうして、最後の一人の生徒もまた、この大講義室から立ち去って行った。
…………。
――鼻をつくのは、そこにいた彼の残り香。"獰猛で、警戒を最大まで強めた狼の、唸り声さえ幻聴するような臭いだ。"
対峙する間見せなかったその色は、本人が居なくなった後で、そこにあったと初めて勘づける程、抑えられていたのだ。
ご案内:「第一教室棟 教室」から史乃上空真咬八さんが去りました。
■窮戯 >
「……フフ」
誰もいなくなった教室
小さな、狐の笑い声が響く
懸命に抑え込んでいた…猟犬?あるいは、狼の牙にも似た警戒心
考え方や立ち振舞だけなく、それを自制できることもまた一つ、"子供らしくない"と言える
「史乃上空真咬八…」
履修登録者の名簿から、名前を読み上げる
「尻尾も見せないなんて、恥ずかしがり屋さんね…」
クス、クス、と
漏れるような笑みを浮かべ、黒い狐の女教諭もまた、教室を去るのだった
ご案内:「第一教室棟 教室」から窮戯さんが去りました。