2019/02/07 のログ
ご案内:「廊下」にアリスさんが現れました。
アリス >  
私、アリス・アンダーソン!
去年の四月から常世学園に通っている一年生!

今、ちょっと困ったことになってる。
試験を前に勉強しようと思って鞄持って良い感じの空き教室を探していたら。

『ねー、ムカつくよねアリス…』
『いい気になってるのわかるわかる』

曲がり角の向こうで私の陰口で盛り上がってる女の子三人の話を聞いてしまったわけで。
……先週、誘われて一緒にゲームセンターに行った三人だった。

さすがに硬直してしまう。
というか、いじめられていた頃の記憶が蘇るのでこういうのムリ。
青ざめた顔で口元を押さえている。

アリス >  
ええー……なんで………?
先週、普通に話してくれたのに……
っていうか、私が嫌いならゲーセンに誘うのなんで…?

『知ってる? アリスって白鈴秋とかあの追影切人とか異邦人のニコラス先輩とかと仲良いんだって』
『ええー、顔が良い人ばっか』
『男漁りに来てんのかな、マジ引く』

……友達だし。
そんなんじゃないし。
別にいいじゃん、私が誰と仲良くしたって。

『アハハ、女の友達少なそうー!』
『年が近い子だとアガサってのくらいしかいないんじゃない?』
『だから先週誘ってやったら即答で乗ってきたんだ。ぼっちくさ。ウケるー!』

ああ、ああ。
残酷だなぁ。小学校の頃を思い出すなぁ。
こんなの日常茶飯事だったっけ……

だからって慣れるものじゃない。
目に涙を浮かべて口元を押さえている。

アリス >  
どうしよう……今すぐ聞かなかったことにして帰ろうかな…
でも足が竦んで動けない。
やっぱり私はいじめられていた時のままなんだ。

『あと何回風紀沙汰になってんのって話』
『それそれ、ガッコに来てなかったらまたかって思うよね』
『今度こそ死んでんじゃない? ってねー』

あんたたちには関係ないじゃない。
私がどこで何をしてても。
風紀に関しては好きで事件に巻き込まれてるわけでもないし、
そしてあんたたちに笑われるためでもない。

『あの髪、鬱陶しいよねー。根暗なんだから髪型くらいさっぱりしたらいいのに』
『トモダチとして言ってやればぁ? あいつバカだから信じて髪切るかも』
『ついでに黒く染めりゃいいのに。派っ手ぇー』

パパとママにもらった髪色……なのにな。

アリス >  
そうだ。
殺そう。
こいつらを。

ここで異能を使って、風紀が来るまで1000秒。
あいつらもなんかの異能か魔術を持ってたと思うけど。
やれる。私の異能なら。絶対に逃がさない。

違う。思考にブレーキをかけないと。
このままじゃ前と同じ。
いじめられて、仕返しして、パパとママに迷惑をかけた私のまま。

あの時、パパとママは色んなところで頭を下げてた。
パパとママは悪くない。悪いのは………

誰?

アリス >  
曲がり角の向こう側の三人は、飽きもせず私の陰口を叩いている。
負の感情が喉元まで来ている。
頭の中のイメージが鮮血に染まっていく。

『あいつ音ゲー上手いのやっぱ一人でゲーセンに通ってるのかな?』
『好きなんじゃない? ゲームが』
『アレ、オタクっぽさ隠せてないよね……キモい』

彼女たちはもう私を名前で呼ばない。ITで済ませる。
そっか、私の好きを全部否定してくれるんだ。
あなたたちを丸ごと否定しても、仕方ないよね。

震える手の中に拳銃を錬成する。
一発、一発。弾倉の中に殺意を創り上げていく。

ご案内:「廊下」に白鈴秋さんが現れました。
ご案内:「廊下」にモルガーナさんが現れました。
白鈴秋 >  忘れ物をした。試験の勉強で使っている小さな単語カードだ、その時の授業があまりにつまらなかったために机の下でこっそりとやっていたのが裏目に出た結果だろう。本当についていない。
 少しだけ自分の間抜けさに腹を立てながらも教室へ向かっているとその教室の前に知り合いの少女。手元には銃、その目は……それなりの覚悟があるように思えた。
 耳を澄ませば聞こえてくるのは陰口内容は……なるほど。
 陰口の内容はアリスの物だ。となると……状況は理解した。彼女の目を見ればわかる、きっと許せない事もしくはトラウマにでもなる事を言われたか聞いてしまったか……もしくは今がまさにそうなのだろう。
 だが、だからと言ってあいつを殺せとは言えない……やめろなんて本来言えた立場ではないが。
 だからこそ友人を自分と同じ位置に堕とすわけにはいかない。そっとアリスの構えんとする銃の上に手を置く。

「やめとけ……本当にお前が悪者になるぞ」

 その声も表情も優しく語る。
 だがその後少しキツい顔をして教室の方へと視線を向ける。

「ったく、本当にこういうのが好きな奴らは多いな……少し待ってろ」

 別に彼女が悪者になる必要など無い。聞こえた自分が勝手に文句を言うくらいならば問題ないだろう。
 もしとめられないのならばそのまま一言言うために教室へと向かおうと。

モルガーナ > 「ん……」

空き教室の机の一つで眠り込んでいた人龍は耳に触る笑い声でうっすらと目を開く。
どうやら思っていたよりも長く眠っていたようだと時計を仰いだ。
……この国は故郷に比べて随分と寒い。いや、四季の差が大きいというべきか。
最近は特に誰かと話をするでもなく眠っている事が多くなった。
幸いにも潜り込む空き教室にはこの学園は困らないが……。
角部屋のこの教室は日当たりが良いが時折騒がしい音も良く響く。
時間を選ばず姦しいことこの上ないが学び舎では仕方がない事。とは言え……

「……何事じゃ?」

突っ伏していたので幾分か肩が凝ったと伸びをしながら目元をぬぐい廊下を眺めた。
何やら向こうで盛り上がっている様子。
ついでに廊下側の窓の近くに見覚えのある人影を見つけた。
何やら男子生徒に言葉をかけられ……おや、男子生徒が何処かへ歩いていく。
てっきり口説かれでもしているのかと思ったがそうではないらしい。
まあいい、自分の知った事ではない。
片手で窓を開けると硬直したような後ろ姿に手を伸ばし……

「おや、何じゃお主、良い所におるの」

手を伸ばし首元に手を絡めようと。
……まだ少し眠たい。
その手元の凶器など気にも留めず
半ば窓越しに後ろから抱きつくようにしながらうとうと微睡んで。

アリス >  
銃を握る手の上に、誰かの掌が優しく添えられた。
顔を上げると、秋の顔があった。
涙で曇ってて……よく見えなかったけど…

吐き気を堪えて、片手で口に手を当てた。
どうしても抑えきれない激情の滓が、涙として溢れた。

首元に手が当たる。
冷たい手。鱗の手触り。綺麗な声。

「……モルガナ…」

首筋に絡みつく指の感触にようやく力を抜くと、指先から拳銃が落ちた。
地面に落ちる前に、殺意は分解されて消滅した。

白鈴秋 >  とめられなかったのであれば。そのままガラと扉を開ける。陰口の最中かもしれないがそんなの関係なく入っていき自身の机から単語カードを回収。

「そいつ俺のダチだからよ、あんま陰口言うんじゃねぇよ」

 口調こそは普通だが、目が明確に二度というなと物語り、確かな怒りを交えて吐き捨てるように彼女達に言い退室。そのままドアを閉めて視線をアリスへ向ける。
 窓際から現れていた誰かに後ろから抱きしめられている。
 一瞬警戒するが……アリスの表情を見てふっと警戒を解く。

「……移動しようぜ。このままここで仲良くオシャべりって空気じゃねぇだろ」

 とアリス、そして彼女の表情を見てアリスの友人であると判断した人物に声をかける。
 扉は閉めているので向こうの彼女達には見えていないし聞こえていないだろう。だが水を差したから教室から出てくるかもしれないと判断し離れた方が良いと思ったのもある。

モルガーナ > 「んー…?」

幾分か潤んだような声に、寝ぼけたような響きでのんびりと返す。
武器を手にする程刺さる言葉だったのだろうか。
どうもこの娘は情緒が豊かすぎる気来がある。
……まぁそこを気に入っているのだけれど。
今は随分と参っているようだ。そんな表情も中々にそそる物がある。

「ふふ、主は温いのう。
 この寒さ、やはり人肌が恋しいというものじゃな」

ゆっくりと体を近づけながら囁いて。
目の前で”仲良くおしゃべり”してやるのも一興ではあるが
今この娘に正面から殴り合うだけの余裕があるようには見えない上に
ああいう噂好きの輩は本人を前にしても悪びれない。
窘められても恥じるというより憤慨と侮蔑の混ざった表情を浮かべて
自分達の面白いと思う台詞を吐くのが関の山だろうとおもう。
肩をいからせたあの男とてそれで自体が解決するとは思ってはいないだろうが
言わずに居られなかったという所か。
正面から啖呵を切るというのは男らしいというべきか。
……少し残念だ。ああいう輩を揶揄うのも割と楽しいのだが。
自分以外にそんな精神構造をしている者はこの場にはいなさそうだ。

「……まぁ良い。詮無き事よな。
 そういうわけで訳で妾は主の体温を所望しておる。
 一先ずもう少し妾の近くに寄らんか。
 別の温かい場所でも良いが。
 なにぶん廊下の寒さは老骨には堪えるでな」

なら一先ずは自分の腕の中に避難させようとこちらにおいでと
いったんか躰を放して手招き、迎えるようにふわりと両手を広げる。
……ついでに言うとさきほどの姿勢は少し腰に来る。

アリス >  
声もなく涙を流し続けていたけれど、秋は確かに言った。
私の代わりに。
床に零した乾麺みたいにバラバラだった思考と感情が、ゆっくりとまとまっていく。

「ん………っ」

白衣の袖で涙を拭う。
彼女たちを許すことは二度とない。
けど、今考えられる最悪の結果だけは避けられたような気がした。

モルガーナの腕の中に遠慮がちに入り、頭を預けて。
彼女の匂い。いつもは、ちょっと離れていたのに。

「上……三階の教室…」

階段を指差した。
陰口を止めた秋と、私に安らぎをくれたモルガナに。
お礼を言わなきゃいけないのに。何も言葉が出てこない。
言わなきゃいけないのに。言わなきゃ……

モルガーナに後ろから抱きしめられながら、歩いて。
三階の教室に入ると、暖かい空気を目一杯異能で作って教室の暖房代わりにした。

「私………」

白鈴秋 >  移動したどり着く教室は3階の教室。あまり来た事は無い部屋だ。
 この時期にしては暖かいのはアリスの力だろう。

「別に良い。落ち着いてからはなしたけりゃ話せば良い」

 私とだけ呟いてまだ落ち着ききっていない様子を見てそう声をかけた。
 さて、視線を移す。一緒に居た少女が抱きしめてくれたお陰でアリスもある程度落ち着けたといった所だろう。ああいった事は男である自分はやり難いので非常に助かる。

「悪いな、アリスを任せちまった」

 そう角の生えた彼女、モルガーナに一言告げる。
 お礼を言うのは何か変だと思ったし、この位が1番適当だろう。
 
「あんたはアリスの友達……で良いんだよな」

 あまり関係性を知らないのもあり質問を続ける。

モルガーナ > 教室に辿り着くと腕を解き、自分は一人窓際へと歩を進めた。
今日は随分と寒いが……やはり冷え込みそうだと空模様を眺め溜息を漏らす。

「……まぁ確かに室内で囀りたくなるのも無理はないか。
 そうじゃな。無理に一度で多くを語らずとも良い。
 幸い妾はいまそこそこ暇を持て余しておるでな。
 待つ時間には事欠かぬ。好きに喋るが良い」

鷹揚に言葉を発しながら踵を返し、適当な机の上に腰掛け足を組む。
暖かい部屋の空気に……おそらく彼女が気を聞かせてくれたのだろうが……
ようやく人心地つけるというものか。

「ん、良い良い。
 半分は妾の趣味じゃ。
 主こそあの場面で良く突貫したの」

酷く傷ついたような表情を浮かべている少女に比べ
諫めに行った男はこういった場面には慣れているようだ。
昨今は男子も傷つきやすいと耳にするが……まぁそれは性格によりけりかと思い返す。
何処の世界にもこう言ったことはあるものだ。

「む?友達……友か。ふむ」

唸るような声を上げると
そのまま面白げな表情でじろりと眺め

「ふ、過去には薄布一枚の距離で囁き合うた仲じゃが
 友、という事で良いかの?アリス」

悪戯な笑みを浮かべながら嘯いてみたり。

アリス >  
空論の獣。何でも作れる異能。
私はこの力で、取り返しのつかないことをするつもりでいた。
そんなの……パパとママが悲しむだけなのに。

「……ごめん、秋…」

鼓動が忙しない。
涙もまだ止まってない。
こんなの、かっこ悪いから友達に見せたくないのに。

モルガナの言葉に、口を尖らせて。

「……友達じゃなかったら、なんなの…」

良いか、なんて聞かないでほしかった。
でも、自分を落ち着かせようとしてくれているのかなと思うと。
どうしても……話さないといけない気がした。

「私……日本に転校してからいじめられてたの」
「髪や目の色が気に入らないって……」
「叩かれたり、酷いこと言われたりね」

さっきから流れっぱなしだった、それでも最後の涙を拭って。

「ある日、いじめられてる最中に異能に目覚めたわ」
「感情の爆発で異能が覚醒することがあるって…後から知ったけど……」
「その場で私をいじめてた子に異能で仕返しして…」

視線を落とす。
散々だった頃の、散々な記憶。

「事件になって…パパとママに……いっぱい迷惑をかけた」
「だから、ありがとう。モルガナも、秋も……」
「陰口とか、耐性なくて…また同じこと繰り返すところだった…」

言い終わると、頭を下げて。

白鈴秋 > 「気に入らなかったしな。別に嫌われても気にならねぇし」

 よく突貫したなといわれても特に本人はあまりがんばったというつもりは無い。別にあんな連中に嫌われても気にならないし、仮に手を出した来たらそれこそ望むところだ。

「まったく、色々と誤解を生む言い方を」

 それよりもモルガーナの薄布1枚という言葉に少し笑ってしまう。おそらくは冗談というより空気を明るくしようとした一言だろう。
 と話していると落ち着いたのかアリスが話をはじめてくれる。どうしてああなっていたのかを。

「別にお礼を言われるほどの事じゃねぇよ。当然の事をしただけだ」

 友人として当然の事だろう。といってもああいった場合口に出すと余計に悪化する場合もある……だが、それでも言わないといけない気がした。
 
「まぁ、たぶんあいつらはまたなんか言ってきたりするだろうが……その時は俺なりこいつなり、他にいるダチなり呼べば良い。その時はしらねぇけど、今は一人じゃねぇだろ」

 本人が日本に転校してからといっていた。だからその時は一人だったかもしれないけど、今は一人ではないはずだ。

モルガーナ > 「おや、主のような可愛らしい娘であれば
 側室として……こちらでは恋人ないし愛人であったか?
 まぁそういう関係も吝かではないという意味であったのだが
 もう少ししっかりと口説くべきであったか?」

笑い声を上げながらひらひらと片手を振る。
友と会話する時は大体こんな冗談を言っている。
何処までが本気かと聞かれれば含み笑いで返すけれど。

「まぁ気にしても仕方のないことじゃろうて。
 陰口やら秘密の逢瀬やら秘め事は蜜のような物などと宣ったのは
 何処の生臭法師じゃったか。
 確かに主は良い標的に見える事は否定できぬしの。
 容姿は勿論、その割には若干卑屈に過ぎる傾向……うむ。
 まぁ格好の餌食と言ったところじゃな。
 武器を手に取る短絡さも良い餌といったところか。
 礼は必要ないが殺意含め感情の整理はしておかねばな?
 しかし……」

慰めの言葉にチクリと刺すような言葉を混ぜつつ
ふと言葉を止めて腕を組みながら下から上に視線を動かす。
堪能するかのようにゆっくりと顔までたどり着き、
未だ涙を湛えたような瞳をじっと見つめると

「主の泣き顔は中々そそるものがあるのぅ。
 これはそれなりに需要があるというものではないか?
 次があればじっくりと鑑賞させてもらうというのも悪くはない。
 主もそう思わぬか。青年」

再び揶揄う様な笑みを浮かべ
心電図並みの乱高下をする会話の話題にケラケラと笑い声を響かせる。

アリス >  
当然のこと。
そう言って守ってくれる人があの頃の私にいたら。
私は……まだ罪を知らずに生きていけたのかな。

「うん……一人じゃないの、今になって実感してる」
「遅すぎだったね…私、バカデスナー……」

誰か呼んで、助けてって言って。
それができなかったのも、自分の弱さ。

「恋人って……モルガナ、女性じゃん」
「口説くならムードを大事にしてよね?」

ようやく笑って。
でも、次の言葉には反省して。

「ん……気をつける。先週15歳になったんだもの、もっと大人にならないとね」

それでも泣き顔のことに言及されるとは思ってなくて。
赤くなって顔を白衣の袖で覆って。

「や、やめてよ! 今、色つきリップも流れたし……」

白鈴秋 >  アリスが一人じゃないとわかり、少し笑うのを見ればこちらも少し笑いを浮かべる。
 まぁ一瞬で変わるなどとは思ってはいない。たぶん何かの拍子にまた恐怖が出てくるかもしれない。
 でも、今の一瞬でも大丈夫だと彼女が思えたなら、もし少しでも心の奥底へ響かせられたなら。十分だ。

「別に女同士だからダメなんて聞いたことねぇがな、本人が良ければそんな程度些細な話だ」

 世界的にもそんなの気にする方が遅いのレベルだ。
 まぁ本人がダメならダメなのはそれこそ男女でも変わらない。
 さて、モルガーナから泣き顔もそそらないかと話を振られれば。やめてよと言っている彼女を見る。
 
「ノーコメント。どう答えるにしても玩具にされる未来しか見えねぇからな」

 男子一人に女子二人の空間。そんな場所でうかつにそんな事を答えることなどしない。
 だがまぁこれくらいならば良いだろう。

「……ま、笑ってる方が良いけどな俺は」

 それくらいは大丈夫だろう。