2020/06/26 のログ
ご案内:「第二教室棟 廊下」にレナードさんが現れました。
レナード > 「おなかすいたしー………」

当てもなく、廊下をふらふらと彷徨う生徒が一人。
時折腹の虫が鳴く辺り、その言葉に一点の偽りもないようだ。

「ねむいしー……おなかすいたしー……
 ごはん……、電池……、バッテリー………」

そんな欲望を口にしていると時折目につく電化製品、学園共用のものだろう。
延びるコードの先ではしっかりコンセントと接続されているに違いない。

「………っ…」

思わず、ごくり、と生唾を呑む。あのコードにかじりつけば、どれだけ電気が蓄えられるだろうか。
そうして視線が釘付けになってる自分に気づいて、そんな邪念を払う様にふるふるふると首を振った。

「い、いけないし………齧ってショート起こして停電沙汰なんて洒落になんねーし。
 これも円滑な情報収集のため……目立たない、目立たない……」

自分にそう言い聞かせるように独り言ち、再びふらふらと歩き始めた。

「……あー……
 おなかすいたしー………」

ご案内:「第二教室棟 廊下」に阿須賀 冬織さんが現れました。
阿須賀 冬織 > 人気のない廊下から声が聞こえてくる。
(どうせ暇だし――本当は試験勉強しなければいけないのだが――ちょっと様子見てみるか。)
と、声の方へと向かってみる。

少し進んで角を曲がれば、一人の生徒の後ろ姿が見えた。
どうにも元気がなさそうだ、どこかおぼつかないような足取りが不安を掻き立てる。

「おい!そこの黒髪、大丈夫か?」

体調なんかが悪いなら不味いなと声をかける。

レナード > 「ふぇー………?」

自分に宛てたものかどうかでさえ、今では最早考えられるリソースがない。
そのためか何とも間の抜けた声を出しながら、アゴを上げて背中側に体全体を反らすようにしてそちらへ顔を向ける。

「……だいじょーぶもなにも、ねむいのとおなかすいたので二重苦だし……」

抑揚のあまりない、ぼんやりとした声色で回答する。
へろへろとはいえ、言葉を返す余裕はあった。
心配されているのにも関わらず、自分がこうなっているのが何とも情けない理由であることは、考える余地もないようだが。

阿須賀 冬織 > どうやら体調が悪いとかそういった感じではないらしい。
(にしても腹が減ったって……)思わぬ理由に苦笑する。とはいえ、放っておいてもよさそうではなく、学食も近くはないのでとりあえず何かないかと鞄を漁ってみる。

「あー、これで良かったら食うか……?とりあえず凌ぎ位にはなるだろ。」

鞄の奥から出てきた、いくつかの飴などの小包――部活やらなんやらの勧誘で配られてたもの、を差し出してみる。
まあ2-3カ月くらいだし、腐ってたりはしないだろう、多分。

レナード > 「……ん。」

何も言わず、受け取る。
貰うものに対して何の警戒もしていない辺り、危ないと言わざるを得ないが、
今は三大欲求のうち二つに苛まれているものだから、そういう思考が抜け落ちても致し方ないのだ。
飴などの小包を片っ端から開けて、大きく開けた口に放り込む。
間もなくバリバリガリガリ音を立てながら咀嚼して…

「……けふ。
 多少はマシになったし、やっぱ糖分はエネルギーだし。」

先よりは潤いのある声で、感想を述べた。ほとんど味なんか見てなかったようだが。

「……飴もそうだけど、おめー、電池とか持ってたりしないわけ?」

そして、この質問である。

阿須賀 冬織 > 特に悪意なんかはなかったとはいえ、見ず知らずの人間が鞄から出してきたものを迷わず食べるとは、よっぽど腹が減っていたらしい。
どうも最近変わった奴らと会うな、なんて少し失礼なことを考える。

「まあマシになったんならよかった。お前も見た感じ一年か? 俺は一年の阿須賀っていうんだ、よろしく。」

食べ終わったのを見て、とりあえず自己紹介をしておく。

「で、電池……?あー、まあ充電切れてるもんがあるなら別に充電してもいいぞ。俺、一応電気系の異能だし。」

予想外の言葉に返事が少し詰まる。学校に持っていくもので電池なんて使うものあったか……?

レナード > 「…………へえ。電気系の異能……」

その言葉に、高い関心を匂わせるような、そんな声色で復唱した。
まるで、渡りに船というか、都合がいいというか、この場で使えるとても便利なものを見つけたような、そんな印象を持つだろうか。

「……僕はレナード、おめーの言う通り1年だし。
 ここで会ったのもなんかの縁だし。それじゃあお近づきのしるしに……」

おほん。一つ咳ばらいをしてから、こう言葉をつづけた。


「ちょっと、僕に電気を流してみろし。」

阿須賀 冬織 > 俺が電気系の異能だと伝えた瞬間に目の色が変わった。蛇に睨まれた蛙ってこんな気分なのだろうか。その目は逃がさないと物語っている気がした。
どうやら彼はレナードというらしい。が、そんなことは次の言葉で吹っ飛んだ。

「はっ?……えっ?え、電気……?お前に……?マジ!?」

頭でも打ったのだろうか、確かにレナードは俺に電気を流せと言った。
(え、お近づきのしるしって俺から渡すのか……?ってそうじゃない。電気……?そういう異能かなんかなのか……?)
目を白黒させながらもとりあえず相手が望んでいるようだし、と手のひらを向けてレナードに向けて電気を流し始める。まあ、念のため電気痙攣が起きない程度の威力でだが。

レナード > 「…………。」

言われるがままに、電気を流してはくれている。
こちらはと言うと目を瞑って、その流れる感覚に身を委ねているようだが…
やがて、我慢できなくなったかのようにくわと眼を開いた。

「おめーもっとまじめにやりやがれしいい!!!」

そして、吼える。

「こんなんじゃ子供向けの電気風呂だし!!!
 電気系の異能って言うから僕はっ!!ドライヤー風呂くらい過激なのを期待したわけ!!!」

先のふらついた様子と打って変わって、轟々と理不尽な非難を続けている。
まるで楽しみにしていた食事を前にお預けを食らった小動物が如く、その怒りやいかばかりだろうかと吠えたてて。

「もっと!!
 でんきを!!!
 ながしやがれし!!!」

そんなに離れてるから身に入らないんだとばかり、その手を握ろうと迫った。

阿須賀 冬織 > 「ドライヤー風呂っておま、んなもん一般人なら死ぬだろうが!こちとらやらかしたら大問題なんだよ! ってかお前さっきから俺が善意でやってたら図に乗りやがって!」

なんか理不尽に怒られたのでこちらも言い返す。まあ様子を見るに俺と同じく電気系の異能か何かで、耐性はあるのだろう。
口では色々と言っているが、今やめたらもっと騒がれそうだなと渋々ながら少しずつ電圧をあげていく。
が、お相手はそれでも満足できなかったのかこちらの手を掴んできた。

「っ、ったくなあ……ええいわかったよわかりました!お望みどおり本気でやってやりますよーだ!」

手は握られたまま、いっそ漫画みたいにビリビリと骨まで見えてしまえと思いながら、出力を限界まで上げようとする。
といってもまあ、特別に訓練してるだとかそんなことはないから相手が満足するかは知らないが。
普段はそんな出力を出さないからか、一気に疲れが押し寄せる。

レナード > 「んっ……んん、ふ………」

本気で挑発した甲斐もあってか、やけになった相手にとっての本気で出力を上げてくる。
接触した手のひらから手加減抜きと分かるくらいに強い電気が身体に伝わってきて、思わずくぐもった声が漏れたりした。
ちょっとでも気が抜けたら、折角の電気が漏れてしまう。

「……っはあぁ……」

彼が疲れてきたころに、ようやっとこちらは満足げな、艶っぽい声を上げた。
まるで、すきっ腹のところに男がカッ食らうような豪快で下品にも思える食事を済ませたかのような、どことない背徳と恍惚が混じったため息を添えて。

「……うん、ごちそーさまだし。
 やっぱり電気系異能って言うだけあって、その実力は確かなようだし。」

独り満足したのか、握っていた手を離そうとした。

阿須賀 冬織 > 「はあ……はあ……はあ……」

相手の様子なんか気に留める余裕もなく、相手の手が少し緩むとそのまま電気を流すのをやめて手を膝につく。
(こんなに全力で異能使ったことなんてあったか……?はあ、ちょっとムキになりすぎた。くそダリー)
絶え絶えになった息を整えながら相手の方を軽くにらむと、なんだかため息を吐いていた。一瞬、相手は男なのに色っぽいなんて思ってしまった自分に苛立つ。
あと、ため息を吐きたいのは俺のほうだっつーの。

「はいはいおそまつさまでしたー。クッソ、お前のせいでめちゃくちゃ疲れたじゃねーか。」

少しして、とりあえず軽口を叩ける程度には息が整う。
ムカついてはいるが、まあ上から目線とはいえ異能を褒められたことに悪い気はしない。

「それで、これで満足したか?」

なんて問いかけると同時に今度は自分の方のお腹がなった。成程、先ほどのあいつはこんな感じの気分だったのか。
まあ流石にあんな風になるほどではないが。

レナード > 「ひとまず電気についてはじゅーぶんだし、じゅーぶん。
 ……ところでおめー、本気で電気流した経験、それほどないわけ?」

ほんのり逆上せた顔色のまま、彼から頂戴した電気について感想を述べ始めた。

「おめーの本気、あんまり安定してねー感じがしたし。
 でもそれって、身体がもたねーからとか、自分の限界を知ってるやつの手の抜き方じゃなかったし。
 そういうやつらはギリギリのところでずーっと一定だし。」

それでも、受けた電気自体は悪いものではなかったのだろう。
溢れる涎を人差し指で拭ったり、しきりに舌なめずりをしている。
とはいえ饒舌に喋れてはいるものだから、まだ空腹というわけでもなさそうだ。

阿須賀 冬織 > 「ん、まあな。電気って下手なことになると危ないしさ、あんまり全力で扱うことはなかったなー。ってか多分こんだけやったのは今日が初めてだわ。電気使いすぎて腹が減るなんてなかったしな。」

入学試験の時なんかはそれなりに気合を入れて出したと思うが、別にバトルものの漫画でもあるまいしそうそう異能を全力で使う機会なんてない。
実際、入学してからの仕様はほとんどがスマホを充電したりといった程度だ。

「俺の方は考えている余裕なんてなかったがそんな感じだったのか、成程な……」

思ったよりも詳細な感想が返ってきた。確かにそうだったのかもしれない。これ、次の試験でなんか役にたたないかなーなんて考える。

「詳細な感想ありが……と……」

礼を言おうとすると舌ずりをする姿が目に入る。それが、なぜか似合っていて……
言葉は尻すぼみになって、どこか顔があつい気がする……って何を考えてるんだ俺は。そう、これは息が上がって血が頭に上っているせいだ。

「あのさ、俺さっき言った通り異能あんまり扱ったことないんだよ。その、よければさ、また異能扱う練習させてくれないか。」

変な考えを吹っ飛ばすように、少し大きめの声で言う。