2020/07/06 のログ
ご案内:「第二教室棟 教室」に阿須賀 冬織さんが現れました。
阿須賀 冬織 > 「んあー、雨やまねー。ひーまーだーーー。」

放課後の教室、傘を忘れた哀れな男子学生は一人そう呟いた。
朝は快晴だったためすぐにやむんじゃないか、とちょっとの費用をケチって購買部で傘を買うことを拒否。
今更傘を買うのも負けた気がするのでこうして教室で暇をつぶしている。

暇だ暇だ言ってはいるが今は試験前。苦手教科である世界史の教科書とノートを開いてはいる。
開いてはいるのだが、肝心の筆記具は人中の上である。

阿須賀 冬織 > 椅子の前脚を浮かせながら天井を眺める。

「ったくよー、なんでこんなもん暗記しなきゃねーんだよ。」

国語なんかはまだいいが、他の文系教科はどれも暗記暗記で嫌になる。
徐々に椅子の角度は傾いていき今では45°近く。頭の後ろで組んだ手の甲は後ろの机にあたっている。

阿須賀 冬織 > 「あー、もうこんな時間かよって、うわっ、ちょっ!」

どてん、という音とともに勢いよく椅子がひっくり返る。傾けすぎである。

「つー、いってーな。……傘買って帰るか。雨あがらなさそうだし……。」

背中をさすりながら起き上がる。このままここにいてもいいことがなさそうだなと帰る準備をする。こんなことならさっさと傘を買っておけばよかったなと独り言ちる。
結局勉強は一ミリたりとも進まなかった。

ご案内:「第二教室棟 教室」から阿須賀 冬織さんが去りました。
ご案内:「第二教室棟 教室」に耳守 聴乃さんが現れました。
ご案内:「第二教室棟 教室」に阿須賀 冬織さんが現れました。
耳守 聴乃 > 「誰かいるのか。っと、君は確か……理系選択の生徒だったか?」

教室の前を通りかかったとき、大きな音が聞こえて様子を確認しに来た。
ドアを開けてみると、帰り支度をする生徒がいた。
名前はいまいち覚えていないが、確か以前物理か何かの講義でクラスにいたような気がする。

「勉強を終えて帰るところか。
 今は雨足が強い。帰るときは十分に気をつけるんだぞ」

特別暴れていたようではないようだし、帰るところならそれを引き留めることもないだろう。
そう思って、彼が去ろうとしている教室の戸締りを確認していく>

阿須賀 冬織 > 「うおっと、って、えー、耳……守…先生でしたか。」

人が来るなんて思ってもいなかったので驚く。顔を見ると確か物理の授業で助手をしている教師だったか。
名前は変わった苗字だったこともあり辛うじて覚えている。さっきの転げたときの音を聞いてやってきたのだろう。少し恥ずかしい。

「ええ、まあ傘を忘れちゃったのでこうして。……まあ、あんまり捗りはしなかったんですけどね。」

実際のところあんまりではなく全くなのだが流石にそこまで正直に言うのは気が引ける。

耳守 聴乃 > 「……世界史か。面白い科目だな。世界史は苦手か?」

窓の戸締りを終えて、彼の元へ。
ちょうどカバンにしまわれるところだった世界史の教科書の表紙を見て、
そして彼のあまり進捗はなかったという旨の発言を聞いて。

この島でも学生は理系、文系と別れることが多い。
そして学生の中には理系が苦手だから文系へ、
文系が苦手だから理系へと進路を選択する者も少なくない。

彼の表情と言葉からは、何となく文系は苦手だ、という含みが感じられた>

阿須賀 冬織 > 「ええ、まああんまり得意ではない、ですね……」

相手が目上の立場ということもあり、あまりなれない敬語で話す。
世界史は、いやひいては文系教科は苦手だ。
暗記といったものにあまり意義を見出せない、理系的といわれる様な考えである。

「暗記ってのがどうにもあわなくて……世界史なんかはどうやって勉強したらいいかわからないっていうか……」

耳守 聴乃 > 「無理して敬語で話さなくていいぞ。自然にしてくれればそれでいい」

いつも通りするのがはばかられるなら、気持ちが楽になる様にしてくれればいい。
そう続ける。

「暗記か。確かに、覚えなければいけないことは多いな。
 地名、人名、戦争や革命の名前、宗派。
 例を挙げたら枚挙に暇がないのは私も同意だ」

そう言って、教科書を手に取る。
取ってから思い出したかのように「中身、見てもいいか?」なんて。

「まぁ、暗記といわれれば確かにそうだが、もう少し力を抜いて勉強すればいいさ。
 歴史、特に世界史は戦争の話だ。
 なんで戦争が起きたのか、誰が勝ったのか、何が決まったのか。
 そういう雛形に対応させればいい。
 物理だって、運動方程式っていう雛形に、条件を対応させるだろう?」

ぱらぱらとページをめくっていけば、随分昔に学んだ内容が書いてあって、懐かしさからニコニコとたのしそうだ>

阿須賀 冬織 > 「ん、まあそういってもらえるなら。」

ありがたい申し出なので受け入れる。

「ほんと、覚えることが多くて多くて……ん、ああ。全然かまわねーよ。」

うんざりといった表情で話す。教科書を見られることに特に抵抗はない。
流石に苦手教科だからといって偉人の顔に落書きをするほど不真面目ではない。
まあ、ところどころ船を漕いだときについたであろう不自然な線があったりはするだろうが。

「ふーん、雛形ねえ……。確かにそれなら少しはマシになりそうか……。」

得意な教科を例に挙げられると確かにそうかなと思えてくる。
教師の方はというとなんだか楽しそうな表情をしている。

「歴史、好きだったりするのか?」

耳守 聴乃 > 「歴史?ああ、歴史はすきだ。
 さすがに君たちが受けるテストを受けたら単位はもらえないかもしれないが、
 文献をみてすぐに思い出せるくらいには好きだ」

適当に開いてみたページは南北戦争。

「例えば南北戦争。この戦争は初めてガトリングが使われた戦争だな。
 銃の形態が銃口から弾を詰める形から薬莢や弾倉になったのもこのころ。
 このころはまだ鋼鉄の生成が難しかったから、連射するために多銃身が採られた。
 生産技術が進んでいたのは北。南はその技術力を埋めるために黒人をつかって人海戦術を取った。

 こんな風に、技術や科学の進歩と一緒に絡めると、自分の好きなことに結びついていく。
 勉強するときは大いに脱線するといい。

 私は先の時代の科学者がどんな人生を歩んだのか、どんな時代背景でこの研究をしたのか、
 そういうのを追っていたら歴史が好きになってしまってね」

まるで昆虫図鑑を与えられた少年のように、教科書をめくっていく。
めくるたびに、工学にまつわる話が絶えない>

阿須賀 冬織 > 成程、と彼女の説明を聞く。
まあ、詳しすぎて理解しきれていないことも多いのだが、あまりにも楽しそうに話しているので聞く方にも熱が入る。

「なんていうか、機械とかそういったものが好きなのか?」

しばらく聞いているとどういった感じの話が多いのかくらいはわかったので聞いてみる。

「自分の好きなこと……。好きなこととは違うけどこれとかか。」

めくられていくページの中から、エジソンやニコラ・テスラ、グラハムベルなどといった名前を見つけて指さす。
好きとは違うかもしれないが、どちらも自分の異能である電気と大きなかかわりがある人物だ。