2020/08/22 のログ
ご案内:「第二教室棟 屋上」に黒髪の少年さんが現れました。
黒髪の少年 > 烏が一羽飛んでくる。
夜の暗闇に紛れ、人目を凌ぐように。
羽ばたく音も殆どなく、ふわりと屋上に降り立って…

烏の体躯を包むように、黒い靄が滲み出る。
あっという間に人の形を為すと、それは一気に晴れて……

『……よし。』

烏に代わって、制服姿の"黒髪の少年"がそこにいた。
以前、別棟の屋上に黒猫がいたことの道理はこういうことなのだろう。

黒髪の少年 > 『ここがお気に入りだったって情報があったから来てみたけど……
 ……流石にこんな時間だと、誰もいないかもしれないし。』

空から様子は把握してはいたが、改めて辺りをきょろきょろ見回す。
とはいえ時間が時間だ、誰かいるようにはとても思えない。
ひとまず、そこにあったベンチに座ってみようか。

『……こうしてれば、彼の気持ちになれたりしないわけ?
 なーんて、できたら苦労しないし。くふふ……』

自嘲しつつ、空を仰ぐ。
両腕を背もたれに預ける形で脚を組めば、ベンチを独りで占領したようで悪くない気分だった。

ご案内:「第二教室棟 屋上」に黒髪の少年さんが現れました。
ご案内:「第二教室棟 屋上」に黒髪の少年さんが現れました。
ご案内:「第二教室棟 屋上」に霊山 市仁さんが現れました。
霊山 市仁 > 「……こんな夜中にいるものなんて幽霊ぐらいだと思っていたが。」

見るからに幽霊のような恰好をした男が室内から出てくる。
こんな時間にここで人に会うなんて珍しい……特に今は夏季休暇中。
かなりのレアケースだ。

「……こんばんは知らない人……良い夜だな。」

あいさつを交わしていく。

黒髪の少年 > 『………へぇ。』

声を掛けられ、そちらを見やる。
興味深いものを見た眼だ。

『亡霊…幽霊……まあ、間違いないかもしれないし。
 それじゃ、さしずめおめーも幽霊ってわけ?』

ベンチに座りながら、彼に聞いてみる。
お化け、幽霊、"彼"とは違って興味をそそるものだから。
そのあからさまな恰好はモノホンかどうか、探りをいれてみることにしようか。

霊山 市仁 > 「……見てのとおりの幽霊だ。……まさか、疑っているのか?」

ここまであからさま幽霊だと逆に幽霊感薄れる。
肝試しとかやってる人なのではと思われても仕方ない。

「まあ、待て……本物だぞ。
 確実に幽霊だ僕は。証拠……証拠はないが。」

焦りながら自らが幽霊であると伝える。
この焦り具合は…

「……だ、だけど僕が幽霊であろうとなかろうとどちらでもいい事だろう。違うか?」

……違わないだろうけど。

黒髪の少年 > 『へえ!本物!
 そりゃ驚きだし。なに、実在したわけ?』

驚きは驚きでも、興味深々といった様子のそれ。
ベンチの背もたれに身を乗り出すような勢いで、彼の方へと振り向いた。
おめめきらきらしてさえいそうな、そんな浮かれっぷりだ。

『いやぁ、それは重要だし。だって、幽霊って言っちゃえば怪異だし?ニンゲンとは違うわけ。
 生き死にの理から外れてるなんて、親近感だし。』

どうやら、人間かそれ以外か、という括りも重要らしい。
その様子は、イロイロと根掘り葉掘り聞いてやろうとワクワクしてそうな気さえする。

『まさかこんなベタなお化けが出てくるとは思わなかったし。
 なに?死因はなんなわけ?やっぱ塩はキツイわけ?お盆の時期にキュウリだのナスビに乗ってやってくるってほんと?
 神社とか仏閣に興味あったりしない?やっぱり巫女さんとか怖いわけ?
 お化けになっても身体の感覚って残るわけ?ところで……』

まくしたてるような質問の数々を浴びせながら、人差し指で彼に指し―――


『おまえのうしろでわらってるそれはなに?』


張り付いたような表情で、笑いながら。

霊山 市仁 > 「僕のようにはっきりしてる幽霊は稀であるが……確かに存在はしている。」

この学園にも他の幽霊は教師だったり生徒として在籍している。
それにしてもここまで食いついてくるとは……。
……まあ、まんざらでもない。

「自分では人間の延長みたいに考えているが……分からんな怪異の知り合いはいないから。
 ……その言い草だと怪異か何かなのか?君も?」

夜中にこんな場所に現れるのだ怪異や幽霊ぐらいだろう。

「普通の格好だと幽霊だと思われんからなあ、死因は知らな…
 待って、待って、待ってくれ。そんなに一気に質問されると…」

バッと振り返る。
何もいない。

「えっ!?何、何かいるのか?やめろ!僕は霊感とかはないんだぞ!幽霊なのに!」

明らかにビビりまくっている。

ご案内:「第二教室棟 屋上」から黒髪の少年さんが去りました。
ご案内:「第二教室棟 屋上」にアーテルさんが現れました。
アーテル > 再び彼がこちらを向いた頃には、その姿はもうない。
代わりにベンチに座っていたのは、いなせな和服に身を包んだ赤髪の男で…

「へー……?
 幽霊でも、怖がることってあるんだなあ……?」

にま、と意地悪そうに笑ってみせた。

霊山 市仁 > さっきまでの黒髪の少年の姿は影も形もなく。
そこにいたのは和服の男。
……多分、人ではない。それ自体はこの常世島では珍しくもないが…。

「……ふー…ふぅ。……さっきも話したように僕自身の認識は人間の延長みたいに思っている。」

明らかにその目には驚きが表れていたが一度、深呼吸してそれを誤魔化す。
価値観も恐怖する対象も人間と変わらない。

「……魔術か異能か…普通にそういう種族なのか。
 この学園では多少姿が変わってもまあ、驚くべきことではないが…。
 夜中にちょっと怖い話をした後に急に変わってるのは心臓に悪い……いや、幽霊なので心臓は動いてないが。」

確かにいくら耳がよくても近づけても鼓動の音はしない。

アーテル > 「……ほぉー……?
 んじゃ、お前さん自体は元人間…っつーわけかい。」

なるほど。
こういう土壌で亡くなったから、そういう存在になってしまったのか、と。

「やー、にしてはあんまりにも古典的なナリだったもんで。
 ついつい畳みかけるように聞いちまったけど…
 その分だとあの世に行って帰ってきたってカンジじゃあなさそうだなー?」

にしし、と快活に笑いながら、耳を澄ませる。
そういえば、心音であったり、足音とかはするのかな…とか、そういうものを捉えようとしたのだろうか。
この男、耳は頗るよかったものだから。

「………あーほんとだ、視界じゃそこにいるってわかるのに、音だのなんだのはしねえのな。」

ベンチの上で、少し驚くように。
どちらかといえば新しい発見を得たというような、そんなニュアンスの。

霊山 市仁 > 「この島で学生をしていて……気が付いたら死んでいた。
 自分の死体は共同墓地の下に埋まっている。」

自分が死んだときの記憶はない。
ただ、その日、雨が降っていたことだけ朧気に覚えている。

「あの世という場所の記憶もない。生前と死後の記憶しかない…。
 他の幽霊と会ったこともないから残念ながら面白い話はできないぞ。」

宗教関係の人に色々聞かれたりしたが皆がっかりして帰っていった。
とても申し訳ない気持ちになった。

「やっと信じてくれたか。……全く。
 ……この格好もしや逆効果なのか?」

小さくつぶやいた。

アーテル > 「……逆効果も何も、古典的すぎてコスプレを疑うっつの。」

目の前の彼と会ったときは、まさか本当にお化けだったとは一目でわからなかったものだから。
そんな呟きでさえ、彼の耳は逃さなかった。

「……ふーん?
 俺としちゃ、死後の記憶ってのがちょっと気になるなー。
 まあそう言いなさんな、面白いかどうかは俺が決めることさ。」

そう言いながら、丁度一人分のスペースを空けるようにして、改めてベンチに座り直す。
そこを片手でとんとんと叩きながら、彼を誘った。

「まま、ここでちょいと話していったらどーだい?
 お前さんが成仏したいかどうかも含めて、な!」

霊山 市仁 > 「……頭だけにするか。」

頭の布でも幽霊である事は伝わる…。
……幽霊であることが伝わらないと色々な祖語が生じるので伝えていくのは必要。

「この学園での7年間の学生生活の話だが……。
 慰霊祭に私が参加してたら教師にちょっと笑われてしまった話が僕の中では鉄板だな。」

霊が慰霊するという光景はちょっと面白かったのだろう。
実際、この格好で参加するのは割る気持ちになった。

「……成仏は考えていないな。
 折角、こんな機会を得てるんだ他の人の分まで学園生活を楽しまなければ損だろう?
 あー…ただ……僕が何で死んだのかはちょっとだけ知りたい。」

アーテル > 「……ほぉー………
 慰霊祭に現れる幽霊!なんて、もうその場の流れで慰めてもらえりゃーよかったのに。」

文字通りの慰霊。
慰めるとはどういう意味なのかはさておいて。

「……ふーん?案外この世に未練がある奴ほど、しがみついていそうな気がしたんだがなー。
 ま、そうやって割り切られるなら強いさ…
 誰にも認知してもらえねー寂しさを患ってこの世を彷徨うよりゃあな。
 この分だと、普通に外出てっても他の人に見えるんだろー?」

彼なりの死生観。そういうものに触れるのが、何とも新鮮な気がする。
お化けと怪異が一堂に会して互いの価値観を語り合うなんて、なかなかに渾沌じみているが。

霊山 市仁 > 「いや、毎年大分慰められてる。ありがたいよ。」

幽霊の方から感謝してるのを聞くのは少ないだろう。
式典委員会とかに聞かせたら喜んでくれるかもしれない。

「……普通に見えるし学生もやれている、10年目だ。
 もし、普通の幽霊として幽霊やっていたら…すぐにでも成仏してたと思うよ。」

留年もいいところだけが死んでいて更に退学していないため学園も扱いに困っているのかもしれない。
そして、今人に認識されているからこそ幽霊をやれている。幽霊で扱いされてないからこそ続けている。

「……気が済むまで続けていくよ。君は多分人より長く生きてるんだろう長生きはどんなものだい?今後の参考にしたいから教えてほしいな。」

アーテル > 「……お化けが学生やってんのかい。」

流石にこれは驚愕を隠せない。
何でもありなのは知ってたが、ここまでくるとは…

「……んー?なに、長生きの秘訣ってかい?
 そーだなあ……」

すると、彼から質問が来たものだから。
まさかこちらが尋ねられる側になると思ってなかったのか、腕を組むようにして考えこむと…

「……刺激を忘れないこと、かね。」

ひねり出すようにして、その言葉を呟いた。

「慣れとマンネリってのは恐ろしい病でなあ。
 そういうものを自覚した途端に、孤独が牙をひん剥いて襲い掛かってくるもんさ。
 だから俺は、いつも新鮮な刺激を求めていたい。だから俺は、旅を続けてる。
 ………んま、目下の狙いは知識欲、だけどな。」