2020/09/07 のログ
園刃 華霧 >  
「弱くても……いいだろ…… 
 強いやつなんて、そんな居るわけない……」

レナードだけじゃない
自分だってそうだし
マコトだって
他の連中だって

見えていないだけで、弱いやつは多い


「残ったって……いいだろ……
 そんなに、痛くて……
 捨てたはずのものを、拾いたくなるんなら……
 アタシのやっちまった痛みより。
 なくした痛みの方が、上、だったんだろ……?」

それで
アタシじゃなくてもいい
だれか、誰かと
馬鹿みたいに楽しく盛り上がれるなら

それで いいじゃないか

「……それでも、それでも……
 それでも、無理っていうんなら……」

――どうしようもない

ああ、どうしようもないのかもしれない
けれど、それでも

「怯えたって、いい。
 でも」

園刃 華霧 >  
「アタシが、ついている」

レナード > 「……ッ………」

…ああ、彼女は諦めてないんだ…。
そう感じて、どこか嬉しくなってしまう自分がいることに気づいてしまう。
今の合間は、そういうことだ。

「ああ……ああ、そうだし………
 戻ってきてしまうくらい、なくした痛みの方が上だった。
 捨てたものを拾いたいと思ってしまうくらいに。
 でも、してしまったことをなかったことにするのは…不義理だと思ったから。」

…当たっているだろう。
だから、そこは認めてしまうほかない。

「それでも…なに、赦したのに…ついてくるわけ……?
 おめーはもう、無罪放免だし?
 自分の居場所になってくれる人だって、おめーにはいるわけだし?
 ………だのに。」

間近で、彼女の眼を見つめながら、問う。
互いの距離は、ほとんどゼロに近い。

「僕に……付きまとうってわけ………?」

園刃 華霧 >  
「アタシは……『馬鹿』だ……
 『馬鹿』だから……できることも、考えられることも、そんなに多くない……」

最初から、そうだ
最後まで、そうかもしれない

同居人は、自分のこれに、なんといっていたか……
ああ……      だ


「前も言ったけど……
 アタシは、必要なら、死ぬまで……
 レナードを見届ける、つもりは、あった……
 だから……」

周りに居場所がある人間として遠ざけるとしても
側にいる人間としては、認められないとしても

「せめて……うん、せめて。
 居場所には、なれないのかもしれないけれど……
 弱い心を、支えるくらいは……しても、いいだろ?」

そして

「もし……レナードが、それでも……
 此処を離れて、門の向こうに行くと、しても……
 アタシの、支えだけは持っていって欲しい……」

レナード > 「………。
 ほんと、どうやって支えるつもりだったんだか。」

言葉だろうか、それとも物か、行動か……
その辺りが、さっぱりわからない。
…そもそも、そうだ。分かっていたら、弱いままでいないはずだから。

「……そこまで言わせておいて、無下にしたら……
 それこそ僕が、悪者じゃん…………」

諦めるしかないだろう。
いや、それよりは寧ろ、食い下がる彼女に…

「……ぁあ…負けだ、負けだし。
 わかった、僕の負け……ここまで言われたら勝てないし……
 …もう、だめだなあ……惚れた弱みってやつは………」

認めてしまうほかない。
人の意志を尊重してくれていてもなお、自分の意志をねじ込もうとする…そういう強さに、弱かったんだ。

「……従うしかないじゃん、その言葉に……」

諦めたように、でも、少し嬉しそうに、小さく笑ってみせた。

園刃 華霧 >  
「言っただろ……アタシは『馬鹿』なんだ。
 できることを、やるだけさ。
 ……もっとこう、無駄に説得力だけはあって。
 それだけで、信用できるような……そんな、言葉の力が、あれば良かったんだけどな」

あのときに、かけられた言葉のように。
未だに、自分を支えている、あの言葉のように。

……やっぱり、アレほどは上手く行かないな

「従う、とか……そういうん、じゃ、ダメだ。
 レナードが『自分』で『選択』して。」


「自分の言葉に乗せられて従う」のだったら、
結局、前と変わらない。
今度こそ……ちゃんとしなければ
もう、失敗は……したくない

レナードのためにも


「それで、レナードが何を選ぶのか……
 その結果が、なんでも。
 アタシは、それでいい、と思う。」

それが永久の別離だとしても
もう、それはとっくに覚悟している。

レナード > 「………あー。」

思い出した。
彼女は自分で出した選択を、何より尊重する人だということを。
なら、その流儀に則らないと失礼だろう。

「…………それなら。」

そのまま出ていくことも、きっとできただろう。
だが、きっとそれは自分で自分を赦せない。
彼女にそこまで言わせてなお、方針を変えないことは、もう自分の中で赦せないことになってしまった。
だから。

「………"探して"みるよ、少しの間だけど。
 それで、見つからなかったら……悔いなく門を潜ることができるから。」

何を探すか、最早彼女に説明するまでもないだろう。
これが、ここまで自分に気持ちを露わにした彼女への敬意であり、それに対する自分の選択だと。
抱きしめながらなお、はっきりと言葉にして伝えよう。

園刃 華霧 >  
「……そっか」

――"探して"みる

そう、レナードは言った。
それなら、もう後は言うことはない。

ああ、でもひょっとしたら。
これが"最後"かもしれない。

なら

「……」

手元に、小さな何かを取り出す。
それは――

「……なぁ、レナード。
 レナードには、苦い思い出しかないし、むしろむかっ腹たつかもしれないけれど。」

それを差し出す。
それは『林檎に噛み付いた蛇が絡みついているエンブレムの入った腕章』

「それでも、これは……アタシの、魂だ。
 もし、よかったら、さ。コイツ、持っててくんない?
 この先、レナードがどんな選択をしても。
 そいつだけは、レナードを裏切らない。」

レナード > 「…………。」

手元のそれをみて、まず、意外そうな顔をした。
次に、その表情のまま彼女の眼を見つめ直す。

「……いいの?
 華霧にとって、大切なもののはずじゃん。」

自分にあったことだけを抜き取れば、ロクなことはなかった。
だが、それでも、彼女にとっては違うはずだ。
魂とも言った、大切なもののはずだ。
…それを自分に渡すことの意味を、問う。

園刃 華霧 >  
「言っただろ?
 『アタシがついてる』って。
 ……けど、どうにも言葉だけじゃ力が足りなそうだしな。」

なんともいえない、困ったような、照れたような、笑い。
自分の力のなさは、自覚しているから仕方ない。


「だから、せめて……アタシの代わり。
 ソイツが、『アタシがついている』証拠。
 レナードが、何処へいっても、ね」

それがたとえ、手も届かない異界だとしても。
それさえあれば、間違いなく『アタシがついている』

「だから、いい。
 嫌じゃなきゃ、持っていって。
 次は、ひょっとしたら会えないかもしれないし、ね」

未来の選択はわからない。
ひょっとしたら、再び会うかもしれない。
それは、それで構わない。

二度と会えなかった時に、後悔は残したくない

レナード > 「…………。」

ああ、そっか。
最後かもしれないって、自分でも言ったっけ。
彼女はもう、覚悟した上で話をしているんだ。
…そういうことに、今気づいた。

「じゃあ、華霧の魂、しっかりと預かるから。
 きっと……うん、大丈夫な気がする。
 いつか、いつか…………ちゃんと返すし。」

彼女から、それを受取ろう。
絶対に離さないと、言葉と、心で、しっかり誓約を立てながら。

「……………でも、そっかぁ……
 それなら僕も、後悔したくないなあ………。」

んー…と、唇に指を立てながら、空を仰ぐ。
このときが彼女と会える最後の機会だったら、自分ならどうするか?
…そう考えた時に、後悔したくないと思った自分の取った行動は…

「………ねえ華霧。
 僕がこれから言うこと、その後に続くことの意味が分かったらでいい。
 嫌だったら、或いはわからなかったら、そのままでいい。
 だから………」

なんて、面倒くさい前置きをしながら……

「――――目、瞑ってほしいんだけど。」

顔を、近づける。

園刃 華霧 >  
「うん、それは……その時だ。
 返せなかったら、それはそれでいいから」

かつて指摘されたこと
それはまだ克服などできていないけれど

他人の選択を汚すようなことは、
それよりも、もっと怖い

だから、送り出せる


「……ん?
 ああ、目? いいけど……?」

面倒くさい前置きの意味はわからない。
わからないが、今更、なにか躊躇するようなこともない。

もし必要だとしても覚悟とか、そういうものはとっくに終わってる。
だから、おとなしく目をつぶる。

レナード > 「………んもー。
 そういうこと、言わなくていいのに。」

とはいえ、自分もそれは考えていることだ。
ただ、それを言葉にしたくなかっただけ。
彼女はその分、現実を見ていただけのこと。

さて、そんな言葉のやり取りをしていると、彼女が目を瞑ったのが見えたから。
ならば、もう、遠慮は要らない。
黒い瞳の眼を細めて、口を僅か開いて……

「――――――」

彼女の唇を、奪おうと一気に距離を詰めた。

園刃 華霧 >  
「ぅ……悪い、よくなかったか……?
 まあ、言わなくてもわかってることだよな……」

余計なことを言うな、と人に言いつつ
自分ではこのざまっていうのはちょっと情けない。

その辺は覚えておこう。
これも"喰った"


「……」

気配が近づいてくるのは分かる。
ただ、別にどうということもない。
開けていいとも言われていないし、目は閉じたまま……

レナード > はむ、と、彼女の唇を食む。
まるで、林檎に噛みつく蛇のように。

「……ん……………」

触れ合わせるだけの、それ。
舌で撫ぜたり、入れたりすることはない。
ただの、接吻。

「…っふ……………―――」

このまま、彼女の反応を伺いつつ、その状態を続けようとする。
どれだけ長く、続けていられるだろうか?

園刃 華霧 >  
「……ん」

唇に、なにか触れる

ああ――

それ、か

これは
嫌いでも好きでもない

そのまま受け入れる

レナード > ……あるところで、僅かに歯を立てる。
傷つく、つかない、その寸前で引っ込めるが。
きっと、そうしたことの意味は……

彼にとって短いようで、長かった。そんな時間はすぐ過ぎる。
ゆっくりと、こちらから顔を引いて……

「……ごちそーさま。
 後悔したくなかったから、つい。」

れろ、と舌を僅か出してなめずる様は、どこか妖艶に映るかもしれない。
…きっと目を見れば、それは黄色い蛇の眼をしていた。

園刃 華霧 >  
「ん……目、開けてもいい?」

相手が離れたことを確認すれば……
あまり慌てることもなく目を開けようとする。

「……あぁ、うん。
 そう、か。うん。」

行為の意味も、内側に秘めた気持ちも。
そう。
"予想"はつく。

ただ、自分が、その気持ちを実感できないだけ。
本当に……ダメな自分だ。

そのために、此処にきたはずだったんだけど……
やれやれ、ダメだな

レナード > 「もちろん、もう開けて大丈夫だし。」

尋ねられれば、すぐに。
寧ろ、自発的に開けるものと思ってたから、少し慌てたくらいだった。

「……ん?」

そして何か、色々と彼女の中で腑に落ちる部分があったのだろうか。
だがそこまでは、自分では入り込むことはできない。
それ故に、彼女の呟きに疑問符しか浮かべることができなかった。

「なに気にしてるのか知らないけれど。
 ………それが分かっているのなら少しずつ、分からないところを解いていけば、いいんじゃないかな。」

だから、知った風な口しか利くことはできない。
…それでも、彼女のことを気に掛けずにはいられなかった。

園刃 華霧 >  
「ん、いや、まあ……悪い」

多分、自分で目を開けるものだったんだろうな。
いや、それも"分かって"はいる、はずなんだ。
実行に移せないあたり、やはり、何処かズレている。

そして、開けた目は金色の瞳を見れただろうか……


「あぁ……そう、だね。
 ちょうど、これから考えてくとこ……だよ。
 ほんと……ああいや、なんでもない」

ごめん、といいかけて。
多分、また自分を下げることになると思って。
そこは口をつぐんだ。

レナード > 「……君のペースで、進めばいいじゃん。
 君の人生なんだから。選択するの、得意だし?」

自分を下げる発言を飲み込んだこと…それはすぐに分かった。
そんな彼女を労わる意味でも、ぽふぽふ、ぎゅー。
…そうしてから、緩やかに離れる。

「はー、もう。
 ………僕のことで悩みそうになったら、思い出して?
 君がどうあったとしても、そんな君が僕は好きだったって。
 そうすれば、大概は解決するし。」

今後、そういうことはきっとない…とは思うけれども。
最後に一言、そんな魔法のような言葉を教えてから。

「で………そろそろ、戻ろうと思うわけ。」

彼女に、告げる。
互いの後悔を雪ぐ為にあった、その一時の終わりを。

園刃 華霧 >  
「あぁ、まあ……そう、だな。
 うん。アタシはアタシでなんとかしていくさ。」

レナードも、できれば誰かとともに。
そうあってほしい、と思いながら。

自分にはもう、そう願うしか出来ないから。

それでもし、戻ってくるなら
それもいい、とは思う。


「……うん。そうさせてもらう。」

思い出して、とそう言われた。
そうか……
アタシがどうあっても……か

再び手を取ることは出来ないのかもしれないけれど、
そう言ってもらえるなら……それは救い、なのかもしれない

だから、そうだ
此処にふさわしい言葉は

「……ありがと、レナード」

そして――

「……あぁ、行ってらっしゃい、だ。
 "探して"きて、な」

時の終わりは……別れの挨拶ではなく

レナード > 「…こちらこそ。
 ありがとう、華霧。……たのしかった。」

もう、それは隠しようもない本音。
彼女にはいい意味でも、悪い意味でも、翻弄されっぱなしだった。
…でも、楽しかった。楽しかったんだ。
彼女に纏わる記憶を全てを嚥下した今だからこそ、そう告げられる。

「……うん。
 ちょっと"行って"来るし。」

…穏やかに、にこりと微笑むと、フードを被る。
彼女に合わせて、返した言葉は別れのそれではなかった。
まるで、ちょっと先のコンビニに行って来るときのように気軽なもので。

手を上げると、ひらひら…掌の力を抜いて、気怠そうに振ってみせる。
そのまま、蛇は屋上を後にした……―――

園刃 華霧 >  
「ああ……アタシも……そう。
 楽しかった、さ」

最初の出会いは最悪だった、と思う。
それでも……短い間だったけれど。
間違いなく、楽しい時を過ごせた、と思う。

「……」

手をひらひらと振る相手を見送りながら……

唇に残る、硬いものの跡に指を添えていた。

ご案内:「第二教室棟 屋上」からレナードさんが去りました。
ご案内:「第二教室棟 屋上」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「第二教室棟 屋上」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > 屋上――当たり前だが、本土にある学校の屋上と何かしら極端に変わった所は見受けられない。
常世学園は規模が大きいが、こういう所は普通なんだなぁ、としみじみ思いながら屋上の隅っこのベンチで黄昏ていた。

「―――と、いうか全然授業に付いていけないんだけど…」

魔術とか異能に関わる講義なんてこの島に来るまでまともに受けてこなかったのだ。
基礎くらいは多分理解くらいは出来たと思うが、応用となると頭が痛い。既に補習や赤点が脳裏をちらつく。

「…補習とかやだなぁ。絶対クラスの笑い者とかになりそうじゃん…。」

かといって、勉強熱心というほどでもない。良くも悪くもそこは等身大の少年だ。

火光雷鳥 > 笑い者といえば、転入してきて自己紹介した時に、案の定担任からも苗字の読み方を間違えられた…悲しい。

「いや、まぁ…そりゃああまり見かけない苗字だとは思うけどさ」

あの、知らない顔ばかりの緊張感の中で苗字を思い切り間違えられるとか、どんな羞恥プレイなんだと。
思わずあの時は逃げ出したくなる程度にチキンな少年だったが、今はもう慣れた…だが、クラスで友達を作るのは諦めた。

「それはそれとして、早く地理を覚えないとなぁ…何度うっかり迷い掛けた事か…。」

この島、想像以上に広いみたいだし…一つの都市国家じゃないかなってふと思う時がある。
それはただの思春期の妄想の一つだとは分かってるけど。ベンチに背中を預けてぼんやり空を見上げる。

火光雷鳥 > 「あと、いい加減に登録されてる俺の異能名を何とかして欲しいんだけどね!!」
火光雷鳥 > あのクソ親父だけは絶対に許さん。なぁにがエンペラーだ!ただのありふれた発火能力者だよ!
苗字を盛大に間違えられた後、よくあるクラスメートからの質問タイムで異能を聞かれた時に「あ、ただの発火能力です」、と無難に答えて終わらせた。
…筈だったのだが、そのクラスに変に情報通?が居たらしく

「クラスメートに『紅蓮の支配王」をご開帳されるし、マジで死にたい…あとあの親父は絶対ぶっ殺す…」

ぼんやり空を見上げていた筈なのに、俺は何時の間にか項垂れていた。あ、ちょっと泣きそう。
その後のクラスメートの、何か可哀相な奴を見るような視線とか、何かテンション上がって期待して見て来る視線とか、ついでに『我に匹敵する奴が来たようだな…』とか、お前ちょっと大丈夫?みたいな熱視線向けられてどうしろと。

「……俺の常世学園デビューは無事(失敗して)終わった…。」

今からクラス換えとかしてくれねーかなぁ、と割と本気でそう思う。ちなみに能力の実演はしていない。
がっかりされるのが怖かったし、何より名前負けもいい所だ。自分がみじめになるし周囲も白けるだけだろう。

「…おまけに、そんなただの発火能力で1年入院してたもんな…そういうもんなのか?」

検査結果とかは異常もなく今はこうして生活出来ている。変化があるとすれば黒髪黒目だったのが真っ赤に染まったくらいだ。ある意味目立つから嫌だ。

火光雷鳥 > 「――俺、この島でやっていけるのかなぁ」

幸先不安だ。皇帝どころかただの地味で冴えない凡人男子なのに。ほんと、この異能名どうにかならんかな…。

「…あ、そろそろバイトの時間か」

ポケットに突っ込んでいた携帯が振動する。取り出して確認すればアラーム設定しておいた時間だ。
よっこらせ、とベンチから立ち上がってうーん!と伸びをする。とりあえず今は…

「よっし、行きますかー」

軽くパン!と両頬を叩いて気合を入れてから日雇いのバイトへと向かうべく屋上を後にする紅蓮の支配王(弱)だった。

ご案内:「第二教室棟 屋上」から火光雷鳥さんが去りました。