2020/09/14 のログ
■耳守 聴乃 > 「さて、ここまで聞いて疑問を抱いた生徒もいるだろう。
『それはマイナスをゼロに戻すだけで、
異能を自由に使える手助けにはならないのではないか?』と」
「このメガネ、少々応用すると人間の視力を格段に向上させる道具に化ける。
佐々木君、といったか、どんな道具になると思う?」
生徒の名簿を見て、学生を適当に一人指名する。
『……望遠鏡とか、顕微鏡ですか?』
「素晴らしい。
望遠鏡や顕微鏡、これは人間の視力を格段に上昇させる道具として、
なじみが深いだろう。
我々が目指すのは、この望遠鏡を作ることに似ている。
今回はまず基礎として、異能の際を平均化する方法を考えてみよう」>
■耳守 聴乃 > 「さて、いつもの通り発火能力を例にとって説明していくが、
いくら異能といっても、異能の先にあるのは物理法則にしたがう物質だ。
何をやりたいのかを決めて、
それに対して異能が適切に作用するような機関をを考える。
そしてそれを規格化していくのが基本的な流れだ」
「ここの考え方で重要なのは”なぜその異能が発生するのか”という、
異能の原因には一切言及しないことだ。
あえて異能の原因を考えない、避けているといってもいい。
これは工学として製品を量産するときに、
現象、つまり異能によって引き起こされる現象のみに注目することで、
統一の規格を作りやすくする狙いがある」
こんな調子で、講義は続いていく。
決して楽しいわけでも、刺激的なわけでもない講義。
寝ている生徒もチラホラいるが、気にはしない。
こうして90分間の講義は、解説と板書、
要所要所の質問によって構成されていくのであった。>
ご案内:「第二教室棟 教室」から耳守 聴乃さんが去りました。