2021/12/25 のログ
ご案内:「第二教室棟 屋上」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 「あ~……疲れた。」

夜。世間はまだクリスマスムードに染まっている中、俺はこうして屋上のベンチに腰を下ろしている。
今日は朝からあっちこっち駆け回る……程じゃないけれど、
一仕事やり遂げたトナカイの群れを見送ったり、
宗教施設の補修工事を手伝ったり、
準備室で書類まとめたり、と教員としての業務は無いながらもそれなりに忙しかった。
……いやまあ、予定が無いから忙しくした、ってのが正しいけども……。

「ま、来年はもう少し真っ当にクリスマスを過ごしてみたいもんだ。」

そもそも真っ当なクリスマスの過ごし方って何、という疑問が残るがそこは見ない事にする。
割とほら、宗教観によって違うから。っていう言い訳。

暁 名無 > 「それでも今年はプレゼントを贈ったりも出来たし、それなりにクリスマスらしい事は出来たんじゃないだろか。
 ケーキ……じゃないけどシュトーレンも食ったし、あれ、もしかして大人になってから一番クリスマスしてるのでは?」

学生時代のクリスマスはひとまず思い出さない事にして。
暁名無としてこの島で迎える中では一番真っ当にクリスマスしてたのではないだろうか。当日じゃないだけで。
……当日じゃ無いなら意味ある?って言われたら死んじゃうけど。

「まあパーティとかする柄じゃ無いし、ご馳走も……。
 やっぱそれなりにクリスマスっぽい事は出来たのでは?ぼっちなだけで。ぼっちなだけで。」

多分その最後の奴が一番の強敵なんですよねっていう。
交友関係とか、広げなきゃな……とは思うものの。
この時期って冬期休暇と被るから教師生徒問わず帰省とかするし、
どのみちおひとりさまコースなのでは、と思わなくもない。

まあ、それならそれで仕方ないか。

暁 名無 > 「にしても寒っ……星空が綺麗に見えるのは良いんだけどなぁ。
 まあクリスマスって事は今年も残り1週間切ったって事で、寒いのも道理なんだが。」

手袋くらいは買った方が良いかもしれない。
両手を擦り合わせながら、それでも俺は夜空見上げる。
視線の先で瞬く星々は、俺が学生時代に見上げていたものとそっくりそのまま。
当然だ、まさに今その時間の常世島に居るんだから。

「このまま時が進んでも俺は俺にならないけど、そしたら今この俺はどうなってくんだろうな……」

ちょっと複雑な事を考えてしまって、自分でも気付かないうちに眉間にしわが寄る。
まあ別に誰か居るわけでも無いから良いのだけど。

暁 名無 > 俺は、俺になる未来を閉ざすためにこの時間、この世界に来た。
その目的は達せられたので、少なくともこの世界では俺が俺になる事は無いだろう。
では、俺が現れない世界で俺は何として生きることになるのか……

「―――ま、考えたってしゃーないか。
 俺は俺、―――暁名無なんだから。」

よっこいせ、とベンチから腰を上げる。
ひんやりとした風が屋上を吹き抜けて、思わず身震いをしつつ。

「うへぇ、やっぱ寒い。
 今日のところは帰ろ帰ろ……!」

ついでに自販機で何か温かい飲み物でも買っていこう。
紅茶――は書類まとめてる間、練習も兼ねて自分で散々淹れて飲んでるから、そろそろコーヒーでも良いな。

そんな事を考えながら、俺は校舎へと戻るのだった。

ご案内:「第二教室棟 屋上」から暁 名無さんが去りました。