2019/02/09 のログ
ご案内:「屋上」に沢渡マリアさんが現れました。
沢渡マリア >  
試験初日、午後に差し掛かった頃。
太陽の光はまだ高い場所で明るいものの、肌寒い時期。


学園の試験は多種多様であり、生徒によって試験の内容は大きく変わると聞いている。
沢渡マリアは本日の試験を無事に終え、屋上にやって来ていた。
屋上のフェンス際に立って地上を見下ろしている。

手には未開封のあんぱんを持って。

沢渡マリア >  

『――ヒソウな表情の生徒を確認。ベンチに項垂れています。』

彼女がこの場所へやって来た理由。

この学園へ来て初めての試験、そもそも彼女にとって誕生してから初めてだが、
試験という非日常においての人間の活動変化の観測を目的としていた。


観察対象である地上の学生を次々と捕捉し、行動データを取得している。
悲しげな生徒、怒っている生徒、ショックの余り噴水に飛び込む生徒、
試験期間中にも関わらずカップルでべたべたしている生徒など、様々だった。

沢渡マリア >  
ひととおり観察とデータの取得を終えると、手近なベンチに腰を下ろして持っていたパンの袋を開封した。
彼女はアンドロイドであるが、経口によるエネルギー摂取が可能である。

無表情のまま一口囓ったところで、自分の周りに数匹の鳩がうろうろしている事に気付く。
少しの間その動きを見ていたけれど、おもむろにパンを小さくちぎって自分の足下近くへと放ってみた。
先日常世公園で誰かがやっていたのを見たので、真似をしたくなったのかもしれない。


鳩はみるみると近付いてくる。
一羽、二羽、三羽、四羽。まだ増える。

彼女の傍に来ても鳩は逃げる様子を見せない。
非生物であるために鳩もあまり警戒していないのかもしれない。

あっという間に鳩に囲まれる羽目になった。

 

ご案内:「屋上」にフィフティーンさんが現れました。
フィフティーン > 学園の裏側、すなわちあまり人通りの多くない方角から
何やら妙な金属音が響く。
それは下から徐々に上がっていき
何かが学園の壁を上っているのだと理解する事は容易い。
それほど時間が経たずにフェンスを超えて
屋上に現れるのは四足のマシン。
蜘蛛のようなフォルム、デジタル迷彩、
そして風紀委員会のエンブレム。

この平和な学園へ思考データ収集のため
人間観察に来たのだが屋上に先客がいたようだ。
何やら鳩に囲まれている、とりあえず形はヒト型。
生徒だろうか?近づいて確認してみる事にした。

沢渡マリア >  
鳩の中に一羽に向けて手を伸ばした瞬間。 
聴覚デバイスが人ならざるモノの発する音を捉えた。

手にしていたパンを放り投げ、ベンチから立ち上がると
音のする方を向いて身構え、接近して来るのを待つ。

鳩達は音の主が屋上へ辿り着くと、衝撃と音に驚いてあっという間に散り散りに飛んで行った。


目の前に現れたのはヒトではなかったし、知り合いでもない。

しかし、特徴的なフォルムと風紀委員会のエンブレム。
沢渡マリアは風紀委員会に所属して一ヶ月と少しであるが、
委員会のデータを積極的に取得していたため、データベースに該当する情報を発見した。


『―――アナタが、風紀委員会の所有している <Unmanned-Quad-Legs> ですか。』


ヒトならざるモノが、ヒトではないモノへ、静かな声で問いかける。

フィフティーン > 先客であった「彼女」は此方を認識すると最適な手順で身構えた。
その速度と精度は人間なのかと疑うほど。
しかしその謎はデータベースで検索を掛けると同時に明らかになる。

<その呼称を使用するとは珍しい。
その通り、私は風紀委員会所属のUQL-1500S、
コードネームはフィフティーン。
データベースによるとアナタはアンドロイドのようですね。>

どうやら目の前の対象も自分と同じ機械であり、
風紀委員会所属であるようだ。
今まで自分と違う存在には散々会ってきたが
自分と似たような存在に会う事は珍しい。
その貴重な経験に好奇心が刺激されるが
今、疑問に感じている事は彼女が身構えている事だった。

<身構える必要性は無いと思います。
私はアナタを攻撃する事は出来ません。>

ロボットの視界の中で彼女は青い枠で囲まれており
そこに添えられているのは「Ally<同盟>」という文字。
特殊な命令無しに攻撃出来ない事は事実だ。

沢渡マリア >  
まず突然の来客への「把握と対処」が最優先であったが、
相手の特定ができて尚且つ驚異で無い事が判明すれば構えを解いて、

『―――戦闘行為の必要無しと判断、警戒を解除します。』

機械的な言葉を発した後、人間に対してするのと同じように頭を下げる。

『私の所有しているDBにはそうあります。ニンゲンは<ランドドローン>と呼ぶのでしたか。
 フィフティーンが、アナタのユニークネームですね。キオクしました。

 私はJSW-0066――現在は開発元の消滅によりロストナンバーとなっていますが。
 戦闘型アンドロイド「Maria」、個体名<サワタリマリア>。』

テンプレートのような自己紹介を終えると、フィフティーンの方へと歩み寄る。
先程言葉にした通り警戒の空気は纏わず、今はただの女子高生と何も変わらない。

近くに来ると背の低い「彼」の高さにあわせるように屈み込んだ。
顔色は変わらないものの、じっくりと観察している。

『なるほど。やはり風紀委員会の管理下に置かれているのですね。理解しました。
 …アンドロイドは学内にも居るようですが、アナタのようなタイプの仲間と会ったのははじめてです。
 ヒジョウに興味が、あります。』

フィフティーン > <今後よろしくお願いしますね、マリア。>

相手が此方の自己紹介に返す形で名前を教えてくれたので
その名前を記憶しつつ聞き取りやすい男性の合成音声のそれに乗せて
学習した礼儀の言葉と共に復唱する。
その後すぐにマリアは此方に近づいてくるが
興味深いのは此方も同じでロボットからも近づいていく。
彼女が同じ高さに屈んでくれた時にはそれはもうかなり近い距離。

<私は戦闘行為を目的として設計されたランドドローンであり
普段は落第街を中心に行動しています。
その疑念は適切なものです、アナタはとても貴重な経験をしていますよ。>

自分を初めて見たという彼女にそう一言、
事実、学園周りでフィフティーンを目撃する事は殆どない。
言葉の内容は妙に自慢げであるが
抑揚のない淡々とした口調のせいで
その雰囲気は感じられない。

<ところで、アナタはこの屋上で何をしていたのですか?>

そして彼女が此方を観察するように
ロボットのモノアイも彼女の瞳をじっくりと見上げている。

沢渡マリア >  
『よろしくお願いします、フィフティーン。』

同じ言葉を返せば、続いて無遠慮に手を伸ばしてその胴体に触れてみる。
触感センサーにより彼の装甲でも確かめようという考えか。

なお、人が相手の場合はきちんと了承を取るところも、
相手が「仲間」なので、基本的に敵意が無い限りは許可も不要と判断して。

『UQL-1500Sの機体詳細情報が私のDBに無いので、アナタの簡易解析を今してみました。
 フィフティーン、アナタの方が最新世代の装備を所持していると判断しました。
 純粋な戦闘能力を数値化した場合、恐らくアナタの方が高いのでしょう。
 そうでなくては、落第街に転がる粗大塵として処分されていますね。』

此方も抑揚と感情の無い声で返す。

客観的に判断出来るのもアンドロイドの良い点だろう。
旧世代の武装、装甲を有している自分と比較すれば、恐らく彼の方が協力なのだと冷静に判断しての言葉。



『アナタと幸運にも接触できたことは、大変有り難いことです。
 私は管理代行者に、この学園の様々な情報収集をするように言われています。

 本日は、試験を受けているニンゲンの行動がどのように変化するか。観察していました。
 彼らの行動はサマザマで、ユニークだと感じます。

 フィフティーンは、今日はどうして学校に。』

自分と違って一つしかない瞳を見つめて、素直に行動理由を伝えつつも、
疑問を投げかける。

フィフティーン > <素晴らしい推測です。
UQL-1500Sは最新世代の兵器として各国の特殊部隊に配備されています。
データベースと精密分析の結果によるとアナタは最新世代ではありませんね。
というより世代更新が途絶えているように感じます。>

少なくとも彼女は最新鋭の装甲を有していたり
武装を施されていたりという事は無い。
さらにデータベースで彼女に類似するシリーズが見当たらない。
生産自体がばったりと途絶えている事が示されている。

<奇遇ですね、私も目的は情報収集です。
任務では学生を多く相手するので
多数の学生の思考データは重要になります。
ふむ、彼らは試験を受けている・・・。
彼らはどこかに出荷されるんですか?>

機械にとって試験とは市場に出回る前のチェックと言える。
人間の生活に馴染んでいない純粋な機械はそんなことを思ったようで。