2019/02/12 のログ
ご案内:「屋上」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 「いやー、参った参った。忙殺とはまさにこの事だ。」

夕暮れ時の屋上
足元からじわじわと侵食してくるような寒さを感じながら、暁名無はいつものように煙草を喫いに来ていた。
朝から試験監督と試験期間後の資料作りの為に時間に追われる様な日々を過ごしていたが、ここでようやく一息つく暇を得たのである。

「そもそも俺が試験監督なんてやったとこで、カンニングする奴はするし、しない奴はしないんだっての。なあ?」

誰に向けたわけでもない問い掛けが、フェンスをすり抜けて校舎に沿って落下していく。
そして一拍遅れて吐き出した煙が、薄藍の空へと昇って行く。

暁 名無 > 「明日も明後日もこの調子で働かされるとなるとうんざりするな。」

眉間を指でぐりぐり解しながら嘆息混じりに呟く。
仕事熱心と呼ぶには程遠い姿はもはや本人も開き直っている。
どちらかと言えば教室の中に居るのはしんどいというタイプ。
だが、彼の予定表は少なくとも今週末までは屋内労働で埋まっていた。

「こうして屋上に来れるのが唯一の息抜きだもんな……。」

暁 名無 > 屋上へ来る途中に自販機で買った缶のコンソメスープを開ける。
おしるこサイダーと最後まで悩んだが、甘味よりも塩気を優先した結果、らしい。
屋内労働とはいっても、頭はそれほど使っていない為甘味をそこまで欲さなかったのだろう、とは本人談。

「んー……やっぱスープにして正解だわ。」

丁度小腹も空いていたとこだし、と満足げに頷いて再び煙草を口へと運ぶ。
今日の仕事が終わったからと屋上に来てみたものの、煙草を喫ってぼーっとする以外にする事も無い。
暇だな、と小さく呟いて空を見上げたりしている。

暁 名無 > 人がいる場所なら職員室傍の喫煙所に行けば良さそうなものなのだが、
どうも赴任して以降職員室という場所自体に若干の苦手意識がある様だ。
生徒からも『暁先生探す時は職員室より保健室か研究室当たった方が確実』とまで認識されてるほどに職員室に居る事が少ない。
本人は、「生徒の頃の苦手意識がそのまま残ってるんだろ」と生徒には弁解しているが、実のところその通りだったりする。

「ふぅー……身形ばっかでっかくなったとこで、結局ガキの侭なんだよなあ。」

やんなっちゃうねー、と他人事のように煙と共に吐き捨てながら、屋上でだらだらと過ごしている始末だ。

暁 名無 > 「ま、自分への愚痴はこの辺にして、っと──」

そういえば、と何か思い出した様子で上着の胸ポケットからスマホを取り出す。
慣れた手つきでそれを操作し、一つのメールを開いたところで手を止める。

「──祭祀局、ねえ。」

曰く、常世学園に於いて霊的守護・調和を司る機関。
これまで特に目立っていなかったその機関から人員募集の連絡が送られて来たのが今朝のこと。
一見、暁とは縁遠い組織の様に思えるが、霊魂といった存在はともかくとして、霊獣や妖怪、神獣といったものになってくると暁の専門に引っ掛かってくる。
それらの知識を活用させよという御達しなのだろうか、と暇な時に考えてみたりしていたのだが。

「──ようするに今の世の陰陽寮、って事だよな。この機関。」

暁 名無 > 「ちょっと誰かに相談してみねえとなーこれはなー……」

学校側からすれば正式な職員として雇用しているのだから、
いい加減に何かしらの組織に所属しろ、ということなのだろうと暁は考えた。
その事に対して不満は無いが、だからといって研究時間、主に野外に出ている時間が減らされるのは避けたいし、
何よりこうして放課後や休み時間といった授業外で生徒と関われる時間を失うのは嫌だ、と正直に思う。

「とはいえ相談出来そうな相手もそう多くないし、なー」

暁はすっかり短くなった煙草を口から離し、いつものように手の中で燃やし尽くす。
それから改めてスマホの画面を真剣な面持ちで眺めながら、屋上を後にしたのだった。

ご案内:「屋上」から暁 名無さんが去りました。