2019/02/16 のログ
ご案内:「屋上」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 「甘っめぇ。」

試験期間の終了を無事に迎えた校舎の屋上。
生徒たちが開放感から普段より騒がしく下校していく声を下に聞きながら、暁名無はひとり、屋上のベンチでチョコを齧っていた。

バレンタインデーに激務に追われ研究室でダウンしていた間に誰かが持って来たのであろうそれは、生憎差出人に心当たりは無かったし、
エアコンの壊れた研究室に置かれていたから半分ほど溶けてしまっていて、気が付いて慌てて冷やし直した為、何と言うかもうぐずぐずになっている。

それでも、とても甘く、仕事で疲れた頭と体には十分すぎるほどだった。

暁 名無 > 「しかし研究室まで持って来るなんて、よほどの物好きが居たもんだねえ。
 そこまでしたなら起こしてくれりゃあ良かったのに。」

もくもく。チョコを一欠けら齧っては口の中で咀嚼せず溶かしては呑み込む。
それを繰り返しながら、ぽつりと呟く。
仮に自分が差出人だとして、ソファに転がった死体をわざわざザオラルしてチョコを渡すか?と考えれば答えはノーである。
そういうもんだろうな、とひとり勝手に納得しながら、名無は空を仰いだ。

暁 名無 > 「……っ」

不意に胸ポケットに入れていたスマートフォンが振動する。
奇声を上げかけたのをギリギリで踏み止まり、名無は舌打ち混じりにスマホを取り出し、目を向けた。
別段どうという事は無い、試験が全日程恙無く終了したことを報せるメールで、メールの題名を見ただけで名無はポケットへスマホをそっと戻す。

「……むしろ先生はこれからが地獄なんだよなあ。」

これから待ち受けるのは採点の山。
もういっそバイトを雇っても良いんじゃないだろうかと名無は本気で思う。
生徒の個人情報保護の観点から、却下されることは想像に容易いが。

ご案内:「屋上」に伊従のどかさんが現れました。
伊従のどか > 「テストしゅーりょー!」

バタン、と屋上の扉を開けて叫ぶ。
ストレスから解放されたかのように、そして溜まっていたストレスを解放するかのように、大声をはりあげ。

「って、あれ。
えーと……」

それから気づいた。すでに屋上に先客がいたことを。

暁 名無 > 「うおっ、何だなんだ。」

来週から訪れる試験の採点と通常授業のダブルパンチに気分が憂鬱に傾き、いつになく憂いを帯びた顔をしていた名無だったが。
唐突な大声に思わずベンチから滑り落ちそうになる。というか、落ちる。
コンクリートの地面に強かに尻を打ちながら、声のした方を見遣って

「おうおう、そうだな。テストお疲れさん。」

あはは、とどんな顔をして良いか分からず、とりあえず愛想笑いを向ける。

伊従のどか > 「……あっ、暁センセーだ!
テストお疲れ様でーす!」

数秒彼を見つめて名前がようやく出てきたのは記憶領域をテスト関連で圧迫刺せていたためだろう。
なぜか地面に座っている彼に元気よく返事し。

「どったの、地面に座り込んだりして。
バレンタインにチョコがもらえなかったからいじけてたとか?」

うけうけ、と笑いつつ近づく。

暁 名無 > 「今俺が手に持ってるの何かわかる?」

笑いながらからかって来る伊従を見て、名無はどうにか落とさずに済んだチョコレートを掲げる。
見た目は不格好だが、それは間違いなくチョコレートで、その不恰好さから市販品でないことも容易に分かることだろう。
なお不格好なのは一度溶けて固め直されたから。

「そう言うお前さんこそ、よっぽどうんざりしてたんだな。
 テスト終わって早々屋上に叫びに来るなんてよ。」

この手の少女は友人と買い物やら遊びやらに出るものだと思っていた名無は、未だ地面に座り込んだまま軽く肩を竦める。

伊従のどか > 「おお、暁センセー……。
女子高生とのインコーは犯罪デスヨ?」

あきらかに既製品ではない、手に持っているチョコを見つめてからそんなことを言う。
勿論、冗談でいっているが、顔はちょっと引いてる顔をしている。

「そりゃもー、ここ数日勉強漬けでしたからね。
学業が大事とはいえ、やっぱつまらないものはつまらないですしねー」

立てますか?と暁に手を差し伸べてみる。

暁 名無 > 「生徒から貰ったーとは言ってないだろ?
 もしかしたら先生同士のプラトニックなお付き合いかもしれないぜ。」

いやまあ多分生徒から貰ったんだろうけど、と妙に歯切れ悪く付け足しつつ。
差し出された手には、まあ厚意には甘えておこうかと手を伸ばす。
……そして少し考えて。

「まあでも、多少はそういう危ない橋を渡ってみるのも悪くはないかもな。」

ぐい、と相手の厚意に甘えるどころか、その上にあぐらまでかく勢いで。
掴んだ手をおもむろに引っ張り込んでみる。
勿論、倒れ込んで来ればしっかりと抱き止めるつもりで、だ。

伊従のどか > 「あはは、暁センセーは先生より生徒たちからモテそうだからそれはないですね!」

うけうけ。
本当にてきとうなことを言っているが、やはり冗談で言っており。
差し出した手が掴まれて引っ張ろうと、その力を入れる直前。

「――うわっ、ちょっ!?」

ちょうどよいタイミングだったのだろう。
抵抗する力を出せるタイミングでもなかったために、一切の抵抗もせず彼を押しつぶすように飛びこむ。