2022/02/09 のログ
ご案内:「第三教室棟 保健室」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 「やー、こんな風に保健室の留守番すんのいつ振りだろうな!」

ここはサボりの定番、保健室。そんなことないか。
学校は絶賛後期試験期間中で、俺も試験監督として時々出番はあるものの基本は暇。
だから時々転移荒野の方や青垣山の方へ行ってみたり、図書館に行ってみたり、準備室に引き籠ってみたりしていたのだが。

本日はこうして、突如急用を思い出した馴染みの養護教員の代わりに保健室の主代行をしているというわけだ。
コーヒーも淹れて、資料作成用のパソコンと読み掛けの本をベッドの上に置いて寝転がり、留守番の体勢は完璧。

どっからどう見ても臨時保健の先生である。……こんな事言うと本職の人らに怒られそうだ。

暁 名無 > 「とは言え……試験期間に体調崩す奴なんてそう居らんだろー
 いや一夜漬け二夜漬けが祟って寝不足になったりするのは居るかもしれんか。ベッドいくつ空いてたっけ……」

ひぃふぅ、みぃ……俺が今転がってるのは除外して3つか。
なら何の心配も要らんな。具合悪い奴が来たら取り敢えず転がしておこう。
怪我人の場合はどうしようかねぇ。んー……あー……俺でも最低限の手当てが出来ないでも無いんだが。
ま、留守を預かる身として出来る限りの事は致しましょ!

「準備室の方には御用の方はこちらまで、って張り紙もして来たし。
 まあわざわざ用向きが合ってくる生徒なんてめったに居らんけど。」

てしてしとタイピングしながら独り言。誰も居ないとことか静かなとこでつい喋ってしまう癖があるんだよな。
監督してるときもうっかり喋りそうになってアレはかなりしんどい。

暁 名無 > 「資料はこんなもんで良し、と。
 あとはブラウザゲーを放置で回しつつ本でも読むか。」

いやあ俺んとこと変わらない閑古鳥っぷり。むしろ俺に閑古鳥が憑いて来たのかってくらい。
まあ保健室が盛況でないってのは喜ばしい事ではあるんだろうけれども……地味に退屈。

一番手近にあった本を一冊手に取り、挟んでおいた栞の頁を開く。
図書館でたまたま目に付いた大変容以前に書かれた探検記。
時々突飛も無い生物が登場するのでちょっと気に入っている。
鼻行類だらけの島の話なんかは、大変容を経た今ならワンチャン実在している気すらしてくる。

「オオミミナガハナアルキってのは……全体が大きいのか耳が大きいのかどっちなんだ……」

コーヒーを啜りながらのんびりと読書。しかも保健室のベッドの上で。
これでお給料が発生するんだから言う事なしだな!

ご案内:「第三教室棟 保健室」に清水千里さんが現れました。
清水千里 >  
「先生、またサボりですか?」

 その閑古鳥の鳴く保健室の扉を開けて入ってきたのは20代程度の女子学生。
 艶やかな黒髪を後ろで束ね、その瞳の碧さは夜の海を思い起こさせる。
 暁先生は彼女を覚えているかもしれない。
 危険な幻想生物の密輸事件を摘発したとき、共に仕事をしたことがある、図書委員の清水千里だ。
 もっとも、彼女が怪我や体調を崩しているようには思えない。

暁 名無 > 「サボりじゃないよー、保健室の留守番っていうれっきとした業務遂行中だよ。」

探検記は主人公の学者一行がオバネトビハナアルキの大群に遭遇した辺り。
不意に保健室の扉が開き、声を掛けられて俺は顔を上げる。
見覚えのある女子生徒が一人。見覚えはあるけれど……名前……何だったっけ。
最近すっかり物覚えが悪くなってしまった気がするなあ。ただし人名に限る。

「どうした?見たところ怪我したとかじゃなさそうだが。
 この保健室の先生ならしばらく帰って来ないぞ。多分今日中は帰って来ない。」

だからこうして悠々と自堕落に留守番生活を送っているんだけども。
ひとまず用向きを聞いておこう。言伝とかあるのかもしれないし。

清水千里 >  
「ええ、知っていますよ」

 と、名前を思い出そうとしているのだろう、無意識に目を細めている先生に少し呆れたような声で。

「図書委員会の清水千里です。前に一度、先生にお世話になりました。
 ――いえ、保健室に用があるのではないんです」

 用があるのは先生の方で、と清水はいった。

「また少し先生のお力を借りたい、面倒なことができましてね。
 ほかの先生に、ここにいらっしゃると聞いたものですから」

暁 名無 > 「あ、そーそー清水清水。
 いやあちょっと忘れてた、というか……まあ覚えてなかったというか。」

口振りからして授業以外で顔を見たのだろう。
……と、いう事は俺の心情的には碌でも無い事態の時だ。
それじゃあ人の名前なんて覚えてられないのも無理はない。次からは気を付けよーっと。

「ほう……?俺の力を?
 そりゃまたケッタイな……俺が出張らなきゃならないなんて、大抵碌な事じゃないよな?」

知恵を借りたいならともかく、力を借りたいと来たもんだ。
あー、なんか嫌な予感がするー……出来れば聞きたくないー……。
でも俺は身を起こしてベッドの上に腰掛け直した。わざわざ出向いてくれたんだ、無下には出来ない。

「まあ、話だけでも聞こうか。何だい?」

清水千里 >  
「その前に、一つお願いが。」

 脇に茶色い書類袋を抱えた清水は、冗談味のない真剣な顔で彼に告げた。

「これから話す内容を口外なさりませんよう。安全を確保するためですので。
 もちろん、調査に協力するかどうかは先生の自由ですが」

 と、彼女は中から電子顕微鏡で撮影されたと思しき平面的な白黒写真を取り出す。
 写っているのは六芒星の形状をしたなにかの微生物だ。

「4週間前、産業区港湾地域での活動中、我々が発見したものです。
 大きさは約25μm、研究所の報告によると、おそらく新種のウイルスです。
 宿主は国際条約で国境間取引が禁止されている幻想生物でした」

 と、清水は一息ついた。

「この案件に興味はおありですか?」