2020/07/04 のログ
ご案内:「部室棟」に修世 光奈さんが現れました。
■修世 光奈 > 「うーん。来てはみたけど…部活入ってるかなあ…」
各部室にアクセスできる広い部室棟のロビー。
そこで、ふーむ、と悩んでいる生徒が一人。
『受けている』依頼の達成のため、学内中を一先ず歩き回っているが…流石にここではないか、と嘆息する。
探している人物…北条御影が何かの部活に入っているなら、それは見つけるまでのプロセスがかなり短縮される。
けれど、ここまで探して見つからないということは、その可能性は低そうだ。
「ま、とりあえず歩いて、会った人に聞いてみよっかな」
委員会街と違って、ここには運動部の手伝いなどでたびたび来ている。
特に緊張することも無く部室に続く通路を適当に選んで歩き出す。
途中、知り合いに会えばやっほー、などと言って明るく挨拶。
その後、探し人について聞いてみるが、やはり返事は明るくない。
(わかってたから、へーきだけど)
それでも、光奈はにこにこと笑いながら、声をかけ続けていく。
■修世 光奈 > やはり、都市伝説だとか、怪談だとか、あるいは悪戯だとか。
そんな情報しか今のところは得られていない。
それもそうだろう。
名前だけしかわかっておらず、姿を誰も知らないとなれば。
そういう風に考えられるのは当たり前。
けれど光奈は、確信を持っていた。
(この探し物は、悪戯じゃない。
都市伝説…は近そうだけど、『実在』はしてる)
落書き、テストの切れ端。
それらの筆跡から感じる、意思ともいえるもの。
大事な探し物を見つけた時の、依頼人から感じるもののような感情。
それらがほんのりと、光奈には感じられていた。
「見つけて、どうしたらいいかはわかんないけど。
とりあえず遊びに行きたいなー」
何せ、自分が携帯のメモにそう書いたのだ。
書いたことを忘れているとしても、書いた時はそう思っていたのだ。
なら、遊びに行きたい。
ふふ、なんて笑いながらまた一人、移動中であろう部員に声をかけていく…。
■修世 光奈 > そのまま今日も、当てのない捜索を続けていく――
ご案内:「部室棟」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「ゲーム制作部部室」にエコーさんが現れました。
■エコー > 開け開かれた部室の中からは、悲哀交々、慟哭とともに頭を抱える生徒の声が木霊する。
ちくしょう、やっちまった、あと少し……。期待と不安、焦燥。彼らはこぞって画面にくぎ付けになりながら固唾を飲んで見守る。
そしてついに――
『だぁあああ!? も、っ、……アアァアア!?』
ほんの数フレームの差。タッチの差の判定。敵のHPを微量残した状態で画面上に『YOU DEAD』の文字が表示された。
「おしかったねー、もう少しだったのに! でも大丈夫! このゲームやればやるほど上達できるんだから! 投げ出さないで頑張って!」
その奥のトリプルディスプレイ越しに見守っていた教師は激励とやるせない事実を同時に伝えながら無邪気な笑顔で背中を押す。
しかし既に似たような言葉を十数回にわたって聞かされたために感慨深いものも得られる知識もなかった。
現在、ゲーム制作部ではゲームコンペに参加するゲームを制作中。試遊会として学生にテストプレイヤーを募り、こうして遊んでもらっている。
死にゲー、理不尽ゲーと名高い『シャドウソウル』というゲームをリスペクトしたオリジナルゲーム『ワイルドハンター』。
プレイヤーは海賊となって敵の海賊、海賊船を相手に戦う海洋浪漫溢れるアクションゲームだ。
■エコー > ノットリアルエンジンをベースにしたモデリング、シェーダーの開発。常世島の海をモチーフにして作られた海の描写、その生態系の出力をエコーが監督・監修。
細かい装飾品や船内の小物に至るまで時代考証や勉強を欠かさず、テンプレートな海賊ハットをかぶったボスや薄汚れた布を着た雑魚敵がいたり、剣に銃と遠近の戦闘バランスも絶妙な仕上がりをみせている。
超巨大なガレオン戦を相手に自分の船を操作し、大砲を撃ちまくって戦うなど、対人戦のみならず巨大構造物を打倒すというカタルシスを得られるように複数のパターンの戦闘を網羅。
リアリティとスパイス程度のファンタジーを織り交ぜた重厚なクオリティのゲームが出来上がった。
が、このゲームには致命的な欠点がある。
「時間を忘れる程没頭できるように、少し難易度を高めにしてみたの!
難易度選択なんてしらけるものは実装しないで、難易度は固定! 周回するごとにどんどん難易度をあげていこう!」
といった具合に非常に難しい。操作性は快適だが敵はとても強く、何回も死ぬことが前提となるモチーフ元と同様死にゲーカテゴリのゲームである。
バランスは意図的に高難易度ゲームにしてあるからと問題提起はせず、ひたすらエコーが頑張れ頑張れと応援する。
ちなみに先ほど慟哭の声を上げた生徒は中盤に出て来る『海賊船の底をついて歩く海賊の王』にミリ残しして死んだ哀れな子であった。
■エコー > 「長い船旅になると壊血病になったりするから、ヘタな船の操作をすると病気が蔓延しちゃうよ!
対処手段は色々あるから地上でお金の略奪(かせぎ)をして、食料を満遍なく買い込んだらレッツ冒険!
あ、海で死ぬと船の修理代でお金は全部盗られちゃうからね」
地上に行けば海賊を悪とする兵士が襲い掛かるし、野党や山賊が徒党を組んでやってくる。
敵は人が多いが多少なりとも安全であり、効率的に稼ぐには時間がかかる。
海に出れば敵の金品と莫大な経験値が手に入る代わりに、負けるとすべてを失うハイリスクハイリターンなシステムがキモだ。
地上で釣りでもしながら本筋と関係ないクエストを攻略するも良し、海洋に出まくって死ぬまで世界の果てを見るも良し。
「物語は人の数だけあるんだから、もっともっとも~っと楽しんでもらえたら良いな!」
進める為にはプレイヤースキルを積まなければならないのだけど。
■エコー > 「さあ次の挑戦者はいないかー! 今まだ誰もクリアできていないこのボス! クリア出来たら先生が何でもしてあげるよー!」
モニター越しに元気よく手を振りながらはいはーいと手を上げるジェスチャーを織り交ぜながら笑っている。
■エコー > 手が上がり辛い状況を見かねて、エコーはディスプレイのカメラを調整するような仕草でディスプレイにアップしながら近づく。腰から下だけが画面に映るシュールな絵面で何かを探す事数秒。「あった」という嬉々とした声とともにゲームの操作権を獲得した。
その手にはコントローラーが疑似的に握られている。一応目視や考えるだけで動きの命令は出来るが、それでは味が無いというもの。種族に関係なく、実際に動かすツールも把握してこそ一流である。
「この海賊の王の対処法はねー、首を抱えて雄たけびを上げたタイミングで斬って行くの。
ソードの薙ぎ払い攻撃が痛いし水圧斬りも範囲は大きいから基本は付かず離れずを維持!
海の中のステージだから地上・海上よりも敵のスピードが遅めでね、タイミングをズラしてくるのもいやらしいポイントだよね~~。こっち(プレイヤー)は振りのスピードが変わらないのは良心だよね」
むしろ専用の水中モーションを用意してそれ用のステージとして戦った方が楽でもある。
が、開発の基幹を担当するエコー的に、要素を盛ったところで戦闘する機会を増やしまくると混乱するという理由で一部をオミットして水中ステージでの戦闘が実装された。
「はいここで爆弾!瓶に詰めた種火をセットして水中爆発!相手がひるんだら即座に斬って斬って斬りまくる!」
アチョー、ホワター、奇怪な声を上げながら神妙な顔をしてゲームを進める。
■エコー > 「ということで先生が初勝利~。先生は先生が好きに出来る権利が与えられました~。
じゃあ私、新しくできた扶桑百貨店に行きたいな!
『いいさ、君となら喜んで』
やーん超嬉しい~~」
意気揚々と手酌で小芝居を挟みながらプレイヤーの分身キャラクターが華麗にステップを決める。
「え、ビビリプレイじゃんって言われても~死ななきゃ安いんだよ。安定とセオリーをせめてこそ変態プレーヤーになれるんだから。まだまだテストプレイは続くよ~」
そうして夜が更けるまでゲームノテストプレイは続く。
ご案内:「ゲーム制作部部室」からエコーさんが去りました。