2020/10/06 のログ
ご案内:「部室棟」に出雲寺夷弦さんが現れました。
出雲寺夷弦 > 「――――っふぅ」


足元に転がるバスケットボール、滴る汗をタオルで拭きながら、男子生徒は吐息と共にベンチに座り込んだ。

時刻は放課後。ちょうどさっきまで、他のバスケットボール部の部員たちと一緒にちょっとした練習試合的なことをしていたところだ。
部室等内……といったって、こんなに広いスペースまであるというのは驚いたが、
その後案外部員の人たちとは宜しくやれたことで、少しすっきりした気持ちでいた。

――まさか秋大会の臨時選手として抜擢されるほど、自分の実力を認められるとは、思っても無かったが。

「……中学校の頃以来だったけど、結構憶えてんだな、身体って……」

転がるバスケットボールを拾い上げながら、懐かしさに想いを馳せ、柔かく笑った。

「――……」

――ボールを持って立ち上がると、数歩歩きだした。
ゴール前のサークルの、そこそこ遠い立ち位置。
ここから撃てばスリーポイント。目の前とは言えないが、正面にゴールを見据え、

「ふッ」

――放った。放物線を描きながらボールは飛んでいき……『バスンッ』と、跳ねることもなく、ゴールイン。
小さくガッツポーズをした。