2020/10/07 のログ
出雲寺夷弦 > 綺麗に透せたな、とちょっとした満足感に顔を緩める。ゴール下に落ちたボールを拾いに行き、ドリブルしながらゴール下をゆっくりと歩き回る。

そうしてふっと、ゴール下を通り抜けながら、後ろ手にボールを放ると――やはり、綺麗にゴールにボールは通して落ちた。

……落ちたボールを見つめる眼は、複雑そうに細められた。


「……便利過ぎると、ズルしてるみたいだな、この目」

――僅かに、輪郭に本来の色とは違う色で縁取ったように輝く眼を、抑える。
人ならざる色彩を孕む目は、次にはもう、元の色に戻っていた。
……自覚があり、制御も出来る。それをただ、頻繁には使うまい、というような。



「……鬼、か」

出雲寺夷弦 > 「……帰る、か」


――いつまでも黄昏るようなことでもない。
自分の躰の今を、しっかりと理解しないといけない事位、この"今"を、
謳歌するためには当然のことだ。

落ちたボールを拾い、片づけていくと、タオルでもう一度汗を拭い、

「……あ」

――思い出したように、スマホを取り出す。

「――うわ」


大量に通知がきていた。ルームメイトからの恐ろしい文面の数々、
要約すると、『晩飯の当番が何時まで帰ってこねぇつもりだ。作っておいたから10分以内に帰ってこい』とのこと。

一発殴られる気配を感じた彼は、それまで悩んでいたことを思考から弾き飛ばし、それはもう大急ぎで部室棟を出ていくのだった。

ご案内:「部室棟」から出雲寺夷弦さんが去りました。