2019/04/03 のログ
ご案内:「図書館」にアガサさんが現れました。
アガサ > 春休みも終盤となると、図書館は何時も通りの図書館らしさを取り戻す。
なんでも長期の休みの間は、蔵書の整理がそれはそれは恐ろしい程の作業量となって図書委員会に襲い掛かるのだとか。
それは試験期間に混雑する様子とはまた違った雰囲気なのだろうと思い、作業光景を想起とてするのだけど
今歩いている場所が魔術書関連を収めた区画であるからか、浮かぶのは本が独りで宙を舞い、あるべき所に収まっていく大層幻想的な様子だった。

「いやいや本が自分で動くなんてある訳──いやあるか。あるね、うん」

自分の背丈よりもずうっと高い、壁のような書架の数々。林立する書架の群の中。私は春休み中の出来事をぶつくさと独りごとにしながら歩いている。
手には幾つかの魔術書──と言っても学生向けの教科書なのだけど。そういったものを携えている。

ご案内:「図書館」に獅南蒼ニさんが現れました。
獅南蒼ニ > 貴女が書架の角を曲がろうとした瞬間,貴女の視界は塞がれる。
そこに立っていたのはくたびれた白衣を着た,顔色の悪い男。
手には数冊の本を抱え,貴女の存在には気づいてすらいない。

「…………………。」

火を付けていない煙草を咥え,獅南は手にした本の表紙を眺めていた。
禁書というほどのものではないが,高位の魔術を体系的に纏めた魔術教本。

貴女は,眉間に皺の寄ったこの教師の顔を知っているかもしれない。

アガサ > 「いざ色々採ってみよう。なんて思い立ったのはいいけど、2年で新規項目を~なんて結構無茶な気がしてきた──」

魔術。
魔の術。
言葉にするなら簡素極まり、だけれどもその種類の煩雑さはちょっと言葉に困るくらいのものがある。
現に私が手にしている本も東洋の陰陽五行を記した物や、南方系アニミズムの様式を示した物。はたまた北欧のドルイドの秘術を現代解釈した物等がある。
魔術書と言うよりは半分は歴史書。大変容以前の認識と、以後の認識の差異等が取りまとめられた実に学生向けの本。
ただ、今私が歩いている区画に収められている本は、どちらかと言えば魔術その物へアプローチを加えているものが多い。
文字通りの教本。そういった物への興味が有るのも、偏に将来の進路について色々思う所があったから、なんだけれど
角を曲がった所で私のそういった思う所は、一先ず何処かですっ飛んで行ってしまった。

「う"わえぁっ!?」

人の言葉に訳するならば「出たぁ!」とかそんな言葉がきっと似合う変な声もすっ飛んで。後追いするように私が尻餅を着く音が追う。
白い姿。すわ幽霊かと思ったから出た声だけど、生憎と派手にぶつかって尻餅を着いているのだから実体だ。
じゃあ何か、と思って見上げた所で、私は今度は声を上げず、けれども息を飲む事になった。

「……ぁー。ええと。」

獅南先生。
いつも渋顔をしていて、それ以外の表情を持たないのではないかと言われる魔術学の教師。
学生向けのSNSには血腥い流言飛語が飛び交う事著しい。当然、私も見聞きした事がある。

「ど、どうもこんにちは……あはは……。獅南先生も調べもの、ですか?」

ただ、彼は教師で、大人で、生徒を導く仕事をしているのだからそういったものは所詮噂なのだろうと思う。
だから先ずは立ち上がってから御挨拶を。序に、彼が持っている本の題字を覗き込もうともしよう。