2020/06/21 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」にセレネさんが現れました。
セレネ > 「~♪」

鼻歌交じりに辞書並みの分厚さを持つ魔術書を数冊抱え、読書をする為に席へと向かう。
己の元居た世界とは違う、別の魔法や魔術が載っているかもしれない。
そう思うとワクワクが止まらない。思わず綻ぶ顔。

比較的人が少なそうな席へ、椅子を引き本を置いて座れば早速と一冊手に持ち中身を読み始める。

セレネ > 読む姿勢は真剣そのもの。走る目線は早く、解読するのも特に難しくはない。
薄い頁を破らないよう、優しく捲るのとは裏腹に。早く次が読みたいと逸る気持ちを必死に押さえつけて。

「…成程、これはこういう…。」

頭の中はフル回転。己の知っている、または使用可能な魔法との違い、類似点、それを頭の中にあるメモ帳に記載していく。

ご案内:「図書館 閲覧室」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > 転移荒野が俄かに活性化しているとの情報が職員全体に周知された。
中規模の「門」が顕現する可能性も予見されるほどで、様々な怪異や災異、異邦人の出現に注意されたし、との事だった。
なので、今日は早めにデスクワークを切り上げる。

「──図書室異状なし、と。まあ真昼間っから怪異も何も起きねえわな。」

校舎内の見回りも兼ねてやってきた図書室。
他にも目的があったが、まずは安全確認という事でぐるりと室内を見回してから中へ。

「……お、随分熱心に読んでるなあ。」

そんな中、一人の少女の姿を見掛けた俺は、その姿勢に感嘆した。
今日び傍目に興奮が伝わるほど本を読み込む生徒ってのも珍しいな、と軽く声を掛ける。

セレネ > 「…はぇ?」

今誰か話しかけました?と、辺りを見回してみる。見えるのは己と同じく読書をしている生徒や、パソコンで何かを打ち込んでいる生徒、それに近くを漂っている浮遊霊達。

己を見る浮遊霊達は首を横に振り、指を指した方向を振り返ると其処には一人の男性。
…教師だろうか。己はまだこの世界に来たばかりだから教師の名前も顔も覚え切れていない。

「ぇ、と…こ、こんにちは…。」

今己に話しかけたのは彼だろうか。話しかけた内容は残念ながら耳をすり抜けていってしまったので、何を言っていたのか分からない。
困惑しながらもとりあえず挨拶をと、軽く会釈をして。

暁 名無 > 「よっす。悪い悪い、邪魔しちゃったか?
 随分と集中して読んでたみたいだな、その本。」

こちらに振り返り軽く会釈をする少女に小声で詫びる。
それよりも今、全く無関係の方を見てから俺の方を見た気がするが……はて?

「誰だろうこの人、って顔に出てるな。
 俺は暁 名無、幻想生物担当の先生をしてる。……その様子じゃ、この学校来たばかりか?」

だとしたら早いとこ学校の空気に慣れて貰えるよう努めるのも教師の仕事だな。

セレネ > 「あぁ、いえ。邪魔だなんて。
まだ三分の二くらいですが、なかなか面白いですね。自分にない知識を得られる事って、とっても楽しいのでついつい熱中してしまうんです。」

詫びを入れられれば、気にしていないと首を横に振る。

「す、すみません…!あの、その、気分を害してしまったなら、申し訳ないです…。
暁さん…ぁ、いや、先生ですね。」

慌てて謝罪をすると共、相手の名前と顔を記憶して。

「私は…セレネと言います。
ご明察、というより分かりやすいですよね。
先生の仰る通り、まだ来たばかりで…ぇと、慣れていなくて。」

言いながら少しずつしょんぼりと。

暁 名無 > 「へえ、その厚さを三分の二も。
 なるほど、中々に知識探究心が旺盛なんだな」

少女──セレネの手元の本をチラ見し、俺は目を瞠る。
ちょっとした辞書くらいの厚さの本を、ああも熱中して読める生徒も中々いない気がするぞ。
理由を聞けば納得のもので、よほど新しい知識を得るのが好きらしい。

「おっと、別に気分なんか害されちゃいねえさ。
 この時期、新入りの生徒は大体同じような顔するもんだ。こちとらもう何年もこの学校に居るんでね。」

一応入学手続き完了時に諸々の説明や学校案内が配られてるはずで、そこに大体名前が顔写真付きで載ってるはずなんだが。
中々どうして目を通す生徒が少ない実態。だからこうして声を掛けたりしてるんだけれども。

「ああ、もう全身から新参者っぽさが滲み出てるもんな。言わなくても分かるさ。
 けど、誰でも最初ってのはそんなもんさ。ゆっくり慣れてけばいい。
 制服だって最初はごわごわだけど、いずれしっくりくるようになるしな。
 ……セレネのところには、まだ届いてなさそうだけど。」

見るからに私服といった出で立ちを見て、俺は微笑んでみせる。
制服はどうしても時間がかかるから、仕方ない仕方ない。

セレネ > 「本は知識の宝庫です。だから、私にとっては図書館は宝の山のようなものなんです。知識が増えれば、その分選べる選択肢も増えるじゃないですか。」

この時はどういった対応がベストなのか。
こうなった場合はどうすれば衝突が起きず物事を進められるのか。
常に一手二手、三手先まで読んで己の中の正しい対応を求める完璧主義。
だからこそ、その為に知識が欲しい。

相手の行動を観察すると、眼鏡の奥で瞠る目。
そんなに不思議な事なのだろうかなんて内心首を傾げるも

「そう、でしたか。
それならば良かったです。…先生はどれくらいこの学校に勤めていらっしゃるのです?」

帰ったらもう一度、教員の欄を読まなければなと思いつつ。
ふと気になったことを問いかけて。

「有難う御座います。
…あぁ、制服は…そうですね。まだ届いていません。」

届いても着慣れるまでは、少し時間がかかるかもしれないが。
笑む顔に己は苦笑を浮かべる。私服だから猶更浮くのか。

暁 名無 > 「そうだな、セレネの言う事も尤もだ。
 書物は先人の知見を書き残した、いわば経験が形を成した物。それを有効活用するのは道理だ。」

ふんふん、とセレネの言葉に俺は頷く。
だけどもだ、知識だけを得るのと実体験を伴うのとはまた違ってくる。
いずれその事を教える事もあるかもしれないし、別の誰かから教わるのかもしれない。だから今は黙ってようっと。

「んーとな……5~6年くらい?いやもうちょい少ないか?
 先生って仕事はな、生徒が思う以上に年月が分かんなくなるんだよなあ。去年やったことなのか今年やった事なのかとかもうごっちゃよごっちゃ。」

はっはっは、と笑って誤魔化す。今年で何年目だったかしっかり確認しとこうっと。

「まあ、この学校じゃ制服着用は義務ではないんだけども。
 場所に応じた格好ってのは、まあ多少なりと意識しないとな。」

悪いと言ってる訳じゃないんだけれども。
人によっては制服姿の方が奇抜な事になってる生徒も居るんだけど。
ただまあそれでも少し開放的過ぎるかな、と俺はセレネのワンピース姿を見て思うのだった。

セレネ > 「勉強も、それと変わらないと思うんですよね。
人によってはこの勉強は今後役に立たないって事もあるでしょうけど…。
でも、その知識は何処かで必要になる時ってあると思うんです。その時に後悔するより、色々と学んで自分の糧にした方が有意義だと思って…あ、すみません、ちょっと喋り過ぎですね…。」

回る思考と口にブレーキをかける。
相手が気さくで話しやすい雰囲気だからだろうか。
片手で口を覆ってはしゅんとしょげ。

「…へぇ、そうですか。いずれにせよそれなりに長くお勤めになられている訳ですね。」

あ、今誤魔化したな。
なんて指摘はしないけれど。

「…確かにそうですね。
制服かぁ…似合うかなぁ…。」

何せそんな服は着た事がない。
少しの期待と、大きな不安が入り混じった表情を。

暁 名無 > 「いやいや、随分としっかりしてるなセレネは。
 自分の考えをハッキリ持つのは大事さ。でもまあ、場所は意識しような。」

ここは図書室、あまり話し声を響かせていい場所ではない。
まあ、人の数も少ないし、換気の為に窓も開けているから、思うほど響きはしないのだろうけど。

「ン、まあ俺より長いこと先生やってる人も多いけどな。
 専門はさっきも言ったけど幻想生物学、ドラゴンやカーバンクル、あとは植物に関しても少し教えてるから、興味があれば今度来ると良い。
 セレネみたいな可愛い子には特別にお茶菓子も付けよう。」

こほん、と咳払いをしてからウインクなどしつつ。

「大丈夫大丈夫、背も高いしスタイルも良い。
 少し大人びた雰囲気とのギャップが最初はあるだろうが、似合わないってことはまずないと思うぞ。」

不安の方が大きそうなセレネの顔を見て冗談交じりに励まし(?)てみたり。
流石にセクハラには当たらないよな?大丈夫だよなコンプライアンス。

セレネ > 「あぅ…すみません…。」

諫められれば流石に話過ぎたかと、身体を小さくして委縮。
昔からの悪い癖だと自覚はしているが意識が足りなかったか。

「生き物や植物も、個々の世界によって姿形も様々だと聞きました。
時間が出来たら伺いますね。…伺う先は、職員寮で良いんでしょうか。」

場所ははっきりさせておいた方が良いかもしれないと、不安そうに尋ねて。

そして、容姿について褒められれば途端に顔を赤くして

「か、可愛いなんてそんな!!
ほ、ほ、他にも可愛かったり綺麗な人は沢山おりますし、私なんて足元にも及ばないかと…!」

胸の前で両手を振り、照れる仕草。
全然そんな事ないですよ!と必死にアピール。

暁 名無 > 「ん、そうやってすぐに反省が出来るなら何も問題は無い。
 次から気を付ければ良いんだからな。その為に学校があるんだ。」

よしよし、と頭を撫でる──なんてことは気安くやっちゃダメですよ、と釘を刺されているのでしないけども。
少しばかり萎縮してしまったのはどうしたものか。ふむ。

「うん、本当に多種多様だとも。
 それに、他の世界の動植物も流れ込んでくるから、ある種独特な環境が出来上がってる。
 あー、いや、俺の研究室だな。校舎の見取り図にもちゃんと書いてあるから、そっちに来てくれ。
 俺は寮暮らしじゃないし、流石に女生徒を家に招くような事は……な?」

幾らなんでも怒られるやつだよな、それ。何もしないとしても、だ。
真面目な子かと思えばちょっと抜けてる所もあり、面白い子だなあと俺はセレネを眺めつつ思う。

「はっは、謙遜されるな。
 他の子は他の子、セレネはセレネ。
 他の子も可愛いし綺麗だけど、君が可愛いことには何の関係も無いんだぜ?」

そしてからかい甲斐もあるときたか。いや可愛いのは本音だけど。
懸命に否定するセレネの口元に、そっと指を伸ばし。

「それに、図書室では静かに、な?」

ここらでもう一度ウインクしつつ、唇に触れるか触れないかの辺りで指を止めよう

セレネ > 「…はい。」

しょんぼりする様は、飼い主に怒られた白猫のよう。
仮に頭を撫でられればそれはそれで照れが加速するだけなのだけど。

「生態系が崩れたりしないのでしょうか。外来種って、そういう点で駆除される事が多いですし。
……ぁ、そっか。それもそうですね。
って、先生は寮暮らしではないのですね?遠いでしょうに。」

何かされるなら全力で抵抗するつもりだけれど、力量差が分からないから恐ろしい。
うっかりしていたと、相手の発言で気付き。
そして意外にも、寮ではない場所から来ているらしい相手に首を傾げて。

「ぅ…!!」

この人、誑しだ!!
差し出された指、それにより溢れ出しそうな言葉を塞き止められ。
きゅ、と唇を引き結ぶと何かを訴えるよう、若干涙目の目が相手を見つめた。
耳まで赤くなる顔のまま。

暁 名無 > 変に慰め過ぎるのも良くないし、まあ反省はしているだろうから言及しないでおくか。
と、結論を出した俺はしょんぼりしたセレネに微笑みかけるだけに留める

「ああ、崩れるぞー、生態系。下手すると一年で百年分変わったりもする。
 だから……そりゃあもう忙しいオブ忙しいんだけど、生徒を歓迎できない程じゃあないからな。いつでも気軽に学びにも遊びにもおいで。
 うん、寮じゃないんだー。異邦人街側にアパート借りててさ。」

通勤は多少面倒なところもあるが、それでもまだ楽な方。
そもそも家に帰れない事も多々あるし……うん……。
流石にその辺の事情は伏せておくけれども。

「はっはっは、これくらいで照れなさんな。
 さて、と。そろそろ俺は一度仕事に戻ろうかね。
 じゃあな、セレネ。引き続き読書を楽しみな。」

満足満足。
こうして女子生徒と触れ合ってないとなんだか日々が無味乾燥に思えるから困ったもんだ。
そうして俺は真っ赤なセレネに軽く手を振ると、図書室を出ようと歩き出すのだった。

ご案内:「図書館 閲覧室」から暁 名無さんが去りました。
セレネ > 微笑まれるのみの間、いつまでもしょげてはいけないと少しずつ元に戻していって。

「大変なのですね。お疲れ様です。私で良ければ、お話とか色々聞きますので。
異邦人街…そうなのですね。」

己のような異世界から来た人々が多く住むという一画か。
色々と大変そうだと、シンプルな感想を抱きながら。

「…これは、性格なので仕方ないです…!」

赤い顔を何とか元に戻そうと必死。
そして仕事に戻るらしい相手へ

「お話、有難う御座いました。お仕事頑張って下さいね。」

手を振る相手に己は会釈をして、読みかけの本へと向き直る。
調子を崩されてばかりだったが、楽しい会話だった。

気を取り直して読書をしようとすぐさまスイッチを切り替えて一人、また没頭し――。

ご案内:「図書館 閲覧室」からセレネさんが去りました。
ご案内:「図書館 休憩室」に彩紀 心湊さんが現れました。
彩紀 心湊 > 「ふぅ……。」

もうじき図書館が閉じるかという時間。ぽふん、と休憩室のソファーに腰を降ろす。
いつもはこんな時間になる前に寮に戻る彼女ではあるが、読み漁っておきたい資料や新聞があったのもあり授業のない時間の殆どをここで過ごしていた。

「…今日の、ご飯……。」

何にしようと考える。食堂で食べるにしても、一人であの場所で黙々と食べるというのは中々寂しいものがある。
コンビニでも寄ってしまおうかと考えながら、天井を見上げた。

彩紀 心湊 > 彩紀心湊という女がわざわざこんな時間まで残って、本ではなく資料や新聞を読み漁っていたのは理由があった。
それは、祭祀局への所属が決まったということ。
それにあたっての業務…いわゆる、各委員からの諮問に応じるという役割があったりするのだが…そんな事をいきなりやれと言われてもさっぱりわからないと、前例を調べるために新聞を漁っていたのである。

「…しかしまあ…詠さんも、大変な仕事をしている…。」

調べれば調べるほど、「神性」だとか「怪異」だとかに関わる案件であるなら出動の可能性が存在し、それに対応した知識が求められる。
広く浅い彼女は、相応に学ぶ必要があった。

彩紀 心湊 > 「…しかし、真面目に調べたことなかったけど…風紀と公安の所属ってこんなに多かったんだ…。
この広い島をカバーするのなら当然といえば当然だけど…。」

詳しい個人情報こそ、委員会街に行かなければ分からないが…そんなことより、今まであった怪異だとかの案件対応についてが一番知りたい情報なわけで。

「……委員会街ねぇ…。」

行きづらい。
今まで用もない場所だったのだから無理もない。
しかも、資料を漁りに行くだけときた。もう一つくらい何気ない感じの用事が欲しい。
挨拶と言っても、大抵の人はこの学校に所属しているわけで…。
なにか、良い策がないかとぼんやりと思考を巡らせる。

ご案内:「図書館 休憩室」に月神 詠さんが現れました。
月神 詠 > 「失礼いたします」

休憩室の扉が開き、入ってきたのは一人の女生徒。
きょろきょろと室内を見回し、ソファに腰掛けた友人の姿を認めると、ぱぁと表情を綻ばせて歩み寄ってくる。

「あっ……心湊さん、やはり此方にいらしたのですね」

手には学生鞄、背中には部活で使う和弓の入った袋を提げた部活帰りと思しき格好。
口ぶりからしてあなたを探していたようだ。

彩紀 心湊 > 「…?!…詠さん…?」

急な友人の来訪に思わずだらんとしていた背筋は勢いよく伸びる。
こんな時間に誰も来るはずがないという思い込みを粉砕された形だ。

「…ええと…?なにか、用事だった…?」

連絡先は交換していたはずだし、わざわざ探しにくるとは何事なのだろうと目を瞬かせた。

月神 詠 > 「いえ、特に用があるというわけではないのですが……
 図書委員の方から、心湊さんがまだ館内にいるというお話を偶々伺ったものでして」

何用か、と問われれば気恥ずかしそうに苦笑する。
連絡を寄越さなかったのは、用も無いのに呼びつけることに抵抗感があったからだ。

「立ち寄るならば序でに、と閉館作業も任されてしまいました。
 今はもう、私(わたくし)と心湊さんしか館内にはおりませんよ」

そう言って鞄から鍵束を取り出して見せた。
委員会活動を始め、率先して物事を引き受ける彼女は他生徒からの信頼も厚い。

彩紀 心湊 > 「…と、もうそんな時間…?
…あっという間ね…。」

時間があるのなら、もう少し新聞でも漁っていようかと思っていたのだがと頰を掻いて…改めて友人の方へと向き直る。

「そういうことなら手伝うわ。
大方、窓とか扉の施錠と軽い掃除でしょうし。」

そういったことも頼まれるのだな…と感心したように貴女を見つめる。
しかして、本来やるべきでもない雑用を押し付けたとも言えるわけで。

「…ふむ…今日は、送るわ。
わざわざこうして会いに来てくれたのだし、ね?」

月神 詠 > 「いえ、そんな……お休み中だったのではありませんか?」

だらんとしていた様子もばっちり見えていたらしい。
私がやりますから、休んでいていただいても大丈夫ですよと遠慮気味に。
とはいえ強引さはなく、それでもやると言われれば素直にお願いするのだが。

「私としては、むしろ心湊さんの帰りを心配していたのですが……
 そういう事でしたら、手早く済ませて一緒に帰宅いたしましょう」

誰かと一緒に帰るというのも、詠にとっては貴重な体験。
心なしか、わくわくした様子で閉館作業に取り掛かるだろう。

彩紀 心湊 > 「……見てたの。」

手のひらで口元を隠せば、やや顔ごと視線をそらす。
あまり、だらしないところは見せたくはなかったのだろう。
やや気恥ずかしげにゴホン…と気を取り直して。

「私は、いいわよ。
流石にこの時間から治安の悪い場所に行く気なんてないし。
でもまあ…貴女と一緒に帰るのなら安心ね。」

よいしょと、腰を上げれば貴女の後ろをついていく。
こころなしか楽しげな様子な彼女を見て、微笑ましげに見つめていた。

月神 詠 > まず二人で手分けして、休憩室や書架スペースの簡単な掃き掃除を行う。
図書委員がサボり魔でなければ毎日行われている事なので、あまり手間はかからないだろう。
通りがけに窓が施錠されているかどうかも確かめていく。

「それはもう、我が家のような寛ぎようでございましたね。
 このような時間まで、何をお調べになっていらしたのですか?」

実際に見えたのはほんの一瞬だったのだが、くすくすと揶揄うように笑いながら問うた。
以前さんざん弄られたことへの意趣返しだろうか。

彩紀 心湊 > 「…私だって、気を抜くことくらいあるわ。」

やや気まずげに、話題をそらしたそうに彼女をちらりと見て。

「……仕事について。
これから、貴女の手伝いやらしないといけないでしょう…?だから、神性だとか怪異について調べれる範囲を調べてたのよ。」

カチャンと最後の窓を締めるとそちらを向き直って。
始めたばかりの努力であるが、それでも、彼女ほどの信頼を勝ち取るにはまだほど遠い。

月神 詠 > 「まあ……ふふっ。心湊さんは努力家でいらっしゃいますね」

祭祀局にまつわる調べ事と聞けば嬉しそうに微笑む。
自分とて天賦の才があったわけではなく、相応の努力を経て今の地位を得た。
心湊の影の努力も、気を抜いたところを見られたくない気持ちも、人並み以上には分かるつもりだ。
だからこそ───友人として、支えてあげるべきだと思う。

「私にお手伝いできる事があれば、遠慮なく頼ってください。
 書物だけでは分からない生の体験もお話しできますし……何より、貴女のお友達なのですから」

集めたごみを塵取りに入れながら、ふわりと笑顔を見せた。

彩紀 心湊 > 「…そういうところ、貴女の素敵なところよね。」

思ったことを、口に出した。
きっと、そうやって頑張る人には彼女は同じだけの労いと感謝の心を差し出すのだろう。
それは、きっと自分には出来ないことだ。それが分かっているからこそ、この隣人はとてもまぶしく思える。

「そういうことなら、ゆっくり話でも聞かせてもらおうかしら。
貴女の時間を独り占めしているようで、少々申し訳ないけれど…。」

そんな笑顔に、やや自嘲気味な言葉とともにそう応えた。

月神 詠 > 「友人として当然のことを言ったまででございます」

照れることもなく、微笑みで返した。
ごみ捨てを終えたら用具を片付け、残すところは出入り口の施錠のみ。
二人がかりで進めた甲斐もあり、窓から見える初夏の空はまだ少しだけ明るい。

「ふぅ……お疲れ様でした。
 それでは、詳しいお話は帰路の最中にいたしましょう。
 友人なのですから、この後も存分に私を独占していただいてよろしいのですよ?」

あなたの言に合わせてのことだが、どことなく色気を感じる言い回しになってしまった。
本人に自覚は無いらしく、一緒に帰れることを楽しそうにしている。

彩紀 心湊 > 「どうも…耐性でもつけられちゃったかしら。

ええ、お疲れ様。わざわざありがとうね。」

素で思ったことではあったが、あわよくば動揺してくれれば美味しいななどと言った跡で思ったのは言うまでもない。
この女はそういうタチらしい。しかし…最後の一文を聞けば、少々足が早まる。

「……それ、他の人には言うべきではないわ?」

そう、言葉を漏らすと同時に、ふわりと…後ろからその背を抱きしめた。
よく…ギャルと呼ばれる者たちが気さくに行っている程度の、距離は近いがノリは軽いだけのコミュニケーション。
…のはずなのだが、どうにも、ほんの少し心のなかで渦巻くこの黒い感情は「軽く」とは言わせてくれないらしい。

月神 詠 > 「不意を打たれなければ、このくら……い……?」

ふふんと得意げにしていたが、抱きしめられたのはまさに不意の出来事で。
突然のことに足を止めて目を白黒させている。

「み、心湊さん? どうかなさいましたか?」

程よく引き締まり、程よく肉感のある肢体は優しくあなたを受け止めるだろう。
部活で汗を流した後なので、制汗スプレーの爽やかな香りを纏っている。

彩紀 心湊 > 「…ふ。」

人を抱きしめたりしたことなど何時ぶりだろう。
いや、自分からそうしたのは初めてか?
思わず、自分のした行いがあまりにもらしくなさすぎて笑みが溢れる。

「…いえ、独占してあげようかなー、なんて。思っただけよ。
折角、可愛い友人にお誘いいただいたのだし、ね?」

抱きしめたまま、耳元でささやく。
別にやましい気持ちがあるわけではないのだが、抱きしめた彼女の触感はなんとも柔らかかった。

月神 詠 > 「そ、そういう意味ではなかったのですが……ひゃんっ」

耳を擽る囁き声に身動ぎをして、戸惑いと照れの混じった声を上げたが、不思議と悪い気はしなかった。
なにせ他人と触れ合う機会に乏しかったものだから、こういうのも一種のコミュニケーションだと思っている。

放課後、他に誰もいない図書館。
考えようによっては妙にドキドキしてしまう状況かもしれない。

彩紀 心湊 > 「——————。」

ゾクリ。と、そんなどこか背徳的な感情が心を揺さぶる。
悪いものに憑かれたような、それでいて抑えきれない好奇心に似た激しい衝動。
こんな感覚は、初めてだ。
嗚呼、抑えないといけない。このぬくもりも、どこか離すのを名残惜しく感じるが。

「…冗談よ。分かってるわ…貴女も、立派な女の子、だしね。」

クスリと笑えば、置き土産と言わんばかりに優しい吐息を耳へと吹いて…ゆっくりと離れた。

「でも、独占だなんてー。殿方に言ってしまえばその気にさせてしまうかもしれないわよ?」

なんて、冗談めかしたような口調で告げる。

月神 詠 > 殺気や男性からの好奇の視線には敏い詠だが、それ以外にはとんと疎い。
あなたの内に燻る感情など知る由もなく、耳にかかる息に肩を震わせる。

「私とて由緒ある月神の人間です。
 殿方に気を持たせるような物言いには気を付けておりますよ」

ここまで気を許しているのは、あなたが初めての友人だからというのもある。
しかし、やはり同性だからというのも大きな要素の一つであるようだ。
あなたが離れれば、小さく息を整える。なんだか妙に心拍数が上がっていた。

彩紀 心湊 > 「良かった。」

そう、短く告げて微笑む。
それはシンプルに心配だけを含んだ言葉だったのか…それは自分でも良くはわからない。
けれど、少なくともそれほど無防備ではないと本人から聞けたのは安堵するに値する材料だった。

「引き止めちゃったわ…。
それじゃあ、今度こそ帰りましょう?
ふふ、こうして一緒に誰かと帰るのは何時ぶりかしら。」

切り替えたように、楽しげに先の道をゆく。

月神 詠 > 「ええ、そういたしましょう。私も普段は一人ですので、新鮮です」

すぐさま息を整えて、あなたの後を追う。
既に先程までの不思議な緊張感は霧散していた。

「そういえば、心湊さんは夕食などは如何されるのでしょうか?」

ちょうどご飯時。
いつもなら商店街で買い出しをして、自炊をするのが詠の常だ。

彩紀 心湊 > 「貴方も一人なの…?…部活がある時くらいは適当に本でも読んで時間を潰しているから…帰るときくらい連絡をよこしなさいな。」

意外。
まさか、彼女に友達らしい友達が他にも居ないことなどまだ夢にも思っていなかった故であった。

「…ん、この時間から作るのは面倒だし…コンビニで買って済ませようかと思っていたけれど…。」

彼女を送った後にでも、コンビニによって適当な弁当でも買って適当な場所で食べようかと考えていた女学生だ。
もとより、出来ないことはないのだが、作る時間もだいたい本を読むことに費やしていたり、寮暮らしなのも合わさり大体はそういったスタイルに収まっていた。