2020/07/10 のログ
■藤巳陽菜 > 「その誘惑に負けないためにこんなところまできて勉強してるのよ…。」
誘惑が(あまり)ない場所ならば!誘惑に負けることなどない!!
勉強にも集中できる。
「…まだ、まだ時間はあるから。」
残り24時間をとっくに切っているがそれでもあがく時間は残されている。
その時間も今こうして削れているわけだけど。
「…そうねそういう感じよ。まあ、生まれついてのモノじゃないんだけど。」
後天的に課せられた異能。悪質な呪いみたいなもの。
■レナード > 「………。」
生まれつきのものではない。そう聞いて、少し言葉が詰まる。
つまり、彼女は元々下半身も人間だったというわけで。
「…あー………まあ、好きでやってるんじゃあないと思って、いいわけ?」
彼女に向ける言葉を、かなり選んで話している。
彼女の意図したものだったかどうか…それはきっと、生まれついたものであっても望んだものではない自分の状況と、通じるものがあるのかどうか。
そういった断片を探るために。
■藤巳陽菜 > 「…誰が好きでこんな不便な姿。」
人が暮らしていくために作られた場所ではあまりにこの姿は不便すぎる。
「朝起きたらこうなってて私の人生はもう、めちゃくちゃ。」
不機嫌そうにため息をつく。
心底嫌なのだ、この姿が。
3年経っても未だに認めていない。
■レナード > 「……そっか。」
蛇に狂わされたというところでは、きっと同じ。
その言葉には、そこはかとない憐れみが籠っていたかもしれない。
「僕の場合は、生まれつき。でも、僕はそんなの、望んでなかったわけ。
……望んでもないのに、自分の進む方向を無理矢理決められてるみたいで、心底腹が立ってるし。」
自分の異能について、彼女にはまだ語ってはいない。
ただ、それに対して憤っている…自分と同じことを考える相手が居て、少し話したい気分になった。
■藤巳陽菜 > 「…よくわからないけど、あなたも何か持ってるのね…。」
一見したところで自分やあの先輩のような特徴はないが…。
何かを持ってるのだろう。
生き方を削る呪いのような何かを。
「…何とかなるといいわね。お互いに。」
何とかできるといい。ではなくて何とかなるといい。
無意識に自らの力ではどうしようもないという諦めがにじんでいる。
■レナード > 「…僕の場合は、外に出にくいから。」
それこそ、血の味でも見られなければ。
「僕の身体には、ある蛇の血が混じって流れてる。
…そのせいで、子孫を残すまで、この身体は歳を取ることを止めたわけ。
おかげで僕は、もう何十年もこのまんまだし。」
ソファに座りながら、天井を仰ぐように自分のことを話してみる。
もう何十年も、と付け加えながら。
辺りには漏れないような、小声でこそあったものの。
「……でも、僕は諦めない。自分の力で何とかするって決めてるし。」
■藤巳陽菜 > 「何十年!?えっ?もしかしてあなた見た目より大分おじいちゃんだったりする?」
見た目も喋った感じもだいぶ中学生だったのだけど…。
人は見た目によらない…人は見た目によらないなあ…。
「えー…その見た目で子孫残すのって…なんていうか…えー…。」
陽菜は人を見た目で判断するタイプである。
こんな境遇に陥った今であってもそれは変わらない。
「…でも…その…結婚して子供出来たら呪いとけるのよね?
そんなに長いこと悩んでるならそっちの解決法でもいいと思うんだけど…。」
もし、陽菜が同じ条件でこの異能が解けるとするなら…するなら…。
…ちょっと今はどうするかは分からないけど…何十年も不便な暮らしをするぐらいならって思ってしまうかもしれない。
■レナード > 「…まあ、歳なんて、いつしか忘れちゃうものだし。」
遠い目になった。
おじいちゃんと言われるとかなり凹むものがあるらしい。
でも中身はずーっと子供のままなのだから、世の中は残酷だ。
「端的に言えば、そうだし。
……でも、それだと僕と同じ苦しみを、子孫に残すことになる。
そんなのは、嫌だ。」
ちょっと真面目な顔になった。
何十年も同じことで悩んでいるし、心が折れそうになったことも幾度もあったけれども、
それでも今の気持ちになんら変わりはなかった。
「……それに、
僕がそれに屈したら、まるで負けを認めたみたいじゃん。
そんなのぜってーやだし、誰が認めるかし。
僕は僕の生きたいように生きるわけ。邪魔する奴はぶっ飛ばすし。」
多分、こっちが本音。
■藤巳陽菜 > 「だ、大丈夫よ。話してて完全に小学生と思ったもの!」
やはり年齢は気になるのだろう。
若い感性をしてると思うとしっかりフォローした。
「子供に移っちゃうのか…それは嫌ね。」
異能とかと関わることなく普通の暮らしをして欲しい陽菜が親ならそう考える。
「…それで何十年も呪われたまま生きてるの?
はあ…本当に心が強いわね。」
そのメンタルを維持したまま手がかりのないまま数十年。
楽に確実に呪いが解ける道があるにも関わらず。
きっと陽菜には真似できない。
「…おっと、そろそろ勉強しないとね。おじいちゃんも一緒にやる?」
…今の現実を見ないように分からない未来の事を考えよう。
突然足が蛇になったあの時と同じように不思議なことが起こってもとに戻ったそんな未来の事を。
■レナード > 「お、おめーそれはそれでどうかと思うし!!
もっとこう……高校生とか、近い感じで年上を選べしーっ!!」
ふかーっ、感情を露わにそんな要望を。
きっと湿っぽい雰囲気が嫌だから、というのもあるのだろうけども。
「……心なんて、既に死んでるのかもしれないけど、さ。
正直、本当に何とか出来たとして……その先が、見えないから……」
自分の特殊能力に纏わる呪いを解いたとき、自分の周りには誰がいるだろうか。
進み始めた時を、一緒に進んでくれる人は隣にいるのだろうか。
…そもそも本当に、この呪いは解けるのか……
意地と反抗心だけで最初は乗り切って来たけど、ここまで来たら…それはもう、妄執と言えるものなのかもしれない。
「……、……やる…
それと、僕はおじいちゃんじゃねーし。
レナードっていうちゃんとした名前があるし、こむすめ。」
おじいちゃんと言われたから、こむすめと呼んでみる。
見た目的には、彼女の方が上なのだけど。
■藤巳陽菜 > 「じゃあ中学生にしておくわ。」
学年的には1~2学年上がってる。
高学年から!1年生に!
「じゃあ、まず呪いが解けたらやりたいことの方から考えていったらいいんじゃない?
私はもうノート4冊分くらいはあると思うわ。」
希望なく意地で前に進む者と希望に縋り付いて倒れないだけの者。
どちらも健全な状態であるとは言えない。
「…レナードさん、…なんかしっくりこないわね。レナード君…レナードおじいちゃん…うん。どっちがいい?
…私も小娘じゃないわよ。藤巳陽菜って名前。」
■レナード > 「あんまり変わんねーし!!!
3年とか…大学?生にしろしー!!」
無茶な要望である。
それが通れば見た目だけは明らかに飛び級してる天才になってしまう。
「えっ、おめーそんなに溜めてるわけ?
おめーの人生課題たっぷりだし。そんなんじゃおちおち死んでられねーし?」
かたや輝かしい未来を夢見るものと、過去に囚われ未来が視えなくなったもの。
形こそ違えど、そうして歪んだもの同士だからか、話は弾む。
「レナードおじいちゃんって……普通に君付けでいーし。
……んー、じゃあ……藤巳って呼べば、いーわけ?」
■藤巳陽菜 > 「えーじゃあ100歩譲って高校生くらい?」
そこまで譲ってやっと同級生くらい。
そのくらいの高校生はまあいる。
「貯めるだけならタダだし、たまに見返すとちょっと元気になるわよ。」
ちょっと疲れてるときくらいに見ると回復する。
ただし駄目な精神状態のときに見るとノート破ったりしちゃうのでよくない。
「大丈夫、藤巳でいいわ。」
じゃあ早速と空いてる席へと向かいそのまま二人で勉強を始めるだろう。
…無事にためになる勉強ができたのかは成績を見てからのお楽しみだ。
ご案内:「図書館 閲覧室」から藤巳陽菜さんが去りました。
■レナード > 「……まあ、それなら……」
実際、それくらいの年齢だったはず…だから。
ちょっと自信ないけど、このくらいで妥協することにした。
「…まあ、誰かの頼まれごとでもねーわけだし……
将来したいことノートかあ……
ちょっと、考えてみようかな……」
割と真面目に、自分が何をしたいのか。あんまり考えたことがなかった。
自分の力で終わらせた、その後を。
…いい機会だから、本当にその先について考えてみようかな。なんて、思ったりして。
「……じゃあ、藤巳。
おめーの頭脳が頼りだし、僕じゃわかんないとこ…結構あるし…」
そうして二人、勉強をしに空いた席へと向かうのだった。
学年は幸いこちらの方が下である。教われることは多いだろうが…
それが実ったかどうかは、後々のお楽しみとなろう。
ご案内:「図書館 閲覧室」からレナードさんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」に日下部 理沙さんが現れました。
■日下部 理沙 >
「はぁ……」
研究生、日下部理沙は大きな溜息を吐きながら、大きな翼を引っ込めて本を読んでいた。
ぶつぶつと何やら呟きながら。
「■■■■……いや、■■■?
は、発音全然わかんない……っていうか、合ってるのかこれ?」
読んでいる本は……異邦人の使う異界の言語の教本だった。
いくつか単語を目につけては、発音記号を頼りに口ずさんでみるが……何せネイティブがいないので合ってるのか間違ってるかもわからない。
独学の限界であった。
■日下部 理沙 >
「……どうにかならないかな」
どうにかする方法は、実際ないでもない。
翻訳魔術を使えばいい。理沙の言葉を向こうの言語に翻訳すればいいのだ。
しかし、理沙は出来ればそれはしたくなかった。
「……自分で覚えないと、結局『他人の解釈』だからなぁ……」
そう、翻訳魔術の問題はそこにある。
吹き替えや字幕の映画がそうであるように、翻訳はかなり翻訳家の癖や趣味が介在してしまう。
規制上の問題もある。
例えば、洋画の吹き替えで「クソったれ」などの単語が頻出するのは「汚らしい言葉をまとめてそれ」に翻訳してしまっているからだ。
それでは、細かいニュアンスは伝わらない。
一対一の話し合いにおいては……それは致命的だ。
「翻訳魔術も結構癖あるって聞くしなぁ……」
実際、異邦人の使う言葉遣いがヤケに大仰だったりするのはそのせいだ。
本当はもっと違う言葉かもしれないものが、「当たり障りがなくて概ね伝わる言葉」に変換されているのである。
実生活でも多少なりそれで難が出ているところはあると理沙は思っている。
難が出ていることを確認する術が少ないだけで。
「……とりあえず、続けるか」
また、単語を拾う作業に戻る。
結局、続けるしかない。
合ってるか合ってないかもわからなくても……他に術はない。
■日下部 理沙 >
淡々と、言葉にしていく。
淡々と、知識にしていく。
どちらにもなっていないかもしれない。
成果を確認する術は今のところない。
異邦人の言語も多種多様なのだ、方言だって当然ある。
挙句、それらに関する資料は……余りに少ない。
恐らく、どれもこれも誰かの主観が多分に混じったものだろう。
それを第三者視点で俯瞰できるほどの数がまだないのだ。
当然だ、下手すれば常世島で数十人……いや、数人しか使っていない言葉かもしれないのだから。
「……こうして、言葉は失われていくのだろうか」
言葉に限らない事はわかっている。
使われない文化は消える定めにある。
継承されないものは何もかも……いつかは消える。
継承される中でも、意味を変えていく。
手紙がそうであるように。
今使われている手紙は……電信が存在する以上、かつて使われていたそれとは違う。
文通も大仰な『文化』になってしまった。
『特別で格式のある物』となってしまった。
もう、『気軽にどうでもいい事と用件だけをしたためた手紙』なんてものは……ほとんど存在していない。
結局、それが……答えだ。
「……はぁ」
一人、理沙はまた大きく溜息を吐いた。
■日下部 理沙 >
そも、骨格が違うのだから、正確な発音も本来恐らく不可能なのだろう。
ハーピー種などの言語は生物学的に人間では発音不能だ。
高音域過ぎるのだ。鳥類に髄する彼等と同じ言葉を使う事はできない。
むしろ、まだいくらか使える単語が被っているだけマシだ。
クジラやシャチなどの海獣などは文字通りの高周波で意思疎通を図っている。
そんなもの、生身では欠片も真似できなくて当然だ。
それに比べれば……まだ、発音記号が山ほど載っていて、各々の単語の意味が簡単ながら記載されているだけ、この教本は理沙にとってはとてもありがたいものだった。
これをまとめるだけだって……何処かの誰かがとんでもない労力を支払ったに違いないのだから。
「……少なくとも、俺一人じゃ絶対無理だな」
想像するだけでも、途方に暮れる。
英語は勿論、母国語ですら覚束無い理沙からすれば、それこそ凄まじい偉業である。
■日下部 理沙 >
それでも……やらなければいけない。
少しでもいい、知らなければいけない。
それが出来なければ……最低限の会話すら不可能だ。
意志疎通が出来ないのだ。
それでどうして……相手を理解することができるだろうか。
相手の意図を慮ることができるだろうか。
言葉を越えたコミュニケーションはきっと存在する。
それは理沙にもわかる、相手との関係次第では……ボディランゲージは容易に口から出る言葉を超越する。
しかし、だからといって……そこにある言葉を軽んじる理由にはならない。
例え、同じ言葉でも意図が通じなかったとしても。
例え、簡単な齟齬で致命的な仲違いをしたとしても。
……それでも、言葉の力を理沙は信じている。
なけなしの信奉とも、言えるかもしれない。
理沙の知見が狭すぎるだけかもしれない。
それでも……理沙が理沙である以上、今はこの狭い知見に頼る他、術はなかった。
■日下部 理沙 >
「……」
流石に辛くなって、眼鏡を外して、目頭を指の腹で揉み始める。
進捗は全く捗々しくない。
それでも、目疲れは目疲れなのでやっぱりどうしようもない。
最近、露骨に視力が下がっているせいもある。
眼鏡の『度』も一年前より強くなっている。
「ええ、翼生えてるのに鳥みたいに見えなんですかぁ??」とか後輩に弄られたこともある。
見えねぇよ、鳥じゃねぇんだから。
「……そも、人並みですらないけど」
眉間に皺が寄る事が増えて、やっとわかったことが一つある。
彼等は皆が皆、好きで眉間に皺を寄せてるわけじゃない。
そうしないと見えない人もいるのだ。今の理沙のように。
経験は宝だと思う。
でも、欲を言えば……無縁で居たい経験だった。
もう、何もかも手遅れだが。
■日下部 理沙 >
「……これくらいにしとくか」
閉館時間も近づいている。
眼鏡を掛けなおし、持ち出し禁止の書籍だけ棚に戻し、借りられる書籍を一冊だけ持ってカウンターに向かう。
この本も、何度読んだかわからない。
何度も最後まで読んだ、何度も最後まで単語を拾った。
それでも。
「……全然、届かない」
異邦は……遠かった。
ご案内:「図書館 閲覧室」から日下部 理沙さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 「…この時間でもちょっと混んでるか。」
晩御飯も終え本でも読もうと思いやってきたまでは良いのだけど。
夜でも普段より人が多い図書館に苦笑い。
それはその筈、己はつい最近になって編入してきたから時期はズレるが、
一般ならば試験の時期だから。
皆思い思いの勉強で机や本に噛り付いている。
大変そうだと他人事に思いつつもとりあえず立ち読みするしかないかなと本棚へと向かい。
「…何読もうかな。」
綺麗に整頓された本を眺めながら呟く。
■セレネ > 自然と視線が向かうのは魔術に関する本。
医学書はもう殆ど頭の中に入っているけど、薬学にも手を出すべきか。
「んー。」
くるりと向きを変え、薬学に関する本が収められている本棚へ。
適当な一冊を手に取ると目次をざっと読み、そのままパラパラと頁を捲る。
薬草に関する本だ。
丁度良さそうだから少し読んでみよう。
■セレネ > 読み進めているとこれがなかなか面白い。
サクッと一冊読み終われば今度は別の本を探して読み漁ろう。
案外、良い収穫だったと思う。
暫くは一人で様々な薬学の蔵書を読み耽る事となり。
ご案内:「図書館 閲覧室」からセレネさんが去りました。