2020/07/15 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
レナード > いた。

人気のないエリアで、ソファに座りながら、読書に耽る。
…だのに、内容が全く頭に入ってこない。
文字が目から入っても、頭に定着してくれなくて。

無駄にページを捲って、言葉をひたすらに眺めるだけ。
そこでは、そんな時間の浪費が行われているだけだった。


ため息も、言葉もない。
まるで背景のように。

ご案内:「図書館 閲覧室」に阿須賀 冬織さんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
阿須賀 冬織 > 自習を一旦終え、何か面白そうな物でもないかと探していると見知った顔を見つけた。
あまり存在感を感じられず、人気のない場所でなければ気付かなかったかもしれない。

集中しているかと思い声を掛けようかと迷うが、よく見るとどうやらそういう訳でもなさそうだ。

「ん、レナードじゃん久しぶり。お前も勉強疲れで休憩中か?」

ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
レナード > 「…………、ああ。」

声がかかる。
足音の時点で分かってはいたけど、誰が来たかなんて声を聴かないと分からなかったものだから。

「かもね。」

言葉に抑揚はなく、視線も彼に向くことはない。
彼の質問に、端的に答えるのみだった。

阿須賀 冬織 > 前会った時もツンとした感じではあったが、どうにも今の彼は様子がおかしい気がする。
生気といったものが感じられないのだろうか。

「…………、どうやら違うっぽいな。……悩み事でもあんのか?俺で良かったら聞くぞ。吐き出すだけでも少しはマシになるかもしれないしな。」

どうしようかと少し間を置く。少しでも吐き出せば気が楽になるかなと続けて話しかけてみる。
もしかしたら、放っておいた方がよかったのかもしれないが。

レナード > 「………悩み事。」

その言葉を反芻する。
……彼は人間だ。異能を持っているだけの、ただの学生だ。
そんな彼に、自分の状況を吐露しても、動揺させてしまうだけだろう。
…擦り切れきった心でも、友人と呼べる相手にはまだ辛うじて良心が働くらしい。

「……ごめん、ちょっと……言えそうになくてさ。
 おめーじゃきっと、僕が心配になるだけだし。」

阿須賀 冬織 > 「……そっか、言いにくいことなら別に謝んなくてもいいよ。俺が勝手に気にかけてるだけだしな。
……まあ、正直俺には今のお前の生気のなさの方が心配なんだけどな。」

そりゃこんだけ落ち込む?ような悩みは相当のものだろうし、人には言いにくいか……。
とはいっても話しかけた以上、これを完全に放っておくのもどうしたものかと悩む。
彼から特にリアクションが無ければ、少しでも悩み事から思考を逸らさせようと、ゆっくり話すためにソファの横に腰掛けようとするだろう。

レナード > 「………生気なんて、元々なかったのかもね。」

それすら、自分を偽って作り上げていたものであったから。
今となってはこちらの方が正常なのかも、と、そこまでは言葉にしなかったものの。
…彼が隣にかけようが、気にも留めない。

「……知らない方がよかったって、思うことはあるわけ?」

阿須賀 冬織 > 「この前会ったときには、確かにあったと思うけどなー。」

横に座りながらこの前のことを考える。
うん、確かにあの時は別に、おかしな様子も、それを繕った様子も感じられなかった。

「……知らないほうが良かったことかあ……。」

相手の言葉を繰り返して考える。明言こそしていないものの、どう考えても今の彼が抱えていることに関係がある。
知らないほうが良かったこと。長く生きてきたわけではないが大小含めていくつか経験はある。
さて、どういうべきだろうか…………しばらく悩んで、自分の考えを口に出す。

「……んー、……知らないほうがいいってことも、確かにあるとは思う。
親同士の仲が良くないことに気が付いちゃったこととかなんかはそうかな。
でもさ、そんなに深く悩むことなんだろ?
それって、いつか知ることになったし、知らなければいけないことなんじゃないか?」

彼が抱えていることの真実は知らないから言い切ることなんてできない。
でもきっと、今知らなかったとしてもいつか知ることになったのではないかと思う。

「俺はレナードじゃないからさ、どんなことを抱えてるのかなんてわからないし、なんとかなるなんて無責任なことは言えないし言わない。
でも、それを知っただけ前に進めたんじゃないかな。
知ってどうにかなるかはわからないけどさ、知らないとどうしようもないだろ?」

レナード > 「……………その前とやらが、崖だとしても?」

知ったから前に進めた。
なら、前が崖だったら?

「僕は、知らず知らずにその場で足踏みを続けていた。
 無意味でも、無駄でも、何年も、何十年でも、その場でずーっと。
 でも……知ってしまったから、その一歩を踏み出さなきゃいけなくなったとしたら。」

無責任なことは言えない、と彼は言った。
だが、この言葉だけは、引っかかってしまったものだから。
…本当は言いたくないけれど、言わざるを得ない。

「おめーは、僕に死ねと、そう言うわけ?」

今日初めて、横目がちに、彼を視界にとらえる。
光が抜け落ちた、空虚な黒い眼差しで。