2020/08/07 のログ
ご案内:「図書館 休憩室」にレナードさんが現れました。
レナード > 「………あー、すずしー。」

今日は珍しく休憩室。
辺りに人気はなく、冷房から送られてくる空気を半ば独り占めしている状況だ。
なんといっても夏季休暇中、休憩するのにわざわざここを使う人なんていないだろうと踏んでいたから。
…考え事をするのに、ここは都合がよかった。

「………。」

思い返すのは、昨日の事。
話の流れとはいえ、自分とほとんど変わらない背丈の少女に、あろうことか慰められた。

レナード > 「………風紀委員でも、あんな子がまだ居たなんて思ってなかったし。」

ソファの上で寝そべる様に、そのスペースを余すことなく贅沢に使いながら、少しずつ思い返す。

あの腕章は、見紛うことはない。確かに風紀委員を表すものだ。
ファッションだと言われればそれまでだが、伊達や酔狂でそういうことをする輩はいないだろう。
…そもそも警察組織の一員であることを詐称しようものなら、それこそ出頭案件である。
まあ、その真偽はいい。
塔から去る前にした会話の中で、彼女自身がそうであると暗に認めていたようなものだったから。

「…………。
 それらしい、と思ったのは……これで二人目か。」

レナード > 「…………大人に、なりたい…か。」

あの時、ほぼ無意識に辿り着いてしまった…
いや、自分の奥底に隠してしまっていた、本当に叶えたかったこと。
この血がそれを阻んでいる。自分の子孫を残すまで、不老であり続けるから。

世の中には子供っぽい大人だっているだろうし、逆もまた然りだろう。
肉体的に大人になっただけで、子供のような心を持つ人間だっているはずだ。
…だが自分の場合は、"大人になれない自分"を受け入れたくないばかりに、
ずっと心も子供で居続けてしまっている。
結果は、この有様だ。

…思えば、今も続く反抗心はそのときから抜けていないままなのかもしれない。

「……ほんと、どうすればいいんだろうな。」

ソファの上で、ごろり。横になる。
背もたれが視界いっぱいに広がった。まるで、分厚い壁のように。

レナード > 「……。」

ちょっと考えた程度じゃわからないことは、ひとまず置いておく。
今は目下のことを考えよう。眼を細めた。

「……風紀委員に入る手続きは済んでるから、
 あとは……下部組織扱いとして、体裁は整えなきゃいけねーし……」

もうじき、動くことになる…そこまでの手筈は済んでいた。
自分たちが何を考え、申し入れをし、風紀委員の下部組織として発足することを認可してもらったか…
これはおそらく風紀委員自体にとっても、興味深い"実証実験"となるはずだ。

……自分の経験の中で産まれた明確な敵からは、あの男は外れた。
後二人、……いや、生き残っているのかどうかもわからないか。
トゥルーバイツの使った"デバイス"を使った人間は、ほぼ確実に死ぬ。そのことだけは知っていたが、
それを持っていた個々人のその後までは、まだ分かっていない。
その辺の情報は内部に入らなければ得られないからだ。

…少し、炎に薪をくべようか。

レナード > 「……………。」

一人は、トゥルーバイツの指導者。
正直言えば、直接自分が何かをされたわけではない。
寧ろ…私怨を覚えるどころか、感謝すらしたいくらいだ。
自分たちのこの申し出が、風紀委員会に対してタイムリーに効いたわけだから。
しでかしたこと自体の是非はともかく…正直言って、タイミングが良かった。

この感情は、薪にするには湿りすぎていた。

レナード > 「…………。」

そして一人は、…路地裏で自分を真理とやらに導こうとした、あの女。
話の内容から、トゥルーバイツの関係者だろう。
名前は知らない。…知らなくてもいい、どこかの誰かで十分だ。
だが、"風紀委員だった"。…はっきりいって、それが重要だった。

「風紀を守るどころか、まさか勧誘活動に勤しんでた…なんて。
 そりゃあ、熱心なことだったろーし……」

眼を細めた。
心身が弱り切った自分の前に現れて、さも善人のように"それ"に誘おうとしていたこと。
…覚悟を問う反面、結果的にほぼ死ぬだろうことをさせようとしていたこと。
自分を集団自殺に、巻き込もうとしたこと。

「…………。」

無性に腹が立ってきた。

ご案内:「図書館 休憩室」に阿須賀 冬織さんが現れました。
レナード > 「……まあ、あれだけ熱心にやってたんだったら……」

生死は気にしていなかった。
トゥルーバイツの構成員は、少なくない死者が出たと聞く。
彼女がそれに加わっていても、不思議ではない。
…だって、自分をそういう輪に入れようとしていたくらいに、
トゥルーバイツの活動にお熱だったように見えたんだから。
少なくとも、デバイスは使ったんだろう。確証はないが。

「……ぁあ、でも………」

でも。
不意に考える。この前のあの男のように、廃人寸前だったが故の凶行だったら?
それを何かの折に、自分の耳に入るようなことがあったら?
それは嫌だ。
明確な、敵のままでいてくれ。
せめて君だけはそうしてくれないと、今度こそ本当に心が折れてしまう。

そんなことになるくらいなら、いっそ彼女は――――

「………ん。」

復讐の炎に薪をくべていると、誰か来たような気配を感じた。
一気に現実へと、自分の意識を戻していく。

阿須賀 冬織 > 「ふぃーっ、終わったあー。」

突貫でなんとか予定までに大物を残して課題を終わらせ一息つく。
知り合いがいるなんて思いもせず、休憩だーっと飲み物を買いに休憩室に。

「あっ……。レナードじゃん。……その、久しぶり……。」

どちらが先に気が付いたかはわからないが、休憩室に入ると見知った顔に気が付いた。
この前のやり取り以来気まずくて話せていなかった相手だ。
どうしようかと思ったが、全く声を掛けないわけにもいかないので一言挨拶。
どうしてもぎこちなさみたいなのは出てしまうだろうか。

レナード > 「……ああ、久しぶり。」

独り占めの時間は、ひとまずお預けだ。
流石に行儀悪いままの姿を見せる訳にはいかない。
身体を起こし、脱ぎ捨てていた靴を履く。

「なんだし、随分他人行儀に見えるけど。」

その理由は分かっていた。
だから、ほんの少し、言葉の間に空白を置く。
こういう話題は、自分から振った方がいいだろう。
彼は…まあ、自分から話してしまったクチだが、何も知らないし何もしていなかったのだ。
…巻き込んでしまったのは、自分。だから、この言葉から始めた。

「……悪かったし。あの時は、僕の心が弱かった。」

阿須賀 冬織 > 「えっ、あー。それは……。

……。いや、別に。俺が聞き出して、。上手く返事が出来なくなって、勝手に気まずくなっただけだしな……。
寧ろ謝るのは俺の方かな……。こっちもごめん色々と考えが足りなかった。

でも、なんだ。解決したってわけじゃないんだろうけど……なんかマシになったみたいで安心した。」

他人行儀と言われて、どう返そうかと思っていると、少しの空白を挟んで謝られた。
……寧ろ謝るべきなのは聞き出して、上手く答えられずに勝手に避けてしまった自分の方だろうに。
ただ、そうやって語る彼はこの前の、ひどく追い詰められたような感じではないように感じられ、そのことに少し安心した。

ああそうだ、一応休憩にここに来たんだった。
返事をしてから自販機に向かい、お前も何か飲むかと一言。

レナード > 「………んー。
 いや、いいし。僕、さっき飲んだばかりだから。」

これは嘘だ。
だが、それを彼に看破される恐れはない。
嘘をついたのは、変な気を遣われたくはなかったから。
今の自分はこうして平気そうな顔をしているが、
先ほどまで、感情を薪に私怨の炎を燃やしていたわけだから。
…そんな自分の狂気に、彼を付き合わせたくなかった。

話を変えよう。自分から振れば、きっと彼も話をしやすいだろう。
さて、旬な話題はなんだったか……

「……ところで。
 ここ最近色んな行事があちこちであるわけだけど。
 おめーは既にどっか行ったりしたわけ?夏祭りとか、海とか。」

阿須賀 冬織 > 「ん、ならいいけど。」

彼の心の中は知らずに、返された返事にじゃあいいかと軽く返して自分の分の飲み物を買う。
読心異能ではないので嘘なんて思わない。もし仮に思っても断られたのだから買うつもりはないが。

「ん、まあ夏休みだし色々やってるよなあ。……あっ隣いいか?
俺?俺はー……夏、祭りは行ったかな。海は、まあ海の家でバイト始めたから行ったっちゃ行ったけど泳ぎにはまだ行ってねーかな。」

何を話そうかと思っていたら相手の方から話題が飛んできたので助かった。
飲み物をもって隣いいかとだけ一応聞いておく。
夏祭り……思い出すとやっぱりどこか恥ずかしい。少し顔は赤くなっているかもしれない。

レナード > 「………………。」

眼を細める、その表情の機微は見逃さない。
祭りには行った、バイト、金が必要、泳ぎに行く予定がある、そして…何かを意識したように僅か紅潮した表情。
…ここから導かれるのは…

「ほぉーん?
 なに、おめー…もしかして…………」

凄く、もの凄く意味深に問いかけた。

阿須賀 冬織 > ギロリと視線が変わった気がする。あれ、俺何かやっちゃいましたか?
なんて呑気に考えていたが、次の言葉でぶふっと飲みかけの液体を吹き出す。

「へっ?
……はっ、いやいや、えっ。な、何言ってんだ? べっ別に彼女なんていねーしできてねーよ!」

すごい勢いでの否定。だがしかし、レナードは彼女なんて一言も言っていない。
めちゃくちゃ墓穴を掘っている。逃げ出したいがレナードの黒いまなざしがこちらを見つめている気がした。
擁護すると一応嘘は言っていない。正式な返事を貰っていないので、関係性はなんというか宙ぶらりんである。

レナード > 「彼女。」
レナード > 「………彼女ォ?!」
レナード > あれ、いつの間にリア充になったのこいつ。
飲み物口に含んでなくてよかった。自分だったら間違いなく噴き出してた。
いや、何かしら狙ってる相手でもいるのかなーと思ってただけなのに。
その想像の斜め上を行く回答に、こちらが思わず復唱してしまう。

「おっ、おめー!
 いつの間にそんなリア充になったわけ?!
 僕まだ何も聞いてないし!?」

君は彼に何も言ってないけど色んなところで誑かしまくってるよね。
こと異性関係において自分のことは棚の上に、人のことは根掘り葉掘り。
ダブルスタンダードはここに極まるのだ。

阿須賀 冬織 > 「声でけー! あと、彼女じゃねーっつってんだろおおぉぉぉ!」
阿須賀 冬織 > そういう彼の声も大概でかい。休憩室で良かったな。閲覧室なら出禁ものだぞ。

「そ、その……。……まだ返事もらってねーからマジで彼女ではねーよ。
あと、そりゃ別に言いふらしてるわけじゃないから知ってるわけねーだろ。」

ううー、っと顔を赤くしながら机に突っ伏す。轟沈である。
あと真面目に言いふらしているわけではないので知ってる人はそんなにいない……はず。

「……お前の方はどっか行ったりしたのか? ……なんなら女子と一緒に。」

このままだとやられっぱなしなので話題を何とかそらそうと質問を返す。
いやまあ仮に変えられてもそのあと追求来そうなのだが。
当然、彼の女性関係については知らない。

レナード > 「へぇーん、ほぉーん……そっかそっか。
 いやいやぁ、こりゃあ興味深いことを聞けたし。」

にまにま、にやにや、いやらしい笑みを浮かべてしまう。
いやはや、人の恋路は蜜の味?甘酸っぱいような彼の告白にこちらは好奇心を刺激されてならない。
誰だあの子かと問いただしたいところだが、そこはぐっと堪える。
…こういうものは、そう簡単に暴けるようなものでもなければ、自力で暴くのもまた楽しみなのだから。

「……んえ、僕?」

そしたら、話がこちらに飛んできたものだから、少し頓狂な声が出てしまったかもしれない。
自分に矛先が向くことを想定してなかったというべきか。
さてどこまで話すべきかと、少し間を空けて…

「…夏祭りくらいなら、まあ。」

それだけ端的に伝えておく。
誰と、いつ、どうしたかなどの詳細は伝えない作戦だ。

阿須賀 冬織 > ぐぬぬぬと彼の方をにらむ。にたにたと笑っているのが非常にムカツク。
とりあえず追及されなかったのは良しとするが、このままではマジで一方的にやられた状態である。
……自爆だとかいう声がどこからか聞こえた気がしたが。当然のように無視。

「……その声と間は何だよ! 吐け! ぜってーに聞き出してやる!

どうせお前も女子といったんだろ!」

夏祭りくらいならなんて答えが返ってきた。
恐らく嘘は言っていないが、その前の返事の頓狂な感じといい、考えるような間といい、絶対に何か隠してる。
聞き出さずに帰るもんかとひたすらに問う。恥ずかしさで吹っ切れたのでテンションはなんかおかしくなっている。

レナード > 彼の追求に対しては…
ぎり、ぎり、ぎりと油の切れた機械のように首を回して、そっぽを向いて、
そしてこう言い放った。

「………ノー、コメント!!」

酷いダブルスタンダードだ。
彼には言わせてこちらは情報を吐かないと抜かすのだから。

「…行ったことは認める!ただし、それ以上はノーコメントだし!
 僕の女性関係は特別防衛機密だし!!」

意味不明である。
ひたすらに彼と目線を合わせないように首を回して顔を逸らして。
なんなら背中まで向けようという周到っぷりだ。

阿須賀 冬織 > さて、どんな返答が返ってくるのだろうか……。

「……ノーコメント?」

ノーコメント……ノーコメント。……ナルホド。

「はー!? それはねーだろ! てかなんだよ特別防衛機密って!」

よくわからない理論をぶつけられる。
いやまあ実質答え言っているようなもんなのだが。防衛しないといけない機密あるじゃねーか。
一応顔を覗き込もうとしてみるが、難しくて諦める。この一瞬の間に恐るべき身のこなしである。

「……ふーん。まあいいよ、とりあえずそういうことにしといてやる。
……いつかぜってー教えてもらうからな!」

今回は諦めたが、いつまでも不公平な状態は許さないぞと一言。

レナード > 「その時はおめーの彼女の情報とバーターだし。」

微妙に釣り合わない。
こちらは誰と行ったか程度の情報なのに、こちらは本命の情報を寄こせと抜かすのだから。
…これが彼のやり方なのだろうか。卑劣である。

「……くふふん。
 あーあ、そろそろ僕も休憩から上がることにするし。」

何となく和んだ雰囲気がしたものだから。
これくらいで頃合いを見計らい、退室すると告げた。
実際、結構な時間ここにいたものだから、これ以上いると眠くなってきそうだ。

阿須賀 冬織 > 「……返事、いいのもらえたら考えとく。」

釣り合っていない気がしなくもないが、付き合ってしまえたらそこまで隠す必要もないのではないかと了承する。
返事が良くなかった場合は……これを考えておくのはやめておこう。その時はその時だ。

「ん、俺も元々飲み物買って飲むだけのつもりだったし出るかな。」

会話が途切れたタイミングで相手の方からそろそろ帰る告げられたので、
確かにまあ結構騒いでいたし自分もそろそろ出るかと返す。

「んじゃ、……またな。」

はじめにあったぎこちなさは消えただろうか。

レナード > ソファから降りる。
最後に向けた彼への表情は、静かな笑みだった。

ひらひらひら、と、掌を振りながら、出口に向かった。
そこから先は、彼へと向き直ることはなく。

先に休憩室から出ていく。
復讐の炎へ薪をくべることはままならずとも、
それでも、日常を堪能できたことに、多少ならず満足感を覚えたまま―――

ご案内:「図書館 休憩室」からレナードさんが去りました。
ご案内:「図書館 休憩室」から阿須賀 冬織さんが去りました。