2020/08/14 のログ
■吉良坂 美咲 > この南瓜の子、可愛いなあ。
健気な南瓜の様子に何だかほっこりし、一瞬表情をゆるませる少女。
目は少し怖いけど、色々と頑張っている様子はそれを補って余りあるくらいには可愛らしくて。
「あーえっと。ひらがなよカタカナのところは読めると思う、けど。
漢字とか、アルファベットのところは読めない、かなぁ
でも、読めるところはあると思うから、頑張って!」
取り出された教科書を一目見て、僅かに眉を顰めて。
ひらがなとカタカナだけでは教科書を読むのには不十分すぎる。
彼?も前途多難だなあ、と。応援してしまう。
「そう?この島には異能持ってる人はいっぱいいるからこれからたくさん見るんじゃないかな?
いいの?ありがと〜
うわぁ、かぼちゃって結構固いんだねー、けっこうツルツルしてるー」
この島では異能はそう珍しい物ではない。
初めて見たと言うことは、こちらに来たばかりなのだろうか。
そんなことを思いながら南瓜に触れてみれば、硬い感じ。
そして割とツルツルしてる感じがする。
初めて触る南瓜に興奮気味な様子を見せる。
■パンプ > 「漢字?アルファベット?二つとも知らない。まだ、知らないといけないこと、あるか。頑張る。」
(少女の返答を聞き、試しに教科書を適当に開いて文章を見てみる。たしかにひらがなとカタカナは分かるが、それ以上は解読できない。教科書を閉じ、まだ先は長いようだと魔物は理解した。)
「異能、持ってるの、たくさんいるのか。すごい。
硬いと、襲われても、平気。」
(魔法ではないのに魔法にも似ているように見える異能。そんなものを使える人間が沢山いると聞き、少し目を見開いた。外皮の感触に興奮している少女に、外敵から身を守るのに必要なものだと答え、大人しくしていた。)
■吉良坂 美咲 > 「あの、よかったら私が教えてあげようか?夏休みの間暇だしさ」
教科書を閉じる南瓜に対して、思いついた!とばかりにそう提案してみる
自分は時間を潰せて、彼は文字を学べる。
人に何かを教えたことはあまりないが、それでもやってみようと。
「うん、いっぱいいるよー。この島以外にも結構いるんじゃないかな?
確かに色も綺麗で野生動物とかに襲われそうだもんねー...」
(襲う野生動物の方に同情して)うんうんと頷く少女。
一瞬美味しそうと言うワードが浮かんだが振り払う。
南瓜の触感はどことなく心地よい物であったが、いつまでも触れていては嫌がるかもしれないと手を引っ込めて。
■パンプ > 「教えてもらったら、漢字とアルファベット、わかるようになるか?なら、教えてもらう。」
(教科書を鞄へとしまう蔦を止めて、少女の提案について考えてみる。数秒後、それで漢字とアルファベットが解読できるようになるのであればと受け入れることにした。教科書を鞄へとしまい、少女を見つめながらお願いしてみる。)
「島以外。ここの外、知らないけど、そうなのか。
でも、危ない時、逃げる。生き残るの、大事。」
(ここのことも把握しきれていないが、この島の外についての話を聞いて、興味を持ったような反応を示す。続けて、生存することを第一だと逃げも隠れもすると手を引っ込めた少女へと何食わぬ様子で答えた。)
■吉良坂 美咲 > 「どっちも全部教えるのは難しいだろうけど、私に分かる限り教えてあげるよ!」
根拠はないが、出来る気がする。
右手を前に出してぐっと握ってやれるぞ!と言った手振り。
「森とかに住んでたのかな?この島だったら落第街とか......うん、そう言うところに行かなかったら大丈夫だと思うよ」
落第街、の部分で少し言い淀む。
それ以外も至って問題なく、危ないところに行かなければいいと、それだけだ。
「あ、そうだ。漢字を教える以前に私の名前すら教えてないじゃん!
私は私は吉良坂美咲っていうの、あなたは?」
ハッとした様子で名乗れば、南瓜の彼にも名前を尋ねる。
■パンプ > 「わかった。ありがとう。」
(何もかも手探りの状態での自習よりも誰かに教えてもらうほうが効率も良くなるだろう、とまで打算的なことを考えているわけでもなく、ただ教えてもらえるならそうしよう程度の考えの魔物。右手を突き出して握る少女に短くお礼の言葉を送って。)
「森の奥の方に群れでいた。落第街、危ないか?じゃあ、行かないようにする。」
(僅かに言い淀んだように見えた少女に対して、身体を傾けて繰り返しては其処は避けると答える。そして、名前について聞かれると鞄の中から今度は学生証を取り出して少女へと見せる。)
「名前、ほんとは無い。でも、森に来る人間、パンプと呼んでいた。だから、パンプ。
吉良坂美咲。覚えた、と思う。」
(少女の名前を覚えようと一度念を飛ばし、恐らくは大丈夫と続けて。)
■吉良坂 美咲 > 「パンプ、うん覚えた!
パンプって呼んでいいかな?」
ニコッと笑いながらそう問いかけて。
「あ、そうだ。色々教えるんだったら連絡先とかあった方がいいと思うんだけど、何か連絡手段とかある?
ほら、こう言うのとか」
そう言って取り出したのは携帯端末。
正直持っているとは思えないが、何か連絡手段はあった方がいいだろう、と。
■パンプ > 「それでいい。吉良坂美咲。」
(笑みを浮かべる少女に問題ないと答え、フルネームで読む。魔物にはまだ苗字などの概念が理解できていないおらず、吉良坂美咲で一つの名前だと認識していた。そして、連絡手段と聞かれると何だそれはと言いたげに目を細める。)
「持っていない。どうすれば良い?
住処、学生寮。それでなんとかなるか?」
(魔物が携帯端末を入手しているはずもなく、少女が取り出した携帯端末をじぃっと見つめている。住処の場所くらいしか少女に教えられることがなく、それで大丈夫かと体を更に傾けて尋ねてみる。)
■吉良坂 美咲 > 「うん、私のことは美咲とかでもいいよ。フルネームだと呼び難いと思うし」
何でフルネームなのだろうか、と疑問に思いつつ名前だけでも良いと伝えて。
「寮に住んでるんだったらそれ教えてよ!私は女子寮の○○○○号室だよ」
まあ端末なんて持ってるわけないよね、と思いつつ。
南瓜なパンプも寮に住んでるんだあ、と僅かに驚きながらその部屋を尋ねる。
にしても、体を傾ける動作、可愛い...
■パンプ > 「吉良坂美咲、フルネーム?難しい。けど、わかった。美咲。」
(少女の言葉を聞き、あちらこちらへ視線を向けて少し考えたがはっきりと理解しきれなかった。ただ、二つは共に少女の名前であるということは理解したようで、反芻するように名前を念で送った。)
「美咲。女子寮、○○○○号室。わかった。
夜、扉に××××と書いてある部屋にいる。安全。」
(少女の住処である女子寮の号室を覚えた後、自分はどの部屋だったかを目を閉じて思い出す。扉に書かれていた番号を思い出すと目を開けて番号とを少女に伝える。其処が今は安全だと思う住処であるとも伝えて。)
■吉良坂 美咲 > 「うん、xxxxね。わかった、じゃあそのうち夜にその部屋に行くねー」
伝えられた番号を端末のメモ機能にメモして。
「じゃあ私は部屋に行く時の為に準備するから今日はもう帰るねー
またねー!」
そう言って端末を制服のポケットに戻せばくるりと振り向いて。
手を振りながらスライド移動で図書館を去っていった。
パンプが見えなくなるまで少女は手を振り続けた。
さあ、残りの夏休みにやることが出来た。楽しみだなあ
■パンプ > (少女が手に持った携帯端末へと何かしているのを興味深そうに眺めながら短く返事をして。そうしていると何かをし終えた少女の帰るという言葉に頷くように動き)
「わかった。気を付けて。また会いましょう。」
(手を振って図書館を後にする少女へと挨拶をして見送ろうとしていると、ふと自分の蔦へと目が止まり何となく少女の真似をして振ってみた。果たして意味があるのだろうか、と思いながら自習を再開しようとドリルへと向き直る。その後しばらくして、魔物も住処である寮へと帰っていくのだった)
ご案内:「図書館 閲覧室」から吉良坂 美咲さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」からパンプさんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 夕刻の図書館。
勉強を終えた生徒が引き揚げ始め、ちょうど人の少ない時刻。
閲覧席で魔術書やノートを広げ、勉強に打ち込むヨキの姿がある。
ノートや手持ちの辞書は付箋やメモが山ほど添えられて、その厚みを増していた。
「……………………、」
黙々とシャープペンを動かす。
写し取り、要約し、新たな考えをまとめ、手を止めて、黙考。
教師といえども、勉強に打ち込む姿はひとりの学生と変わらない。
ご案内:「図書館 閲覧室」にサクヤさんが現れました。
■ヨキ > 腕時計を見る。
予め決めていた休憩時間に差し掛かったらしく、筆記具を置いてうんと伸びをする。
首や肩を、軽く回してストレッチ。
一度打ち込むと過集中のきらいがあるヨキは、時折こうして意識を引き戻すことを己に課していた。
目下勉強中の、“空を飛ぶ魔術”。
自分以外の魔力を使わないこと。友人が提唱する魔術学のみを使うこと。
ヨキにも、友人にも、果ては誰にでも扱えるようになること――
そうでなければ、叶えたって意味がないのだ。
ノートの書き込みを見るに、“勉強”はまだしばらく終わりそうにない。
それでも、ヨキの顔は何とも晴れ渡っている。
先の見えない探究を、楽しんでいる顔だ。
■サクヤ > 今日のサクヤは「臨時図書委員」である。
簡易の腕章をつけて、図書委員の蔵書の整理などお手伝いをしていたのだが
そろそろ閉館支度をするので館内の見回りと利用者に呼びかけ、忘れ物がないかどうかなど
確認するように言われて見回っている最中であった。
閲覧室に差し掛かったところで、誰かの気配を感じて声をかけようとしたところで
その男性の熱心な勉強姿に思わず目を見張った。
あまりに集中しているし、たくさんの書物やノートに囲まれている姿は
夕焼けの光景もあってちょっとした絵になっていた。
思わず声をかけそびれてぼんやり見とれていたら、
男性の方が先に伸びをして、身動ぎしたものだからハッと我に返る。
「あああああの、そろそろ閉館になります……」
上ずった声でそろそろと声をかけた。
■ヨキ > 「おお」
背後から掛けられた声に、はっと我に返る。
どうやら閉館間近まで集中しきっていたらしい。
「ありがとう、そろそろ帰――」
振り返って、その顔に目を留める。
「……し、……」
目を瞠る。
サクヤのものではない、“誰か”の名前を呼び掛ける。
けれどそれをみなまで言うことはなく、柔らかく笑った。
「――いや、失敬。
以前卒業した教え子に、どことなく面立ちが似ていたものだから」
ノートや本を閉じて、荷物を纏め始める。
立ち上がると、サクヤよりも随分と背が高い。
「美術を教えているヨキだよ。
その腕章は、夏休みのお手伝いさんだね? お疲れ様」
■サクヤ > 「?」
呼びかけられた声に首を傾げた。
だがサクヤは珍しく思うことはない、時々こういったことがあるのだ。
そう、サクヤの”オリジナル”を知る相手なら、――数は少ないけれどあることはある。
ヨキが自己紹介すればぺこりと頭を下げて、
すぐさま頭にある教師陣のデータベースを参照する。
ネットに繋がってるとか、特別頭がいいとかではないが
常世学園の多くの教師陣のデータは一応叩き込まれている。
「……はい、ヨキ先生。学園草創期から美術教師として教えていらっしゃる……。
存じておりましたが、こうしてお会いするのは初めてです。
はじめまして、祭祀局のサクヤと申します。
今日は臨時の図書委員として務めております」
荷物をまとめるヨキを手伝って机の上を片付け、他の席に忘れ物がないかどうか確かめる。
「はい、忘れ物はありません。大丈夫ですよ。
あの……、不躾な質問ですがヨキ先生はサクヤの”オリジナル”をご存知なのでしょうか……?」
もじもじと手元をいじりながら、小さな声で尋ねてみる。
■ヨキ > 「祭祀局の、サクヤ君だね。
やあ、片付けまで手伝ってくれて済まないな。
次からは、時間に余裕を持っておかねばな」
照れ臭そうに笑うと、ぺこりと会釈して礼を告げる。
「……オリジナル?」
サクヤが発した語に、不思議そうに瞬きして。
「もしかして、君は……その『オリジナル』から産まれたとか、そういったものなのかな」
見当違いであったら済まないが、と前置きして。
「ヨキが思い浮かべたのは……。
――かつて式典委員会に所属していた、“神宮司ちはや君”という少年だよ」
サクヤを通して、懐かしい姿を浮かべたように目を細める。
■サクヤ > 「はい、サクヤは祭祀局の研究所で生まれたクローンです。
サクヤの”オリジナル”に関する情報は個人情報になるのと倫理的な問題で
あまり教えられていませんが――」
自分の胸に右手を当てて、そう伝える。
「”神宮司ちはや”――、それがサクヤのオリジナル……」
感慨深そうに名前をつぶやく。それがどういった少年であるのかは
依然として曖昧模糊なままだが、名前を知れたというのは大きなことだった。
「そう、でしたか。
その少年も、かつてはヨキ先生の教え子だったのでしょうか?」
興味津々といった様子でヨキにオリジナルの話を聞きたそうにしてみるが
それは倫理的にあまり勧められた行為ではないのでちょっと後ろめたさもある。
■ヨキ > 「そう、だったのか。クローン……。
……はは。教えてしまって、よかったのだろうかな。
だから君の顔を一目見たときも、不思議と“初めまして”の気持ちが薄かった。
急に懐かしい顔を見たような、そんな気分になったよ」
微笑みながら、言葉を続ける。
“神宮司ちはや”について問われると、和やかに頷いて。
「ああ。年月を重ねて言葉を交わした訳ではなかったが――
大人しくも芯のある、真面目な少年だった。
けれど、ヨキは“君自身”のことも知りたいな。
産まれてから、どんな風に過ごしてきたのか。どんな学園生活を送っているのか、とね」
笑う。その視線は、紛れもないサクヤ自身へと向けられている。
■サクヤ > 「……あまり褒められることではないので、ないしょにしておきましょう。
本当は祭祀局へ報告義務があるかもしれませんが……
サクヤはまだ生まれたてなので、時々”忘れることもあります”。」
ふふ、といたずらっぽい笑みを浮かべて唇の前に人差し指を立ててないしょのポーズ。
それから”神宮司ちはや”の情報にはきらきらと目を輝かせて、
同時に少しホッとした様子も見せて聞き入った。
「……そうでしたか。
もしも”オリジナル”が悪い子でしたら、サクヤは気が気ではなかったと思います。
きっとそう思うから、”オリジナル”の情報はなるべく伏せられるのかもしれませんね。
サクヤのこと、ですか……?
お話のできるほど大した経験はありません……。
数年前に研究所で生まれて、今までは刷り込みによる学習を経て
一般社会の常識と常世学園の情報を覚えただけに過ぎません。
祭祀局員に扱いが変わったのも最近ですし、学園生活は正式な学生ではありませんから
ご報告できるようなことは、何も……」
少々申し訳無さそうな顔をして恥ずかしそうに頬を赤らめた。
■ヨキ > 「そうだな。それがいい」
内緒を分かち合う。
サクヤと同じ、人差し指を立てたポーズ。
「オリジナルはオリジナル、君は君。
とは言え、心が気になってしまうのは避けようがない。
安心したまえ、神宮司君は“いい子”であったよ」
頬を紅潮させるサクヤの様子に、いいや、と首を振る。
「それはそれで、素晴らしいことだよ。
この毎日が大騒ぎの常世学園を、まっさらな気持ちで楽しんでゆけるのだから。
これから、良いことも、ちょっぴり悪いことも、たくさんだ。
そうやって君は、『オリジナル』とは違う――ひとりの『サクヤ君』として成長してゆくのさ」
■サクヤ > オリジナルが”いい子”であったことをヨキに保証されれば
ぱぁっと顔が満面の笑みを浮かべた。
「よかった……。サクヤは、そんな素敵な人から生まれたのですね。
誇らしく、喜ばしいことです……。安心しました」
ついで、ヨキの言葉にぱちぱちと瞬きする。
「……そう、でしょうか?
サクヤは常世学園のシステムに組み込まれることに異論は有りません。
祭祀局のお仕事についても疑問はありませんし、自身の役割にも疑問はありません。
この学園で楽しみ、成長していくことはサクヤに必要なことでしょうか……?」
首を傾げてヨキを見上げて見つめた。
■ヨキ > 輝かしい笑顔を見ると、ヨキも一緒に笑う。
そんなサクヤが己を見上げて問うと、そうか、と低く唸った。
それでも、相手を慈しむ表情は変わらない。
「――決して必要ではなかったとしても。
ヨキはそれを、不要なものとは切り捨てたくないんだ。
異を唱えたり、疑問を抱くことはない。
この学園は、大きな変革はなくとも、日々小さな出来事が山とある。
君にはそれを味わい、『人間として』成長していってくれたら嬉しい。
もちろん、君が生まれ育った研究所の方針がいちばんではあるだろうし――
ヨキの愛校精神が強すぎるだけ、という可能性もあるけれどね」
小さな小さなサクヤを見下ろす。
膝を曲げて、顔の高さを合わせる。
「今はまだ、判らなくたって構わない。
こういう意見の先生が居る、と覚えていてくれたら、それだけでいい。
いろんな人の話を聞いて、それから考えてみて」
■サクヤ > ヨキの言葉には実感――のようなものがこもっているように聞こえた。
ただ、サクヤがそれを理解するまでにはまだまだ彼の言う『人間として』の経験が圧倒的に足りないのだろう。
長身のヨキを見上げたまま、なんとか言葉を噛み砕いて消化しようとするかのように
ぼんやりと考え込む。
「……サクヤが『人間として』成長することが、ひいては常世学園の利益と
モデルケースとしての成功に繋がるのならば、それは努力するべき項目です。
再度、研究所及び所長や主治医と相談して確認してみます」
飲み込みきれなかったことをシステム的な反応で返事する。
目線を合わせたヨキに、不思議な感慨を覚え
「ヨキ、先生。
ぼくは、正規の学生ではありませんがまた先生の教えを請いたいです。
それは先生にとって迷惑ではありませんでしょうか?」
恐る恐るといった調子で尋ねる。
■ヨキ > 言葉を急かすことはない。
サクヤの中に考えが染み渡り、サクヤの言葉として返事が発されるのを待つ。
その沈黙は、ヨキにとって好ましかった。
「よろしく頼むよ。
研究所の人たちと、気が合うといいんだがね。
常世学園の発展を願っていることは、ヨキもまた同じだ」
かたちは違えど、志はある。
そんな教師のひとりとして、ヨキは胸を張ってみせた。
そうしてサクヤに恐々と尋ねられると、迷わず快活に答える。
「ああ、勿論だとも。迷惑などということはないさ。
ヨキはいつでも、生徒の皆がやって来るのを楽しみに待っておる。
もしかすると君の上の人たちには、苦い顔をされるかも知れないがね。
そのときはそのときだ。ヨキと一緒に、“ないしょのはなし”にすればいい」
再び冗談めかした“ないしょのポーズ”で、な、と笑い掛ける。
■サクヤ > 「はい、ヨキ先生も志が一緒なのはとても心強く思います」
ふんわりと笑みを見せて、頷いた。
ヨキもまた、自分を受け入れてくれる教師であるとわかると
安心したように笑みを深める。
「ありがとうございます。教師ヨキ。
ふふ、ないしょのはなしばかりが増えてはサクヤの報告書が
書けないことだらけになってしまいます。
でも、これは最終的に常世学園の発展のため、必要な勉強でしょうから
所長も主治医も納得してくれると思います」
”ないしょのポーズ”をとるヨキにくすくすと笑って、
それから壁掛け時計に視線をやればもう閉館時間もすぐそこに迫っていた。
「あああ、たいへんです先生!急いででないと閉められちゃいますっ。
忘れ物は、……えっと、なかったでしたから、行きましょう!
駆け足……はだめですね、小走りくらいで行きましょう~」
そうして長身の教師を急かすと受付を通って図書館の出入り口へ向かう。
■ヨキ > 「ヨキはずっとずうっと、願ってきた。
常世島の末永い繁栄と、生徒たちの成長をね。
だから君が如何に堅固な“システム”であろうとも……、成長を願わずには居られないんだ。
やあ、報告書を書かねばならぬ身は大変だな。
そうすると、ヨキほど悪い先生は居らぬやも知れん。
ヨキは教え子たちと、内緒や秘密を分かち合うのが大好きなのさ」
悪戯めかしてウィンクする。
けれどサクヤが時刻に気付くと、ふは、と噴き出して出口へ足を向けた。
「これは大変だ、図書館で寝泊まりする羽目になってしまう。ああ、行こう。
ふふ。今日は君に会えてよかったよ。
不意に懐かしい顔を思い出すことが出来たし……、君という教え子も増えた」
笑いながら、サクヤの隣を小走りで進む。
道すがら、鞄から名刺を一枚取り出して。
「よかったら、これがヨキの連絡先だ。
普段は学内で仕事をしているし、街中ならどこへでも行く。
またたくさん話そう、サクヤ君」
図書館を出ると、お疲れ様、と大きく手を振って、自宅の方角へと帰ってゆく。
ご案内:「図書館 閲覧室」からヨキさんが去りました。
■サクヤ > 図書館の出入り口で名刺を受け取ると、「ありがとうございます」と頭を下げた。
「はい、またお時間がありましたらぜひお話させてください。
今日はありがとうございました。
まだ暑いですから気をつけてお帰りくださいね」
そう言って、去っていくヨキを手を振って見送った。
サクヤは残りの片付けをして、それから帰宅した――。
ご案内:「図書館 閲覧室」からサクヤさんが去りました。