2021/10/16 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
レナード > 「………。」

休学して以来久々に、制服に袖を通した。
普段着ていた灰色のローブは、一時的な拠点に置いてきた。
ここを使うのは生徒が主だから、それに倣う格好をしたまでで、
自分の利用が例え明るみになろうとも、普段していない格好で欺くこともできると考えたのだ。
木を隠すなら、森の中だろう。少しでも時間が稼げればそれでよかった。

「………さて。」

図書館のドアをくぐる。
本の独特なにおいが、鼻腔を擽った。
ここに来たのもいつ以来だろうか。大きく変わってなければいいのだが。
…目的は、自由利用が可能なパソコンを使うことだ。
足早に、書庫へと向かっていく。

レナード > 「………。」

たくさんある書架の間を、次々と眺めるようにして、
できれば外の目がなさそうな場所にある、パソコンを探す。
…図書委員に聞いてもよかったが、なるべく人との接触は避けたかった。
ここまで来るのに人目を忍んできたというのは、最早言うまでもない。

「あれ。確か、前はこの辺に………」

ただ、望みのものがどうにも見当たらない。
暫く、本当に暫くぶりに図書館にやってきたのだ。
模様替えの一度や二度、されていても全く不思議ではない。
…撤去という言葉が脳裏をちらつくが、それを考えてしまっては全て水泡に帰してしまう。
ネガティブなことを脳裏から掃うように、首を左右にぷるぷると振って。

「えーっと、とりあえず歩き回って探すしかないわけ……?」

パソコンを探して、広い広い図書館の中を、蛇がうろうろと歩き回り始めた。

レナード > 「あった………」

見つけた。
見つけてしまった。
丁度書架に隠れるようにして、そこにぽつんとある検索用のパソコン。
この手のものなら、自分のアカウントでログインすればメーラーが使えるだろうか。

「……さて、と……
 あとは時間の勝負だし……」

電源ボタンをタップして、椅子に腰かける。
少し古臭いOSがブートし、モニタに映像が映る。
…どうやらこのパソコンはアップデートはされてない。
記憶に間違いなければ目的は果たせるはずだ。

レナード > 「………よーしよし、いい子だし……」

単調な風景画を背景に、操作画面が表示される。
こういう時に限って機械の不良に見舞われがちだが、今回は別だったようだ。
今は好調という事実に、舌なめずりさえしてしまう。

「あとは自分のアカウントで…っと………」

手早く、自分のアカウント名と、そのパスワードを入力する。
辺りにカタカタとキーボードのタップ音が響くが、最早これはどうしようもない類のもの。
早く済ませれば問題ないので、先を急ぐ。

「………よし。」

そこまで済ませれば、あとはメーラーを開く。
持ってきた記憶媒体をパソコンに接続しつつ、一通の空メールを作る。
そこに添付するのは、とあるプログラム。
宛先は、今のアカウントとは異なる…研究所にて作った自分のアカウント。

「……届いてくれ、し………」

祈るような思いで、送信ボタンをクリックする。
…指先が端末から離れるころには、既にメールは送信されていて。
後は、これが宛先不明で帰ってこないことを、願うばかりだった。

レナード > 「…………来た……」

ほう、と息を吐いた。
送信先から、確かにメールが添付データ付きで1通返ってきたのだ。
これは想定していた、期待していた挙動に他ならない。
うまくいっている…ように思えて、生唾を吞む。

「………僕の予想が正しければ、あの後に……」

そのデータを開く。
テキストデータだったからか、簡単なエディタが別に開いて。
そこには、様々な日時、数値、コマンドの実施履歴が残されている。
何かのログなのは、間違いない。

「……やっぱりだし………。
 このウルトールの、起動ログ……
 僕がいなくなった後にも、何度も起動を試みた形跡がある……」