2021/12/11 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」に角鹿建悟さんが現れました。
角鹿建悟 > 放課後、何時もなら生活委員会の仕事か、もしくは『直し屋』としてあちこちに修理修繕に出向く頃合。
だが、珍しく制服姿のまま――一応、生活委員会の腕章は身に付けつつも図書館へと訪れていた。

「……やっぱり、負担を減らす為には魔術で補助を入れるのがベストかもしれない。」

そう、能力行使による心身への負荷…それを少しでも軽減する為の魔術。
そういった補助系の術式の心得が無かった為、何か切欠でも見付かればとここを訪れた次第。
別に、自分は優れた魔術の知識も並外れた魔術の腕前も持たない。
あくまで身の丈にあった、出来るだけ魔力消費は抑え目で…異能のサポートを出来る様な。

(…と、考えると地味にハードルは高いような気もするが)

まぁ、探しもしないで諦めるのは早い。取り敢えず、補助系の術式に関する書架を探す。
…そう時間を掛ける事も無く、お目当ての書架は直ぐに探し当てたのだが…。

「……予想以上、というか…。」

これは、何処から手を付けたらいいのだろうかと。
その圧倒的な蔵書量を前にして流石に僅かに躊躇する。
一先ず、具体的な内容は後回しにしてまずは背表紙のタイトルで絞るべきか。

魔術に関しては素人、という訳では無い。既存の魔術から着想を得て自分なりの魔術を二つほど独学込みで習得はしている。
ただし、がっつり魔術関連の書物を読み込んだ事は実はあまり無い…見積もりというか考えが甘かったか。

ともあれ、何冊か気になった背表紙のタイトルの書物を抜き出して、目次や内容にザッと目を通す。
…読めるものもあれば、難解すぎて意味不明なものも。もうちょっと魔術方面の選択授業を増やすべきだったか。

角鹿建悟 > 「…取り敢えず、前提条件として…俺の知識量で読み解けるレベルにしておかないとな…。」

魔術師でも専門家でもないのだから、高度な内容の書物なんて土台無理な話だ。
勤勉ではあるが、あくまで学生レベルの知識でしかない。
前提条件を踏まえた上で、自身に読めそうなレベルの書物を幾つかピックアップしていく。

「…単純な持久力強化が一番妥当な気もするが…。」

それだと肉体の負荷はまだしも、精神の負荷が問題だろうか。
気力を回復するような魔術があれば、併せてそちらも覚えておきたい所だが。

(…と、なると。持久力の強化と気力の回復。この二つに絞って探すべきか?)

考える間も、書架から絶えず書物を入れ替わり抜き取って目次と内容に目を通していく。
そうしていると、ふと付与魔術――エンチャント系か。ふむ、と少し思案顔…普段から真顔だから変化無いが。

「…持久力強化や気力回復の術を付与した物を身に付けておけば、その都度魔術を使う必要も無い、か?」

ただ、その場合は付与魔術も覚えなければいけないという手間も発生する訳だが。

角鹿建悟 > いや、手間は確かに掛かるが付与魔術は覚えておいて損は無い気もする。
そうなると、まず一定の段階まで付与魔術を覚えてから持久力強化と気力回復。
その二つを覚えて、付与魔術で物体にソレを付与して仕事中に身に付ける。

「…と、いう感じで行くか?そうなると、付与魔術の本を探していく方がいいか。」

目を通していた本を棚へと戻した。まだ少し曖昧だが大まかな方針はそれでいいか。
ともあれ、付与魔術に関する書物が収まった書架へと移動してそちらでまた本の物色を。

「……図書館の書物もいいが、古書街の方にも足を運んでみるのもいいか。」

あそこには噂でしか聞いた事は無いが、様々な書物が犇いているようだし。
もしかしたら、掘り出し物もある――かもしれない。

取り敢えず、付与魔術に関する書物を幾つか選んでからテーブル席へと移動。
早速、一冊目を手に取り読み始める。内容は勿論、学生の自分に合わせたレベルを選んだ。

ご案内:「図書館 閲覧室」にシャルトリーズさんが現れました。
シャルトリーズ >  
さて。
あれこれ呟きながら図書館を歩き回り、
調べ物を始めようとする青年のテーブル席。
そのテーブル席の横に、いつの間にか小さな影が立っていた。

 
「あの~……」

よくもまぁ、こんなに緩やかな音が出るものだと、
その声を聞いた者は少なからず思うことだろう。
何の敵意も、尖りも見当たらない、触れれば沈み込む球体の如き柔な声色が静かに響いた。

「魔術のことで、何かお困りでしょうか~?」

にっこりとした笑みを浮かべながら、
顔の横でぴんと人差し指を立てて。
青年の横に立つ少女は首をこてんと倒して見せた。

「……『直し屋』の、角鹿建悟さんですよねぇ~? 
 私も同じ生活委員に所属しておりますもので~。
 お噂はかねがね~」

比較的スローな喋り方だが、もどかしい程ではない調子だ。
どちらかと言えば、
聞いている者がリラックスできるような話し方である。

角鹿建悟 > 「……え?」

普段あまり零さない疑問系の声色が少し漏れた。
あまりにも静か…いや、違う。緩やかな音色。
それ自体がリラックス効果でもありそうな、そんな声だ。
思わず、読み掛けた書物から目を離してそちらへと銀色の双眸を向けて。

「――あぁ、えぇと…ちょっと付与魔術を勉強しようかと。仕事に役立ちそうなので…。」

静かな声の持ち主は覚えがあるが、緩やかな音色の如き声の持ち主は初めてだ。
途惑いも少々ありつつ、務めて何時もの無表情でそう簡潔に答えてみるものの。

「…『直し屋』は周囲がそう呼んでいるというか…。
まぁ、確かに生活委員会の所属ですが。同じ生活委員会の……あー…。」

今まで、直す事を最優先で周囲を蔑ろにしてきた。
だから、同僚達の名前や顔もロクに覚えてこなかったツケが来たようだ。
それでも、生活委員会所属の生徒や教師を必死で思い出し…あ、と声を漏らした。

「――間違っていたらすいません。もしかしてシャルトリーズ先生、でしょうか?
確か、基礎魔術と体育を主に担当している…。」

ドワーフ種族の小柄な女教師。ギリギリというか朧気ではあるが、何とか思い出せたらしい。

シャルトリーズ >  
「ははぁ、付与魔術ですか~。
 それで自ら図書館へ?
 勉強熱心さん、そして仕事熱心さんなんですねぇ~。
 
 『直し屋』の異名は色々なところで聞きますよ~。
 どんなものでもたちまち直してしまうのだとか~」

笑顔のまま、自らの胸の前で両手で小さな丸を作って見せる。
これが彼女なりの感心を示すポーズであるようだった。
彼女が生まれた世界の、或いは種族の文化なのかもしれない。


そうして名前を呼ばれれば、笑顔が更に花を咲かせる。

「はい~、シャルトリーズで合っていますよ~。
 シャルトリーズ・ユニヴェルと言うので、
 シャル先生とか、ユニヴェル先生~とか。
 色々な呼び方をされる皆さんが居ますが~……
 まぁ、お好きに呼んでくださいね~」


告げた後にこくこく、と頷いて見せるシャルトリーズ。

「基礎魔術と保健体育の担当なのも正解で~す。
 というわけで、お教えできるのは基礎魔術くらいですが~、
 力になれればと思いまして、声をかけてみました~」

のんびりとした口調のまま、ぱぱー、と
両手を広げるシャルトリーズ。
小動物が威嚇している様に酷似しているが、本人にそのつもりは無いらしい。

角鹿建悟 > 「…正確には、『持久力強化』と『気力回復』の魔術を覚えたいんですが…。
ちょっと考えがありまして、まずはある程度の段階まで付与魔術を覚えようかと。
…あと、一応、物体…生物でないなら基本的には何でも直せはすると思います。」

笑顔で胸元で○のポーズを指先で作る小柄な女教師。
…意味はよく分からないが、彼女の口調から多分感心されているのだろう。
周りにそういうポーズを取る女子は知り合いには居ないので、彼女の世界の文化?だろうか。

異能に付いても、特に隠してもいないし仕事柄よく使うので素直に肯定する。

(まぁ、直す物の質や範囲によっては時間が掛かる事もあるんだが…。)

と、その補足は口に出さずに胸の奥で呟いておく事に。

「……分かりました、ではシャル先生で。
…基礎魔術、とは言いますが俺は大事だと思いますよ。
…建物と同じで、土台がしっかりしていないと魔術も応用は利かないと思いますし。」

彼女の言葉に、真面目な態度で静かにそう答える。
実際に彼女の授業を受けた経験は残念ながら無いが、独学で魔術を編み出すに当たり基礎魔術や論文は参考になった。

両手を広げて、笑顔で助力を申し出てくれる彼女に…昔ならやんわり断っていたかもしれないが。

「…じゃあ、お聞きしたいというか相談に乗って欲しいんですが。」

と、ここは教師である彼女に頼る選択をする。昔の自分では無かった変化だ。