2019/02/18 のログ
ご案内:「禁書庫」に南方 朱緋さんが現れました。
■南方 朱緋 > (カツン、カツンとヒールが床を叩く音がする。その女の足元は、華奢なヒールが優雅に曲線を描く、うんと踵の高いブーツであった。
…薄暗い禁書庫に在ってもぼうっと浮き上がっている様な鮮やかな赤い髪。「薔薇色の髪」と自称している豪奢で長い髪を靡かせ、狭い通路を奥へ、また奥へと…。)
ええっとォー、センセーちゃんが言ってたご本はどーっこだ!
あれが無いと朱緋さん、レポートが書けないんだけどなぁ~。
(それぞれの書架へ打ち付けられた分類表を仰ぎ見ても、目当ての本は中々見つからない。
流石は世の東西そしてを古今問わず、ありとあらゆる“曰く付き”が一堂に集められた常世学園の禁書庫。
何気なく手に取った本が、中世末期、教会勢力によって悉く焼き尽くされた魔術書だと知って、ひやぁ、と驚きの声が上がった。)
うっわ、マジですかー!?……って、お目当ては此れじゃないしぃ…。
ご案内:「禁書庫」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 「まぁったくさあ。何で俺が返しに来なきゃいけないんだ。
確かにこないだ来たからいざという時の対処は出来るけどさ……」
ぶつくさと、不平不満を零しつつ本棚の間を縫う様に歩いてくる男が一人。
小脇には数冊の本を抱え、肩にはオウム程の大きさの火鳥を停めている。
「しかも他に利用者が居るかもしれないから見てくれって。
こんな場所に所要程度で来る物好きが──」
一度、女の居る列を通り過ぎ、胡乱な表情でまた戻ってくる。
「──居たよ。」
■南方 朱緋 > (基本的には静かな書庫であるが、時折この世の物とは思えぬような様々な音が聞こえてくる。
それは女の啜り泣きであったり、獣の啼く声であったりと実にバリエーションに富んでいて。
……普通であれば怪異現象と恐れられてしまうところ、この能天気女は一向に気にならぬ様子。
ひとりでに空を飛びまくるという曰く付きの本の前では、台座に括りつけられ暴れる古書を楽し気に指で突きまくる始末だ。)
うんうん、生きが良くて結構結構、産地直送ってこういうことを言うんだっけ……うん?
ヤッホー、暁センセーちゃんじゃない、どうしたの。何か用事?……それとも、他のセンセーちゃんのお使い中?
(此方へ向かう靴音が大きくなり、通り過ぎたと思えば再び戻ってきた。
書架の間から垣間見た教師の姿に、眼をゆっくり細めてゆるゆると右手を振る。)
■暁 名無 > 「南方、だっけ。何やってんだ禁書庫なんかで。
わざわざこんなとこまで取りに来なきゃならんような資料を必要とさせる先生に心当たりはねーぞ。」
こちらへと手を振る女生徒に軽く手を挙げて応じる。
さながらピクニック気分で居るように見えるその姿に、半ばあきれながらも
「俺は単に本を戻しに来ただけだよ。
誰が持ち出したのか知らねえが、禁書指定の本が俺んとこに届けられたんでね。」
本来なら図書委員の担当だろうが、暁先生なら何とかなるでしょ、という意味の解らない期待に応えざるを得なかった。
今この男がこの場所に居るのはそういう経緯があったからである。
図書委員からしてみればリスクを全部おっ被ってくれそうな態の良い生贄くらいに思われてるのだろう。
■南方 朱緋 > 自主レポートにはなるんだけど「素人でもめっちゃ膨らむ失敗ナシのシュークリームレシピ」の考察をしようと思ってね。
……それでね、ちょこーっとばかり、“風”に関する魔術書が見たかったんだ~。
ほら、ああいうのって、要するに酸素を如何上手く取り込むかが肝だからさ。
だぁいじょうぶ、任せておいて!ほら、朱緋さん魔女だからね!
(どうせなら本格的に行こうかと思いまして、と。
ベージュのグロスを塗った下唇に健康的な赤い舌を突き出して、「てへ☆」と言わんばかりふざけた笑い方をする。
勿論禁書庫に赴いているのだから、それなりの準備はしていますよと教師に向かって無言のジェスチャー。)
そっかー。別のセンセーちゃんでもなく、図書委員のお使いかぁ…。
暁センセーちゃんパシリ体し……じゃない、世話焼きなんだねぇ~。ご苦労様。
(おおっと、とわざとらしい仕草で口を閉じ、如何にも言葉を誤魔化す様な愛想のよい笑顔を浮かべて)
■暁 名無 > 「つまりシュークリーム作るのに禁書庫来たのか……?」
流石の暁名無もに驚きのあまりに二の句が継げず、何度か口をぱくぱくさせてから閉じた。
どんなフローチャートを辿ればそうなるのか。普通に図書室でレシピと魔導書探せば良かったのでは、と思わなくもない。
「まあ、何だ、あんまり図書委員の迷惑になる様な事はすんじゃねーぞ。
……ってパシリっつった今。お前、仮にも教員に面と向かってパシリって口滑らすか?!」
世話焼きなのは否定しないが、流石にパシリではないと思う。思いたい。
頼み事は断れない方だとも思っていない名無だが、何やかんや面倒見の良さがあだになる事はままある。
深い溜息と共に肩を落とすと、火鳥が迷惑そうに飛び立った。
■南方 朱緋 > 勿論そうだよ、他に何があるの。――魔術ってのは人を幸せにするためにあるんだからね!
(彼の問いかけに満面喜色を浮かべ、大きく頷き肯定を見せる。
アタマ沸いて無いかこの女と周囲に思わせるには十分な返答。
勿論本人としては至極普通で整合性の取れているフローチャートであったらしく、寧ろ驚かれる方が不思議らしい。
口をぱくぱくさせている彼を首を傾げて見つめた後――…)
小手先の応用ばかりじゃ、一番大事な<真理(モノ)>を見落としちゃうんだよ。
(ちょっといい話風に真面目な顔して呟いたのち、取って付けたウインクを飛ばす。慣れているのが返って腹立たしい部類だ。)
ああん、違うってば!パシリじゃないよ、パシリ体質って言おうとしたんだよ!
だって体質だったら暁センセーちゃんの本意じゃないじゃん、体質だから仕方ないよね?ってことで、…元気出してこー!?
(肩を落とした教師を気遣い、やや距離を詰めた後に大きな身振り手振りで励まそうとする。
薔薇色の毛先がふわふわと舞い、気遣う様な猫撫で声が禁書庫に響いた)
■暁 名無 > 「魔術使わなくても幸せに出来るタイプのことじゃねえそれ……?」
鈍い痛みを覚えてこめかみを押さえる。
いや、理屈は何となくは解る。解りたくないけど。
もうちょっと別方面に舵取り……というよりは、航路を確立させてほしいと思うのは教師心というものか。
「まあ、いいや。
完成したら俺にも一つ食わせてくれ、そのシュークリーム。」
結果的に無事に成功すればそれで良い。
何の被害も無く、シュークリームが完成してくれれば。
「何のフォローにもなってねえし、まず声がデカい!
一応図書室の括りに入ってんだぞ、もうちょっと静かに。
変な本の目を覚ましたらそれこそ厄介だから。
それで、目的の本は見つかったのか?」
事のついでだ探すなら手伝ってやる、と南方へと告げる。
結局のところパシリ体質なのかもしれない。
■南方 朱緋 > 魔術使わなかったらただのお菓子作りだよ、暁センセーちゃん!…志は高く持って行こう?
(ふぁいと!とばかり胸の前で拳を握って、応援のポーズ。…教師の悩みを深くする効果は絶大だ!)
はいはぁーい。……ところでさぁ、何にも関係ない物体に魔術を掛けてシュークリームが出来たら面白いよね?
んー…物性はどうすれば捻じ曲がるんだろ、例えば鉄とかだったら密度も質量も違うわけだしぃ。
そーゆーご本はぁ、あっるっかな~?
(思い立ったが吉日とばかり、脳裏に魔法陣やら数式やらを思い浮かべ、如何に関係ない無機物からシュークリームをひねり出すか検討を始めた。
無から有を産み、感動と幸せを与えるのが魔女たる己の役目なのだと。
ぶつぶつ呟く横顔は、それまでの“お花畑”からは想像できない真剣さ。
……なお無事に成功するか否か、食した人間に被害が及ぶか否か。それは今後の研究に期待しよう。)
んー…“風”に関する書架は見たんだけど、目録に乗ってたはずのご本が見つからないんだよねぇ。
司書さんに聞いても分からないって云うし…もしかして足が生えて歩いて行った系?
え?…一緒に探してくれるの?暁センセーちゃんっ、ありがとう!
(渡りに船、地獄に仏とはこのことか。
こちらの感謝の深さたるや神様仏様暁センセーちゃん様と両手を合わせて拝むレベル。
不思議なふた色の双眸を輝かせ、期待を込めた眼差しを彼に送り。)
んじゃ、端っこから捕まえてく?はい、これ。
(指さす方向には、文字通り“足の生えた”貴重書の数々。
人間の足あり、犬の足あり、珍しいところでは駝鳥のような足もある。
何時の間にか魔術で作り上げたらしい虫取り網を両手に持って、その片方を渡そうとする。)
■暁 名無 > ただのお菓子作りをしろ、と喉元まで出かかって無理やり飲み下す。
言ったところで無駄骨だろうという気持ちが勝ったからというのが一つ、
もう一つは応援のポーズにちょっと心が揺らいだから。
いい加減この巨乳に弱い性分もどうにかした方が良いな、と反省しようとした矢先、
「面白くねえから止めようそういう事するの!
せめて食品以外の物を作れ、食品以外の物を。新手のテロを仕掛けるな、魔術学方面の先生たちに囲まれて怒られるぞ!」
真面目に考えてる所悪いが、と慌てて阻止に走る。
そういうことは私的にやる分には構わないと思うが、被害を生み出すのは勘弁被りたい。
一つ食わせろとは言ったものの、そんなコンバート料理は断固拒否だ。
「……うーん、だろうな。
足が生えてるだけなら良いんだが、噛み付いたり火を吐いたり、溶解液まで飛ばしてきたりもし始めるから気を付けろよ。
って虫取り網で捕まえる気かよお前さん……。」
差し出された網を握って本日何度目かの深ーい溜息。
研究で野山に出てる時はさんざ使う虫取り網だが、まさか図書室で本相手に使うとは思わなかったようだ。