2019/02/15 のログ
ご案内:「大時計塔」に風間蒼介さんが現れました。
風間蒼介 > 周囲を一望できる高い高い時計塔
学生達にはお馴染みでありランドマークでもあるその象徴とも言える場所の文字盤のすぐ上に一人の男が居た…
いや、吊るされていた。
足首をがっちりとロープで縛られぶら下げられ。寒風吹きすさぶ中ブラブラと揺れており、エクストリームドMであれば自主的にチャレンジする人間も居るかもしれないがそうではない証拠が首元にあった。
「私はバレンタインデーに反旗を翻した愚かな非モテマンです」と書かれたプレートはまさしく「見せしめ」であると物語っているのであった。

風間蒼介 > 拙者が……拙者が何をしたというのか……
ちょっとばかし明らかに女子に呼び出されてソワソワタイムしてる男子にヘイパス!とどぎついエロゲを投げ渡し戸惑いながらも興味津々という姿を偶然チョコ持った女子に目撃される、なんてイタズラをしただけでござるのに……
(そう、それはあくまでも偶然、悲しい事故
 決して年頃のドスケベ男子高校生にエロゲなんて投げ渡せば不審に思いながらもじっくり見てしまうのを判りながらタイミングを見計らって渡したわけではないというのに
 自白剤を投与されてもそんなつもりはなかったと堂々と胸を張って言えるというのに
 だというのに血も涙もない風紀の特捜部は通販の購入履歴から「今日から出来る自己催眠の術」という本を見つけただけでまるで小細工を弄したかのように罵倒してきたのだ。
 辣腕かよクソ)

ご案内:「大時計塔」にアガサさんが現れました。
風間蒼介 > (ちょっとした可愛いイタズラである。
 たとえそれが学園が把握していない異世界のレポートのおかげであぶく銭が手に入ったおかげで大量購入でき捕まるまでの間に15件ほど繰り返したとしてもだ。
 むしろこれは手に入った金を溜め込まずに即座に社会に還元する経済活動では?
 
 確かにその後風紀に見つかり捕り物に発展した際に配りきれなかったドギツイアレを風流せい!風流せい!とばら撒いたのはやりすぎたかもしれない。
 健全な男子高校生ならばともかく純真な中学生女子がうっかり手にしてしまえばいけないと判りながらも持ち帰りパソコンに入れる勇気はないまでもパッケージを何度も何度も眺めてしまい……クソ最高かよ……)

アガサ > 試験期間とチョコレート。
疲れた頭に甘い物。
バレンタインデー当日に漸くやっと、試験が全て終わって私の心には羽が生えたようなものだった。
自己採点が正しければ甘い見通しを持っても良い筈で、さてはてそれならと心の羽の赴くままに時計塔へと足が向いた。

「…………バレンタインって言ってもぜーったい、これは違うよね?」

足が向いたら誰かが吊るされていた。
時計塔の最上階。周囲を一望出来て、大きな時計を頭上に頂くその場所で私の訝し気な声が白く冬風に散る。
良く見ると、なんともなプレートが引っ掛かっていて視線までもが訝しむ。

「……あ、もしかして君かい?歓楽街でチョコレートゴーレムを呼び出したのって。」
それは遡る事数日前、歓楽街であった騒動だ。
全長5mはあろうかという、芳しい香りを放つ茶色い巨人が、呻き声を上げながらチョコレートを持つ老若男女を襲い
チョコレートだけを丁寧に奪って貪り喰らうという奇怪な事件。その場にいた風紀委員が制圧したらしい事だけが
SNS上で話題になっていた奴。
だから、時節的にこの吊るされている彼が犯人なのかなって、私がそう思って訊ねてみるのもごくごく自然なことの筈。

風間蒼介 > 「……おやん?」

普段であればこの程度の拘束はあっさり抜け出せるのだがご丁寧にロープにべたべたと貼り付けた呪符がそれを防いでいた。
なにせ被術者の同意を必要とするせいで「受け入れた」という事実が深く縛る禁術系統のやべーやつである。
ゆえに必死に力の入らない腹筋で登ろう……としていたところで足音が聞こえ、すわ処刑人でも来たのかと冷や汗を浮かべ……。

「え、なにそのファンキーな悪事。めっちゃ親近感沸くけど拙者ではござらぬよ!? 拙者そんな事やってないので助けてくれんでござるかね?」
完全に初耳だが胸躍る反社会活動にちょっとだけ沸き立つ男の子ハート。
そして即座に「それは」自分の仕業ではないと無罪を主張する姑息なニンジャハート。

アガサ > 「あれ、君じゃないんだ? なぁんだ。もしそうなら、無機物からゴーレムを構築するなんて魔術の仕組みでも聞こうと思ったのに」

どうも歓楽街の出来事は、面白い喋り方をする頭上の彼の仕業じゃあ無いらしい。
それならそれで少なくとも、バレンタインが嫌いな人が二人以上は居ると言う事にもなって
私は頭上に「?」を浮かべるが如く首を傾げもするんだ。
同時に、何をしたにせよ逆さ吊りなんてあんまりだとも思うから靴を脱ぎ始めもするのだけど。

「と、それは兎も角そうだね、うん。君が誰で、何をやったのか聞く前に助けないと──」

靴を脱いで、文字盤へと続く壁に足を乗せて、次の瞬間には時計塔自体が床となって私は彼に向って歩き出す。
『道往独歩《ルールブレイカー》』と名付けられた異能の力を以てして彼の吊るされている根本まで行き
拘束を解こうとして手が止まる。

「ねえねえ、このやたらめったら貼りついている符は触っても平気な奴かい?あと、解いたら解いたで着地は出来る?」

爆発とかしない?と言外に、私の瞳が口程に物を言う。

風間蒼介 > 「いやいやいや、拙者ほら見ての通りニンジャでござるし?まあ折り紙飛ばすとか手品めいた真似は出来るでござるが本業レベルの魔術なんて無理の無理無理でござるよ」

いやほんと、とブンブンと首を縦に…逆さ吊りなのでアッパー気味に勢い良く振って
まずは助けないと……なんて人情あふれるセリフを耳にすると思わず涙が出そうになる。
風紀の連中といえばやっていい事と悪い事も判らないのかとか心無い言葉ばかりぶつけてくるんだもの。
でも拙者泣かないだって忍者ですもの。

「おお?壁歩きとはまたクールな……ああ、大丈夫でござるよ。それ同意を鍵に呪術がめちゃつよでかかってるだけなんで……ほら西遊記の名前呼んだら吸い込まれる奴みたいな? なので外部からの排除には逆にめちゃよわみたいな。あ、着地も余裕でござるよー」

大丈夫大丈夫、と思い切り目をそらしながらパタパタと手を振る。
別にやましい事があるわけではない、いやあるんだけどうっかり視線を向けたら絶対にスカートに注目してしまうので鋼の理性が仕事をしているだけである。

アガサ > 「……ニンジャって下着姿に赤いマフラーはしていないと思うんだけど」

あれ?結構不思議なタイプの人かな?と心裡で「やっぱり見なかったことにしようかな」なんて思っちゃう。
思っちゃうけど、此処で放って帰ってしまって、後日ニュースで「時計塔に変死体」なんて見たら夢見がすっごく悪くなる。
この間、ぴたりと固まり数秒の沈黙──視線を逸らす様子が気にもなるけど。

「えっと……サイユウキ?が良くわからないけど兎も角大丈夫なら取ってしまうね。着地も……うん、ニンジャなら大丈夫だよね」

気にもなるけど、初志貫徹よろしく彼を助ける事にしよう。
クールと言われてちょっと嬉しい所もあって、べりべりと符を剥がし、符に頼った縛り方のおかげかあっさりとした拘束を解こう。解いた。

風間蒼介 > 「いやぁ、これはちょっと……ボディチェックの際に剥ぎ取られて……え?赤いマフラーって忍者っぽくござらん?」

なにも無いでござるよ!なにもないってばぁ!とジブる感じで誤魔化してみたものの結局剥ぎ取られてご禁制のアレは没収とあいなった。
あとさりげなくタイトルを目で追って覚えようとした奴の顔は覚えた。

「え?ご存じない?老若男女夢中になる系の摩訶不思議アドベンチャーのアレを……いやこの表現微妙に別物になるような……っとっと」

ベリベリっと符が無効化されれば蛇の如く絡みついていたロープははらりと解け
完全に抜け落ちる寸前に足を引っ掛け体を壁際に寄せると僅かな出っ張りに足をかけ足指を食いつかせ、彼女の異能によるものとは少し違う体術による壁走りを見せ……。
女子の前だからちょっとかっこつけようと欲目を出してバックフリップを決め胸の前で腕をクロスさせくるくると回転しながら華麗にスーパーヒーローランディングを決める。
パンイチで。

「いやぁ……ほんと助かったでござるよ。あのままだと脱出する頃には冷え込んで風邪を引いていたやも」
バサッとどこからともなく一枚布を引っ張り出し体に巻きつけたかと思えば学ラン姿に早変わり。
とはいえギリギリ持ち込めたのはこれだけで御礼に渡せる品など持ち歩いてはおらず。
バグった次元収納に手を突っ込み、要る?と手乗りサイズのハニワを差し出して。

アガサ > 「そのまま服が没収って凄いね……あとニンジャって黒っぽい和風の恰好をして覆面とか──
──ってうわあ本当にニンジャみたいだなあ君! 私だったら絶対頭から落っこちてしまうよ!」

新体操の選手のように華麗な着地を見せる彼に、思わず飛び跳ねてしまって歓声が上がる。
例え飛び跳ねても私の身体は落下する事無く、重力は正しく壁を床として認識し、衣服や髪もそれらに倣う。
足早に降りる私の、足が本来の床に着くなら尚の事。

「えっと、御免ね古典はちょっと苦手なんだ。サイユウキだね、後でちょっと調べてみよっと」

ゆったりと着地をした後はポケットから折り畳み式の携帯端末を開き、黒地に金縁の配われたホロモニタを立ち上げ、メモ長に記しておく。
その間に彼が明らかに魔術としか思えない技で制服姿に代わると、指は止まって目を瞠ってしまうんだ。

「え"ぇっ!?」

え、今のどうやったの!? とずいと近寄って不躾に見る。
すると迎え撃つように何処からともなく古式ゆかしい、確かハニワとかいう大昔の人形が差し出されて

「え"えぇっ!!??」

今の、どこから取り出したの!?と我ながらすっごい変な声が口から飛び出て時計台から飛び降りていった。

風間蒼介 > 「いやあ……前は制服に色々仕込んでソッコで脱出してたらどんどんセメント入ってござってなあ……。 あとほら、忍者ではござるけど学生でもあるゆえ制服くらいはしっかり着込むべきかと。あとほら学ランも黒っぽいでござろう?」

ね?と着崩した学ランの袖を広げて見せて、忍者みたいだと褒められれば得意げに…。
あれ?本物の忍者みたいって拙者もしやまがい物と認識されてござらん?と首をぐいんと傾げて

「ふーむ、まあ割りと男の子好みの作品でござるからなあ。まあ興味あれば面白いのでオススメでござるよーってえ!?なんでござる!?」
ずいっと近寄られると反射的に距離をとってしまう免疫不全系男子
拙者もしかして何かやっちゃいました?と疑問符を浮かべながらも手の上にひょいとハニワを乗せる。
なんの役にも立たない古代系フィギュアではあるが道具屋に持ち込めばそれなりのお値段で引き取ってもらえる換金アイテムである。

アガサ > 「服にセメントってどんな拷問なんだいそれ……と、それはそうと君も学生だったんだ。初めて見る顔だけど最近来たのかな」

真近で見上げて首をかたりと傾ける。
上級生かな?と思わないのはこれだけ色々濃ければ以前から噂になったりで耳に入るに決まっているから。
SNSの話題は良くも悪くも目立つ人を浮かび上がらせるもの。

「ん、ほら。君がその、何も無い所から取り出したように見えたから……御免御免。そういう異能?
便利そうでいいなあ。でも収納するにしてもハニワを常備するって面白いなあ」

手の上に乗った小さなハニワを矯めつ眇めつ眺めて感嘆の声。
それじゃあお返しに、と彼の手に握らせるのは小さな袋に包装されたチョコフレーバーのアーモンド入りトフィー。
これは彼みたいに不可思議な所からじゃあなくって、ちゃんと私のポケットから出て来たもの。

「はい、おかえし。釣り合うかは判らないけど君──じゃなくて、そういえばお名前は?私はアガサ・ナイト。この学園の一年生さ」

風間蒼介 > 「いやあ……一応入学したのは結構前なんでござるがね。ちょっと異世界に飛ばされて戻ってきたら時間経過が…という」
やっちゃいましたとテヘペロを……マフラーで隠されてペロは見えないが。
おかげで世間様の様相が地味に変わってたり困ってしまうのだがすぎちまったもんは仕方がねえやとこうして季節のイベントも純粋に楽しんでいるのであった。

「ああ、学ランは忍者的収納術で、ハニワは異世界で手に入れた次元収納というやつでござるな。
 まあ地球の規格とあってないのか入れたが最後取り出したら別物に……それも元は蜂蜜飴だったんでござるが……」
おかげで収納としても便利ではあるが実質取り出す事が出来ないという本末転倒具合。
などと暢気に笑っていると手の中に握らされる茶色いスイートな何か
脳がそれを理解するまでに数秒の時間を要し……

「CHOCOLATE! お……おお……よもや実在したとは……拙者は風間蒼介、二年生でござる」
ずしゃあ!と膝を付きネイティブな発音で歓喜の声をあげ頂いたチョコを天高く掲げながら涙を目に浮かべ名を告げ
これはロスタイム!ロスタイムだからセーフ!と心の中のバレンタインカウンターを0から1へと繰り上げる。
いやぁこんな素晴らしい祭典に嫉妬をぶちまけるとか最低ですね!

アガサ > 「うん……うん?」

入学したのは結構前。とまで言われて不味い事を言わせてしまったなと視線が泳ぐ。
だって留年しているってことだもの。でも次の彼の言葉で私の視線はもっと泳いで溺れかかる羽目になる。
少なくとも嘘や冗談の類では無さそうなニュアンスに私は──

「──ナ、ナルホドー」

精一杯の言葉を返すばかり。凄いなあこの島。と、俯瞰した思考が私を見下ろしもした。

「おほん、うおっほん。……と、ともかくええと……センパイだったんですね、うん。
入れたら最後取り出せないとなると、じゃあこのハニワを再びしまったら次は何が出て──って大袈裟ですよう!?」

閑話休題(それはさておき)。
言葉遣いを咳ばらいと共に正し、何故か膝を突く風間センパイに好奇心を隠さずに訊ねた所。
ものすごく大袈裟に喜ばれるとこっちが恥ずかしくなってしまう訳でして
ここが人目の無い時計塔で良かったと心裡で感謝しながら、センパイの肩を叩いて立ち上がらせようとするんです。

風間蒼介 > 「いやいやいや、ほんと転移荒野の遺跡調査してたら突然異世界に召還されて勇者として……あっるぇ言葉にするとしこたま胡散臭いでござるなこれ!」
自分の体験だから当たり前のように受け入れていたが客観的に言葉にすると中学生の寝る前の妄想みたいになってしまい
あらやだと口元に手を当て驚愕の表情を浮かべて。

「まあ一応先輩って事になるでござるなあ、しばらく離れてたせいで学力レベルは負けてる可能性大でござるが
 あー一度変化したものはそれで固定されるみたいでござるね。なので有意な変化を起こせれば便利だろうにどうにもあんまり役に立たないものばかり……
 いや0と1の間には無限の隔たりがあってござってなあ……
 チョコを貰えぬ無念さに赤い糸を断ち切らんと暗躍をしては風紀に一発入れられて吊るされはしたが……ようやく拙者の手に聖杯(チョコ)が……」

感極まりあっさりと犯行を自白した事にも気付かず。
肩を叩かれればまるで騎士叙勲を受ける光景のようにかしずき感涙に咽ぶのであった。

アガサ > 風間センパイの口から滔々と語られる不可思議な話。
いざ真面目に捉えてみると此方側に来てしまった異邦人の逆パターンとも言えるもので
彼は帰ってこれたけれどと、前置くならばこれ程恐ろしい話も無い。

「色々御苦労をされたようで……で、収納術は一度変化すると固定されてしまうと、中々興味深いですね。
あと、センパイが何をして吊るされたのかも。暗躍ってなんですか暗躍って。
チョコレートを手当たり次第に収納して何か不思議な物体にでもしてしまったんです?」

ただそういった恐ろしさも、目の前の風間センパイが何をしでかして釣られたのか?なんて興味の前には消えてしまう。
チョコレートゴーレムは彼の所為ではないそうだけど、濡れ衣と言うわけでもなしに、風紀委員に吊るされる程の事とは一体。
自然と視線は手中のチョコに移っているのでした。

風間蒼介 > 「まあ苦労はしたけどいい経験もした、という感じでござるねえ……
 この世界とは結構法則が違うのに収納内は向こう側の法則で動いているから通過するときに変質が、という理屈だそうな……
 え?まさかまさかそんな女子の真心を得体の知れないものに変える外道なんてせんでござるよ
 ちょっと待ち合わせ中のにっくき男子にエロアイテム握らせて女子に目撃させた程度で」
気さくな後輩につい、忍者が口を滑らせた。
あ、いっけねと口元を押さえ、じりっと後ずさりし、時計塔の端っこにかかとが触れてカランと小石が落ちていく

アガサ > 「つまりは部分的に異世界に繋がったまま?……生き物が入ると、どうなるんでしょうね、それ──ってセンパ~イ?」

疑問が口に出ている間に詳らかになるセンパイの所業。
それはチョコレートをどうのこうの、なんて生易しい行為ではなくてもっと直接的で、聞くだけで私は自分の頬が含羞の染まるのが判る程。

「そーゆーの、割と、すっごくやっちゃダメな事、ですよう?」

一歩、近づく。
風間センパイが一歩、後退する。
一歩、近づく。
風間センパイが一歩、後退する。
もう一歩、近づいて、センパイの背が転落防止の柵に触れた所で私の手が彼の手に届く。

「――なーのーで。これ、没収です!」

ぱ、と取り上げるのは先程渡した菓子包み。
パパがアメジストのように綺麗だって言ってくれた瞳が鋭く尖って、没収した後は一瞥もくれずに時計塔から立ち去ってしまうんです。
……ただ、ハニワを貰ったままだった事に後で気付いて、後日きちんと返しに伺う事にもなるんですけれど。

風間蒼介 > 「ん~どっちかと言うと異世界で作られたから異世界の法則が働いているって感じでござるかね
 海の水汲んだバケツを山に持っていっても海の水的な……あれ?ちょっとアガサさん?目が怖いんでござるが……」

妙な迫力に気圧されてしまい彼女を置いて逃げてしまうという選択肢は蛇に睨まれたカエルのように身体が動かず実行できそうになく。
没収と言われチョコを取り上げられてしまうのを呆然と見送るしかなかった。
1と0の間は無限に遠い、それは1が0に戻ってしまうときの落差も無限に大きいと言える。

彼女が立ち去るのを放心状態で見送り……しばらくしてかくんと膝から力が抜けて崩れ落ちる。
そうして柵際で尻餅をついたせいで背中が柵に当たり、尻が床でバウンドし、背中が柵にあたり……
小刻みに上下を繰り返し加速度が尻に蓄積されていき……限界を超えた瞬間にピャッフー!と常世の空に射出されるのであった。

ご案内:「大時計塔」からアガサさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から風間蒼介さんが去りました。