2020/07/09 のログ
雨見風菜 > 「あらあら、たまに通学を糸で飛んでいくこともあるんですが」

何を今更と言わんばかりに。

「多分話すほうが正気を疑われますね」

レナード > 「空飛ぶ痴女とか洒落になんねーし!?
 ていうかまさかその状態でも履いてないとか言うなし!?」

まさか、ね。

「……ま、まあ…そりゃそうだろーし……
 現実は小説よりなんとやらだし…世の中まだまだ分からんもんだし…」

雨見風菜 > 「履いてると思います?」

無論履いていないのだが。

「まあ、私を知る人なら信じるかもしれませんが」

とは言えそれもそう多くはないだろう。
友人や御主人様、あとはセクハラ喫茶の……名前聞いてなかった彼とか。

レナード > 「ねーし。おめー、そーいうときも履いてないに決まってるし。」

もう彼女の行動パターンは察した、と言わんばかり。
やっぱりそうなんだ、とあきらめの含んだ声色だったが。

「………僕はレナード。
 おめー、名前はなんていうわけ?」

そうして、ここで唐突に名前を聞くのである。
恐らく、今後に活かすため。

雨見風菜 > 「ふふ、ご明察」

くすくすと笑い。

「一年生の雨見風菜です」

名乗られたなら名乗り返すのが礼儀。

レナード > 「……よりによって同じ学年だなんて…」

ため息が出た。
というか、学生だったのね。という言葉も裏に隠れてるだろうか。

「その名前…覚えたし。」

雨見風菜 > 「ええ、レナードくん。
 私も覚えました」

同じ学年だったのかよと言わんばかりのため息は気にせず。

レナード > 「………。」

図書館…では見ない顔のような気がする。
学園も広いから、案外会うことも珍しいのかもしれないが。
そんなことを考えながら、じーろじろ。

「ま、それが分かったなら…今後は自分の操を守るための行動をとれるし。
 やっぱ露出狂に突然やられるより、こいつならやりかねんと思ってた奴の方が幾分マシだし。」

雨見風菜 > 「あらあら。
 いくらでも見てくれて構いませんよ」

普通にしていれば胸の豊満な清楚な美少女ではあるのだが、本当に。
なお風菜、図書館には程々に行く程度である。

「あら、酷いですね。
 私はするよりされる方が好きなのですが」

クスクスと笑いながら全く本気ではない酷いという単語。
まあ言われるのはしょうがないだろう本当に。

レナード > 「おめーのその言い方は範囲が広すぎる気がするし……」

あんまりノせられると本当に見なきゃいけない雰囲気になってしまう。
ここで艶っぽい対応したら終わりだと自分に言い聞かせながら。
黙ってれば本当に外面だけはいいので、そこには触れなかった。

「……えー。
 スカートなのに下着履いてないやつのセリフと思えんし。」

思えないだけで本当にそうなんだろうなあ、と、これもあきらめの籠った声色。
彼女の発言が冗談に聞こえてないというやつなのだろうか。

雨見風菜 > 「ええ、上からも下からも。
 満足するまで見てもらって」

レナードの己との戦いを知ってか知らずか。
いや知ったこっちゃないほうか。

「まあそう思われるのもしょうがないところもありますか」

レナード > 「上からも下からもって………」

まあ、最初は下からだったわけで。
上からなんて朝飯前なんだろうかと思いながら。

「………一つ聞いとくけど、
 それは服の上から限定って思っていーわけ?」

よせばいいのに、どこか常識を求めてそんな質問を投げかけてしまうのだった。

雨見風菜 > 「どうして限定だと思われるので?
 なんなら、今脱ぎましょうか?」

クスクスと笑いつつ、まあ肯定されるはずないだろうなという問いを投げる。
とは言え脱げと言われたら脱ぐ気もあるが。

レナード > 「ぶふっ」

やっぱりだった。

「いや、いやっ、それには及ばねーし……
 それにほら、単なる確認だし……」

危ないところだった。
じゃあ脱いでみろとか言ったら、本当にやりかねない怖さが彼女にはあったように思えたのだ。

雨見風菜 > 「あら残念」

なんかもうクスクス笑いっぱなしな気がする。
まあ半分本気なのだが。

レナード > 「……だっておめー、脱げっつったら本気で脱ぐじゃん。」

そう言えばそうするだろうと、半ば確信めいた口調で。
ともかく、とんでもない痴女がいることが分かっただけでも収穫として…

「それじゃー…僕はそろそろ帰るけどー……
 ……いいわけ?後はついてくんなし?」

この念の入れようである。

雨見風菜 > 「ええ、脱ぎますね」

あっけらかんと。

「ええ、私はもうしばらくここに居ますので。
 お気をつけて」

と、最初のように座り直して。

レナード > 「やっぱり。」

もう驚かない。残るのは、ほぼ確認の意図だけ。

「ん。
 じゃあ、そっちこそ、風邪引くなし?」

ひらひら、気怠そうに掌を動かして。
ろくにお外の光景なんて見ることもできないまま、大時計塔を後にしたのだった。

ご案内:「大時計塔」からレナードさんが去りました。
雨見風菜 > 「冬ならともかく夏ですよ?
 ご心配、ありがとうございます」

そうレナードの背に声を投げ、そして風景を今しばらく楽しむ風菜であった。

ご案内:「大時計塔」から雨見風菜さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にーーーさんが現れました。
ーーー >   
それは目をつむり、時計塔のテラスのそのさらに上、最上部の避雷針を背もたれに風の音に耳を澄ませていた。
灰色だった空を見上げると降りしきる雨はいつしかやみ、雲の切れ間から早くも星がその姿をのぞかせている。
ぐっしょりと濡れた髪を伝う雨雫がレインコートに当たり、ぽたりぽたりと音を立てる。

何時間ほどここにいただろうか。
ゆっくりと目を開け水平線に目を向けると、足元で鐘が鳴り響きはじめた。
島中に時を知らせ、ひそかに名物となっている鐘の音は雨上がりの風に乗り島中へと流れていく。
急な鐘の音に驚いたのか雨宿りしていた数羽の鳥が飛び立ち
夕暮れの空へと羽ばたいた。じゃれるように、競うように巣へと戻っていく鳥を見送り、町へと視線を向ける。
見下ろした常世島は、雨上がりの澄んだ空気の中ぽつぽつと明かりが輝き始めている。

「……」

それはしばらくそれを眺めた後息を吸い込み、僅かにせき込んだあと
風に紛れるほど小さな声でゆったりと口ずさむ。

『God be with you till we meet again……』

民謡的かつ感傷的と言われたその曲はかつては多くのヒトに歌われていたと聞く。

ーーー >  
ゆっくり瞳を閉じ、体重を避雷針に預けながら小さく胸元を抑えそれはただ歌っていた。
風の吹くリズムに合わせるように途切れ途切れに。

『With His sheep securely fold you--』

自分の声は他人には複数人が同時に喋っているように聞こえるらしい。
クスリと笑う。つまりこれを聞いたなら合唱でもしているように聞こえるのだろうか。
歌っているのは一人なのに合唱できるなんてなかなか便利ではないかしら。と思うと少し愉快だった。
……その直後に忘れ去られるのだろうけれど。

それほど長い曲でもないそれを歌い終わるとそのまま残響に耳を傾けるように黙り込む。
遠くからわずかに聞こえてくる歓声のような声、吹き抜ける風切り
そして時折動く時計塔の針とその歯車が軋む音。
そのどれもが何度も繰り返され、そしてこれからも繰り返されるであろう日常の音だった。

ーーー >  
雨具に溜まった雫を指先でなぞる。
雨を通さない生地は潤沢に雨水をため込んで、レインコートのフードにもいくらか雨水がたまってしまっている。
立ち上がればそこそこの量の雨水が足元へと落ちていくだろう。
それだけの間身じろぎもせずにじっとしていたということだ。
急速に下がっていく気温に合わせて張り付いた服や髪も冷たくなっていく。
今日の風はそこそこ強い。人の体ならばあっという間に風邪をひいてしまうだろう。

けれどそれはそれを着替えようとは思わなかった。
少し下に降りれば雨に濡れることなく外を眺められたかもしれないけれど
雨が屋根や服を打つ音も、少し強めに吹き抜ける音もそれはとても心地が良かった。
雨具を着ているのは濡れないためというよりその音を聞きたかったがためかもしれない。
雨の日は下を向いてしまうヒトが多いけれど見上げてみれば思っているよりもずっときれいだ。
そういえばそんな映画があったなぁと思う。
この島に来て、初めて直接見たように記憶している。

「くふ」

そういえばあのタップダンスを踊っていたおじさんはあの時すごく楽しそうだったなぁと
そのワンシーンを思い出して微笑む。
確か警察に訝し気に見つめられてばつが悪そうにしていたっけ。
一応この場所も立ち入り禁止だ。……生徒はおろか学生も良く来る場所だけれど一応。
見つかったら似たように訝しげに見られるだろうか。
……そもそもこちらを認識できるかも怪しいしもう学生ではないのだけれど。

「らーららったー、らららららったー…」

座り込んだまま指先でタップを刻みとんとんと屋根を弾く。
まだ濡れた屋根と腕を伝う雫が指先に弾かれ空中を舞い、きらきらと輝く。
今はもう止んでしまっているけれど、止んでいるからこそ夕空の光の反射がとてもきれいだ。
あっという間に沈んでしまう太陽はもう既に地平線へと隠れ、
空の色は紫から深い紺色へと色を変えていく。あっという間に夜が来る。

ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
神樹椎苗 >  
「――悪くねー歌声ですね」

 歌声に紛れ、小さな足音と、平坦な声。

「こんな天気に、こんな時間に、こんな場所に来るなんて、とんだ物好きもいたもんですね」

 階段を上り、扉を開け、外に出れば聞こえたのは誰のものかも定かでない声。
 リズムを刻み、楽し気な空気を感じ取れた。

 いつものように柱へもたれかかり、いつものように腰を下ろす。
 雨によってまだ濡れているそこは、ひんやりと冷たくジワリと水気がしみ込んできた。

「少しお邪魔しますが、どうぞ好きに続けやがれです。
 しいも好きにしますけど、文句はねーですね」

 そう言って答えを聞くでもなく、本を広げる。
 アガサ・クリスティの『And Then There Were None』だ。

ーーー >  
「……くふ、ありがとぉ」

扉のきしむ音と足音。
こちらを確かめるでもなく投げかけられた声に
こちらも下に目を向けることなくにこりと微笑みながら言葉を返す。
ああ、どうやらこの子はこちらを認識できるらしい。
そういえばここがお気に入りの子がいたように記憶している。

「うん、そうするよぉ」

恥ずかしいから歌はやめにするけどね。
そう呟いて指先の雫を飛ばす。
一瞬街の明かりを反射し煌めいたそれは音もなく時計塔の下へと落ちていく。
それを見送って再び目を閉じた。
風の音に混ざるページをめくる音が混ざる。
そうして黙ったまま、ただただ夜空を見上げて。

「……それ、読めてるの?」

辺りはずいぶんと暗くなってしまった。
普通のヒトにはなかなか文字を読みづらい明るさだなぁと
思いついた疑問をそのまま口に出してみたり。

神樹椎苗 >  
「しいは、目が良いですからね。
 まあ、これ以上暗くなるとさすがに読みづらいですけど」

 そう言いながら、十数秒で一ページが捲られていく。
 リズムが崩れる事もなく、一定でさらり、さらりと。

「部屋で読んでもいいんですけどね。
 どうにも騒がしいんですよ。
 それに――寮じゃ気軽に死ねねーですし」

 まあ最近は。
 随分と『癖』が出る事も減ったが。
 それでも発作的に、衝動的に、やってしまう事もある。
 やってしまったときに、見つからないように処理するのは面倒臭いのだ。

「――お前こそ。
 歌はやめちまうんですか?
 随分とご機嫌にしてたみてーですが」

 邪魔をするとは言ったが、実際に邪魔してしまうと気にはなるのだろう。
 それが楽し気だったとなれば、なおさらだ。

ーーー >  
「あは。歌はあんまり得意じゃないから」

聞いた曲を完璧に再現することは可能だけれど
自分で歌うこととそれはまた話は別で
……妹達に唄っていた時と同じようには思えない。
やっぱり少し気後れしてしまった。

「いいじゃない。
 細やかなれど死ねない理由ができた。
 ……そういうことでしょ?
 騒がしいのはちょっとわかるけどねぇ。
 キミみたいなタイプは特に放っておいてはもらえなさそうだしね。」

ああ、あの子か。と下にいる人物に思い至った。
確かにあの子ならそういうかもしれないと。
あの子はとても面倒くさがりでそして……自分で思っているよりも寂しがり屋だ。

「……馬鹿だね。目が悪くなっちゃうよ。
 死んでも視力が戻るかはわからないんだから。」

立ち上がるとレインコートの雫を払う。
足元に大量の水がこぼれるが頓着せず、飛び降りた。
とっと軽やかに着地したその手には古ぼかしいオイルカンテラ。
暖かい光が無表情な少女を照らす。

「……貸してあげる。
 必要になったらだけど」

神樹椎苗 >  
「得意じゃなくても、好きなんじゃねーですか?
 まあしいには関係ないですけど」

 聞いておいて、答えはこれだ。
 理由が分かればそれでいいとでもいうように。
 ただ――もう少し聞いていてもよかったようには思っていた。

「死ねねー理由なんてないですよ。
 ただ、邪魔をする連中が多いのです。
 ――どいつもこいつも、しいに構いすぎなのですよ。
 しいなんかにかまけてる暇があんなら、もっと別の事に時間を使いやがれってんです」

 椎苗は、救いを求められれば、困っている人間がいれば、見捨てない。
 それは椎苗が『端末』としての機能でなく、『椎苗』として唯一決めたことだ。
 けれど、そうして相手にした人間が、いちいち余計な親しみや恩義を感じてくる。
 椎苗にとって、そういう関わりはひどく、面倒だった。

「ふふん、しいの視力は遠近どちらも優秀です。
 けどまあ、気づかいは受け取ってやりますよ」

 下りてきた相手から、暖かなカンテラを受け取る。
 視力は悪くならなくとも、明かりの有無は読みさすさに直結するわけで。
 心遣いを無下にする理由も特にない。

「しっかしお前、ずいぶんとずぶ濡れですね。
 いつからここにいたんですか。
 そんな恰好でいて、風邪ひいてもしらねーですよ」

 そう言いながら、バッグから薄い桃色のフェイスタオルを引っ張りだす。
 それをカンテラのお返しとばかりに、目の前の相手に放り投げた。

ーーー >  
「あは、好きってよくわからないから。
 ああ、濡れてるのは気にしない、で?
 多分そんなに長く……ニ、三時間くらいかなぁ
 ちょっと雨に降れてただけだから平気だよぅ」

にこりと微笑む。
この体が風とかそういったものに弱いのは確かだが……
動けなくなれば破棄すればいいだけなのだけれど、まぁ好意は受け取っておこうと思う。
投げられたタオルを空中でつかむと髪を伝う雫をタオルで抑える。
思っていた以上に水を含んでいたようでぽたぽたと地面を濡らしていた雫が大分減った。

「くふ、それだけキミの周りにイイヒトがあふれてるって事なんじゃない?
 キミも心当たりあるでしょ?」

至極興味なさげにしているけれど……しっている。
この子がいうよりもこの子は放っておけないのだ。
そして”めんどくさい”事にそれがまた人を引き付ける事にもなる。

「”時間をかけたからこそ失ったときに泣くんだ”って誰かが言ってたよぅ。
 『何かの間違い』で死んじゃったらきっとその人達も悲しんじゃうんだろうね。
 ……君にとっては迷惑かもしれないけど。」

そしてどうしようもない柵が増えていく。
かかわった者は勝手に親しみ、そして勝手に願いを持つ。
それは酷くそのヒトを縛る。それが望みでなかったとしても。

「……”そして誰も居なくなった”
 名訳だよね。」

実に偉大な命名であり、そして素晴らしい訳だ。
日本語はなかなか覚えるのが面倒だったけれど
こういう言い回しは嫌いじゃないとそれは思う。